« 2014年6月 | トップページ | 2014年8月 »

2014年7月19日 (土)

最高裁の父子関係についての判決

最高裁は、7月17日にDNA鑑定にからむ父子関係をめぐる3つの裁判で判決を出しました。6月10日にこのブログを書いたことから、その続編として書きます。

1) 高松の事件

最高裁判決:ここ pdf判決文

民法は、『妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。(民法772条)』としているが、 夫は子の出生を知った時から一年以内に家庭裁判所に訴えなければならない(民法777条)としており、1年以内の制限がある。なお、妻(母)は、親子関係の否認はできない。

子どもが何歳になった時か、時期は不明ですが、夫(父親)はDNA鑑定で自分の子どもでないことを知った。そこで、夫は、裁判を起こしたのであるが、認められなかった。最高裁へは、民法777条が憲法違反だとして提起した。

最高裁は、憲法違反ではないとして、上告を棄却した。当然だと思います。

もし、DNA鑑定を優先するなら、夫婦の親からの要求が出る場合もあり、ほとんど全ての夫婦が出産時(或いは前)に子どものDNA鑑定をすることになってしまう危険性を危惧する。妻は、可能性があれば、DNA鑑定の前に中絶をする。それが違法かどうかなんて関係なく、中には22週を過ぎてもヤミで行う。DNA鑑定についても、怪しい業者が広告合戦と値引き合戦を繰り広げる。少子化がますます進む。

我々は、どのような社会を望んでいるのでしょうか?愛のある世の中、人が互いに信頼できる社会を私は望みます。

2) 大阪の事件

最高裁判決:ここ pdf判決文

子どもから父親に対しての、親子関係不存在の訴えである。(但し、まだ6歳であり、母親=妻が代理で提起)

2004年に結婚。2007年に単身赴任なった。しかし、月に2・3回は帰宅をし、また妻とも共に旅行をする等通常の状態であった。しかし、妻は、その2007年に子どもの父親である男と交際を開始することとなった。2008年に妻は妊娠し、夫にもそのことを告げた。(子どもの父親のことについては内緒にした。)2009年に妻は無事に子どもを出産し、夫は保育園の行事にも参加し、子育てをした。2011年に、夫は子どもの父親のことを知った。その年、妻は子どもを連れてDNA鑑定で父親とされている男の元へ行った。2011年に、この親子関係不存在の訴えを提起した。2012年4月に離婚調停を申し出たが、5月に不成立となり、2012年6月に離婚の裁判を起こした。

このいきさつをどう思われますか?

3) 札幌の事件

最高裁判決:ここ pdf判決文

大阪の事件と同様に、子どもから父親に対しての、親子関係不存在の訴えである。(こどもはまだ4、5歳であり、母親=妻であった女が代理で提起)

1999年に結婚。しかし、子どもは生まれず、妻は父親である男と2008年から交際を開始し、2009年に妊娠。しかし、子どもが夫の子ではないことを知っていたから、夫には告げず、更には出産の際も夫には病院名を告げなかった。そこで、夫はその病院を探し出し、誰の子かと訪ねた。「2、3 回しか会ったことのない男」と言われ、夫は自分を父親とする出生届を提出した。2010年に協議離婚が成立。2011年6月にこの親子関係不存在の訴えを提起した。

4) 愛

ある程度大阪の事件と札幌の事件は似ています。両方とも父親は子に対する愛を持っているのだと思います。

それと、どちらを自分の父親とするかは、子どもが決定権を持つと思います。もし、母親の訴えが通るなら、子どもは出生届を父として提出してくれた人が父ではなくなるのです。成人になったなら、もはや出生届の父は父ではないとして親子関係不存在の訴えを起こす。もっとも、それで何の利益が得られるかは疑問ばかりと思います。むしろ、20歳になれば、その時もその父を父として受け入れているなら、DNA鑑定の父を養父として養子縁組をするのが一番賢いと思います。そうすれば二人の父親を持つことができる。

民法とは、人の社会の根幹のルールであり、感情も入り交じって成立している。愛に反する民法、愛に反する民法の運用や解釈は許されないことと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年7月16日 (水)

痴漢無罪判決が東京高裁で勝ち取れた

2013年11月6日に映画「それでもボクはやってない」のような冤罪に思える痴漢事件としてブログを書いた裁判です。

裁判官にもトンデモナイ人がいるのだと言うことを証明しているような東京地裁立川支部の裁判官ですねと言いたくなる。

判決文は、Webでは未だ見あたらないが、次の日経記事を読んでも、トンデモナイ裁判官と東京高裁が指摘している。

日経 7月16日 バス痴漢巡り中学教諭が逆転無罪 東京高裁判決

河合健司裁判長は一審判決について「被害者の供述を全面的に信用したのは誤りで、判断に慎重さを欠いている」と厳しく批判したなんて、普通ではないと思う。

携帯電話のメール送受信記録とバスの車載カメラの映像という客観証拠から、「右手は携帯電話を扱い、左手でつり革をつかんでいたと考えるのが妥当」と判断』は、ごく真っ当な人がする判断です。

被害を訴えた人の言い分だけを聞いたら、正しい判断はできない。何が正しいのか、自分の頭や心で考えて判断する必要があります。政府の言うことだけを聞いていてはダメだし、マスコミの報道の一片のみで判断してもダメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年7月15日 (火)

イスラエルのガザ攻撃

1週間前に集団的自衛権については国民が決めるなんてことを書いて、最近のイスラエルのガザ攻撃を思うと、ガザの人達にとっては、自衛も何もない悲しい状態かなと思ってしまいます。この日経記事 7月14日 地上侵攻の承認見送り イスラエル、ガザ攻撃で は、イスラエル政府は、当面は空爆を継続する方針を確認なんて伝えているが、この記事には「 ガザの当局者によると、イスラエルの攻撃による死者は170人を超え、負傷者は1100人以上となった。」とあり、死者や負傷者が出ている。一方の、イスラエルは、ロケット弾攻撃を受けているが一人の死者も負傷者も出ていない。

イスラエルとパレスチナの問題はあまりにも複雑ではあるが、一方の国が相手国の人を次々と殺していくことが正当化される理由ってあるのだろうかと思う。弱い国は、力のないロケット弾攻撃に対して立ち向かうのに、罪もない人々を大勢殺していくことの恐ろしさである。

今回の事件は、6月中旬頃にヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地で行方不明になっていた少年3人が6月.30日に遺体で発見された。そして、その犯人をイスラエル政府はハマスと主張した。(時事ドットコム 7月1日 誘拐の3人、遺体で発見=ハマスに報復攻撃も-イスラエル)(ぴんとこないのは、ハマスが支配しているのは、ガザでありヨルダン川西岸地区ではなく、その間にはイスラエルがあるので行き来は困難なのに、何故と思う。)

しかし、次は、イスラエル政府が動く前に、個人報復が始まった。イスラエル人がパレスチナ人の子どもを誘拐し殺害した。ハフィントンポスト 7月7日 パレスチナ人の少年、生きたまま火で焼かれる? イスラエルとの間で「憎悪の連鎖」なんて、恐ろしい話が出ている。

報復の連鎖が始まった。先祖が住む土地にやってきたよそ者が住み着いた。自分たちを殺し始めている。ガザの人達から見れば、そんな感じだと思う。しかし、イスラエルの前でただ死んでいくだけでは情けない。

国連パン・ギムン事務総長もこの声明 UN chief demands end to Israeli-Palestinian fightingを出しているが、どうなるのだろうか?停戦以外に道はない。でも、停戦後にPKOもイスラエルは受けないと思う。だから、再び、イスラエルの人殺しは始まるのだろうか?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2014年7月 7日 (月)

集団的自衛権については国民が決める

「集団的自衛権を考える」と題するブログを2013年8月13日に書きました。

集団的自衛権を考える

7月1日に閣議決定をしたのは、この文書であり、次の部分が、集団的自衛権に関する部分であります。

『我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。』

アンダーライン部分があるので限定的であると言うのが、政府の見解と理解する。しかし、特定秘密保護法とも併せて考える必要もあるように思う。勿論、拡大解釈に危険性があるし、5月頃報道されていた8事例なんて、いずれも変な例だと思う。邦人を輸送する米輸送艦なんて、あり得ないと思う。

閣議決定なんて国民を縛るものではなく、集団的自衛権は或いは、憲法第9条についても国民が考えて、答えを出すべきである。政府は、閣議決定をしたので、法案を提出してくるが、急いで法制定する必要があるのだろうか?国会議員がどう向き合うか、国民はどう態度を表明していくかである。時間を要して構わない。時間をかけるべきである。

ところで、閣議決定文書の2 (2)に「国際的な平和協力活動に伴う武器使用」なんてことが書いてある。しかし、私にとっては、国連PKOにおける自衛隊の武器使用であれば、集団的自衛権とは別次元の話であると言いたい。

ちなみ、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律24条1項に次の条文がある。

・・、自己又は自己と共に現場に所在する他の隊員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、当該小型武器を使用することができる。

南スーダンにおけるPKO(UNMISS: United Nations Mission in South Sudan)を例に取ると、2014年11月30日が現在の活動期限であり、UNMISS Facts and Figuresによれば5月31日現在で軍人他11,978人が活動している。ボランティアの人が406人というのもすごいなと思う。軍人は日本(自衛隊)を含めAustralia, Bangladesh, Belarus, Benin, Bolivia, Brazil, Cambodia, Canada, China, Denmark, Ecuador, Egypt, El Salvador, Fiji, Germany, Ghana, Guatemala, Guinea, India, Indonesia, Japan, Jordan, Kenya, Kyrgyzstan, Mali, Mongolia, Namibia, Nepal, Netherlands, New Zealand, Nigeria, Norway, Papua New Guinea, Paraguay, Peru, Poland, Republic of Korea, Republic of Moldova, Romania, Russian Federation, Rwanda, Senegal, Sri Lanka, Sweden, Switzerland, Timor-Leste, Togo, Uganda, Ukraine, United Kingdom, United Republic of Tanzania, United States, Yemen and, Zambia and Zimbabweと多くの国名が書いてある。

任務については、このページにあり、一番最初に書いてあるのが”Protection of civilians”であり、南スーダンの人々の安全の確保である。

そこで、日本のPKO法24条1項を読むと、自己の管理の下に入った者となっているので、共に活動する他の国の人々やボランティアの人が危険になり、その場にいたとしても自己の管理下でなければ、武器(小型武器に限られている)を使用できないのかな、またこのPKOの任務である南スーダンの人々の安全を守るためにはどうなのだと疑問を持つ。

PKOにおける武器の使用は、集団的自衛権とは別であり、切り離して考えるべきです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

台風8号 大雨にも注意を!

予報では、台風8号は8日に沖縄を通過し、10日頃には九州に上陸しそうです。気象庁の7月7日20時45分発表は、7日の台風の中心気圧930ha、中心付近の最大風速50m/sが8日6時には910hPa、75m/sと強くなる予報している。

相当の警戒が必要と思いますが、降雨量についも梅雨前線が丁度日本の上にあることからダブルパンチが来る可能性があるように思います。

時事ドットコム 7月7日 前線活発、九州で大雨=大型台風も北上、猛烈勢力に-沖縄「特別警報」も・気象庁

上の時事ドットコムの記事には、「8日正午までの24時間予想雨量は多い所で、沖縄県・宮古島地方が200ミリ、同・八重山地方が150ミリ、福岡、佐賀、長崎、熊本、山口、広島、岡山の各県が120ミリ、沖縄本島と大分県が100ミリ、島根、鳥取両県が80ミリ」とあります。

昨年10月15日に発生した伊豆大島の土砂崩れに関してこのブログを書いたのですが、その時に作成したのが次のグラフです。

Izuoshima201310rain_3

左軸とブルー棒が1時間降水量で、右軸とオレンジ線が累計降水量です。24時間降雨量200mm程度では未だ災害は起こらないように思います。しかし、降雨量をどの程度の精度で予報できるか私には判断がつきません。地形によっても危険度は異なる。しかし、気象庁のWebで近くのアメダス降水量の数字にも注意を払っておくのが良いように思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年6月 | トップページ | 2014年8月 »