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2014年8月27日 (水)

リニア新幹線の工事計画認可申請は正しいのか?

8月26日にJR東海はリニア中央新幹線の工事実施計画の認可を申請したのニュースがある(日経のニュースはこちら)。しかし、次のニュースから考えると、リニアではないレール式の新幹線で十分と思え、リニア新幹線は見直しをすべきと思える。

日経 8月26日 新幹線、目指せ時速400キロ JR東が車体軽量化

5兆5千億円も掛けてリニア新幹線を建設する意味など、ないように思える。採算が取れない事業の結果は、国民の負担となる。(しかも90%近くがトンネルだというのだ。)

JR東海の2014年3月期の鉄道収入は1兆2685億円であった。リニア新幹線の品川―名古屋間の運賃が東海道新幹線「のぞみ」の運賃に700円程度上乗(参考日経記事ここ)であるなら、年間の収入増は250億円程度と見込まれる。5兆5千億円の利息払いと配当原資の合計は10%として5500億円である。実は、電気代、人件費、メンテナンス費用も発生するのであり、250億円全額が5兆5千億円の償還に回せる訳ではない。なお、250億円の計算は次の通り:

700円x1000人/列車x5本/時間x16時間/日x365日x2(往復=片道2回)x乗車率60%=245億円/年

リニア新幹線が完成しても、利用客数は現在の東海道新幹線とほぼ同じと推定しての話である。人口減に入った日本で、しかも東海道新幹線という最高の鉄道が存在する訳で、それより利用客数が増加することはほとんどないと考える。

JR東海を会社として見ると純利益は単独で2404億円、連結で2557億円である。これを使ってリニア中央新幹線の損失をカバーする計画になっている訳で、それが正しいのかを考えなくてはならない。そもそも、JR東海の利益は東海道新幹線を保有した結果として生まれているのであり、本来の国鉄民営分割化であれば、利益は値下げ等により利用者または国民に還元(JR北海道支援を含め)すべきである。独占企業のあり方は、どうあるべきなのか?しかも単なる独占企業ではなく、鉄道輸送という公共事業である。

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2014年8月23日 (土)

福島第一原発吉田調書

吉田調書が公開される見込みであることの報道があった。

毎日 8月23日 福島原発事故:「吉田調書」政府が一転公開へ

その原因は、朝日新聞や産経新聞が聴取内容を報道し、「各報道機関がそれぞれの解釈で記事化し、政府が公開しないと、内容が『独り歩き』しかねない」との判断のようである。

6月9日の原子力発電問題という関西電力大飯原発3、4号機についての5月21日の福井地裁判決についてのブログを書いた中で、朝日新聞の吉田調書という報道があることに触れた。産経新聞は8月18日より吉田調書抄録なる報道を開始した。双方の報道内容は、それぞれのリンク先で読むことができる。記事の内容からすると、大人と子どもぐらい、産経が優れており、朝日の内容は、会社の体質を反映していると思えるような低俗内容と感じた。思うことを以下に書きます。

1) 何故吉田元所長は非公開を望んだのか?

産経の吉田調書抄録(1の5/5:ここにあり)にずばり出ていると思う。

 吉田氏「『撤退』みたいな言葉は、菅氏が言ったのか誰がいったか知りませんけども、そんな言葉、使うわけがないですよ。テレビで撤退だとか言って、馬鹿、誰が撤退なんていう話をしているんだと、逆にこちらが言いたいです」

 --政治家ではそういう話になってしまっている

 吉田氏「知りません。アホみたいな国のアホみたいな政治家、つくづく見限ってやろうと思って」

 --ある時期、菅氏は自分が東電が逃げるのを止めたみたいな(発言をした)

 吉田氏「辞めた途端に。あのおっさん(菅氏)がそんなの発言する権利があるんですか。あのおっさんだって事故調の調査対象でしょう。そんなおっさんが辞めて、自分だけの考えをテレビで言うのはアンフェアも限りない。事故調としてクレームつけないといけないんではないか」

真実を残したい。そのためには、政治や世間や全てを忘れ、好きなことを言わないと残せないから、好きなことを言う。しかし、ある人にとっては不都合なことなので、非公開を希望すると吉田氏は調書に残すことに同意したのだと思う。

私だって、このブログで同じようなことを言ったなと思う。そうなると、さすが吉田氏は私と違い、大人です。

2) 朝日の批難

朝日が批難を受けたのは、吉田調書報道の第一回で命令に違反して、皆が第2福島に逃亡したと報道した事であった。その部分について、産経の吉田調書抄録(2)は、『吉田所長が「正しかった」と認識していたことが分かる。』と報道している。(このページ

タイミングがおもしろい。福島第1原発にいた所員らの9割が10キロ南の福島第2原発に一時退避したのは、3月15日午前7時頃。実は、同じ、3月15日午前5時半ごろには、菅直人首相(当時)が東電本店を訪れ、「撤退したら東電は100%つぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ」と絶叫したのである。最高の漫画である。

こんな人が、どうして首相になってしまうのか、日本の社会の仕組みなのだろうと頭を抱えるのであるが、これだけではなく、無茶苦茶な人であるが。産経には、「第1原発にとどまったのは吉田氏ら69人。15日昼ごろには第2に退避していた多数の人が戻った。」とある。Fukusima50なる報道があったが、実際はFukushima69であったのだ。

いずれにせよ、福島第1を離れたことは正しかったと思う。放射線量の高い中で、仕事をせざるを得ない。3月15日付け厚生労働省令第23号で、緊急時の上限が250ミリシーベルト(その緊急作業に従事する間に受ける線量)となったのですが、上限を超えての作業はしてはならないし、させてはならない。大量の放射線を受けた人は、次の人に交代させ、作業ができる人を現場は確保せざるを得ない。厳しいことになる危険性の予測があれば、待避なんて、実に正しいことだと思う。

3) ベント遅れの原因

嘗て、このブログこのブログこのブログとベント遅れの原因に関する推測を書いたのであるが、産経の吉田調書抄録(5)によれば、12日に日付が変わってからの早い時間にベントの実施を決定したようである。当然である。電気がない、圧搾空気がないのないないづくしで、暗い中、やったこともないことを現場に行って人力でやろうというのだから大変である。

ベントは原発特有の装置ではなく、ケミカルプラントだって、多くのプラントで使われている。容器の内部圧力が高くなって、破損爆発することが一番恐ろしい。それより、爆発前に空気中に排気筒を使ってガスを逃すのが未だ救われる。従い、通常状態は、閉じてあり、最悪自体になったときに開けてベントと称する空気中への放出をする、但し、基本的には、遠隔操作である。遠隔操作のベースは電気であり、場合によっては圧搾空気である。福島第1は、津波により双方とも失われた。原発なんて、放射性物質が漏れないように、密閉されており、電気がなければ、昼でも真っ暗である。弁慶の泣き所をやられたので、どうしようもなかった。

地震による被害は、産経の吉田調書抄録(3)によれば、重大ではなかったようである。すなわち、津波が来る前の50分間は、発電所の人間は被害状況の把握に集中していた訳であり、順序としては、原子力発電所なので、放射性物質の拡散につながるような事態が発生しているかどうかであったと思う。吉田氏は「基本的にはなかった。水漏れとか機器の損傷とか、私は全く聞いておりません」と述べており、いずれにせよ、この点は、他のエビデンスからも確認できるはずである。

4) 吉田氏

どのTV局だったかは覚えていないが、吉田氏が東京電力本社前でインタビューを受けていたTV報道を見たことがある。いい技術者だなとの印象を覚えている。いい技術者とは、技術的真理・真実を大事にするのである。権威や空気で、判断を下すことが難しい人である。そんな人が福島第1の所長だったから、あの程度で済んだのだと思う。

吉田さんありがとうございましたとお礼を申し上げたい。

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2014年8月20日 (水)

国土地理院の旧版地図はネットで公開すべき(土砂災害に思う)

広島市で豪雨による土砂崩れが発生し、死者・行方不明はあわせて40人以上に達している。

日経 8月20日 未明の濁流、住宅地を急襲 家屋は原形とどめず

天災・自然災害による災難・被害を、不可抗力だから仕方がないと思ってはならないと考える。やはり備えが十分でなかった点があるのではと反省することから、被害や不幸を食い止めることができるだと思う。ある意味では、自動車事故より対策が立てやすい面があると思う。

土砂崩れ災害の一番の対策は、土砂崩れが発生する危険性を評価し、危険性の高いところには住まないか、土地が安いので広い敷地の豪邸に住めることを選択し、災害の危険性については対策行い、場合によっては豪雨の恐れがあるとして、早々とホテルに移るというような対策もなきにしもあらずである。勿論、危険地に安全のための大金を投資できない人も大勢いる。無理に危険地に住む必要はないと思う。

そこで、危険地かどうかであるが、宅地開発業者が、本来なら、危険度を十分に説明して販売すべきと考えるが、市町村役場がハザードマップを作成して危険地をしていない限り、不動産の販売業者の方から積極的に危険地であると伝えないはずである。

危険地とは、新規開発地である。実は、多くの人は、開発前の状態をよく知らずして、不動産購入をしていると思う。買い手も不動産業者も、駅まで何分、学校は、スーパーは、付近は緑が多いかとか、今回土砂崩れが発生した広島市の現場も、実は緑が多く、新興住宅街で静かであり、快適な生活が送れそうと言うか、住民の方々は、送っておられたと思う。

新規開発地の全てが危険な訳ではない。急斜面の山林を切り開いた場所、切り開いて盛り土がなされている様な地域は危険度が高いように思う。どのようにして、過去の状態を知るかであるが、地形図を見るのが一番手っ取り早いはず。買う時に危険だと感じたら、不動産業者に尋ねればよい。その上で、自分で評価するのである。

国土地理院の過去の地形図は、ネットで誰もが見れるように公開すべきであるというのが私の主張である。実は、この国土地理院のWebにあるように、全国11カ所の旧版地図閲覧窓口に行けば、閲覧が可能であり、謄本取得も可能である。しかし、実は、日本全国が見れるのはつくばの本院と九段の関東地方測量部の2カ所だけと言うから、超ミットモナイサービスと思う。国民の税金で地形図を作成しているのである。戦前は映画「劒岳 点の記」のように陸軍参謀本部が作成しており、それらは全て国民の貴重な財産である。ちなみに、今回被害が発生している安佐南区を含んでいる5万分の1地形図「広島」は、この図歴の通り一番古いのが明治31年測分で、全部で20のアーカイブが存在する。

自分自身で、欲しい地形図の名称がわかり、地理院のWeb広島の図歴のようなページを探し出せれば、この地理院のページの説明にもあるように、ネットや郵送で謄本を依頼することができる。謄本費用と送付費用がかかるが、入手はできる。しかし、それにしてもあまりにも不便である。

浦安で東日本大震災の時に液状化現象が発生した。つい最近まで海であったところを埋めた造成したのだから、予測はできたのかも知れない。友人から、住み始めた住宅地が沼であったところを埋め立てて造成したから、家の中でゴルフボールが自然に転がる現象がでる家屋も発生していると聞いたことがある。歴史は、侮ってはいけない。過去、どのようにして、その土地が使われていたかは、貴重な情報である。

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2014年8月 2日 (土)

野々村竜太郎先生

兵庫県議の号泣会見議員がどうして先生かと皆様にお叱りを受けそうですが、次の日経記事を読んでいて、ふと思いました。

日経 8月2日 地方議員の「政務活動費」 ホントの使い道は?

議員になれば、議員報酬と政務活動費が貰え、議員報酬には給与所得者控除が適用され、政務活動費は全くの無税だなんて、天国みたいな話です。

議員が自分で条例を作って、自分たちに有利なような仕組みを作る。選挙民に対しては、誤魔化せばなんとかなるという雰囲気が感じられそうである。

結局は、監視制度と言うべきか、牽制する体制が構築されていないに近い。あるいは、弱いからであると思う。議員は選挙で選ばれた特権階級であり、議員を監視するなんて、間違いも甚だしいとの感覚をお持ちなのだろうと思う。何年か前のことを思い出します。政権を取ったとたんに強硬に言い出した人達のことを、『政治主導』と。この人達の言葉を借りれば、野々村竜太郎元議員は非難を受ける必然性はないとなるのでしょうか?本当は、市民・県民が監視しできる制度を確立しなければならない。

地方自治体の組織は弱いと思います。ガバナンスが構築できていないのです。ガバナンスの頂点に立つのは、知事・市長の様な首長や地方議会議員ではありません。市民・県民なのです。ところが、実態は知事・市長が地方議会とやりあい、地方公務員は知事・市長のお雇い人で、市民・県民を監視する。どう考えたって、構造が逆である。地方自治体とは、日本国政府がフォローできない或いは困難な問題を住民が自分たちの手で、解決するための組織である。住民参加が基本である。住民参加なくして、地方自治はあり得ないと考える。

『地方主権』なんてことを言っていた人達もいました。訳の分からない言葉です。主権は国民にあるに決まっている。ウクライナのような主権が明確でない状態やパレスチナのような主権そのものがあやふやな状態を好んでいる人達だったと思います。

国民が日本のガバナンスの担い手となるような仕組みや制度を作ることこそ大事だと思います。そのためには、第一歩として、やはり小選挙区制を廃止することだと思います。小選挙区制で選出された議員が見ている夢は、自分と自分の周りや自分の所属する党の事だけであり、国民のことなんか、二の次、三の次なのだが、制度がそうさせている面があると考えます。

世の中には、反面教師が沢山おられる。野々村竜太郎先生は、反面教師の代表であります。

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