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2014年11月29日 (土)

こういうの本当なのですかね?

側近とか懐刀とか○○党議員の姿が目立つとかとの表現であり、安倍首相本人とは書いていないのですが、いやはや驚きました。週刊朝日なのですが、事実を調査して書いていると信じます。

Yahooニュース 11月27日 安倍首相側近らが続々と統一教会詣での“怪”〈週刊朝日〉

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タカタの欠陥エアーバッグ

タカタのエアーバッグ問題がどんどん広がっている。例えば、次の日経記事。

日経 11月27日 タカタ窮地 全米リコール強制、交換品供給に限界

欠陥の原因や欠陥箇所についての報道はあまりないのですが、次のNY Timesの記事はずばり「タカタが低コストを理由に危険性の高い膨張ガスへと切り替えたことが主原因である。」と報じています。

NY Times NOV. 19, 2014 Takata’s Switch to Cheaper Airbag Propellant Is at Center of Crisis

日本の報道にはない詳細な説明がある記事であり、そうなのかな?と思わせるような内容でした。

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各国の幸福度合い

11月26日に書いた日本のGDPの国際比較に、rumityanからコメントを頂きました。見方を変えれば、様々なことが言える。一人当たりGDPにしても、一つの指標でしかないし、多国間比較をするためには、統計年次の為替レートで同一通貨に換算する必要もあり、ルクセンブルグの一人当たりGDPが日本の3倍近いと言っても、日本の3倍の豊かさではないはず。色々考えるべきと思う。

そもそも絶対的基準などないとしても、別に参考となる指標がないだろうかと言うことで、Forbesが「世界の最も幸せな国と最も不幸な国」(The World's Happiest And Saddest Countrires)というのを発表している。ここにあります。

それ以外としては、英国のLegatum Institute(ここ)が、経済、起業チャンス、ガバナンス、教育、医療・健康、安全・治安、自由、社会資本の8項目の評価から算定した繁栄指数(Legatum Prosperity Index)による世界各国順位を発表している。

ForbesとLegatum Instituteの10位までを比べると次のように似ているのである。

World10forbesandlegatum

日本は何位かと言うと、Forbesでは20位までには入っておらず、Legatum2014で19位でした。なお、アジアでトップかと言うと、Forbesでは18位にシンガポール、19位に香港があり、Legatumではシンガポール18位、香港20位でした。

幸福というのは、人によっても尺度は異なるのですが、この日経ビジネスの11月28日の記事ニッポン農業生き残りのヒント 放棄地に行ってみたを読むと、美しい日本が破壊されていく悲しささえ私には浮かびます。

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2014年11月27日 (木)

最高裁参議院「1票の格差」を読んで

11月26日に最高裁は2つ(原審:広島高裁と原審:東京高裁)の選挙無効請求事件について判決を下した。日経記事は次の通りである。

日経 11月27日 1票の格差、警告再び 最高裁「違憲」判断踏み込まず

最高裁判決文については、次の裁判所Webにある。

原審:広島高裁分 同判決文

原審:東京高裁分 同判決文

判決文は、基本的に同じであるが、61ページと62ページであり相当に長い。報道されている内容にほぼ近いのであるが、反対意見を最後の4番目に書いておられる山本庸幸裁判官の指摘は、興味を引いた。例えば、部分的になるが、引用すると次のような文章がある。

 日本国憲法は、その前文において「日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(略)主権が国民に存することを宣言し,(略)そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて,その権威は国民に由来し,その権力は国民の代表者がこれを行使し,その福利は国民がこれを享受する。」とし,代表民主制に支えられた国民主権の原理を宣明している。・・・・このような民主国家の要となる国会を構成する衆議院及び参議院の各議員は,文字どおり公平かつ公正な選挙によって選出されなければならない。・・・その中でも本件にも関わる「公平な選挙」は,憲法上必須の要請である。・・・・

なお,一票の価値の平等を実現するための具体的な選挙区の定め方に関しては,もとより新しい選挙区の在り方や定数を定める法律を定める際に国会において十分に議論されるべき事柄であるが,都道府県又はこれを細分化した市町村その他の行政区画などを基本単位としていては,策定が非常に困難か,事実上不可能という結果となることが懸念される。その最大の障害となっているのは都道府県であり,ま た,これを細分化した市町村その他の行政区画などもその大きな障害となり得るものと考えられる。したがって,これらは,もはや基本単位として取り扱うべきではなく,細分化するにしても例えば投票所単位など更に細分化するか,又は細分化とは全く逆の発想で全国を単一若しくは大まかなブロックに分けて選挙区及び定数を設定するか,そのいずれかでなければ,一票の価値の平等を実現することはできないのではないかと考える。

都道府県を選挙に関する基本単位としていたならば、策定が非常に困難か,事実上不可能という結果になることが懸念されるとの指摘は、重要であると考える。

そう考えると、全国単一ブロックで何も差し支えないはずである。選挙権は国民の重要な権利であり、現在の制度は、権利を侵害していると考える。実は、被選挙権についても、現在の小選挙区制では、大政党に媚びないと当選できないのが現実であり、小選挙区制も一票の格差と同様に改正をせねばならない制度であると考える。

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高齢者マンション

次の朝日の11月25日の記事と次の読売の11月26日の記事を同時に読むと、何が見えてくるのか・・・・・

朝日 11月25日 「拘束介護」マンション、総合病院が紹介 入居者の半数

読売 11月26日 自分が認知症なら…「自宅で暮らせない」76%

どのような施設があるのだろうか、朝日が名指しているマンションかどうか分かりませんが、こういう物件もありました。

高齢化社会への対応は、容易ではない。政治だ行政だと言わずに、自ら動いて解決していかねばならないと思います。

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2014年11月26日 (水)

日本のGDPの国際比較

先ずは、世界全体のGDPが幾らかと言うことで、IMFが発行しているIMF World Economic Outlookから各国のデータを抜き出してグラフを作成しました。図表1がそれです。(図表1~4全て、IMF World Economic Outlookからです。)

Worldgdp201411a_3

シリアについてはデータがなかったりしているが、実質的にこれが世界のGDPだと考えて良いはずです。IMF WEOでは、日本の2013年GDP米ドル換算値は4兆8985億米ドルとなっており、世界のGDPの6.6%を日本が占め、米国16.8兆ドル、中国9.5兆ドルに次いで世界第3位であります。図表1の右にある凡例は上位13国です。

GDPだけを眺めていても解りつらい部分もあり、同様に人口について作成したのが図表2です。

Worldgdp201411b

人口で見る場合と経済・産業活動で見る場合の差が、図表1と図表2を見比べて何となく体験できるように思います。世界人口を70億2千万人とする、日本の人口の比率は世界の1.8%になります。人口でも世界10位です。

今度は、実質GDPの前年増加率を比べます。こちらは、世界全体で比べると、途上国の中でも地下資源が豊富な国は、資源価格により高いGDP増加率になったり、そもそもGDPが低い国は成長軌道に乗ると高い成長率を記録したりします。そこでOECD34国について比べる事としました。それが図表3です。

Worldgdp201411c_2

IMF WEOによる2013年日本の実質GDP増加率は1.5%で、一人当たりGDP38,468米ドルでした。図表3では、日本については色を変えて表示しています。増加率がマイナスの国は、-3.9%がギリシャ、-1.9%がイタリアでした。

なお、図表3から感じるのは、一人当たりGDPが50,000米ドルを超える国もずいぶんあることです。そこで、一人当たりGDPが日本より大きい国の一覧表を図表4として掲げます。

Worldgdp201411d

図表4において、一人当たりGDPは名目GDPの米ドル換算値であり、前年比増加率はその国の実質GDPの前年比増加率です。一人当たりGDPとは豊かさを計る上での一つの重要な指標であり、人口減社会においては一人当たりGDPの成長を重要視すべきと考えます。日本より一人当たりGDPが高い国が、18国存在するのです。従い、世界何位になれるかは分かりませんが、現在より増加させることは可能なはずです。日本の現状について、丹羽宇一郎氏は、この日経ビジネスの記事で中間層が豊かになっていないと述べておられる。企業のトップが、平均的労働者の10倍、20倍もの報酬を取るのが当然のような仕組みで日本の将来が豊かになれるのかと私も疑問を持つ。図表4に掲げている国には、社会保障を含め充実した豊かな社会の仕組みを維持している国がある。日本が本当に手本にすべき国とはそんな国であり、消費税を法律通りに10%で実施せずに、社会基盤の整備を放置して、選挙をやるなら今だと、衆議院を解散するようなやり方は、私には気分が悪い。

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2014年11月25日 (火)

原子力発電の議論

日本の原子力発電について衆議院選で、論争があったとしても、単純な賛成論と反対論に終始しそうな気がする。数字を押さえた議論をすべきと思うのであり、有価証券報告書から読み取った数字等を踏まえ、参考数字を提供したいと思います。

1) 原発10事業者の財務諸表上における原子力発電コスト

北海道電力から九州電力までの9社に日本原子力発電を加えた10社を原発10事業者と呼ぶこととします。10事業者は全て監査を受けた財務諸表(有価証券報告書)を公開しており、財務諸表から抜き出した原子力発電コストは次の図表1の通りである。(過去6年間の表を作成した。)

Nuclear201411a

稼働していても、いなくても年間約1兆4千億円です。国民一人当たり1万円以上です。各社差があるようですが、原子力発電の出力(kWやMW)あたりでこのコストを分析するとMW当たり3千万円から5千万円(kWでは3万円から5万円)にほほ入ってくるのです。(図表2参照)

Nuclear201411b

稼働しようとしまいと、運転しようと停止しようとコストはほとんど変わらない。一方、収入はあるかないかの大違いが生じる。(日本原電は、他社への固定料金制の売電ですが、買った方の電力会社と連結合算をすれば、コスト・収益構造は同じ。)結局は、電力会社は原発を一旦保有したならば、少しでも稼働発電させてコストカバーか若しくはコスト以上の収入を得て利益を得ようとするインセンティブが働く。このインセンティブは、基本的には株主も同じだし、電力会社の経営者からすれば、株主利益のためには原発再稼働を目指すとなるのが自然であります。

2) 原発発電のコスト構造(コスト内訳)

もう少し、突っ込んで考えます。そこで、図表1の内訳に入ります。次の図表3は、10社合計での原発発電コストの内訳です。

Nuclear201411c

2013年度については、円グラフでも示した。委託費と言うのは、竜田一人の「いちえふ」の世界です。働く人の被爆線量を管理せねばならず、大勢の外部作業員に依存せざるを得ない。どうしても、委託費が大きくなる。相当の雇用を生み出しているとも言えますが。

蛇足かも知れませんが、固定資産税429億円も相当な税金です。原発設置がある市町村(おそらく県も)にとって、すごい税収で、自主財源ですから有効に活用できる。電力の事業税も一般の事業税と異なり、固定資産額による配分がありますが。

3) バックエンド費用

バックエンド費用については、説明が必要です。図表3のバックエンド費用は、使用済燃料再処理等費、使用済燃料再処理等準備費、特定放射性廃棄物処分費と原子力発電施設解体費の4項目を合算した金額としています。4項目の費用は現在発生している費用ではなく、運転停止後に発生する原子力発電施設解体費や将来発生する使用済み核燃料の再処理費用、放射性廃棄物処分・処理費等です。

解説については、日経テクノロジーのこの解説がよいと思います。当然のこととして、最も合理的な考え方で費用計上し(法令等に基づき)、引当金、積立金、資産除去債務等を計上し、あるいは原子力環境整備促進・資金管理センター(Webはここ)へ資金拠出しています。再処理積立金では、これまでに4.9兆円が拠出され2.4兆円が払い出され、残高としては2014年3月末で約2.5兆円積み立てられている。払い出された2.4兆円の全額が六ケ所村再処理施設を保有する日本原燃(Webはここ)に前渡し金として支払われているのか私はチェックできていませんが、六ケ所村での再処理を前提としているのが境整備促進・資金管理センターと日本原燃の役割と了解しています。

六ケ所村再処理施設の運転時期は未定と了解しているし、そもそもMOX燃料を製造して原発燃料として使用することについて関係者(地元や国民)の合意取り付け見通しがどうかの問題があるし、こんなことで良いのだろうかと思います。

そうなると、原子力発電コスト年間固定費1兆4千億円だって、もっとふくらむ可能性があるように思うし、停止していても費用が発生することから、もし原発を今後稼働させないなら、幾らかかるかを示すべきだと考えます。20兆円-30兆円なんて生やさしい金額ではないような気もするし。

一旦走り出したら、簡単に止められず、止めるには、相当の労力が必要なことがある。原発とは、そのようなものだと思う。おそらくは、うまくコントロールして行かなくてはならない。その限りにおいては、議員・政治家が口を出すことは良くない。合理的に国民が判断するのがよい。原発は、停止していても、そこに核燃料は存在するのであり、危険性は継続している。本質的な危険性が変わらないのであれば、新設はせず、既存の原発だけは運転したらとも思う。

4) 福島第一5・6号機

福島第一5・6号機は、2013年12月18日に東京電力は廃炉を発表し、本年1月31日で廃止となった。福島第一5・6号機は事故が起きた1-4号機と同一の敷地にある。しかし、5・6号機は安全に停止し、事故は起こらなかった。地震により同じように揺れたはずであり、同じ津波を受けたのである。違いは、1-4号機の敷地が基準海面から10mであったのに対し、5・6号機は13mであった。津波は5・6号機でも13m-14.5mまで達した。(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会平成23年11月26日中間報告19ページより。)

1-4号機と5・6号機の敷地の高さの違いが、事故の発生を決定づけたのか?5・6号機の細部を調査・検証すれば、答えが出ると思う。ある意味では、福島第一5・6号機は、東日本大震災にも耐えられた安全な原子力発電所であり、安全が確認された原子力発電所と言える。多分、5・6号機の内部で地震により損傷している箇所もあると思う。又、津波が押し寄せたのであるが、1-4号機のように決定的な事故とならなかったのは何故であるのか。実機で試験をしたのである。またとない、試験結果が得られているのである。

福島第一5・6号機の結果こそ、紙やコンピューターの分析よりも重要なデータを与えてくれる。福島第一5・6号機から学び、結果を世界に発信することが必要であると考える。

感情論(反対であれ賛成であれ)で判断をしてはならない事項がある。原発については、放射性物質の危険性以外に核兵器原料問題と使用済み核燃料処分・燃料リサイクルの問題がある。全てについて、考慮せねばならない。

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2014年11月23日 (日)

水素を洋上風力発電で製造するという話からの派生

水素を洋上風力発電で製造するという話を聞きました。国立環境研究所の次のWebにもあります。

日本に適した洋上風力発電システムの検討

このWebの中に「発電単価は、資本費、燃料費、運転維持費の合計額を発電電力量で除した数値ですが、現状では1kWhあたり16.6円となり」とあります。

さて、1kgの水素電気分解に必要な電力を53kWhとすると、880円となります。電気分解装置に関する設備費用や保守・運転経費を加えると最終的にいくらの金額になるか不明ですが、岩谷産業が販売しようとする水素1キログラム当たり1100円以下で製造できる可能性はあるような気がします。そうなると、設備製造・建設・運転・保守に関してはCO2発生はあるものの、かなり低いレベルのCO2発生量に押さえられるのではと期待します。

なお、驚きは11月1日のこのブログで紹介した洋上風力の買取価格(36円+税)での20年間固定料金です。16.6円で発電して、倍以上の36円で20年間の販売が実現する。こんな制度を許して良いのでしょうか?再生可能エネルギーによる電力の固定価格高値買取は廃止し、市場競争による正常な姿に戻すべきと考えます。

再生可能エネルギーの電力固定価格高値買取制度を支持しておられる方には、原発神話はこりごりとしている人が多いようにも思います。再生可能エネルギーの電力固定価格高値買取制度が明るい未来を作ると言うのは、原発神話と同じような類と思います。

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水素価格1キログラム当たり1100円の妥当性

既に1週間以上を経過したのだが、岩谷産業が燃料電池車(FCV)向けの水素を1キログラム当たり1100円で販売するとのニュースがあった。

日経 11月14日 谷産業、FCV向け水素の商業販売価格を決定 普及後押し

FCVの水素消費が110km/kg(水素)であれば、1100円を110kmでの割り算だから、走行1km当たり10円となる。ガソリン価格が155円/リットルとし燃料消費が15.5km/リットルなら1km当たり10円で同じである。ところで、ガソリン車の燃料消費15.5km/リットルは、どうなのだろうか?以下おもしろい試算をしてみたい。

1) FCVの水素消費

トヨタのFCVのWeb MIRAIを見ると燃料タンクは容量122.4L、圧力70MPaとある。そしてタンク内圧力10MPaからの充填で走行距離650kmとある。もし、水素消費110km/kgなら5.9kg充填できたこととなる。2016年以降の新規格の水素ステーションで充填した場合は、走行距離は約700kmとなる見通しともあり、ややこしいが、容量122.4L、圧力70MPaで最大充填したとして7kgが精一杯で、安全を考えれば少ない方が良いはず。

FCVに取り立てて魅力を感じる点はないように思える。

2) 水素価格1100円は税金を含まない

前置き部分で書いたように、1km当たり10円なら、ハイブリッド車や低燃費車の方が有利である。その上、自らは税金を払わずに、ガソリン車や軽油車に道路維持費を分担させることはけしからん様に思う。重量は、ガソリン車の倍の2トンもあるのに。

3) 水素製造コスト

2013年12月2日のブログで書いたのであるが、天然ガスの水蒸気改質による製造が一番コストが安い。水蒸気改質とは、エネルギーも消費するし、設備も必要である。通常は、熱量当たりで水素コストは原料天でガスの3倍になり、これより低ければ、低いほど優秀な高効率設備と言われている。

日本における天然ガスコストであるが、東京電力のWebを見るとLNGの2012年度販売量は1,201千トンで販売高は94,127百万円である。これから計算すると、LNGは1kgあたり78.37円となる。但し、水素は重量当たり熱量がLNGの2.5倍から2.6倍である。従い、水素製造コストが原料LNGの3倍であるとすると水素は1kg当たり611円となる。

輸送費や貯蔵費に利益も確保せねばならず、611円の製造原価が販売価格としては1100円になると言われれば、そんなものかなとも思う。

4) 水素のCO2発生量はガソリンより多い

FCV自身は水素を排出せずとも、天然ガス水蒸気改質はCO2を排出する。熱量MJの水素に対してのCO2排出は80g-CO2程度と以前計算した。ガソリンのCO2排出量は、熱量MJ当たり67g-CO2程度である。即ち、水素は約20%程CO2を多く排出するのである。

欺されてはならない。イメージと事実は異なるのである。

5) 再生可能エネルギーによる水素製造

プロセスではCO2排出が排出されない。可能性がない訳ではない。しかし、電気分解による水素製造時の電力消費は1kgの水素製造に対して53kWh程度であるとすると、太陽光発電の買い取り価格が現行32円/kWh(消費税不含)であるので、これを使うと1,696円である。

LNGからの水素製造の2.7倍であるが、FCVで環境対策と言う人には、1,696円で水素を買っていただくのも一つの方法かも知れない。もっとも、水素の流通コストを考えると2,000円以上になるように思う。しかし、それなら電力自由化(50kW以上は現状でも自由化済み。)でCO2無発生の電力として自由取引にするのも方法かも知れない。

打出の小槌は存在しない。一方、ダマシは存在する。将来の研究課題であることを、さも現実のように誤解して税金を投入したり、課すべき税を減免することは、正しい対処ではない。

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2014年11月20日 (木)

みんなの党と小選挙区制

みんなの党の解党後について、次のような日経ニュースがあった。

日経 11月19日 みんな解党 渡辺氏は新党、浅尾氏ら民主合流検討

民主党に行く議員、新党に行く議員がいるようであるし、もしかしたら民主党以外に行く議員も出るのかも知れない。

政党って何なのですかね?議員にとっては、当選するための手段であり、活動するための道具なのでしょうねかね。みんなの党の衆議院議員8名のうち、前回選挙区で当選したのは、浅尾氏と渡辺氏のみで、6名は比例当選であった。時事ドットコムが報じている政党支持率(2014年11月14日掲載 ここ)によれば、みんなの党の支持率は11月0.4%であった。前回の衆議院選頃の2012年11月における同じ時事ドットコム世論調査によると、みんなの党の支持率は1.0%であったので、議員としちゃ、落選の可能性を心配するのは当然と言える。もっとも、民主党も2012年11月の6.6%が現在は4.8%なので、民主党に加わったからと言って、簡単に比例区で当選できると思わない。

もし小選挙区制でなかったのなら、みんなの党の解党もなかったように思う。或いは、みんなの党が生まれなかったのだろうか。浅尾氏なんかは、参議院議員は民主党の時で、衆議院に鞍替えしようとした時に、民主党の公認を得られず、みんなの党結党に参加というややこしさである。もっとも、最初に衆議院議員に立候補した時は、新進党だったからより複雑であるが。

今の小選挙区制では、大政党に所属していないと議員になることは困難である。それが、日本の将来のために良いことかと言えば、決してそうではない。選挙に目がいく政治家より、国民に目がいく政治家が欲しい。しかし、現在の制度では、大政党の公認を得ることに、議員達の日常の努力の結果が結びつくインセンティブとなっている。本当に議員になって欲しい人を選出できる制度にしないとならないと考える。

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2014年11月17日 (月)

アベノミクスの評価は悪くならざるを得ない

GDP速報値が17日に内閣府から発表され、アベノミクスの悪い評価が始まっています。

日経 11月17日 GDP年率1.6%減 7~9月、消費回復に遅れ

1) 実質GDP

上の日経記事が述べている「実質季節調整系列」とは名目値をGDPデフレーターで調整し、且つ季節変動調整も実施したGDPの数値ですが、これを2005年第1四半期から10年近いスパンでの推移をグラフ化したのが次です。(なお、単位は2005暦年連鎖価格です。)

Gdp201411a

安倍内閣が発足したのは2012年12月27日でした。そこで安倍内閣以降は上のチャートで線の色を青から茶にしました。アベノミクス評価はどうでしょうか?実質GDPは発足時と比較して微増であり、これで消費税を先送りしたならば(現にそうしそうですが)、合格点を出せないと私は思っております。

2) 実質賃金

アベノミクスで株価が上がろうが多くの人には関係ないし、また株を持っている人で笑顔になっておられる方も、売却していない限り、売却しても他の株式に乗り換えた方も、下がるリスクはある訳で、株価が上がっても生活は楽にはならない。やはり賃金が上がってこそ、喜んでいられるし、賃金が経済政策の本当の評価に値するスケールであると考えます。厚生労働省は毎月勤労統計調査(最近の発表はここ)があり、これをベースに考えてみたいと思います。

少し長期間の概要を見るために1990年以後の毎年の実質賃金のチャートを書きました。

Wage201411a

実質賃金で見ると、アベノミクスで下がっているように思えます。なお、1990年前半頃は5人から30人未満の事業所での賃金を含めた方が高いように思えてしまいますが、2010年を100とした相対的な指数表示なので、1990年を100としてチャートを書くと姿が異なります。次のように。

Wage201411b

なお、実質賃金とは名目賃金に各月の消費者物価指数の調整を行って計算した結果です。では、阿部政権発足からの毎月の実質賃金指数を見てみます。次の通りです。

Wage201411c

2012年の毎月額の平均を100としており、6・7月と12月はボーナスがあるので、単純なチャートにはならないのですが、アベノミクスで増えていないよね~と思います。安倍政権以前からの実質賃金と比較し、ボーナスを含めるために4月-9月の年度前半と10月-3月の年度後半の半期毎の実質賃金指数を2008年度からチャートにしました。

Wage201411d

どうでしょうか?このチャートを作成して、私の結論では、アベノミクスは見事に失敗であるとなりました。景気対策と言ってゼネコンに金をばらまいても生活なんか良くならない。金余り現象は、バブルを引き起こす可能性があり、賃金が下がって、資産価格が高騰するのは庶民にとって最悪です。国を滅ぼす恐れあり。

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2014年11月16日 (日)

沖縄知事選では翁長氏が勝利した。普天間・辺野古は?

沖縄知事選では、辺野古移設反対を掲げる翁長氏が勝利した。普天間基地問題はどうなるのであろうか?

日経 11月16日 沖縄知事に翁長氏当確 辺野古移設に反対  推進派現職破る

敗れた仲井真氏も前回の知事選では、普天間基地の県外移設を掲げていた。今後、最終的にどうなるか、よく分からないが、翁長氏は辺野古移設の見直しを政府に強力に要請するだろうと思う。

次のGoogle earthの写真が2013年4月 8日の私のブログに掲げた絵である。

Campshwab20134

ブルーの線内が米軍キャンプシュワブである。この基地に接する海面を埋め立て滑走路を造ることが進行中であり、沖縄県が埋め立てを承認し現在海底ボーリング調査が進められている。

私の妥協案は図でグリーンの線で示した部分に滑走路を建設すれば、辺野古への基地移転は生じるが、埋め立ては不要となる。そもそも、普天間基地の大半がグアムに移転するのであり、大滑走路を辺野古の海を埋め立てて建設する意味は元々ないのである。しかも、普天間基地の固定翼部隊は岩国に移転する。

オスプレイを使うのに、大滑走路が必要な理由は全くない。過去の日米合意を見直し、変更・改正すれば簡単に解決するのである。

そんな風に進む可能性は、どれだけあるのだろうかと、翁長氏当選(現時点では当確)のニュースに接し思いました。

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2014年11月15日 (土)

消費税10%解散とは、理屈からしておかしいよ

このブログ書いてまだ1週間である。現在は、めまぐるしく変わる世の中であります。次の報道には驚かされます。

読売 11月15日 衆院選、来月14日に…年度内の予算成立目指す

朝日 11月15日 消費税10%、先送りへ 17年4月を想定、民主も容認

読売の記事は、消費税率10%を先送りする場合は、首相は衆議院を解散し12月2日公示、14日投票での衆議院選を実施すると報道している。朝日の記事には、消費税率10%は2017年4月からの実施とし、更に記事の下の「無料登録で続きを読む」では、軽減税率導入の可能性についも触れられている。

ニュースソースからの情報を総合して書いているのであろうが、論理的には無茶苦茶である。朝日記事の有料部分の最後には、現在の法律制定時の首相野田氏も賛成していると書いてある。

1) 政府財政が健全であることがその国の発展の基礎である

この命題を忘れて、足下のみをハイライトし、好き勝手なことを言って良いのかである。今や政府債務は1000兆円を突破しているのである。2000年以降の債務残高は次のグラフである。

Jgdebt201411

政府が破綻しても、国は存在する。国民も存在するし、生活がある以上は、産業・経済も存在する。

しかし、破綻すると政府はその役割を果たすことが困難になる。国債の利払いと償還が一部でもストップすれば、そんな国債は誰も買わず、政府は資金調達に窮する。最後の手段は、日銀が国債を引き受ける(買い入れる)ことであるが、そんな事態になった場合は、日銀の銀行券は紙切れに一歩近づく。そうなると日銀預金を保有している市中銀行(一般銀行)はリスクヘッジの為に日銀預金残高を減らさざるを得なくなる。日本国債は売られる。大口保有の郵貯銀行や一般銀行も国債の評価損や売却損により大幅赤字に転落する。日本円よりは米ドルやユーロが好まれる。為替レートは、すごい円安が進行する。円安でも輸出企業は喜べない。原材料が円安で高騰するからである。デフレなんてのは、夢物語になってしまう。

年金と医療保険は給付額が極めて悪くなる。当然、混合診療解禁であるが、実は保険対象医療を限定せざるを得ないからである。街には、失業者というような表現ではなく、高齢低所得者の集団がとの表現になる気がする。

消費税10%を先送りすると国債バブル崩壊への道を歩み始めることになると思います。なお、国債バブル崩壊があったギリシャは、この記事WSJ 11月14日 ギリシャ、2年連続でプライマリーバランス黒字化達成へのように少しは再建が進んでいるようです。

2) もし消費税10%解散なら、代案が提案されるべき

2012年8月に現在の消費税10%の増税が公布された時に、私は何を書いていたかと振り返ったら、これであった。税は、国の骨格の制度である。ゆがんだ税制の国に、立派な国はない。本来の姿は、政府が実施すべき機能・役割を決め、それに必要な歳出を見積もり、その為の歳入となる税制を決定する。民主党の事業仕分けは、政府機能・役割と歳出の見直しであったと思うが、あれじゃ無理だよと言いたくなる。理論ではなく、魔女狩りとも一部の人に批判されたような感情優先であった。

歳出削減は容易ではない。1)のグラフを見て欲しい。せめて、既に法として成立している消費税10%を実現することが第一歩のはずである。さもないと破綻ですよというのが私の警告である。

代案としては、消費税以外の所得税と法人税で消費税2%分相当の4兆円の増税をするのである。法人税が今更無理というなら、所得税のみでの4兆円増税は可能である。何故なら、消費税2%増税分を所得税にシフトするだけだからである。個人にとっては、消費税で払おうが、所得税で払おうが同じである。4兆円は、所得税の税収を15兆円として約26%になるが、所得税は累進税率なので所得金額に応じた課税が可能である。

なお、蛇足であるが法人税減税と外形標準課税をセットで実施というのは、よろしくない。現在の都道府県税である事業税の外形標準課税の付加価値割の方式での課税と理解するが、利益に加えて人件費や支払利息と家賃に課税される。これじゃ、不振企業をつぶすような制度になりかねない。派遣労働者の場合の計算等は、現行の事業税と同様の制度が導入されるであろうが、資本金1億円以下の会社を利用されたらどうなるのだろうとも思う。いずれにせよ、制度を複雑にすることは、納税と徴収に手間を煩わせることになり、国民も企業も税務署も迷惑なだけである。そして、結果は、課税の不公平につながりかねない。

3) 給付付き税額控除や軽減税率

消費税率10%を提案した野田内閣が給付付き(私は還付付きと呼んでいるが)税額控除を同時に成立させなかったから、現在の変な事態が発生しているようにも思う。

本年4月の消費税が8%になった時には、住民税非課税の人に臨時福祉給付金1万円が配られたのである(参考:この厚生労働省のWeb)。臨時福祉給付金は暫定的・臨時的な措置であったのであり、もし選挙で消費税が論点となるなら低所得者向けの消費税率10%緩和対策であるはず。

なお、軽減税率は、納税と徴収が複雑になるだけで、最も悪い制度であると考える。そんな馬鹿に賛成するのは日経 11月15日 新聞の軽減税率適用を要請 日本新聞販売協会のような所なのだと思う。食料品を軽減税率にしたとして、マグロのトロも軽減税率なのとか思うし、魚や牛を部首によって税率分類しても、機能はできない。レストランは、食材を軽減税率で仕入れて、通常税率で販売する事になる。納税額が軽減税率分増加するが、そんなことは手間暇大変である。可能だとすれば、インボイス制の導入であるが、それなら還付付き税額控除の法がよほど簡単である。臨時福祉給付金が実施できたのだから、税還付なんてもっと簡単である。

4) マスコミ報道に惑わされてはならない

今回の朝日新聞の記事は、可能性との言葉はあるものの、吉田調書同様誤解が生じかねない表現が多い。簡単に上面だけで読むと間違うのである。自分たちの読者層を喜ばせればよいとしか考えていないと思える。朝日新聞だけの問題とは限定できない。やはり、マスコミ報道には注意をすることと、情報源に近い筋の情報を信じ、マスコミ報道に働いているバイアスを感じつつ読まねばならない。日経の新聞販売協会の報道を読むと「何時自分もお新聞を止めようかな」とまで思ってしまう。新聞よりネットの方が、私には貴重である。努力すれば生の貴重な情報を入手できる。

衆議院選となった場合、各党、各立候補者は何を訴えるのだろうか。本日のブログの主旨からすれば、1)に書いたように、投票の際には、政府財政のことを真剣に考えているかを判断基準にせざるを得ないように思う。現状では、消費税増税を真っ向から否定しているが、他の税目の増税でカバーすべきという共産党が選択肢として浮かび上がる。どうなのだろうか?小選挙区制では候補者個人の考えは関係なく、当選すれば、その所属政党の力関係で全てが決まる嫌な制度で好きではないのだが。

首相は、マスコミにここまで書かれた以上、解散総選挙しか選択肢がないような感じである。マスコミが政治を操ることなどあってはならない。だから、今回は嫌な気分である。2012年8月に10%消費増税に関して書いた直前のブログでこんなことを書いた。朝日新聞批判であったのだが、閣議決定を朝日新聞が独自に拡大解釈して生活保の護切り捨てが今後の日本の選択肢であるかのように報道した。

マスコミ報道に惑わされず自らの良心に従って発言・行動し、自らの信念で選挙投票をすべきと考える。

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2014年11月 9日 (日)

消費税10%は既定の事実ではないのか

消費税10%は、2012年8月22日公布の「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」で決まった。消費再増税なる言葉が使われたりしているが、違和感を感じる。 例えば、この11月7日の日経社説「再増税実施へカギ握るデフレ脱却 」である。消費税10%の重要性を訴えているともとれるが、デフレ脱却の重要性の主張を強く感じる。新聞の社説としての会社の意見なら、これが限度なのかも知れない。

消費税10%は、社会保障の安定財源の確保が目的である。社会が破綻しての経済繁栄は全く意味がないし、実はそんなことは不可能である。経済は、国民のために存在する。一部の層の利益のために存在するのではない。もし、消費税10%実施延期論を述べるなら、年金、医療、介護等の社会保障の将来像としての財務予測を示すべきである。財政状態と収支の見通しの議論がなく、法律として成立している消費税10%を実施しないことは、論外のことであると考える。

消費税には、逆進性がある。逆進性緩和(解消)の方法としては、所得税の改正で望むべきであると考える。所得税に還付付き税額控除を導入することを提案する。例えば、基礎控除38万円をなくして38,000円の税額控除を導入する。税率が10%であればブレークイーブンである。もし5%なら19,000円税負担が少なくなる。税額が38,000円より少ない場合は、差額が還付金として税務署より振り込まれる。

例として、給与総額340万円の独身の人を想定する。この人の現在の所得税は約74,000円である。基礎控除がなくなれば、税額は93,000円になるが、税額控除38,000円があれば、最終的には55,000円となる。19,000円税負担が少なくなるが、一方で消費税増の負担はある。税額控除の金額は幾らが最適化は、様々なケースを想定してシミュレーションを行い決定すれば良い。又、マイナンバー制の利用が2016年1月より予定されており、マイナンバー制とも組み合わせて逆進性対策・低所得者対策の制度を構築可能であると考える。

消費税10%は、社会保障制度と一体として考えるべきである。「増税の前にやるべきことがある。」なんて宣伝文句に欺されてはならない。架空の議論はすべきではなく、数字を基にした将来計画に基づき議論すべきである。

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2014年11月 2日 (日)

補助金や公共事業より悪い再エネ電気買取制度

つづけて3回も再生可能エネルギー発電設備からの買取制度に対する批判を書きます。(一度書き始めると、非合理で不当な制度としか思えず、書かずにいられなくなりました。)

補助金や公共事業は、悪の面はあっても、悪者ではありません。無駄な補助金や公共事業は残念ながら存在する。一部の人達だけの利益につながり、社会や国民の幅広い利益になっているか疑問を持たざるを得ない補助金や公共事業も存在する。有効な役に立つ場合もあると信じて言います。

補助金や公共事業が政府や地方公共団体の予算から支出される限りは、国会や議会による承認手続きは必要であり、予算作成にあたり、事業や支出に関し多くの公務員が関与し又一定の会計検査や監査がなされる。しかし、現行の再生可能エネルギー発電設備からの買取制度は、野に放たれた野獣であり、誰も、コントロールができないのである。

コントロールが効かないような制度は即刻中止すべきである。

資源エネルギー庁の再生可能エネルギー固定価格買取制度情報公表用ウェブサイトがここにあり、導入状況がわかる。私なりに、これを理解しやすくしたのが下の表である。

Fit201410d_4

設備の容量のみを眺めていても、理解は進まない。従い、日本の現存する電力供給設備と比べている。日本の発電設備の合計は291,139MWである。(太陽光発電設備は1、492MWを含め。)右から2番目が現在の発電設備との対比である。

認定されている太陽光発電設備が如何に大きいかよく分かる。太陽光発電設備は日没から日の出までは発電せず、雨天・曇天は勿論、雲で日光が遮られても発電出力が途端に落ちる。不安定であり、太陽光発電設備の出力変動も、需要変動への対応と同じ程度の範囲に入れば、需要変動と同じ対応で対処可能であり、電力供給に支障はない。しかし、電力供給事業者が対応可能な範囲を超えたならば、大変なこととなる。具体的には、一部の太陽光発電設備の接続を強制的に外したりして対応しても、予測以上であれば、システムの安全装置が働いて供給遮断が発生する。

上表の(2)は、2013年度の年間平均送電端出力である。右端欄で太陽光発電設備容量と比較した。厳しいのは、九州、次いで東北でしょうか。

なお、北海道から沖縄までの電力会社毎に比較をしたが、資源エネルギー庁の統計は都道府県単位を使用したので、一部(静岡県東部の東京電力地域と福井県西部の関西電力地域)で少し不正確となっている部分はある。

なお、再生可能エネルギーの利用について反対しているのではありません。行きすぎた過度の導入には問題が発生すると言いたいのです。特に、その量に関して上限すら設定していない固定価格制度は、不合理であり廃止すべきだと述べているのです。安定供給には、蓄電池を設置したり、揚水発電を建設したりでの対応も可能です。しかし、それに係わるコストは発生するのであり、どうするのが最適であるのか、温室効果ガス削減も考慮した上で考えようと提案をしているのです。

デンマークに全てを再生可能エネルギーで賄っている「サムソ島」があるとの話があります。しかし、サムソ島は本土と送電線がつながり、その送電線はヨーロッパ中の多くの国ともつながっているのです。島外の電力がサムソ島の再生可能エネルギーによる発電を可能にならしめているのです。この点を誤解すると、判断を誤ります。例えば、このWebには、「2003年、10 基の風車が導入されて以来、サムソ島の発電量は、消費量よりも多く島の外へ電気を売っているのだ。」と書いてあります。ドイツの太陽光発電はノルウェーの水力発電が支えているとの話もあります。

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2014年11月 1日 (土)

再生可能エネルギーと川内原発再稼働と蓄電池

最近、川内原発の再稼働に関する動きが報じられているが、再生可能エネルギー買取制度は早急に法改正をすべきを書いていて、九州の電力需給の問題は原子力にあらず、再生可能エネルギー発電が今後を左右すると思った。

簡単にするため、太陽光発電に絞ります。認定済みを含め、全ての太陽光発電設備を合計すれば17,970MWになる。もし、九州全土が晴天で太陽光発電設備が全出力となった場合は、17,970MWの電力が送配電線に流れ込む。一方、九州内の電力需要は10月30日であれば11,000MW弱であり、6,970MWの電力は行き先を失う。九州電力と中国電力は送電線がつながっているので、中国電力に電力を送ることができる。しかし、6,970MWという大量の電力を送電できるほどの送電線容量はないし、中国電力、あるいはその先の四国電力、関西電力・・・に電力需要があるかとの問題がある。しかし、実は、それ以前に、太陽光発電設備からの電力を受け入れるために九州電力は発電を中断せねばならない。

雲がかかり始め、太陽光発電の出力が落ち始めたならば、九州電力は太陽光発電の出力落ち込みをカバーするために直ちに他の発電設備を運転して対処せねばならない。そんなことが、可能かと言えば、現状では不可能である。どの程度までであれば、可能であるかは、個々の設備の詳細を知らないと回答できないが、火力発電では50%出力から100%出力にする場合でも1時間を要したりするし、50%出力以下では安定的な運転は容易ではないと思う。

通常の日であっても、太陽光発電設備は日没から夜明けまでは全く発電をしない。九州電力の10月30日の最大需要は、太陽光設備が発電をしなくなる午後6時であった。夜の電力供給には、火力発電を運転する。わがままな太陽光発電設備の為に、他の全ての電力供給設備を設置し、太陽光発電設備を運転するために日中でも他の設備を調整しつつ運転するのである。

そこで原子力発電である。原子力発電は、安全運転を最優先にする必要がある。そのため、出力一定運転を日本では実施してきた。原発を再稼働する際も、原発出力一定運転の条件は維持すべきだし、太陽光のための調整運転なんて、してはならないことである。

解決方法として大量の蓄電池を設置する方法がある。この場合、その費用はどうなるか、計算してみた。パナソニックが[公共・産業用] リチウムイオン蓄電システムを2014年8月21日から販売しており、ここに説明がある。20kWhの屋内型で14,600,000円である。九州の太陽光発電設備を17,970MWとし、1日の標準発電量を54GWhと仮定し、その3分の1である18GWhの電池を設置するとして設備費を計算した。18,000,000kWh x 14,600,000円/20kWh=13兆円と計算できた。

大型設備になれば、割安になるはずである。しかし、それでも、その半分の5兆円規模にはなるのではと思う。

さあ、どうだろうか?再生可能エネルギー発電設備は、現状においても電力系統の安定性に支障を来すことが予想される。再生可能エネルギー買取制度は法改正をして、市場競争の原理を組み込むと共に、蓄電池技術の開発に力を入れるべきと考える。蓄電池が設置されれば、電力料金は更に高くなる。それでも、停電をして高くなるより良いかも知れない。勿論、研究段階が終了すれば、市場原理で導入を計るべきである。

本文において九州電力とか書きましたが、単純に九州電力のみならず電源開発の設備や県営水力他九州電力の送配電線に接続された全ての電力設備との意味で捉えてください。どこか1社を悪者にして溜飲を下げるやりかたはしたくありません。様々な角度から分析して合理的に考えて方向性を考えるべきと思います。

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再生可能エネルギー買取制度は早急に法改正をすべき

再生可能エネルギーによる電力の買取については、現行制度を根本的に変更すべきと考える。

九州電力は、9月24日に再生可能エネルギー発電設備の接続申込みへの回答保留を発表した。九州経済産業局は10月22日に九州における再生可能エネルギー発電設備の運転開始状況と認定状況を公表した。(その公表はここにあり。)九州の再生可能エネルギー発電設備について九州経済産業局の資料からまとめてみたのが次の表である。

Fit201410b

これだけでは、解りつらい。九州電力の発電と電力購入をあわせた1時間毎の供給電力がでんき予報のWebにあり、10月30日の供給電力のグラフが次である。

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再生可能エネルギー発電設備は現在5,651MW(FIT制度によらない設備1,679MWを含め)ある。もし、将来20,702MWの全てが稼働したら大変である。但し、大変なことを起こす犯人は太陽光と風力である。共に、出力が安定しないからである。

太陽光と風力の発電を実際に知っている人なら理解できるが、場合によっては最大出力からゼロ近くまで簡単に変動する発電設備である。勿論、最大とゼロで揺れ動くことは、そう多くないが50%変動は常に生じる可能性がある。電力供給の面からは、10月30日であれば、上のグラフの線になるように供給を調節しないと電力供給ができないのである。

身近にソーラー電卓があるが、支障は起きない。バッテリーがあることと、太陽光パネルは消費量以上に発電しない性質があるからである。太陽光発電設備は、コントローラーで制御して発電量を送配電線側に流すように作られている。もし、送配電線側に需要がなければ、けんかにあるが、実は設備のどこかが故障して修理が必要となるのみならず、停電も生じる。ちなみに、東京電力は自社の太陽光発電設備の発電状況をWebに掲載しておられ、例えば扇島太陽光であれば、ここにあり太陽光発電の不安定性が読み取れる。夜は発電しないし。

風力の出力は、風速の3乗に比例する。10%変動は33%変動であり、プラス・マイナス10%は66%出力変動である。

勿論全ての設備が同時に変動する事はない。しかし、太陽光設備が15,000MWあり、その20%が50%変動したなら1,500MWである。10,000MWの供給の中に1,500MWが変動要素が含まれていれば、相当大変である。九州地方大停電も夢ではなくなる。

再生可能エネルギー発電については、本当に考え直すべきである。九州電力の電力販売量が2013年度84,450GWhであった。17,970MWの太陽光設備の発電量は18,000GWh程度と予想できる。安定供給のためのコストも含めて下手をすると電気料金は現在の倍以上になるのではと思う。一般家庭月1000円なんて生やさしいことではまったく済まないと予想する。多くの人は、欺されたと感じるかも知れない。当時の独裁政権の中枢にいた人達は、どうするのだろうか。多分、ごまかし・デタラメを述べ続けるのだろうと思う。

そこで、今度は再生可能エネルギー発電の買取価格をチェックする事とする。次の表はこの資源エネルギー庁のWebに掲載されている電源毎の電力買い取り価格である。

Fit201410a

なんと一番高い価格が20kW未満の風力55円である。洋上風力36円もきちがいと思う。そもそも、ヨーロッパでは安いから洋上なのである。国民の富を一部の悪徳業者に流そうとしているように思える。但し、資源エネルギー庁が悪いからではない。「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が悪いのである。「調達価格は、再生可能エネルギー電気を供給する者の当該供給に係る費用その他の事情を勘案して定めるものとする。 」としているからである。買い取り価格が業者の言い値で設定され、関係する全ての業者にとって甘い汁が吸えるビジネスとなったし、今もなっているのである。

2011年に法律ができて市場競争を否定しているのである。国民を無視した法律が制定されたのである。法律制定前にはこんなブログを書いていました。少し、甘かったようでもあります。悪い法律は、即刻廃止し、市場競争を取り入れるべきです。中国の太陽光パネルメーカーにとっては良くないことでしょうが、世界水準に日本が近づくだけの話なので、中国メーカーに気をつかう必要はないと思います。

そして、間伐材等による発電は逆に森林保全・災害対策のような観点も入れて高くし普及を図ることがあってよいと思います。国民の利益を一番に考えて政策を立案すべきであり、国民を不幸にする法律は即刻廃止すべきです。

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