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2014年12月31日 (水)

与党税制大綱の法人税改革

12月30日に自民・公明の与党が税制大綱を決定したとのニュースがありました。

日経 12月30日 与党が税制改正大綱決定 法人税率、15年度は2.51%下げ

自民・公明の税制大綱は、ここにあります。

法人税率は現行の25.5%を1.6%下げて23.9%にする案です。おもしろいのは、「欠損金の繰越控除制度等についての見直し」の中に書いてある控除限度額で、「ただし、金融商品取引所への再上場等があった場合におけるその再上場された日等以後に終了する事業年度又は連結事業年度は対象外とする。」とある。即ち、日本航空は晴れて法人税を納付することができます。そうですよね、巨額の税金が投入された日本航空が利益を計上しても税金を払わない制度は、どう考えても変だと思うのです。

なお、法人税について単純な税率の引き下げかというと、地方法人特別税については現行の67.4%を2015年度から93.5%とし2016年度から152.6%にする案があります。事業税が外形標準課税の場合の所得割7.2%が4.8%になっても、地方法人特別税を含めると12.1248%で現行の12.053%より少し増税です。事業税の付加価値割と資本割は増税であり、地方税は増税という訳の分からない方針です。

ところで、共産党が主張している富裕層課税と大企業の内部留保問題ですが、おもしろい記事が東洋経済Onlineにありました。

東洋経済Online 12月30日 最新!これが「金持ち企業」トップ200社だ

企業の内部留保とは、資本を利用して獲得した利益のうちで、株主(投資家)に配当せずに留保している部分の累計額です。株主からしても現金での配当を受け取るより、投資先の企業が事業拡大・利益追求のために内部留保資金を活用してくれた方が、雪だるま式に投資利益が増えるので好ましいとも言えます。しかし、投資もせずに、単に銀行預金をしたり株式投資をしているのなら、投資先の会社の本業に内部留保を活用しておらず、けしからんことであります。そんなことをするなら株主と従業員に配当と賃金を支払った方がよほど健全です。

東洋経済Onlineの記事には、現預金と短期保有の有価証券の合計額から、有利子負債を差し引いた額を手元資金として、この手元資金が潤沢な企業を「金持ち企業」としてランク付けしたとあります。共産党の口車に乗るようですが、これら「金持ち企業」とはブラック企業とほぼ同一のように思え、この資金を投資活動や配当あるいは従業員給与としてはき出させ、日本経済を活性化させる必要があるように思いました。悪徳企業特別税とかを作ったりして。

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グローバル化への対応

次のニュースがありました。基本的にはこのブログで2010年10月11日に書いたことと同一と考えます。

47NEWS 12月31日 尖閣「現状維持」の合意明かす 82年、鈴木首相が英首相に

2010年10月11日 ブログ 尖閣諸島領土問題

1978年の日中平和友好条約調印の当時は、2010年10月11日ブログで紹介したような日中の将来を期待し、日中友好を歓迎する人々がほとんどでした。ちなみに、この平和友好条約調印時の総理大臣は福田赳夫氏でした。

尖閣諸島の領有権問題に関しては、2010年9月22日のブログの中で書きましたが、単純に”Yes”や”NO”で決めつけることができない事項を多く含んでいます。領土問題とは、そのような性質のものであり、条約等で取り決めが不明確な場合は、信頼を持って、友好的に解決すれば良いし、武力は不要であります。日中平和友好条約の第1条1項「両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。」の通りであります。

2010年就任直後の菅直人政権が変な対応を行い、世論の支持を目指してと言うべきか、次の選挙での票獲得しか眼中にないような対応をしてから、ますます混乱が多くなったように思う。冷静さを失ってはならない。一つの出来事も、観点を変えると、相当異なって見えることも多いのである。

グローバル化とは国境という障壁が低くなることである。また、一国のみで生きようとする方向は、その国を孤立させるだけではなく、発展を阻害し、繁栄から遠ざけることとなる。「絆」とか「おもてなし」とか「美しい国」とか、私にとっては、訳の分からない言葉を使う人がいたりする。私は、世界中のどの国だって美しいと思うし、人々のつながりはあるし、客を歓迎・歓待する風習はあるし、日本だけが特別な美徳を持っている訳ではないと思っている。

相手を理解することこそ、グローバル化への対応である。そして、それが繁栄への道である。そのような繁栄への道を目指すべきであると思う。

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2014年12月28日 (日)

この人 よく分からないのですが 生活の党へ入党ですか

次のニュースです。

読売 12月27日「生活の党と山本太郎となかまたち」に党名変更

そして党名を「生活の党と山本太郎となかまたち」なんてすごいですね。

でも、最後にある『生活の党は、先の衆院選で惨敗した結果、所属する国会議員が4人(衆院2人、参院2人)となり、政党要件を失っていた。要件を満たしたことで政党交付金を受け取ることができるようになる。』を読むと納得という感じです。これを、どう評価するかは、それぞれ個人の考えですが。

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2014年12月26日 (金)

こんな記事がありました 選挙はやはり全国1選挙区制かな

次のような記事がありました。

TV取材に「分かんない」連発…自民・料理研究家議員の経歴

政党の比例代表名簿の上位に記載があれば、議員になれる確立が高い。変な人が当選予想圏内にいたら、有権者はどう判断すべきなのか、困っちゃうな!になると思う。

調べてみると、この記事の人は東京ブロック自民26位でした。但し、重複名簿の1位が24人もいたので、実質は3位も知れませんが。

比例代表選挙と言うのも、しっくりこない所があります。お前(の党)を信じて投票したのに、別の党と合併し、政策も変わったりする可能性がありますから。個人なら、お前を信じていた(いる)からと納得できるかも知れません。

やはり、国政選挙は日本全国1選挙区制で、実施すべしと思います。そうなら、個人とのインタビューも選挙期間中にあり「どうしよう、分かんない」なんて回答されても、投票する人の判断ですから、「正直だ。座布団一枚!」もありだと思うのです。勿論、そうではない判断もある訳で、当選してからの批難はあたらないことになります。

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2014年12月24日 (水)

2014年衆議院選の小選挙区投票分析結果は小選挙区制度反対

総務省が衆議院選の選挙結果を12月19日に発表している。12月16日のブログで分析した比例区に加えて、小選挙区についても分析をしてみました。第47回の2014年衆議院選の総務省発表はこのWebからダウンロード可能です。

比例区での当選者は無所属を除き所属政党は8政党であり、これら8政党の区分で小選挙区の得票数についての票を作成しました。(得票率の計算上みんなも加えている。)

Hrelection201412c

今回の投票者数は54,743,0876(52.66%)であり、前回の2012年選挙の1,669,473(59.32%)よりは低いので、得票数よりは得票率の方が意味があるように思う。そこで下段に得票率を記載した。但し、この表に記載の9政党の合計得票数を母数にして計算したので、総務省や報道機関が発表している得票率とは少し異なった数字となっています。

共産党に批判票が入ったと言われていますが、自公合計で得票率を考えると前回2012年の55.2%から51.0%に下がっているのです。今回の小選挙区議席数は自公合計で231であり前回の246より5議席少なくはなっています。しかし、それでも得票率では51.1%であり、3分の2に達していない。自公の大勝って本当?と言いたくなります。民主党は、小選挙区での当選者数では今回は38であり、前回の27と比較すると、ずいぶん多くの当選者を出した。しかし、得票率で考えると5.1%も低かった。即ち、支持されなかったのだが、当選者数では多くなった。小選挙区制の奇妙な特徴だと思います。

民主党は、年明けに代表選とのことである。12月23日の日経記事民主代表選 細野氏、前原氏不出馬に期待なんかを読むと、代表選だから様々なことが議論されても、政党内部のことであり、外部の者がとやかく言う必要はない。しかし、政策論議ではなく野党再編についての支持・不支持が内部議論されるというのは、政党ではなく集団の派閥争いであり、結局は国民の信頼を失うように思います。でも、民主党とは、政策は個々人バラバラで、地位や権力を目的として集まった集団であると言えるようにも思える。意見が異なるが、自公政権打倒で集まると言うのは、戦国大名の生き残りのための行動と余り変わりがないように思えます。(戦国ドラマで、どちらに附くかとやっている重臣会議みたい。)民主党が308議席を獲得し、政権交代となった2009年の衆議院選でも、政策の実現を目指して結成された団体ではなく、自公政権を打倒して政権にありつきたい人が、その目的を目指して寄り集まったのだと私は考える。政策ではなく、怨念が政治を決めるなんて、堕落政治だと思う。

堕落の一番の原因は小選挙区制である。一人しか当選できず、その一人になるために、なりふり構わず行動すると共に、それが日常活動の原点でもある。更には、党の公認を得なければ、小選挙区で勝てないと同時に、比例区にも立候補できない。小選挙区制は投票側の選択肢を狭めていると同時に、立候補する権利すら歪めている。民主党の今の野党再編論は維新との合併論である。意見の違いや国民は、どうでもよく、次の選挙で議員として残れるかどうかが重要であると考えているように思える。国民の選択肢を狭めることは、国民の政治不信を深めることである。そんなことすら解らない連中なのか?しかし、議員のみの問題として片付けては、解決しない。やはり、小選挙区制が悪いのである。

政策についてYESとNOが明確に分かれているなら小選挙区制でも良いであろう。しかし、現在はそうではない。高齢化社会とは単に高齢者が多い社会ではない。高齢者比率が増加している社会である。負担と給付の問題をどうするかは、選挙では誰もが現状維持か双方の改善を主張する。しかし、あり得ない事である。本当は、国民が参加する検討会を設けて、国民の求める方向は何であるのかを検討することが必要なのである。消費税10%を実施しない安倍政権はけしからんと、このブログでも書いた。民主党マニフェストには『複数税率だけでなく、消費税の還付措置(給付付き税額控除)の導入についても検討を行い、低所得者対策、逆進性対策を確実に講じます。』とのみ書いてあった。必要財源を消費税で確保して社会保障の充実を図り、一方で給付付き税額控除を導入すると、野田政権当時の主張を書かなかった。

民主党は2009年のマニフェストでも高速無料化を謳っていた。小選挙区制とは、バラマキと反対政党攻撃という戦闘が繰り広げられるだけである。個別の政策の議論は生まれにくい。将来の日本のためには、小選挙区制を一刻も早く廃止すべきである。国民の意見が多様化しているなら、それらの意見を反映した議員が国会で法を制定し、内閣は連合(現在も自公連合ですが)で組閣すれば良いのである。国民の意見を反映しない構成の議会とその歪んだ議会により選出される内閣となる制度を運用している国の国民は不幸である。日本全国で1選挙区としても良いと思う。

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2014年12月22日 (月)

大間原発で問われるもの

日経が12月21日の社説で「大間原発審査で問われるもの 」と題する社説を掲載していた。

日経 12月21日 社説 大間原発審査で問われるもの

私としては、単に原発審査ではなく、大間原発に関して問われるべき事項を書いてみたい。

1) 利益とリスク(狭義)

本来は、原発の利益とリスクを問わねばならないが、この項ではシンプルに電力に関する利益とリスクについて考える。多くの人は、発電会社である電源開発(株):Jパワーであると考えると思う。しかし、それほど単純ではない。

日本における電力自由化が一般家庭についても適用されるのが2016年5月の予定であり、この時に現在の一般電気事業者、卸電気事業者、PPSの区分はなくなり、小売電気事業者、送配電事業者(厳密には一般、送電、特定の3区分)と発電事業者の区分となる。

Jパワーは、2016年5月の自由化前までは卸電気事業者であり、卸電気事業者に該当するのは、Jパワーと日本原子力発電である。Jパワーも日本原子力発電も卸電気事業では、10電力である一般電気事業者に卸売りをしている。その卸売り販売の方法は、長期契約であり、コストプラスフィーのような形である。だからこそ、Jパワーの電力卸販売平均価格は2014年3月期でkWhあたり8.08円である。

大間原発の電力卸販売契約は、どのようになっているのであろうか?私も知らない。しかし、同じ卸電気事業者で原発の電力を卸売りしている日本原子力発電と同じとすると、考えてしまう。次の表が、日本原子力発電の売上・利益である。

Japc201412a

原子力発電とはほとんどが固定費であるため、コストプラスフィーのような販売の場合には、このように利益は少額かも知れないが安定的なビジネスが生まれる。Jパワーの大間原発も、日本原子力発電と同じような電力卸販売契約が既に締結済みであると思うのである。その場合は、大間原発が反対運動により稼働しなくても、Jパワーは一定の利益を確保し、一方で一般電気事業者と消費者は電気料金で大間原発分の高い電気料金を支払うこととなる。

2016年5月の自由化以後は、10電力の一般電気事業者は一般送配電事業者となる。おそらく、原発の電力引き取り義務が一般送配電事業者に行くと思うのだが、いずれにせよ単純にJパワーの責任とリスクにはならないと思う。大間原発のリスクは国民であることを認識して判断をする必要がある。大間原発の電力販売契約は公開すべきと考える。

2) 大間原発は未だ核燃料未装荷

大間原発は未だ核燃料は装荷されていない。従い、今なら、ただの鉄とコンクリートであり、廃棄簡単である。しかし、一旦核燃料が装荷されたなら、放射性物質を含む高濃度放射性廃棄物が生まれる。日本において、放射性物質が大量に存在する場所を作るかどうかは、国民の判断だと思う。

3) 大間原発は最新原発

大間原発は最新原発である。その点からすれば、最も運転中のリスクも低く、もしかしたら飛行機が原発に激突しても大丈夫かも知れないと思う。原子力規制委員会は12月17日に関西電力の高浜原子力発電所3、4号機の再稼働に関する審査書案を了承したが、高浜原子力発電所3、4号機は1985年に運転を開始した原発である。

民主党が政権に就いた時は、2030年時点での将来案は原発発電割合50%であった。時代は、あの時とは、変わっている。安全原発再稼働論にしても、どの原発を稼働し、将来に向けてどうするのかの将来構想なくして、再稼働をすすめるのではなく、安全性を原発毎に評価して、その結果を国民に発表することも重要と考える。以前、菅政権時代にストレステストなるものを実施した。その結果、何が判明したのか、テスト結果がどう使われたか全く解らない。あのような無駄なことをすべきではない。

4) 大間原発はMOX燃料専焼

日本の原発は発生したプルトニウムを全量再処理して再度核燃料として使用する核燃料サイクル案で運用している。現状、運転をしていないのでプルトニウムは生産されていないが、それでも核分裂性プルトニウムが英国と仏国における保管量を入れると30トン存在する。もんじゅの見通しが立たない状態で、核燃料サイクルを続けるならMOX燃料を軽水炉で使用することは、どうしても必要となる。その場合、大間原発ならMOX燃料専焼で設計されているのであり、他の原発でMOXを使うより安全かも知れない。

本当の所は、私も解らない。大間原発とMOX専焼を私にも解るように説明を求めたい。

それと共に、重要なことは、核燃料サイクルである。プルトニウムは廃棄するとしても問題であり、保管するとしても問題が大きい。プルトニウムこそ核爆弾の原料である。使用済み燃料を直ちに核爆弾の原料として使用できる訳ではないが、核爆弾に加工する技術ハードルは今や低いと私は思っている。どのようなテロリストからも安全に保管せねばならない。また大間原発でMOXを使ったとしても、その使用済み燃料にはプルトニウムが存在し、それを再びMOX燃料へと加工する再々サイクルが始まる。

考えれば、原発とはやっかいなモノである。大間原発の運転開始までに日本の核燃料サイクルの方針を確立するまでの必要はないと考えるが、核燃料サイクルをどのように考えていくかのロードマップは作る必要があると考える。検討に関するロードマップなしで、原発再稼働は問題が大きいと言いたい。

5) 政治家ではなく国民が決定すべき

無責任な政治家に任せてはならない。2012年9月であったが47ニュース 【大間原発の継続容認】枝野経産相、青森知事に表明  島根3号機も念頭にとのニュースもあった。私が上に書いたようなことを、どのように考えていたのかと思う。

政治家とは人気取りと選挙票のことしか頭にない人達である。そのような人に依存してはならない。国民が判断する。国民が判断できるように必要な情報が国民に届くようにして欲しいのである。

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2014年12月16日 (火)

2014年衆議院選挙結果を読む

12月14日の衆議院選挙の結果を考えるにあたり、各党が候補者を出し、選挙人が妥協することなく投票先を記入できた比例区の得票率が国民の意見に最も近いと考え、比例区の政党別得票率の表を作成した。

Hrelection201412a

今回の選挙は投票率が52.66%であり、戦後最低との事である。しかし、その中で、前回の2012年より比例区で得票を増加させている政党がある。比例区で議席を獲得した上の表の6党のうち維新と社民を除いた政党がそうである。共産党は23万票を、自民党は10万票を増加させた。興味ある自共対決となるのであろうか。

他の政党も含めて比例区の得票率を円グラフとして2014年に加えて2012年衆院選も作成してみた。

Hrelection201412b_2

グラフを書くまでもないのだが、自公で2/3以上の議席数というのは、どう考えても実態を反映していないのである。上の表で計算すると、自公併せて46.9%である。但し、次世代、生活、新党改革、幸福実現への投票も加えた得票率なので、議席を得た政党のみでの得票率では少し上がり、自民35.0%と公明14.5%になる。しかし、それでも49.5%に止まる。

従い、議席数のみを理由に独裁に走ってはならない。憲法改正を発議できるなんて思うと大間違いであると言いたい。国民の声を十分聞くべきである。

本年の流行語大賞を足しあわせると『ダメよ~ダメダメ集団的自衛権』となるのである。今回の選挙は集団的自衛権が争点となるべきであったかも知れない。しかし、全くならなかった。実は安倍晋三党首の口からは、選挙期間中、流行語大賞に選ばれたにも拘わらず、全く口に出ていなかったように思う。実は、自民党の選挙公約(例えばこれ)にも集団的自衛権なんて言葉はない。そんなことは既に閣議決定が終わっており、選挙で今更争点にすべきではないという考え方であると思う。公明党も同様で、閣議に参加している以上、集団的自衛権大賛成なのだろう。

民主党は「集団的自衛権の行使を容認した閣議決定は撤回を求めます。」と書いている。共産党は、「憲法違反の集団的自衛権行使の「閣議決定」を撤回させます。」としている。社民党も明確に反対と書いている。維新は集団的自衛権の必要な法整備を実施すると書いている。そうなると自民、公明、維新で62.6%で集団的自衛権を定める法律が成立することになる。

しかし、私は、重要な問題であるが故に、このような法の成立を望まない。国連の平和維持活動(PKO)に参加している自衛隊員が一緒に仕事をしている他国の人が襲われても武器を使えないので集団的自衛権が必要であるとするのは、本末転倒である。戦争と平和維持活動をあえてまぜこぜにして使用しているのである。平和維持活動とイラク戦争は全く違う次元であることを認識して、十分な議論をして欲しい。閣議とは、内閣の身内の中での話であり、国民を巻き込んだ議論ではない。

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2014年12月13日 (土)

朝日新聞って、どこかおかしいのでしょうか?

朝日新聞には、11月28日 「吉田調書」報道で前報道局長ら6人を処分 朝日新聞社とのことがあったが、吉田調書については、記事が掲載された直後から、福島第一原発所長吉田氏は、そのような人ではないと述べる人が多くいた。吉田証言についても、週刊新潮と記憶するが、本人がフィクションであると認めていると報じていた。記事についての批判ではなく、事実関係についての指摘であった以上は、即座に記事を書いた記者に、真実を確かめ、更に会社として調査し、解明するのが本来の姿と考える。

三流新聞とは、このような新聞なのだと思った。

さて、本日は朝日新聞の次の理解不可能記事に出会った。

(いちからわかる!)再生医療を後押しする法律ができたそうだが

これだけだと、新聞報道とは、この程度かで終わったのだが、同じ12月13日に読売新聞が社説として取り上げていた。

再生医療 安全性の確保が普及の前提だ

朝日新聞は、「いちからわかる」と子どもにも解るようにと読者層を広げて記事にしたと言うであろうが、最先端医療については、理解するにはある程度の医学・医療の知識が必要であり、記事にするなら、誤解を招かないような記述に徹するべきと考える。しかし、朝日の記事は読んでも意味不明なのである。

医療については、法はどうあるべきか、政府は何をすべきか、医療保険(健康保険)はどこまでカバーし保険料の水準と負担はどうあるべきか等の問題が常に存在する。朝日は、見事にこれをぶっ飛ばして、希望のみを書く。しかし、希望のみで負担を置き去りにすると、やがて破綻する危険性がある。そんなことは、難しくて朝日の人達には考えることができないのかなと思ってしまう。

朝日の記事には、「国がこれまで通りリスクを厳しく点検(てんけん)するよ。」なんて、国なる言葉がある。一方、読売社説には「政府が認定した委員会に診療計画を提出して、審査を受けることを義務付けた。」のように政府と言葉を使っている。

朝日新聞に提言するとしたら、「記者は記事を書くな。すべてを外部からの投稿記事にしろ。」である。朝日新聞に掲載されている投稿記事には、興味ある論点を提供してくれる記事が多いと思っている。

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2014年12月12日 (金)

タカタエアーバッグの欠陥の今後

タカタの株価は10月20日頃から、それ以前の2500円程度から急落し、一時は1000円近くに落ちたものの、最近はまた1300円程度で推移している。ところで、そもそも、タカタのエアーバッグは安全なのかと考えると、やはり欠陥商品であるように思えてきた。

タカタのエアーバッグを欠陥商品であるとする根拠は、11月29日に書いたブログタカタの欠陥エアーバッグで紹介したNY Timesの記事が書いていた硝酸アンモニウム(ammonium nitrate)の原因の可能性について、タカタが何のコメントも反論もしていないからです。

NY Timesの記事は長文の英語であり、読むのに苦労する面があるが、本日の東洋経済の記事タカタがエアバッグに使う火薬は安全なのかは、硝酸アンモニウムの危険性について東京大学工学系大学院教授堀恵一氏に聞いたとして、堀氏のコメントを掲載している。その中で、興味あるコメントは、タカタ以外のエアーバッグメーカは硝酸アンモニウムではなく硝酸グアニジンを使っており、硝酸グアニジンは転移がないので、このような問題を考える必要がないとのことである。

更に12月9日のNY Timesのこの記事は、タカタがタカタエアーバッグの特許申請書類において膨張剤が不安定であることを記載していたと報道している。なお、タカタの特許申請は不安定な硝酸アンモニウムの使用にあたっての安定化に関する特許であったのであった。しかし、硝酸アンモニウムの危険性を完全に除去するものではなかったのであろうと思う。

今後、どうなるのであろうか?タカタは消滅するのみか?

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2014年12月11日 (木)

衆議院選以後の期待

投票日の14日を間近にして朝日新聞が調査結果を報じていた。

朝日 12月11日 衆院選、半数超が消極的選択 関心のなさ突出 情勢調査

焦点が不明確であり、有権者の関心は薄くなる。その結果として自民は優勢であり300議席を超す勢いとの朝日の分析である。自民が300議席を得たら、議席数5減でも解散前の295から5を増やし、さらに公明が解散前の31を維持すれば自公で331となり、2/3の317を越える。

1) アベノミクス

11月17日にアベノミクスの評価は悪くならざるを得ないを書いたのですが、私としては、このような意見の人が広まっているように思います。例えば、野口悠紀雄氏が書いておられる本日のダイアモンドOnlineアベノミクスの失敗を明確に示すGDP改定値 金融緩和政策を根本から見直し、円安を抑制せよです。

今の日本経済にとって円安とインフレで何が良いことがありますか?為替をコントロールすることは至難の業です。しかし、金利を高めに誘導し、少しでも対策を講じることは重要です。それを安倍政権は逆に日銀のメチャ緩和政策に乗っかり、世界の金の亡者に儲け放題させているように思います。日銀は金利高め誘導をすべきです。さもなくては日本の庶民は金と資産を巻き上げられて不幸になるばかりと思います。

野口氏は「アベノミクスが、リーマンショック以降続いてきた雇用者報酬の増加を止め、実質消費の増加を止め、それを通じてGDPの成長を止めた。アベノミクスによって経済成長が促進されているのではなく、逆に阻止されているのだ。」と述べておられます。

2) 消費税軽減税率

同じく本日のダイアモンドOnlineに森信茂樹氏が低所得対策の効果は軽減税率よりも給付付き税額控除の方が圧倒的に大きい書いておられる。

消費税軽減税率は悪い制度です。私は、11月15日に消費税10%解散とは、理屈からしておかしいよの中の3)で軽減税率は最も悪い制度であり、給付付き(還付付き)税額控除を書いた。

森信茂樹氏が書いておられるように軽減税率は高所得者にも及ぶ。確かに、低所得者の方が食料品支出割合では多い。しかし、絶対額では高所得者の方が多い。結果的に誰が得をするのか複雑であり、低所得者対策にはなるとしても、その効果は微々たるものである。その上、事業者には過大な負担をかけ、事務作業を大きくし、そんなことなら税金として金銭で払った方がよほど賢い。馬鹿が考える制度に乗れば、ますます貧困になる。

森信茂樹氏は「軽減税率は極めて効率の悪い制度で、金額ベースでは、消費額の多い金持ちにより多くの利益をもたらす。また、軽減対象品目の管理のために事業者や納税者に多大のコストをもたらす。」と書いておられるが、その通りである。

3) 賢い政治を望む

2009年9月に政権に就いた民主党はマニフェストをその政治方針の全てであるとして政治運営を行った。選挙では、当時の自民党への批判票が多く民主党に流れたことを無視したのであり、国民の意見を反映し、国民の全てを裕福にすると言う基本原則を忘れ去ったのである。マニフェストや公約に書かれていない最も重要なことが存在するのである。それを忘れて政治をしてはならない。

世論調査通りに、自民が大勝するとしても、政権を取ったなら、多くの専門家や国民の声を聞いて、国民を豊かにする政治をして欲しい。そして、野党は、その実施を監視して欲しい。倍増すると予想される共産党は、是非そのような国民参加が実現可能な国を目指して活動していただきたいと思う。

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2014年12月 7日 (日)

真珠湾攻撃とは何であったのか?

今年も12月8日がやってくる。真珠湾攻撃とは何であったのか、様々な見方ができるが、誰がどのように対応したかは、興味あるところと考える。

米海軍力を弱めることが攻撃の目的であったことは間違いはない。1922年のワシントン条約で日米の主力艦(戦艦・空母)は5対3の割合と取り決められた。日本は1934年に条約の破棄通告をしていたが、まともに建艦競争をしたら、日本に勝ち目はない。米国が大量の新艦建造に手を付けない前に沈める必要があった。米国からの対日石油輸出禁止は1941年8月であり、オランダ領インドネシアのパレンバンとバリクパパンからの石油を頼みの綱とせざるを得なくなっていた。

米国は大西洋と太平洋に面している国であり、海軍は両方共ケアせねばならない。主力艦割合5対3と言っても、太平洋に半分とすると2.5となり日本より少ない。その上、パナマ運河を通過可能であることが必要であり、日本のような戦艦大和は建造できない。そもそも、それが分かっていたからこそ、日本は戦艦大和を作った。戦艦の大砲は横方向に撃つ。このための復元性維持を目的とした艦幅が必要であり、戦艦大和はパナマ運河制限を超えていた。その代わり、米国のどの戦艦より大砲弾の届く距離が長い。

しかし、それらの優位性は、限られた優位性であり、当時の米国はGDPで日本の12倍、粗鋼生産量も12倍。原油は当時世界一の生産量。残念ながら、短期的に幾つかの戦闘での勝利に止まるはずである。又、実際にそうなった。当然、当時日本でも短期的な勝利の時期に和平に持ち込むことを期待していた人もいたと思う。しかし、国内でのコンセンサスも十分な議論もなく、破滅へと向かっていった。

真珠湾攻撃の結果は、重要である。同日、米国時間12月8日に日本との戦争を米国議会は承認した。(参考ここ

そして、日独伊三国同盟もあり、ドイツは12月11日米国に対し戦争を宣言した。米国議会も同日にドイツとの戦争を承認した。(参考ここ

米国は太平洋とヨーロッパで戦争をすることとなった。真珠湾攻撃がなくても、米国は太平洋とヨーロッパで戦争をしていたかも知れない。しかし、その時期は、もっと遅かったであろうと思う。米国参戦が遅かった場合、フランスがドイツ支配下に入り、英国とソ連だけがドイツと戦争をしている状態で、ヨーロッパもどのようになっていたか分からない。真珠湾攻撃とは、そう考えると、何であったのかと思う。真珠湾攻撃は、奇襲であった。だからこそ、ルーズベルトは米国民の圧倒的支持で戦争に入ることができた。奇襲であるからこそ、日本もドイツに事前には知らせていない。真珠湾攻撃に驚いたのは、ヒットラーだっただろうと思う。もしかしたら「これで米国が参戦する。そうなるとドイツが負ける可能性が出てきた。」と思ったかも知れない。

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2014年12月 6日 (土)

衆院選の選択基準

自民300議席以上で圧勝と予測するマスコミ報道がある。国民は、アベノミクスに誤魔化されて無党派層も含め、自民が票を集めようとしているのかも知れない。

日経 12月5日 無党派層、自民に流れる 比例代表で3割

現状を正しく把握し判断しての選択であれば、それでよいと思う。しかし、単にムードに流されてと言うのでは、後で後悔しかねない。私が考える現状分析を述べることとする。

1) 大インフレだが賃金は上がらず

賃金は減少はしないと思う。しかし、物価は上がる。即ちインフレである。所で、インフレ脱却は良いことなのかと言えば、決してそうではない。インフレの苦しみを知らない人が多くなっており、更にインフレを経験した人は、インフレ以上の賃金上昇を経験した人である。これから来る時代は、インフレ率より賃金上昇率が低いという厳しい時代である可能性が大きい。一部の勝ち組の人達は、その中でも富を得ていけるが。

次チャートは、2014年の米ドル為替の動きである。

Exrate201412

現在の米ドル121円というのは、円安でありすぎる。100円時代からすれば20%上がっている訳で、輸入品価格は20%上昇していても当然である。無理に、為替レートを100円にしろと言っているのではない。円安に向かう状況の時は、そのような時の政策が存在する。それは、決して金融緩和でない。アベノミクスを継続するなんて主張する馬鹿には、考え直して貰いたいと思う。

今のアベノミクスでは、力のある企業は独力で成長を続けるであろうが、中小を含め流されざるを得ない企業や人々は、しわ寄せを喰う可能性が高いと思う。

2) 考え直すべきアベノミクスの部分

アベノミクスを金融緩和、財政出動、成長戦略だとすれば、金融緩和と財政出動は不要である。必要なのは、成長戦略であるが、単純ではない。また、抽象的な標語で語るべきではない。具体的な政策を討議し、その政策の結果として予想される利益と共に不利益を分析して決定するのである。そして、そんな難しい政策議論は、議員達には任せたくはない。民・官を含めた国民が議論して決定していくのである。議員達は立法に専念すればよい。

選挙選において候補者や政党が言うことは、希望のみである。例えば、エネルギー問題もああだこうだと結論づけられるほど単純ではない。国民が参加して民・官で考えてこそ、正しい選択が得られるはずである。選挙で勝てば、「勝てば官軍」と、何が何でもマニフェストと叫んで国民の声を聞こうとしなかった人達がいた。民・官の声を大事にする政策が重要なのである。

3) アベノミクスの評価は

私は、消費税10%実施のためには、アベノミクスもやむなしと考えていた。しかし、消費税10%を放棄したなら、アベノミクスには弊害のみと考える。

アベノミクスの評価は、人によって異なって良い。自分自身にどのような恩恵がめぐってきたか予想されるかでも良いと思う。なお、政府財政問題については、次のグラフからしても、真剣に考えるべきと思う。1000兆円とは30年均等償還でも償還が毎年30兆円以上になるのであり、消費税10%で得られる税収入25兆円より大きいのである。

Jgdebt201411

衆院選に関する社説が色々あるが、河北新報の12月3日の社説’14衆院選 アベノミクス/確たる「別の道」はないのかは、そのなかでは一番おもしろいと思いました。

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2014年12月 4日 (木)

はやぶさ2の打ち上げ物語を計算で推定

はやぶさ2の打ち上げ実況中継をJAXAのWebで見ましたが、興奮を覚えました。

日経 12月3日 はやぶさ2、打ち上げ成功 予定の軌道に

JAXAによる17:20発表はここにあります。

中継は、打ち上げ(13時22分)から15分-20分ほど経過した14時少し前に一旦中断した。そして、14時55分頃に再開して、15時10分頃に終了した。何故なのかなと考えたら、当然のことで、成功の確率を上げるための手段だと理解しました。

そのような事も含め、私が気づいた興味ある点を書いてみます。

1) 最大の打ち上げ力はブースターなのかな?

ここに三菱重工とJAXAが2014年9月に発表した打ち上げ計画書がある。ロケット推進薬(燃料と酸化剤)は、第1段ロケット、ブースター、第2段ロケットに入っているが、その量はそれぞれ114t、151t、20tであり、ブースター2本分のが一番多い。即ち、打ち上げに必要なエネルギーはブースターが受け持ったのかも知れない。但し、ブースターは固体燃料であり、第1段・第2段は水素と酸素であり、単純な重量比較は正しいとは言えない。比推力の283.6秒と440秒も加味すると、推進エネルギーは第1段がブースターの1.3倍になる。しかし、推力で比較すると、第1段は1,100kNで、比較的短時間に燃焼を終了するブースターは5,003kNであり、圧倒的にブースターが大きい。

単純な計算をすると、打ち上げ時の全質量(重量)が287トンなら地球に引っ張られている重力は2,812kNとなる。ブースターがなければ1,100kNしか推力がなく打ち上げることができない。もし、推力がブースター込みで6,103kNあれば約11m/sec2の初期上昇加速度が得られる。ブースターは93秒で燃焼を終了し、107秒で切り離された。切り離しにより、衛星を含む質量はブースターと第1段の燃焼済み燃料と消費済み酸素を25トンと推定すると、ブースター130トンに加え25トンが差し引かれ110トンである。その後も第1段ロケットの推進剤は消費され、質量が減少していくことから第1段ロケットの推力1,100kNでブースター切り離し以後も加速可能である。

2) 第1段ロケット燃焼終了前にフェアリング分離

打ち上げ後4分11秒で衛星フェアリングを分離した。第1段は6分36秒まで、予定通りほぼ390秒燃焼した。4分11秒で空気がほとんど存在しない大気圏外に到達し、空気抵抗その他の影響はほとんどなくなり、ロケット先端の衛星フェアリングを分離し、質量を減らした方が良くなったと理解する。

3) 第2段ロケットは4分26秒燃焼後一旦燃焼停止

ロケットは6分36秒で1段目の燃焼を終了し、6分44秒で切り離し、6分54秒で第2段ロケットに点火した。その4分26秒後の11分20秒に一旦燃焼を停止した。

打ち上げ後11分20秒の位置であるが、この図を見ると、北緯25度東経155度付近であり、小笠原父島の追跡所を北緯27度東経142度とすれば、小笠原追跡所を少し過ぎた辺りになる。その時の速度は7.8km/秒である。高度を250kmとして地球周回軌道に入るための最低速度は私の計算では7.76km/秒であり、この速度以上になっている。そうであるなら、小笠原追跡所を離れつつある時に地上から電波を送ってコントロールするより、一周して戻ってきた時にコントロールした方が安全である。勿論、ほとんどは自動で、無理に地上からコントロールする必要はないと思うが、万一の場合は、地上から信号を送って制御する必要が生じる可能性がある。

打ち上げから4分26秒後とは午後2時26分30秒である。一周して戻ってくる(種子島でコントロールできるまで)少し前まで、中継も中断した。

3) 第2段ロケットの再点火と燃焼終了

打ち上げから1時間39分26秒後に種子島の少し南西北緯28度東経127度付近に戻ってきた時、第2段ロケットに点火した。それから4分5秒経過した1時間43分31秒に燃焼を終了した。位置は北緯23度東経147度付近と推定され、小笠原ダウンレンジ局に相当近い。この時の速度は11.8kmで高度は313kmである。地球の引力から脱出することとなる最低速度(第二宇宙速度)は11.2km/秒であり、この速度を超過している。C型小惑星「1999 JU3」に到達可能な速度になっている。

4) はやぶさ2と3衛星の分離

第2段ロケットの燃焼終了から3分50秒後に、はやぶさ2を分離。その6分40秒後に、しんえん2をその4分10秒後にARTSAT2-DESPATCHを、そしてその4分10秒後にPROCYONを分離していった。分離位置は、はやぶさ2分離が北緯13度東経163度付近で、最後のPROCYON分離位置が南緯13度西経153度付近と推定される。

JAXAのもう一つのキリバスのクリスマス島ダウンレンジ局が北緯2度西経157度である。距離的には、はやぶさ2分離位置では小笠原局との距離が短く、他のにしんえん、ARTSAT2-DESPATCHとPROCYONについてはクリスマス島の方が距離が短い。多分、にはやぶさ2の分離までは小笠原局、3衛星はクリスマス島で分離をフォローしたと想像する。

5) 感想

第2段ロケットを前半と後半に分けて燃焼し、しかもその間が1時間28分の燃焼停止を挟んでいる。三菱重工のWebで説明を見るとH-IIAロケットの第2段は燃焼時間の箇所に多数回再着火可能、アイドルモード機能と書いてある。でも、今回のはやぶさ2が再着火で打ち上げた最初ではないかと思う。最初のはやぶさは、全段固体エンジンロケットのM-Vで打ち上げており、再着火はできなかったと理解する。

概算であるが、自分で計算してみて思うのは、見事に、このポイントであれば小惑星に到達可能であるという計画で実施しており、さすが計算し尽くされていると感心した。小惑星1999JU3に行って帰るまでの軌道も、そのような、それ以上のすごい計画で予定されていると考える。惑星軌道になると太陽、地球や公転のことも考慮しての計算になるので、そこまではギブアップせざるを得ない。従い、はやぶさ2のスイングバイ軌道なんて計算できていないから、そうなのかなと思わざるを得なかったが、打ち上げロケットについて少し計算すると、それだけで全てを信頼する感覚になりました。

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2014年12月 2日 (火)

大阪市のオスカードリームとオーク200

いやはやすごいことだとでと思います。

毎日 12月1日 土地信託事業:大阪市の無策指摘 外部監察が報告書

大阪市が信託銀行に対して919億円を支払うに至った事に関する外部監査チームの報告書が公表されたとのニュースです。

その報告書はこの大阪市交通局のWebからダウンロードできます。

オスカードリームについて282億円の支払いに応じる意向を大阪市が示した時のニュースは日経 2014年1月9日 オスカードリーム訴訟、大阪市が和解受諾へ 財源は不透明 であり、オークへの支払い637億円に関しては日経 2014年10月28日 オーク200訴訟 大阪市、3銀と和解成立であった。

外部監査チームの報告書を読むとやはり無茶苦茶やっているんですね。

1) 地方自治体の役目

地方自治体は、都道府県民・市町村民に地方自治体でなければ果たすことができない又は果たすべきである事業・サービスを提供することがその役割である。ところがオスカードリームとオーク200では、どうどうと不動産ディベロパーの仕事をした。結果、見込みが外れて大損失となった。しかし、その結果は不動産ディベロパーでないから、誰も責任を取ることができない。即ち、事業をすることのガバナンスが今も昔もないから、損失は継続するだけ。何故オスカードリームとオークは事業を中止に至ったかは、信託銀行から支払いについて裁判を提起されたからと言う普通では考えられないようなお話である。

オーク200は、Wikiがここにあるが、1番街から4番街まであり、50階と51階のビルも含まれている。建設中利息や経費を含めてプロジェクトコストは1027億円であった。賃貸収入は年32-33億円だったから投資額の3%なので、借入金644億円の利払いと管理費でほとんど消滅し、大規模修繕なんてのには回す金はほとんどなく、不動産価値はどんどん下がっていっていたのではと想像する。

オスカードリームのWikiはここで、元は大阪市営バスのバス駐車場兼ターミナルだった土地です。1989年12月に有効利用提案競技が発表され、4者が提案を提出し、1900年6月に安田信託銀行に決定した。総事業費188億円なるも、予想配当263億円で、他の三菱信託47億円、住友信託・三井信託・大和銀行45億円、東洋信託・中央信託50億円と安田信託銀行の予想配当よりはるかに高かった。しかし、事業は賃貸収入約5億円程度に対して5億円以上の欠損金というのが実態で、当初の借入金218億円が膨らんでいった。

2) 信託の利用

不動産ディベロパーの事業を何故地方自治体が可能であったかは、信託という仕組みを利用したからだと考える。信託とは、委託者との信託契約に基づき受託者(信託銀行等)が財産の管理又は処分及びその他必要な行為をすることです。土地の所有権は受託者に移転しているかも知れないが、ビジネスに係わる全ての収益・費用・リスクは委託者に帰属する状態です。

委託者(大阪市)は、借り入れ名義人にならないので、議会承認等も簡単であったと思う。信託銀行は信託契約に基づく受託者の管理義務を果たしていれば、信託報酬が受領できた。

信託を利用すれば、本体から切り離す事ができる。それ故に信託財産は、倒産しても一般資産とは切り離され信託契約は継続する。悪知恵を働かせれば、市民にこっそりと事業を手がける方法となる。

3) 他の地方自治体

オスカードリームやオーク200は、氷山の一角なのだろうと思う。所有地は普通に売却すればよいのだが、それでは市民のための開発としては適さない利用をされかねない。一方、条件付きだと価格のみでの決定でないから、その時の市長は反対勢力にけちを付け兼ねられないというようなこともあるのでしょうか。ショッピングセンター、ホテル、一般住宅なんて地方自治体が開発するモノではないですよ。

地方自治体は、税金で市民サービスを提供するのが役割なので、事業という概念に馴染みにくい。従い、再開発のために市有地を利用するというような基本方針が一旦決定すると、その基本方針を変更することはほとんどなく、事業が具体化していっても、採算性やリスク評価よりは基本方針との整合性が重要視されたりする。事業が赤字であっても、オスカードリームやオーク200のように信託銀行が立て替えを行い、地方自治体からの現金支出がない場合は、そのまま損失拡大が継続する。そもそも、地方自治体には一般事業はその役目・役割に含まれていないのだから、撤退についても内部で議論すらすることが困難である。

決して、大阪市のことだけではない。自分の住んでいる都道府県・市町村は大丈夫かチェックしてみる必要がある。しかし、個別事業の事業報告書と財務諸表が全て簡単にWebからダウンロード可能なようになっているのだろうか?

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2014年12月 1日 (月)

解散根拠不明の選挙が始まる

いくら考えても今回の衆議院解散はよく分かりません。政策に失敗したから、消費税10%を1年半延期し、衆議院を解散しますとは、無責任に思えて仕方ないのである。

東洋経済ONLINEに焦点がずれている、アベノミクス選挙なる記事があった。

ほぼ1年前の12月24日にOECD統計による国別の税負担というブログを書いた。2011年の日本の税は28.6%でありOECD諸国の平均34.6%より6%ポイント低い。なお、GDP比であり、税率ではなく、又公的年金と公的医療保険の保険料も税に含めている計算です。

2005年から2011年にかけての各国の税(GDP比)を比べたのが次のグラフである。

Oecdtax201412a

一番税が高いのがデンマークであり、一番低いのがメキシコです。それほど、大きな変化はないと言える。景気がよいから増税ができるかと言えば、そう簡単ではない。やるべき時にやらないとできないのである。実行力のない政治家は困りものであります。

次は税項目別にOECD平均と日本を比べた図です。

Oecdtax201412b

GDP比パーセントなので、個人所得税の場合であれば、日本のGDPを520兆円としてその5%は26兆円であり8%は41兆円です。でも、この図からすれば、問題があるのは個人所得税と一般消費税となる。

OECD平均に一致させる必要はないが、政府財政の健全化は避けては通れない。どの税をどう上げるかが、本当は選挙の争点であるはずだ。一方、馬鹿な政治家は、議員定数削減と言う。それで幾ら支出削減ができるかとその結果として馬鹿だけの議員になることを恐れる。

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