少年犯罪は減少している
直前のブログで少年法の厳罰化には慎重であるべきと書いた。統計データを元に議論することが重要であり、統計データから作成したグラフを紹介する。
政府は自らが管轄する行政事項に関する統計を作成、発表しており、警察庁も同様である。警察庁統計は、このWebからダウンロード可能である。その中には、次の少年非行情勢に関する報告書も存在する。(少年は、少年法においては20歳に満たない者と定義しており、少女も含む。本ブログにおいても、同様とする。)
警察庁生活安全局少年課 少年非行情勢 平成26年1~12月)
この少年非行情勢を読めば、以下のことは、全て読み取れるが、このブログなりのグラフを作成した。
1) 最近10年間の少年犯罪(刑法犯)検挙人数
図1の通りであり、減少している。
この10年で少年犯罪(刑法犯)検挙人数は123,715人から48,361人へと半分以下の60%減少した。少年犯罪でもっとも多いのが窃盗犯であり、この分類の中で一番少ないのが風俗犯である。但し、風俗犯は唯一2005年の383人から2014年の445人へと増加している。なお、その他の刑法犯に分類されているなかで最も多いのは60%以上になる占有離脱物横領であり、拾得物横領のような犯罪である。
2) 1950年からの統計
この10年間のみならず更なる長期間を比べる必要もあり、同じように作成したグラフが次の図2である。
少しグラフの形が変わってきた。その上で、一部に言われている少年犯罪が近年増加しているとの表現は正しくないと考える。
3) 警察庁把握少年非行数
図1や図2において14歳から20歳未満と注記した。刑法に触れる行為をしても14歳未満は少年法第3条1項2号により家庭裁判所の審判となり、検挙にはならない。次に、刑法ではなく軽犯罪法、迷惑防止条例、青少年保護育成条例、銃刀法、大麻法、覚取法等に抵触するケースがある。このようなケースも分析対象とする。
さらに関連する事項として補導を受けた人員数がある。これらの4分類で10年間の人員数の推移を表したのが図3である。なお、補導については警察が関与していない場合もあり、警察庁統計からの図3の補導人員については、警察が補導した人員であり、他の機関で補導された人員は含んでいない。
刑法犯少年のみならず補導人員他を含めたとしても、非行少年は最近10年減少傾向にあると考える。全体がよければ個別も良いとは限らないが、個別をもって全体を判断することは誤りである。個別の事件は、個別の事情として深く掘り下げて対策を考えるべきである。
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