クラウドサービスの消費税は国外事業者にも課税
2013年11月18日にこのブログを消費税を払わない方法というタイトルで書いたのですが、その続編です。本年の「所得税法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されており、与党が過半数を占めており3月中には成立間違いないと思います。
所得税法等の一部を改正する法律案の第4条は消費税法の一部改正であり、この中に国外から日本に対するネット通信を媒介としての役務の提供を課税取引に変更する案が記載されている。財務省の平成27年度税制改正の大綱ではこのページに説明がある。
法案では、事業者向け電気通信利用役務の提供を特定資産の譲渡等とし、現行では国外が譲渡・提供地となっているのを、国内に改正している。結果、日本国内で事業者が行うネット通信を媒介としての役務の提供は消費税対象の取引となり、2015年10月から適用されることとなる。今後クラウドサービスのようなビジネスは確実に増加すると思う。その場合、国内事業者が日本向けのビジネスにおいて消費税で不利になるのは、よろしくない訳で、しかもソフト関係となると益々変に思える。従い、この改正は妥当なのだと私は思います。
課題としては、国外事業者が消費税を納付するのかと言う点です。幾ら法律を作っても、日本法は日本国内でしか強制力を持たない。そこで、今回の改正案は特定資産の譲渡を受けた日本国内の事業者に申告と納税の義務を負わせている(これをリバースチャージ方式と呼ぶそうな)。
しかし、これで完結しないのが、今回の改正案である。即ち、附則部分の案も読む必要がある。附則第38条で、特定資産に係るものについては、当分の間、仕入れ税額控除を適用しないとしている。その上で、国外事業者が登録国外事業者として税務署に申請し登録されている場合は、仕入れ税額控除が受けられるとしている。外国事業者としては、登録国外事業者になっていなければ、販売した相手の会社が仕入れ税額控除を受けられなくなり、登録が進み、かつ登録国外事業者による消費税の納付もある訳で、財務省も考えましたねと思った。
なお、附則で、課税売上割合が95%以上である場合には、当分の間、国内において行った特定課税仕入れはなかったものとするとある。課税売上割合が95%以上なら、仕入れ消費税全額控除なので、支障はないとしたと思います。
2013年11月に書いたことがあり、今回どのような改正をしようとしているかと法案を読んで、思ったことを書きました。
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