役員報酬14億円強を受領のユーシン会長兼社長
会計ニュースコレクターさんのブログ(これ)で知りました。自動車部品会社ユーシンの会長兼社長が一人で受け取った役員報酬14億円強が過去最高を記録したと東京商工リサーチが4月3日に報じた。東京商工リサーチのニュースはここにあります。
ユーシンは自動車部品等の製造メーカであり、過去2回社長を公募したことでも有名である。(参考:東洋経済 2014年08月29日 ユーシン、2度目の社長公募はどうなった?後継者選びに挑んだ80歳社長)
なお、過去の役員報酬の支払い記録と業績を調べると次表の通りであった。
2014年11月期は12億5千万円の純利益であったが、連結業績は4億3千万円の赤字であった。2011年11月期を除き、連結ベースの方が業績が悪い。即ち、赤字子会社が多いことを意味する。
また、役員基本報酬にしろ賞与にしろ圧倒的に田邊耕二氏に対する支払額が多く、2014年11月期は86%が同氏への支払いである。優秀な人材が来れば、10億円を越える報酬も支払いますよと更に3回目の社長公募への布陣なのかも知れないが、分かりません。
考えれば、会社法以前の商法時代は役員賞与は利益処分として扱い多くの会社では株主配当金のより少ない金額を役員賞与の総額としていた。決して、それが正しいとは限らないが、会社法にだって次の361条1項がある。
第361条 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。 一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額 二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法 三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容 |
ユーシンの112回定時株主総会(2013年11月期)招集通知を見ると、4号議案として取締役の報酬額改定の件とある。しかし、取締役の報酬額総額を年額10億円以内から年額30億円以内に改訂するという内容であった。個人別の役員報酬額は年1億円以上の場合、2010年3月期以後の有価証券報告書でコーポレートガバナンスに関する項目として開示が義務付けられた(参考)。従い、有価証券報告書が株主総会の後で提出される場合には、1億円以上であっても役員報酬は総額の開示で通用する。本当は、株主配当金や役員報酬については、株主総会で議論されても良いことと思うのであるが。なお、ユーシンの株主配当金は年間3億円弱。また、田邊耕二氏の持ち株は1%未満である。
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