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2015年7月11日 (土)

トヨタ元常務役員のジュリー・ハンプ事件

普通の神経の人には、理解に苦しむ事件であったと思う。

日経 7月7日 麻薬密輸容疑のトヨタ元役員を起訴猶予へ 悪質性低いと判断 

1) ジュリー・ハンプの感覚

ジュリー・ハンプは容疑を認めていないとの報道が当初あったが、この日経記事には『「膝の痛みを和らげるため、父親から送ってもらった」と供述』とある。しかし、『「ネックレス」として輸入申告され、箱の中からはネックレスなどのほか、隠すようにして包みに小分けされたり、底に敷き詰められたりした麻薬成分「オキシコドン」を含む錠剤57錠が見つかった。』とある。そうなると、偽装工作をして日本に密輸入しようとしたことは明白と思う。

一方で、日経記事にある『麻薬とは思っていなかった』とのジュリー・ハンプ供述については、それなら何故ネックレスの偽装をし、箱の底に錠剤を敷き詰めたかの疑問を解くことができない。確信的実行犯であったように思う。

2) トヨタ

記者会見を開いて無罪を信じると社長が述べたのである。人情に厚い会社である。しかし、一方では、ガバナンスゼロの会社であることを証明してしまった。即ち、警察が逮捕まで踏み切ったのは、それ相当の証拠があったと考えるべきであり、真実の追求をすべきである。しかし、トヨタにとって真実よりは会社の力を強引に見せつけることであったと印象づけた。次に、法令遵守・ガバナンスは二の次であることを証明した。日本で勤務する以上は、日本の法を遵守せねばならない。法遵守は、コンプライアンスやガバナンスの基本中の基本である。仮に、ジュリー・ハンプが日本の法令を熟知せず、違法行為を働く可能性があれば、会社としてジュリー・ハンプに注意喚起をしておく必要があった。最も、偽装密輸をした訳で、熟知していた可能性もある。

3) 検察庁

起訴猶予であり、不起訴処分ではない。従い、被疑事実は明白であるが、犯罪の軽重及び状況並びに状況を勘案して起訴をしないことを検察が判断したのである。嫌疑不十分で不起訴にしたのではない。

ジュリー・ハンプの場合は、妥当であると思える面がある。しかし、仮に同様の犯罪があった場合は、どうなのだろうか?ジュリー・ハンプは起訴猶予で、他の人は起訴とするなら、検察の対応について社会は不信を持つこととなる。自分が、ある外国で、治療のために、その外国では合法であるが、日本では違法となる薬物を飲んでいた。それが日本でも、どうしても必要であるなら、やはり日本で医師の診察を受け、処方箋によりその薬物を入手すべきである。医師は、保険適用外でも、診察をして、処方箋を発行することが可能である。

脱法ドラッグ・危険ドラッグについて規制を強化していこうというのが現在の日本社会である。この日本社会の動きと検察庁の今回の判断を照らし合わせて考えると、どうなるのかとの疑問を抱いた。

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