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2015年8月30日 (日)

物価を考える

寅さんの「男はつらいよ」の主題歌に「目方で男が売れるなら こんな苦労も・ こんな苦労も掛けまいに」と言うフレーズがある。世の中のことは、単純に一つの指標が全てを表すわけではない。

消費者物価指数について、7月の消費者物価指数が横ばいであったとのニュースがあった。

日経 8月29日 日銀、デフレ心理警戒 7月の消費者物価横ばい 

日経の物価ウオッチというWeb(ここ)であるが、総務省統計局の物価指数のみならず日経・東大日次物価指数、一橋単価指数、Tポイント物価指数(TPI)をグラフにしている。この日経の物価ウオッチで見ると、特に一橋単価指数は最近においても物価上昇率は年率2%程度であり、あまり変動していないことになる。理由は、スーパーマーケットやドラッグストアなど全国約4000店舗の購買データをもとに算出していることや、他の条件の差によると考えられる。また、総務省物価指数については生鮮食料品を除外していることにもあるとも思える。

総務省物価指数は、統計品目の物価をウェイト付けをして集計した総合物価指数のみを発表しているのではない。588品目に渡り調査をし、中分類集計を含めて公表している。マスコミが報道する総合物価指数以外に目的等に応じて分析・検討・判断しないと結論を誤る可能性がある。

とりあえず、総合及び総合(食料品を除く)と食料品の3項目について日経の物価ウオッチのチャート同一期間の2013年1月以降の推移をグラフ化した。2010年を100とした指数表示と前年同月比の2種類のグラフを掲げる。

Cpi20158a
Cpi20158b

日経の物価ウオッチは、前年同月比であり、下部のグラフとほぼ一致する。但し、食料品については総合物価指数と差が相当ある。2013年5月頃と比較すると食料品は8%程物価上昇している。

さあ、どうなのだろうか?物価上昇が不十分であるとしてインフレ政策を拡大すれば、家計支出で最も重要な食料品支出が更に増大し、貧困の拡大になる懸念はないだろうか?正確に統計結果を分析しないと、寅さんが警告をする「男を目方ではかる」ようなバカなことをすることになると思う。

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2015年8月23日 (日)

大阪高槻事件の深層

中学1年の平田奈津美さん(13)と星野凌斗さん(12)が殺害された事件は、本当に悲しい事件であり、痛ましい限りである。

少年遺体は星野さんと確認、13日ごろ死亡か 大阪中1遺棄

何故こんな若さで、命を絶たれたのかと思う。

一方、12日深夜に二人は寝屋川市駅付近をうろついており、防犯カメラに13日1時半や5時頃に映っている。平田さんが殺害されたのは、13日午後7時頃と推定されている。中学一年生が、こんな時間帯に散策するなんて、何か異常だなと思う。

二人の家庭環境は、どうであったのだろうか?東スポの次の記事に、少し報道があった。

東スポ 8月20日 【高槻市少女殺害】外泊重ねた事情、行方不明者届なぜ遅れた?

夏以降、平田さんは友人と金を出し合い、簡易テントを購入。平田さんの自宅玄関前にテントを張って一夜を明かすこともあった。そのテントは平田さんが失踪時に所持していた。』なんてことも書かれている。これって異常だと思う。

二人の家庭環境は、ともに複雑であったのだろうと思う。しかし、問題を家庭環境に限定してはならない。その背景に必ず社会問題がある。格差拡大、貧困層の増加、男女格差、保護・支援制度とか様々な言葉が頭に浮かぶわけであり、日本でこのような事件が起こったことは、やはり社会問題としても考える必要があるはず。保護・支援制度について、私が日頃思うことは、「無駄な支出の削減」というプロパギャンダの下、最も簡単な人件費削減策として人員を減少する。結果、支援がおろそかになる。本当は、支援として金銭を支出するより、相談員とかが支援を提供することの方が効果的であり、重要なこともある。議員や幹部職員は、手っ取り早く説明できる予算をいくら削減の方を望むが、国民・市民にとっては、そうではない。実際・実質という中身が需要なのである。

二人の死を無駄にしないなら、この事件の真相、背景を幅広く調査し、問題点を深層にまで掘り下げて教訓を導き出すべきと考える。二人については、ご冥福を祈りたい。もし、冥土がなくても、あの世ではお幸せにと祈りたい。

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2015年8月22日 (土)

日本年金機構の早期解体を望む

次のようなニュースに接するとますます日本年金機構が嫌になり、こんな組織に国民の財産である厚生年金・国民年金の管理をさせることは、大いなる問題であり、早期に解体すべきと考える。

日経 8月21日 「年金機構、調査に非協力的」 情報流出で検証委批判 

検証委員会の報告書は8月21日に提出され、日経が作成した報告書要旨はここにある。なお、検証委員会の報告書そのものはこの厚生労働省のWebからダウンロードすることができる。(検証委員会についてはこの厚労大臣発表この検証委員会のWebを参照)

一方、年金機構も「不正アクセスによる情報流出事案に関する調査結果報告」を8月20日に発表としておりここにある。

これら報告書等を読むと年金機構のデタラメさがよく分かる。例えば、検証委員会報告書(要約版4ページ)に次の記述がある。

Nenkinkikou20158a

この通りの運用がなされていたならば、個人情報の流出はなかったのである。大原則・大前提に違反することが日常的に行われていた。幹部がこれを知らなかったと言うなら、全責任は幹部ですよ。知っていて放置する。ガバナンスなんて何もない。国民の利益なんて考え方は頭の中にない。

次の部分は、年金機構の報告書8ページからです。大原則・大前提に違反する運用がなされていないので、不正アクセスが疑いがあれば、大原則・大前提に沿った運用に戻すのがするべきことである。しかし、実態は何ら対策が実施されなかった。

Nenkinkikou20158b

こんな日本年金機構を存続させて良いのかと思うのである。そもそも日本年金機構とは、厚生労働大臣の監督の下に、厚生年金及び国民年金事業に関の適正な運営並びに厚生年金保険制度及び国民年金制度に対する国民の信頼の確保を図り、もって国民生活の安定に寄与することを目的として業務を行う特殊法人である(日本年金機構法第1条より)。 日本年金機構法という日本年金機構のみのために制定されている法律により設立された特殊法人である。

社会保険庁を設立するのが本筋である。特殊法人に国民の大事な年金に関する事務作業を委託すれば悪いことが発生するだけである。こんな悪事を働く年金機構が存続することは許されないと考える。

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2015年8月18日 (火)

ドローン対策

ドローンについては、よく考える必要があると思います。

規制するとして、有効且つ合理的な規制が重要であると考える。一方、簡単にそのような規制があるのかと思うし、将来の可能性が大きいと思われる故、変な規制をせずに社会をよくするための道具として発展するように支えるべきだと思う。

ところで、ドローとは、そもそも兵器であり、兵器であるからこそ、急速な発展があったと考える。次の日経記事は米国はドローン飛行回数を4年間で5割増やす計画と伝えている。

日経 8月18日 米、軍用ドローンの飛行1.5倍に テロへの活用拡大

ドローンは兵器なのだと考えたとき、ドローンによりテロリストから攻撃を受けたときの対策の検討と日本(の自衛隊)による防衛のためのドローン使用の可能性があると思う。ドローンとは、米国がISISに対する攻撃に使用する兵器であると限定して考えては誤りを犯すと思う。首相官邸にドローンを墜落させた事件があった。将来、もう少し大きなドローンを使って将来首相官邸か原発かわかないけれど、テロリストが何かを仕掛ける可能性はどうなのだろうかと思う。

ドローンについては、うまく付き合うこと、利用する必要性があることを思いました。

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2015年8月17日 (月)

Stop Shortとは?

安倍首相の戦後70年談話に関するWashington PostとWall Street Journalの記事表題にある”Stop Short”を直前の私のブログでは「ほんの少し立ち止まる。」という意味でしょうか?と、書いたのですが、「ほんの少ししか立ち止まらなかった。」即ち「談話の文章中で、ほんの少ししか言葉を割かなかった。」との意味に解釈するのが妥当であると考えます。

Washington Postでは”stops short of WWII apology”、でありWall Street Journalでは”Stops Short of Direct Apology Over World War II”と書いてあり、「第2次大戦に関するお詫びについてはほとんど触れなかった。」との意味に解釈するのが適切であると考えます。

Shortという意味は「短い」であるが、「不足」との意味でも多く使われ、短ければ足りないのは当たり前でもあります。足りないことをShort(短い)として表現するのであり、Shortageなんて考えればごく普通の表現です。

昨日のブログ内に英文解釈で不足があったことをお詫び申し上げます。

蛇足ですが、Washington PostもWall Street Journalも、私が理解不能と書いた。「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」英文”We must not let our children, grandchildren, and even further generations to come, who have nothing to do with that war, be predestined to apologize”についての言及はあります。

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2015年8月15日 (土)

安倍晋三首相の戦後70年談話

8月14日に安倍晋三首相が戦後70年談話を発表した。談話は、首相官邸の次のWebで読むことが出来る。

平成27年8月14日 内閣総理大臣談話

総理大臣談話としての文章は、この程度かな、安倍氏個人としては相当踏み込んだつもりだろうなと思う。

日経は、この記事 「70年談話、海外反応は様々 メディアは厳しい声も 」で、海外メディアの反応等を伝えていた。参考として、NYT、WP、WSJの記事は次の通りである。

NY Times: Shinzo Abe Echoes Japan’s Past World War II Apologies but Adds None

WashingtonPost: Japan’s leader stops short of WWII apology

Wall Street Journal: Japan’s Abe Stops Short of Direct Apology Over World War II

WPとWSJが表題に使っている”Stop Short”とは、「ほんの少し立ち止まる。」という意味でしょうか?NYTの”Adds None”なる「追加したことなし。」との表現も面白いと思った。

様々な意見や批判が出ることは良いことである。何も出ないことこそ、良くないことである。実は、戦前の日本が戦争に向かっていった背景の一つに異なった意見や批判を許さなかった、封じてしまったことがあると考える。米占領軍政策として、軍部に戦争責任を押しつけ、国民には罪はないとしたことがあると思う。ある部分では、それは正しいと考えるが、それが全てであるとすると大きな誤りを犯すと考える。遺族の中の英霊の死を無駄にしてはならないとの声に心情的に同感を覚える人はあり、そのことが侵略につながっていった部分はあると思う。

安倍談話であるが、私にとって、意味不明部分がある。「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」との部分である。日本政府は戦時賠償を行った。中国のように相手国による賠償権利放棄もある。(参考:1972年9月29日の日中共同声明の第5項(この外務省のWeb))賠償権利放棄が永遠に存続するとともに、日中共同声明前文の「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」との部分も永続すると考える。「謝罪」との言葉は何を意味するのかにもなってしますが、下手をすると、謝罪を続ける宿命を背負はないとは、歴史をふりかえらないとの意味にもつながりかねないと思う。

安倍談話も、直後の文章に「世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。」とあり、謝罪を続ける宿命なる言葉にこだわる必要はないのかも知れない。しかし、私とすれば、それなら、謝罪を続ける宿命という部分は、初めから削除しておくべきであったと考える。

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2015年8月12日 (水)

原子力発電の廃棄物(使用済み核燃料)

川内原発は再稼働(起動)をした。

日経 8月11日 川内原発が再稼働 新規制基準後初めて 

原発新基準に合格しており安全性は高まったとは言えるが、100%安全であるとは言えない。ルールを人間がつくり、運用しているのだから、欠陥や抜けはあり得る。常に不十分な点を改良し続け問題を小さくしていく必要がある。

原発の廃棄物に関しては、新たな対策は取られておらず、むしろ問題は大きくなっていると考える。どのような場合でも廃棄物は発生するが、特に原発の廃棄物は放射性物質を大量に含む廃棄物であることから、問題先送りはよくない。

原発問題については、数字を上げて議論する必要があると考えており、出来る限り数字を使って記載する。

1) 使用済み核燃料の放射性物質

原子力発電とは、ウラン235の核分裂で発生する熱を蒸気として回収し、電力に変換する設備である。核分裂でウラン235は、ヨウ素 131、イットリウム103、セシウム137、ルビジウム95他質量数130ー137、95ー103位の質量数の元素に分裂し、いずれも放射性物質であり、ペーター崩壊をして別の物質になると同時に放射線であるベータ線とガンマ線を放出する。また、核燃料中で95%-97%を占めているウラン238の一部(1%)がプルトニウムや他のウランより重い超ウラン元素になる。(参考:日本科学未来館のQA ATOMICA 原子力発電の基礎

そのような使用済み核燃料が、どれほどの放射性物質をどれほどの期間持っているかの情報として次のグラフ(クリックで別ウィンドウ拡大表示)を参照願いたい。(ATOMICAのこの図

Photo

左軸の単位がGBq/tonなので、1千万年経過して1GBq/ton。即ち、1百万Bq/kgである。福島原発の指定放射性廃棄物となる8000Bq/kgになるのは、表示されていない先である。1億5千年前がジュラ紀であるから、そのような単位でも計れないかも知れない話である。

核分裂は、0.1%ほど質量(重量)減少があるが、ウラン235に対してであり、5%濃縮であってもほとんど重量変化はない。使用済み核燃料とは、原発に入れた燃料と等しいのである。川内原発の原子炉の燃料装荷量は九州電力のこのWebに約74トンとあり、このWebに定検毎に約3分の1を取り替えると説明がある。川内原発の場合は、1年数ヶ月で約25トンの使用済み核燃料が出てくるのである。核燃料サイクルにより発生量は、それより少ないとの議論もあると思うが、核燃料サイクルをしても、使用済み核燃料は減少しないのである。

2) 使用済み核燃料の量

日本全体でいくらあるかと言えば、次の図は電気事業連合会の「原子力・エネルギー図面集」(このWebでダウンロード可能)の第7章「原子燃料サイクル」の7-7-1ページである。

Photo_2

日本全体で使用済み核燃料の貯蔵量は14,430トンであり、これ以外に六ヶ所村の再処理工場に貯蔵されている分と英国、フランスに再処理委託関連で保管をしている分がある。

核燃料サイクル・高速増殖炉は予定通り進んでいない。川内原発再稼働を機会に使用済み核燃料と廃棄物については考えるべきと思うし、再稼働しなくても、問題は変わらず、解決の必要がある。

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2015年8月 9日 (日)

菅直人氏の功罪

黒木亮氏が東洋経済Onlineに「原子力ムラ」を生きた東電・吉田昌郎の功罪との記事を書いておられる。

その記事の中の「福島第一原発事故の記録を読んで感じるのは、吉田氏のリーダーシップとユーモア、そして芯の強さである。・・・誰もが怯えた菅首相に対しては一歩も退かなかった。」との部分を読んで、やはりそうか、菅直人氏については、他人の意見を聞かない独裁者だったと多くの人が思っているのだと感じた。

菅直人氏の独裁者ぶりは、このブログでも多く書いたと思う。次の薬害エイズ裁判で安部英医師の弁護団の弁護士をされていた武藤春光氏、弘中淳一郎氏編の安部英医師「薬害エイズ」事件の真実に書かれていたことは、衝撃であった。

この本のコラム②に次のことが書いてある。

1996年2月9日にエイズ訴訟原告団を省内に招き入れて、「こんなもの(郡司ファイル)が倉庫に隠されていました。」として当時の管厚生大臣が謝罪したが、その郡司ファイルとは日常業務で使わない雑ファイルであり、倉庫に入れてあった。倉庫から取り出したら、大臣は「隠していた」と謝罪した。

何も考えない人物で、福島原発事故以外でも諫早湾干拓は対立を深め、解決を困難にした。他人の意見を聞かない独裁者と言えるような人だと思う。

しかし、このような人が首相になってしまうのは、日本の政治制度にも問題があると思うのである。政権交代が世の中を良くすると大嘘をついていた人たちがいた。公職選挙法の一部改正が8月5日に交付され、参議院選の選挙区が人口増減を反映して変わったが、本質は国民の意見を正確に反映する国会議員が選ばれる制度を樹立することであると考える。その一つの方法として、日本全体で一区の大選挙区制を考えたいのである。政党の利害を超えた国民の利益・幸福を考える議員を選び、そのような方向に動けるリーダーが首相となる日本を目指すべきと考える。現在の選挙制度では、また菅直人氏のような人が首相になってしまう可能性があると思う。逆に、それを恐れて、好きでもない人や政党に投票することもやめたい。このあたりの教訓を残したことが菅直人氏の功と思うのである。

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『「マイナンバー」が届かない』と驚かされる記事があった

次の現代ビジネスの記事です。

現代ビジネス 8月7日 現場はすでに戦々恐々!10月あなたの「マイナンバー」が届かない

”「週刊現代」2015年8月8日号より”、とあるので、週刊誌で読んでおられる方もあると思います。

この内閣官房のWebマイナちゃんのマイナンバー解説には、「平成27年10月から、住民票を有する国民の皆様一人一人に12桁のマイナンバー(個人番号)が通知されます。・・」とある。

申請・公布スケジュールの項目には、10月はマイナンバーの付番、10月~12月は全国民に通知とカード交付申請書を郵送、そして1月に市町村からカード交付準備完了の通知があると書かれている。

個人番号カードは、本人確認のための身分証明書として利用でき、e-Tax等の電子申請や地方自治体での申請でも利用できるが、保有しなければならない義務はない。

現代ビジネスの記事が述べているようなパニックは生じるのだろうかとの疑問が浮かぶ。マイナンバーが真っ先に使用されることになるのが、所得税だと思う。年末に勤務先の会社に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出するが、この用紙に自分自身と扶養親族のマイナンバーを記載することとなる。(参考:この国税庁の説明書)同様に勤務先は雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金等でマイナンバーを使用する。従い、給与所得者は年内にマイナンバーの通知を受ける必要がある。通知がなければ、クレームすれば直ちに通知されると理解する。正しい相手であれば、通知が2重・3重になっても問題ないはずである。

年金の受領は、どうだろうか?年金からも源泉徴収されるし、課税対象の所得である。年金受給者がマイナンバーを通知しなければ、年金受給ができないとの情報はない。厚生労働省の年金についてはマイナンバーを付した役所から厚生労働省に通知が届くのかも知れない。いずれにせよ、マイナンバーを理由に不支給となることはないはず。

少し先かも知れないが、乗車券購入にマイナンバーが必要になったりしないだろうか?6月30日に新幹線車内放火自殺事件があった。マイナンバーの登録が必要であったとしても、防げ得なかった事件かもしれない。しかし、列車のセキュリティー対策として乗車券購入時のマイナンバーの登録が検討されても不思議ではない。特に、航空機については、購入時と搭乗時の2回のチェックが国際線同様に国内線でも実施されている国もある。2020年オリンピックに向けて検討が進むかも知れない。また、生活保護、高齢者支援等の社会福祉分野において、必要な支援をうまく提供することにマイナンバーは役に立つはずである。

12月末までに全ての人にマイナンバーの通知が届くかと言えば、残念ながら事情により不達となる人もでると思う。しかし、それでもよいと思うのである。住民税も払わず、年金等も受給せず、医療保険も持たず、生活保護も受けずという社会と無縁で暮らす仙人生活者ならマイナンバー関係なしでも良いだろう。なかなか、普通はそうは行かない。

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2015年8月 3日 (月)

原発輸出

ベトナム向け原発輸出に関して日経が記事を掲載していました。

日経 8月2日 政府、三菱重・アレバ連合の原発推奨 ベトナム向け輸出で 

原発という事故の可能性がある危険なものを、日本政府が後押しして輸出するなんて、トンデモないとの考えもあると思います。しかし、これほど複雑なビジネスもないと言えるのであり、それを少しでも知ることは、おもしろいと思う。連続して原発の話になってしまいました。

1) ベトナム原発は特別か

ベトナムに限らず、原発の建設計画を検討している国は少なくない。World Nuclear AssociationのこのWebは、新たに原発建設を検討中の国が45あり、その中で、先頭を切っているのは、UAE、トルコ、ベトナム、ベラルーシ、ポーランド、ヨルダンと述べている。東南アジアで名前が出ているのは、ベトナム以外にインドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、ミャンマー、オーストラリア、ニュージーランドそして北朝鮮の名前もある。

日本から輸出するかどうかは別にしても、それぞれの国の判断でエネルギー政策の中に原発を組み込むのは主権に属することであり、他国が干渉できることではない。リスクについて、説明し、安全性の高い設備とすることを推奨することは干渉ではないし、福島事故の経験についての情報提供は必要と考える。

2) イラン核合意について

7月14日に中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、米国の6カ国とイランの間で核問題について合意した。(日経 7月14日 イラン核協議 最終合意 制裁解除で原油輸出拡大へ  )この合意文書の全文はこのWashington PostのWeb等で読むことができる。

xii項に”Technical details of the implementation of this JCPOA are dealt with in the annexes to this document.”とあり附属書を読む必要があり、原発関連としては次のような項目が附属書Annex Iにある。

14. イランは不必要な重水を保有せず。
18. イランは15年間核燃料再処理をしない。
28. イランはウラン濃縮度3.67パーセントまでとする。

Annex IIIは中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、米国の6カ国によるイラン原発への協力となっている。原発(軽水炉)建設、核燃料提供、放射性廃棄物処理、廃炉等を含め様々な協力をすることが書いてある。6カ国による原発輸出基本合意のような感もある。

3) 原発と核兵器は紙一重

イランの核合意を読むと原発と核兵器は紙一重であることをあらためて思い知らされます。原発はエネルギー供給源であると同時に核兵器産業と密接な関係を持っている。イラン核合意も6カ国及びIAEAの査察をイランが継続的に受け入れることが枠組みとして組み込まれており、査察こそが核兵器開発につなげないようにする仕組みとなっている。ウラン濃縮度に制限を設け、核燃料再処理を禁止する。核燃料再処理とは、使用済み燃料中のプルトニウムを分離することであり、ウランもプルトニウムも核爆弾の主材料である。

日本もIAEAの査察を受けて核燃料再処理を進めようとしているが、六ヶ所村の設備は動くのだろうかと思う。もっとも、日本も再処理なんかヤーメタという手もあるかも知れませんが。

4) 日本の会社の関与

冒頭の日経記事には、「日本政府がベトナム政府に三菱重工業―仏アレバ連合の新型炉を推奨していることが明らかになった。」とあるのですが、この場合、三菱重工業はアレバの下請けみたいなものかと私は思ってしまう。何故なら、フランスは核不拡散条約の核保有国だからです。核保有国は核兵器の独占を継続しようとする。原発に関しても、最重要事項は絶対に外国人・外国企業には教えないはず。

それでもドイツはおもしろい国だなです。自国では脱原発政策を採り、一方でイランへの輸出では関与しようとする。EUでの大国の力を発揮したのでしょうか。

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2015年8月 2日 (日)

原発停止中の電力消費

原発に関する様々な情報発信が重要であることを原発再稼働に思うでも書いたのですが、原子力発電所の停止中とは、どのような状態であるのか、・・・・・。余りにも多くの事項に渡ると思うので、今回は原発の発電をしていない時の電力消費についてです。

資源エネルギー庁は電力調査統計をWebで公表しており、多くの統計データが入手できる。この電力調査統計の原子力発電に関する発電量と発電所内電力消費を2008年度以降に各社毎にまとめたのが次の図表1です。(クリックすると別タブで拡大)

Nuclear20157a

2014年度(2014年4月~2015年3月)は、原子力発電はゼロであった。図表1の上表が発電量であり、2014年度はゼロとなっている。図表1の下表が発電所内で消費した電力です。発電をしていなくても所内電力消費があることが分かる。

図表2は、東京電力、九州電力と関西電力の原発について発電量と所内電力消費量の関係をグラフ化したものです。

Nuclear20157b

図表2は横軸を発電量、縦軸を所内電力消費量としており、発電量と所内電力消費量は直線的な比例関係がほぼ存在することが分かる。しかし、発電量ゼロの時でも、所内電力消費はある値になることも分かる。なお、日本原電も同様であるはずが、電力調査統計の数字は、そうはなっておらず、その原因は究明できていない。

次の図表3は、停止中の原発の電力消費を一覧にした表である。

Nuclear20157c

図表1の10社合計2,510GWhの電力消費は相当大きいのである。変動のない消費であったとして30万kWに近い消費です。いったい何にかというと、一つは使用済み核燃料の冷却のための海水ポンプ等です。原発とは核分裂による熱を利用する発電であり、ウランが核分裂をおこすと核分裂生成物が生まれる。核分裂生成物は次々とベータ崩壊を起こしてベーター線やガンマ線を放出すると共に熱を発生する。従い、冷却を相当長期間継続する必要がある。酸素を必要としないベータ崩壊なので、人がコントロールすることができない。ただ、冷やすことだけです。

最後に、各社の原発発電コストとしては幾ら計上しているかを図表4として作成した。

Nuclear20157d

10社合計で1兆5千億円です。発電していないのに何故コストが発生するのだと言いたくなるところですが、本当にやっかいな設備です。原発を保有する電気事業者は、稼働させてもさせなくてもコストが発生し、その金額もほとんど変わらないのが実態です。経営者なら何が何でも動かしたいとのインセンティブが働きます。国民にとっては、どうなのでしょうか?原発とは、国民にとって、経営者以上の難しい判断を必要とする設備です。

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