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2015年8月12日 (水)

原子力発電の廃棄物(使用済み核燃料)

川内原発は再稼働(起動)をした。

日経 8月11日 川内原発が再稼働 新規制基準後初めて 

原発新基準に合格しており安全性は高まったとは言えるが、100%安全であるとは言えない。ルールを人間がつくり、運用しているのだから、欠陥や抜けはあり得る。常に不十分な点を改良し続け問題を小さくしていく必要がある。

原発の廃棄物に関しては、新たな対策は取られておらず、むしろ問題は大きくなっていると考える。どのような場合でも廃棄物は発生するが、特に原発の廃棄物は放射性物質を大量に含む廃棄物であることから、問題先送りはよくない。

原発問題については、数字を上げて議論する必要があると考えており、出来る限り数字を使って記載する。

1) 使用済み核燃料の放射性物質

原子力発電とは、ウラン235の核分裂で発生する熱を蒸気として回収し、電力に変換する設備である。核分裂でウラン235は、ヨウ素 131、イットリウム103、セシウム137、ルビジウム95他質量数130ー137、95ー103位の質量数の元素に分裂し、いずれも放射性物質であり、ペーター崩壊をして別の物質になると同時に放射線であるベータ線とガンマ線を放出する。また、核燃料中で95%-97%を占めているウラン238の一部(1%)がプルトニウムや他のウランより重い超ウラン元素になる。(参考:日本科学未来館のQA ATOMICA 原子力発電の基礎

そのような使用済み核燃料が、どれほどの放射性物質をどれほどの期間持っているかの情報として次のグラフ(クリックで別ウィンドウ拡大表示)を参照願いたい。(ATOMICAのこの図

Photo

左軸の単位がGBq/tonなので、1千万年経過して1GBq/ton。即ち、1百万Bq/kgである。福島原発の指定放射性廃棄物となる8000Bq/kgになるのは、表示されていない先である。1億5千年前がジュラ紀であるから、そのような単位でも計れないかも知れない話である。

核分裂は、0.1%ほど質量(重量)減少があるが、ウラン235に対してであり、5%濃縮であってもほとんど重量変化はない。使用済み核燃料とは、原発に入れた燃料と等しいのである。川内原発の原子炉の燃料装荷量は九州電力のこのWebに約74トンとあり、このWebに定検毎に約3分の1を取り替えると説明がある。川内原発の場合は、1年数ヶ月で約25トンの使用済み核燃料が出てくるのである。核燃料サイクルにより発生量は、それより少ないとの議論もあると思うが、核燃料サイクルをしても、使用済み核燃料は減少しないのである。

2) 使用済み核燃料の量

日本全体でいくらあるかと言えば、次の図は電気事業連合会の「原子力・エネルギー図面集」(このWebでダウンロード可能)の第7章「原子燃料サイクル」の7-7-1ページである。

Photo_2

日本全体で使用済み核燃料の貯蔵量は14,430トンであり、これ以外に六ヶ所村の再処理工場に貯蔵されている分と英国、フランスに再処理委託関連で保管をしている分がある。

核燃料サイクル・高速増殖炉は予定通り進んでいない。川内原発再稼働を機会に使用済み核燃料と廃棄物については考えるべきと思うし、再稼働しなくても、問題は変わらず、解決の必要がある。

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