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2015年10月28日 (水)

国立大学は守るべき

国立大学への運営費交付金の毎年1%ずつの削減継続を今後15年間引き続き継続する方針を財務省が提案したことについて、国立大学協会が抗議する声明を発表したとのニュースがあった。

日経 10月28日 国大協が抗議声明 財務省の運営費交付金削減方針 

ちなみに運営交付金が幾ら支払われており、国立大学の収入のうち、どれほどを占めるかを見るために、「国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会」の2015年6月15日報告書から、次のグラフを作成した。

Japanuniversity201510

付属病院の医療関係収入は除外しているが、ほぼ同額の付属病院関係の支出があり、運営費交付金を考えるには、除外した方が把握が容易と考えて、除外した。

国立大学協会の抗議声明とは、これであり、「国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会」の報告書はこの文科省のWebからダウンローで出来る。

財務省の提案については、この資料の25ページにある。キチガイと思える文章で始まっている。

先進国中最悪の財政状況を抱える我が国において、国立大学が高い質を確保しながら自律的、持続的な経営を続けていくためには、今よりも国費(渡し切りの運営費交付金)に頼らず、自らの収益で経営していく力を強化していくことが必要である。

教育を何とこころえるかと言いたい。日本が発展を続けていくためには、優秀な頭脳が、どうしても必要である。2013年度で1兆円足らずの運営費交付金である。法人税を1%増税すれば、1兆円捻出できる。その結果、日本企業は1兆円以上の競争力を手にすることができる。支出は今であり、リターンがあるのは将来である。しかし、そんなことは、投資全てにあてはまる。ポピュリズムより、必要なことを実行するのが政治である。財務省は政治家や議員達の手先になれ果てたのかと言いたい、

次のニュースを読むが良い。

日経 10月1日 東大、アジア首位転落 世界大学ランク英誌調査

日本の大学が軒並みランキングを落としているというニュースである。日本の大学に進学せずに世界トップクラスの大学に行って、卒業後は日本の縛りにはとらわれず活躍するのも良いかも知れない。しかし、それだけでは寂しい気がする。日本の大学で高等教育を受けて、日本並びに世界のために貢献する人材を育成することも重要と考えるのである。そのためには、国立大学運営費交付金削減なんてとんでもない話である。財源なんて、法人税増税で幾らでも捻出可能である。もし、これに企業や財界が反対するなら、倒産に向かおうとする企業である。

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2015年10月25日 (日)

消費税10%の行方

2017年4月からの消費税10%の増税は、どのようになるのでしょうか。次のニュースを読むと軽減税率の対象品目の絞り込みのみが課題と思えてしまいますが。

日経 10月24日 軽減税率で自公綱引き 両党一致財源は4000億円 

日経社説は、本質論を書いていました。

日経社説 10月25日 軽減税率の議論で忘れてならないこと

しかし今後どのようになるのか、まだまだ分からないことと思います。

1) 2017年4月の消費税増税見送りの可能性

参議院選が2016年7月です。各党は、いつ頃公約やマニフェストを発表するのか、5月末頃かも知れないが、年明け早々に消費税増税延期なる党方針を打ち出してくる政党がいそうな器がします。少なくとも共産党は消費税に反対しており、実施済みの8%分まで直ちに取りやめることは難しいにしろ、増税見送りの共闘を呼びかける可能性はあると思う。

公明党は軽減税率を引っ込めるという方針転換は容易でないにしろ、自民党の議員中には、延期しないと選挙戦が戦えないと訴える候補者が多くなってくる可能性があると思う。

民主党は、どうするのでしょうか?実は、民主党が10%増税延期の可能性を党内で議論を始めたとたん、民主党はおろか、自民党も景気対策を理由に増税延期に雪崩を打って動くような気がするのです。

2) 日本型消費税申告制度の導入

消費税は申告納税制度です。日本では、消費税インボイスが不必要で、請求書等の証拠保存と帳簿記載により、ビジネスにおける消費税を申告・納付することとなっている。

消費税とは、消費者が事業者に支払うものの、その支払った消費税が国庫に確実に納付されるような制度になっていないと誰もこんな税制を支えることが出来ない。複数税率制になると、ごまかしが出来るかも知れないのです。つまり、8%税率で仕入れたにも拘わらず、10%で仕入れたと虚偽申告をすると2%分キャッシュを手にすることが出来る。インボイス制度だと、仕入れ税のインボイスを提出(または保管)する必要があるので、ばれてしまい、追徴課税等になる。現状のままだと、不可能ではないにしろ、消費税の税務調査は複数税率の場合、膨大な作業となり、見こぼしがでて、脱税が頻発する可能性があるわけです。

そこで私が考える日本式消費税複数税率制度ですが、販売側も仕入れ側も、全て取引先と金額・税率・税額並びに場合によっては取引明細を電子データとして税務署に提出(少額取引は自社で保管)する制度です。今年中にマイナンバーが連絡されるが、個人だけではなく法人にも連絡がある。法人のマイナンバーと取引明細を税務署が把握できれば、消費税のみならず法人税に関する脱税把握にも強力なツールを税務署が保有することが出来る。

脱税の摘発は、言葉としては嫌悪感を感じるが、税収が増加し、社会保障の財源が少しでも増加するなら、良いことである。脱税は社会悪であるとなります。

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2015年10月20日 (火)

横浜市の大型マンション傾斜問題の複雑さ

横浜市の大型マンション傾斜問題について、旭化成社長は20日午後、記者会見を開き、「深く反省し、おわび申し上げる」と陳謝した。

日経 10月20日 旭化成社長「深く反省しおわび」 マンション傾斜問題で会見 

旭化成が、責任を完全に認めたわけで、何故そのような失敗をしたのかと思う。旭化成とは、連結売上高が2兆円に届こうとする2015年3月期連結売り上げ1兆9864億円の大企業中の大企業である。

旭化成の発表がここにあるが、DYNAWING(ダイナウィング)工法(日経エコロジー参考記事)という方法で施工された杭である。オーガーで穴を掘削し、掘削が終了するとオーガーを引き上げて杭を挿入する。オーガーによる掘削時に支持地盤まで到達していることが必要であるが、その確認はオーガーを駆動する電力の電流値で行う。固い岩盤地層に到達すれば、電流値が増加することで確認が可能であり、その記録紙は保存する。

支持地層に到達していない杭など全く意味のない杭である。電流値が増加したデータがないことから他のデータを流用する等の不正を行ったとの報道である。犯罪である。犯行は多層構造の下請けが実施したのであるが、三井不動産、三井住友建設、旭化成の責任は免れない。下請管理と施工管理に不備があったことの責任は大きい。

この大型マンションの固有名詞については報道が余りされていないが、パークシティLaLa横浜である。東洋経済Online・日テレNEWS24のこのニュースが、そう伝えており、様々な報道とも矛盾はない。2006年に販売開始、2007年12月に完成した総戸数705戸の大型マンションである。最寄り駅はJR横浜線鴨居駅であり、マンションの南と西はららぽーと横浜に面している。マンションが完成する前は、工場(NEC?)であり、ららぽーと横浜も工場。工場地帯に開発されたマンションとショッピングセンターである。工場地帯となる以前は、水田であり、海抜約9mで南約600mに位置する鶴見川までなだらかな坂となっている。特別に地盤が悪い土地でもなく、基礎杭の工事に特に注意を要するわけでもなかった。

このようなマンションで不正工事という犯罪があったわけで、こうなると日本中どの建造物で行われていても不思議ではないという気になる。ばれる可能性が薄い、完全犯罪となる確立の高い工事であるので。

杭の不良工事は、完成後チェックは、施工時の記録からする以外に、実質ないと思う。故に、極めて悪質な犯罪である。だからこそ、ばれることなどあり得ないとして行われた犯罪だろうと思う。おそらく、日本の建築学会に向けられた強烈な批判だと思う。建築学会こそ、この犯罪防止策を立案することが求められていると考える。(例えば、このような杭であった場合は掘削終了時の検査である。施行者とは異なった検査官制度であり、資格を含めインフラから整備する必要がある。)

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2015年10月15日 (木)

消費税複数税率を推進するバカ者達

軽減税率を導入する検討に入いるなんて、どう考えても、バカげていると思うのである。

食料品の消費税率を低くするとどうなるかは、セレブが喜ぶのである。ブランド米、高級黒毛和牛、大間のマグロなんて一般庶民には簡単に手に入らない物が、軽減税率の適用となる。例えば、米を軽減税率の適用とする場合に、ブランド米を特別扱いとして一般税率にする方法は存在しない。食費を切り詰めて生活している人が受ける軽減税率の恩恵よりも、高級食材をふんだんに購入している人が受ける恩恵がはるかに大きいことは誰にでも分かる。

考え方がおかしいのである。このタビスランドにもあるが、方法としては「給付付き税額控除」や「簡素な給付措置」あるいは「社会保障政策などの歳出面からの対応」があるし、9月24日のブログで書いたように年金、医療、介護の制度維持という重要な事項を忘れてはならない。

Niftyニュースの10月13日 民主党支持者への嫌がらせ続発 カバンで殴打や爆破予告もというビジネスジャーナルからの配信記事に、支持者の自宅に「民主党マニフェスト→嘘でした」と書いてある張り紙がされていたいうような内容があった。嫌がらせの内容を消費税軽減税率にあてはめれば、そっくり当てはまると思う。煩雑で意味がないにも拘わらず、貧困者対策で実施すると嘘をつく。

日経のこの10月14日の記事は、「来年夏の参院選を意識し、円滑な選挙協力に向けて公明党に配慮した格好だ。」と書いている。国民の幸福よりも選挙協力で自らが当選する方が重要であるとの人間として最低である。

そもそも、小選挙区制という間違った選挙制度は早く中止すべきである。このNHKニュース10月13日によるNHK世論調査の結果は、公明党支持率3.3%である。3.3%しか支持されていない政党が日本を不幸にすることを許して良いのかと思う。小選挙区制とは、最悪の選挙方法である。民主党マニフェストは選挙に勝つことだけを念頭に作成された。軽減税率導入検討も、自公選挙協力という国民とはかけはなれた世界で話が進んでいる。

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2015年10月13日 (火)

プルトニウム備蓄増加を図らない

朝日新聞が、米ホルドレン大統領補佐官へのインタビュー記事として次を掲載していた。

朝日 10月12日 プルトニウム47.8トン「日本の備蓄、これ以上増えないよう」 米大統領補佐官インタビュー

ホルドレン氏の意見は誠に正しいと考える。核兵器の原料であるプルトニウムを平和利用とは言え、使える目処もなく、備蓄増加を図ることは変でである。核戦争のリスクを日本が高めることには、多くの国民が反対するところと考える。

日本のプルトニウムについての考え方は、平成9年1月31日の原子力委員会決定(参照:ここ)の文中に「我が国は、発生する全ての使用済燃料を再処理することを基本としており」とあるように、使用済み原子炉燃料からプルトニウムを抽出・再処理をするとしており、この方針は基本的に今も変わっていない。民主党政権時代に2030年時点での原子力発電比率をゼロとする案が提唱されたことがあった。この方針の場合は、核燃料サイクルは意味を持たず、必然的に使用済み核燃料は直接処分となったはずである。但し、2030年時点での原子力発電比率ゼロは感覚的な希望が大きく入っており、確たるエネルギー政策があったわけではなく、プルトニウムについての深い検討・研究があったわけではないと理解する。

相当長期にわたって築き上がった結果の政策を変更することは容易ではない。しかし、変な政策を必要な検討・研究もせずに、惰性で無批判に継続することは間違いである。思いつき政策ではなく、専門家と国民を巻き込んだ議論を、原発と核燃料サイクルに関しては行うべきである。

朝日の記事に「現在の日本のプルトニウム保有量は原爆約6千発分に相当する。」との部分がある。日本が本当に核兵器の廃絶を願うなら、日本は率先してプルトニウム分離を放棄すべきである気がする。

なお、朝日の記事は日本のプルトニウムは47.8トンと述べているが、これたとは別に分離前の使用済み核燃料として原子力発電所に貯蔵されているプルトニウムが134トンあり、そして再処理工場で保管されている分離前(再処理前)の燃料に含まれているプルトニウム27トンあり、合計すると使用済み核燃料に含まれているプルトニウムが161トンとなる。(2015年7月21日付けの日本のプルトニウム管理状況報告がここにある。)これらも現在の計画では全量再処理される予定であり、そうなると合計量は200トンを越える、朝日の記事の計算を使えば、原発2万5千発分の核兵器相当のプルトニウムを日本が保有することとなる。

次の表は主要国のプルトニウム保有量である。日本の未照射プルトニウムは10.8トンとなっているが、英国保管分20.7トンと仏国保管分16.3トン(合計37.0トン)が含まれていないことからである。日本のプルトニウム保有量を47.8トンに補正すると、米国、ロシア、仏国とほぼ同じレベルとなる。大きな問題はないとも感じるが、この表の上からの5カ国(米国、ロシア、英国、仏国、中国)は核保有国である。原子力発電と切っても切れない関係にある核兵器であり、特に分離プルトニウムは核兵器の原料・材料になりうるのである。核兵器廃絶に向けて日本が世界の国々に働きかけていこう等する際に、日本が採るべき政策とは何かも考える必要がある。

Pultonium201510w_2

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2015年10月 7日 (水)

川島なお美と北斗晶 お二人の癌闘病記

9月24日に肝内胆管癌により亡くなられた川島なお美さん、そして同じ9月24日に乳癌により右乳房全摘手術を受けられた元女子プロレスラーの北斗晶さんは、お二人ともブログを書いておられ、ブログに中で癌のことについても触れておられる。

川島なお美 「なおはん」のほっこり日和

北斗晶 そこのけそこのけ鬼嫁が通る

お二人は、体格や性格は勿論、色々な点で異なる部分はある。でも、ブログを読んでいて、力づけられる部分はそれぞれ多くある。

川島さんが初めて癌のことをブログで告白するのは2014年3月27日(このブログ)。2013年8月の検診で腫瘍が発見され、2014年1月に腹腔鏡手術を受けた。川島さんの場合、3月27日のブログに『「この人になら命を預けられる」そう思える先生と出会うまで手術はしたくありませんでした』や『言われるがままわけもわからずただ切られる、とか不必要な抗がん治療を受ける、とか私は反対です』とあり、これらの部分は、川島さんの生き方が表れていると思います。

川島さんは、9月17日飯田市の飯田文化会館で公演予定だった「パルレ~洗濯~」を急きょ降板した。9月19日にこのブログ、死の前日23日にこのブログを書いておられる。54歳で亡くなられたのだが、川島さんのような生き方や闘病もあることを示しておられると思います。

北斗さんは、手術前日の2015年9月23日に初めて癌のことをこのブログで告白し、乳癌でも最悪な右の乳房を全摘出しなければならなくなりましたと述べておられます。『毎年恒例で秋頃には乳癌検査と婦人科検診を欠かさなかったのに。なぜ全摘出するまでの乳癌になってしまったのか?』や『[右乳房全摘出]を先生から告げられた時、あまりの恐怖とショックに初めて自分の事なんだと…泣きました。』や『48歳と言っても、私だって女です。胸を全て取る事の恐怖。普通にあるのが当たり前だった胸が乳頭までも全てなくなる。』とか書いておられます。

北斗さんは『残念ながら、私の癌は胸だけでなく脇のリンパにまで転移している可能性がある様です。これから長い闘病生活が始まります。』と述べておられ、『私には、この人が居てくれる。それだけで大丈夫って思えたし、家族の支えや優しさが、どれだけ癌患者の励ましになるか。』と夫や家族の支えについて触れ、『女性の皆さん、若かろうが年を取っていようが乳癌検診に行ってください!』と言っておられます。

本人が書いたブログを読むと、生き方とか生活とか、直接伝わってくる気がします。興味のある方は、お二人のブログを読むことをおすすめします。

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2015年10月 4日 (日)

分からない話

理解できないと言う意味ではなく、真相が出てこない話との意味です。それは、次の47ニュースです。

47ニュース 10月3日 日本の公安庁、情報収集依頼か 中国で逮捕の2人、当局に示唆

官房長官は「わが国はそうしたことは絶対にしていない」と述べ、スパイ活動を否定したとのことです。

スパイ活動とは何かとなるが、情報収集活動であるとすれば、合法的に情報収集することは何ら問題はない。法に触れる行為があれば、違法となり、問題となる。この場合で言えば、中国の法律で禁止されている行為を中国内で行った場合に、問題となる。

公安調査庁は「お答えする立場にない」とコメントしたとのことであるが、公安調査庁とは法務省の外局で破壊活動防止法に関連する団体の規制に関する調査や処分の請求等を行う役所である。公安調査庁のWebには団体規制(参考:ここ)と情報貢献(参考:ここ)が公安庁紹介として書かれている。この情報貢献の所には「内閣情報会議とその下に設置されている合同情報会議は,我が国の情報関係機関によって構成される情報コミュニティです。 公安調査庁はこの情報コミュニティのコアメンバーとして,政府の政策決定に資する情報を日々提供しています。」と書いてある。

違法となること、あるいは逮捕されるリスクを前提となることを含めて、公安調査庁が依頼したかどうかは、あまりないとは思うが、公安調査庁と逮捕された2人との間で過去に接触があった可能性はあるかも知れないと思う。さて、どうなのだろうか、2人が裁判にかけられて何か判明していくのだろうか?

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所得税改革「ゼロ税率」「税額控除」

10月1日の政府税制調査会(第22回総会)では「個人所得課税について」ということで開催された。世帯や社会の仕組み、そして構造が変化してきており、また今後の日本の発展を阻害しない税の仕組みを作りあげていく必要があり、国民のための税制度を目指して欲しいと思う。

政府税制調査会のWebはここにあり、10月1日の資料他をダウンロードすることが可能です。

1) ゼロ税率や税額控除

次の日経記事は、政府税調において財務省が税金をかけない「ゼロ税率」や「税額控除」といった選択肢を示したと報道している。

日経 10月1日 低所得若者支援へゼロ税率や税額控除検討 政府税調

ゼロ税率や税額控除ということについては会議の最後の方にも出てくるが、私は検討に値すべき制度であると思います。ゼロ税率と税額控除とは何かということで、先ずは日本の所得税と住民税の参考計算である次のグラフを作成した。

Incomtax201510a

ことさら参考計算と強調する必要はないかも知れないが、日本の所得税制度は個人単位であるが、一方で世帯の状況により扶養家族控除、配偶者控除があり、世帯により差が生じる。ちなみに、上記のグラフは4人家族、専業主婦、子供のうち一人は高校生で他の一人は中学生といった想定です。年収4百万円で所得税も住民税もほぼゼロですが、その年収で専業主婦でやっていけるかは、とりあえず想定では考えていません。

(パート収入103万円以下を含め)専業主婦であれば、38万円の配偶者控除が適用される。しかし、配偶者控除は一方ではパート時給の硬直化や主婦の社会進出の阻害、ひいては女性が進出することによる労働力増加による豊かな社会の実現を妨げているとも言えるはずです。

ゼロ税率とは、現行の各種控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、給与所得控除・・・・)をなくすか、又は控除額を減らして単純化し、その代わりに一定額(または計算式で求めた額)までは所得税がかからないようにする制度です。例えば、政府税調10月1日の資料25ページ、26ページ、28ページにあるドイツ、フランス、スウェーデンの税制においてゼロ税率が121万円、141万円、71万円と書いてあります。

税額控除については、同資料22ージから29ページにあるが、日本の例として書いてある児童手当以外にもフランスには低所得者控除があったりする。雇用手当が税額控除となっている国もあるが、給与所得控除ではなく税額控除を組み合わせることについても検討してよいように思います。又、当然のこととして、消費税増税に伴う所得逆進性の補正については税額控除が一番優れていると私は考えます。

参考として、ゼロ税率と税額控除を取り入れた場合に、どのようになるか、所得税のみを対象としているが、次のグラフを作成しました。

Incomtax201510b

現行とできる限り同じレベルになるようにと作ってみました。税額控除の場合、マイナスになっているのは、税務署から差額が現金で振り込まれることを想定しています。マイナンバーがあれば、簡単です。(その代わり、不正も簡単に発見されてしまうと思います。)

とりあえずは、消費税10%増税時の低所得者向けとして、国民全員に一人4千円の税額控除を2016年の所得税(年末調整は2016年末、確定申告は2017年2月)で実施するのが、一番早く実施できることであり、「ゼロ税率」や「税額控除」の詳細設計については、時間を要すると思います。いずれにせよ、働く人を税制においても応援し、豊かな社会を作っていくことが重要だと思います。税制が不公平を拡大する方向に働くことは、まじめに働くことをバカらしくすることであり、絶対に避けるべきと考えます。

2) 政府税調委員

これからの税制について政府税調委員の方々に考えて頂くことになるのですが、中には不適切な人もいるように思った。

「生活保護の受給者で高級外車を乗り回している人がいるというのは、よく聞く話である。」との発言をしている委員がいる。どのようなことで、言っているのか不思議に思う。そのような人を知っているなら、その市町村に通知すべきである。多分、又聞きで根拠のない噂話であると思う。政府税調での話として適切とは思わない。

ちなみに、元NHKアナウンサーのようです。何故、このような人がと思ってしまった。

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2015年10月 2日 (金)

不正アクセスによる情報流出は経営・管理能力の欠如

「不正アクセスによる情報流出は技術事項ではなく、経営管理能力に関する事項である。」とは、本当にその通りと思います。

OECD News 10月1日 CEOs and governments should treat digital security as an economic risk

”Digital security risk should be treated as an economic rather than a technical issue, and should be part of an organisation’s overall risk management and decision-making, according to a new OECD Recommendation to member countries.”

と述べていますが、組織としてのリスク管理や意志決定分野の事項というのは、本当にその通りであり、このブログでも日本年金機構の早期解体を望むなんてことを書きました。

上のOECD  NewsのWebの中にあるこのページを開いてたどっていくとマニュアルのダウンロードも可能です。

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2015年10月 1日 (木)

新安保法公布

9月30日新安保法関係が公布された。極めて分かりつらい法であり、解釈により、範囲は相当広がると思う。

安全保障に関連して基本的なことを書いてみる。

1) 戦後70年で大きく変わったのは?

一番の大きな変化は、ソ連崩壊だと思う。即ち、東西対立というような時代ではなくなった。それ故、日本の安全保障についても、平和主義を基本とした日本独自の安全保障を追求すべきであるとの考え方については、どうなのだろうか?

日米安保が定着しすぎて、日米安保のままでよいのかとの議論が、なされていないと思える。新安保法に関しては、国会デモに多くの人が参加した。8月6日、8月9日、8月15日、12月15日、いずれの日も、平和を喜び、二度と戦争をしないと誓うだけではなく、どのようにして平和を維持するかを議論することが、より重要であると思う。

2) 最大の脅威とは?

中国や北朝鮮が脅威であると言う人がいる。脅威かも知れないが、大きな脅威ではない気もする。

ヨーロッパには多くのシリアからの難民が押し寄せている。ISISからあるいは政府とISISの戦闘から逃れるためがほとんどと理解するが、ISISとは米国のイラク戦争の結果生まれた戦闘集団であると思う。何故なら、ISISの支配地域は、このCNNの地図によれば、イラクで大きい。結局は、米国のイラク戦争の結果と思える。米国が、イラクに大量破壊兵器が存在するとしてイラクを2003年に攻撃し、政府を転覆した。その結果の内乱は今も続いている。

米国と行動を共にすることは、最大の脅威かも知れない。何故、日本の自衛隊はイラクに行ったのだろうか?すこしだけの米国のお手伝いのため?そのために、イラクの人々を不幸にし、ISISを作り出したことはないかと考えることが必要な気もする。

3) 沖縄に米軍基地は必要?

もしかしたら、かえって危険ではないかとの発想です。米国が戦争をする可能性は、日本がするより高い。テロリストに狙われる可能性も米国の方が高い。従い、米国の基地は百害あって一利なしなんてことは、ないでしょうか?多分、米国も日本を守る気なんかない。危なくなれば、放棄する。

そう考えると、沖縄の人がかわいそうになるのですが、そうではなく、沖縄に基地を押しつけることを止めるべきと言うか、根本問題を考えるべきと思う。

4) 思考停止になってはいけない

思いついたことを書いてみました。いずれにせよ、思考停止になってはいけない。実は、思考停止にはまることは多い。例えば、東京裁判は勝者の裁判との言葉がある。そうかも知れない。しかし、そこで思考が停止してはならない。日本人が日本人を当時裁けたのかも考える必要があるし、誰も悪くないとすることが正しいのか。一億総懺悔として、うやむやにするのが正しいのか。考えるべきことは多い。

裁判のニュースで被害者家族から多く聞く言葉が「真実を明らかにして欲しい。」と「このようなことに対して、誰も罪がないなんて許されない。」である。これを歴史に投げかけて、今の時代における対処を考えることも必要と思う。

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