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2015年11月29日 (日)

神戸の生体肝移植問題はどう考えるべきか

生体肝移植を受けた患者が死亡した神戸国際フロンティアメディカルセンター閉鎖についての問題はどう考えるべきかと思いました。すなわち、事実上診療を停止することを発表したのニュースがあったのです。

神戸新聞 11月28日 生体肝移植死亡問題 神戸の病院が診療停止

神戸国際フロンティアメディカルセンターは、手術を受けた患者が手術後短期間のうちに死亡していたとして本年6月に報道があった医療機関です。同病院のホームページには肝臓病・消化器病・がんなどの先端医療サービスを提供する専門病院との説明があります。

生体肝移植を受けた後に亡くなれた患者さんは、おそらく末期の相当進行したガンであり、他の医療では回復の見込みが低い患者さんであったと思います。だから、患者さんは自分の病状を全て理解し、リスクについも認識し、自分の将来の可能性について自らの判断で手術を受けられたのだと思うのです。同じ移植手術であっても、患者の病状により、リスクの大小はあり、何例中で何例が死亡として高い・低いで単純に考えることはできない。

ブログでこのようなことを書いておられる方もおられます。

神戸国際フロンティアメディカルセンターでの医療に問題がなかったのかどうか私については判断がつきません。リスクの高い医療であったことは確かです。ただ患者が減少し、閉鎖せざるを得なくなったことは、結局は医療を受ける必要が生じた時に、その選択肢を狭める可能性があり、残念なことです。高リスク医療に対する医師・医療機関の最も安全な対応は、これ以外に打つ手はないとする宣言であり、医療とは難しい側面を持っています。この日経デジタルヘルスの2015年1月28日記事を読んで、先端医療機関として取り組む神戸国際フロンティアメディカルセンターの意欲は重要だと思いました。

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菊地直子東京高裁無罪判決から思う裁判員裁判

オウム・菊地元信者に逆転無罪の東京高裁判決がありました。

日経 11月27日 オウム・菊地元信者に逆転無罪 都庁爆弾事件で東京高裁

一審判決の有罪判決が無罪判決に変わったのであり、逆転ではあります。しかし、意外な判決ではなく、むしろ刑事裁判として当然の判決であるように思います。

すなわち、爆薬原料の薬品を山梨県内の教団施設から都内のアジトに運んだことが、人を殺傷するテロ行為を認識していたと認めるには合理的な疑いが残るとする東京高裁の判断は刑事罰を課するにあたっては、重要な判断であると考えます。また、オウム真理教とは何であったのかと考えると、大勢の信者がマインド・コントロールと呼ばれるような状態で、自らの考えや判断で行動するのではなく、集団ヒステリーの様な状態であったと思う。このような時の相手に、刑事罰をどのように対処するかは、難しい問題と思います。

さて、2014年6月の東京地裁の裁判ですが、裁判員裁判でした。裁判員にとって、一般の市民感覚で判断をすることが、その役割であると考えた場合、オウム事件は社会的に大きな衝撃を与えた事件であり、被告が述べることは言い逃れであるとする方向に傾くと思います。

私は、裁判員裁判を否定しません。裁判員が市民感覚で裁判に参加し、自らの考えと判断を重要視して決断を下すことは重要と考えます。むしろ、日本の裁判員裁判は一審のみに導入された制度であり、高裁や最高裁は一審判決にとらわれることなく、裁判所として正しい判決を下すことが、裁判員制度を維持し、日本社会を発展させていくためにも重要であると考えます。

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2015年11月27日 (金)

投票価値の平等を要請する最高裁判決

11月25日に投票価値の平等を要請する最高裁判決があった。26日の日経社説を掲げておきます。

日経 11月26日社説 今度こそ1票の格差を正せ

最高裁判決文は次の裁判所のWebにあります。

ここ(東京都の6つの選挙区と神奈川県の2つの選挙区)

ここ(福岡県の11の選挙区、佐賀県の2つの選挙区、長崎県の選挙区、熊本県の5つの選挙区、大分県の3つの選挙区)

判決文の中にある次の部分は、皆が賛同するところと考える。

国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり,投票価値の平等が憲法上の要請であること等に照らせば,より適切な民意の反映が可能となるよ う,国会においては,今後も,前記のとおり衆議院に設置された検討機関において行われている投票価値の較差の更なる縮小を可能にする制度の見直しを内容とする具体的な改正案の検討と集約が早急に進められ,新区画審設置法3条の趣旨に沿っ た選挙制度の整備に向けた取組が着実に続けられていく必要があるというべきである。

しかし、抜本的な対策としては、現在の小選挙区・比例代表制から日本全国1選挙区の大選挙区制に移行する必要があると考える。

比例代表制一本との意見もあると思うが、比例代表制では政党からの公認を得られないと立候補できず、自由な選挙・被選挙が阻害される可能性があると思う。小選挙区制にしても、政党公認が不可欠であり、時には政党間の選挙協力で自由な立候補が阻害される場合もある。

今の日本では次から次へと所属政党が変わる議員がいる。政界再編なる言葉がやたらと聞こえる。議員個人の考え方や思想が変化したからではなく、議員として如何に有利に立ち振る舞うかにより所属する政治団体が変わっていると思う。立法とは国にとっての最重要事項である。しかし、立法員の国会議員達は、どのようなインセンティブで行動しているかを考えると、やはり日本全国1選挙区制の選挙制度改革が必要と考える。

議員達を責めるより、議員達が国民の幸福を目指して行動するようになる選挙制度を国民が作り上げていかねばならないと考える。

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2015年11月24日 (火)

国連の表現の自由調査、突然延期の理由は?

こんなニュースがありました。

ロイター 11月19日 国連の表現の自由調査、突然延期

記事の中に

国連の調査が急に延期されるのは異例で、調査に協力を予定していた市民団体関係者は「特定秘密保護法や、政府によるメディア介入などが取り上げられるのを避けたのではないか」と批判している。」とある。

そこで、デービッド・ケイ氏は、どのように述べているかを調べると、ここにご当人が11月17日に書いた文書がありました。

I asked the Japanese authorities to reconsider their decision, but the Mission confirmed to me yesterday that the visit will not go forward and is now canceled.”と残念な思いが述べられています。また、目的については、特定機密保護法と表現の自由との関連を調査したい旨も述べられている。

A visit would be an important moment to evaluate certain aspects of freedom of expression in the country, such as the implementation of the 2013 Act on Specially Designated Secrets (about which the Human Rights Committee expressed concern last year), online rights, media freedom, and access to information. I have previously met with Japanese officials and members of civil society to learn more about these issues and looked forward to a productive visit.

なお、この日刊ゲンダイの記事は、皮肉たっぷりに書いていました。

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最高裁の遺言無効判決

最高裁が赤色のボールペンで1本の斜線を引いていた遺言書について無効であると確認する判決が11月20日にあった。

日経 11月20日 斜線の遺言書「無効」 最高裁判決、「故意に破棄」認定

裁判所のWebと判決文はこのWebここにあります。

赤の斜線は訂正を意味する社会常識を最高裁も認めたとする報道が多かったように思う。しかし、私は、そのような考え方は、最高裁判決を読み誤ると考える。

即ち、最高裁の判断は、赤色の斜線は、訂正ではなく撤回であり、遺言の撤回について民法1024条は民法968条2項のような変更の場合の署名・捺印等の厳格な方式を定めておらず、遺言者がそれを故意に行ったときに、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなすこととしていると述べている。

契約については、一方的な撤回は、認められない。しかし、遺言とは遺言者が死亡した時から効力を持ち、効力発生までは何度でも変更、撤回が可能である。遺言を残さずとも民法に従い、遺族が友好的に相続を決定できるのがよいし、トラブルが予想されるなら公正証書遺言を作成すべきと考える。

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小規模石炭火力の問題点

小規模火力発電所が環境影響評価(アセスメント)の対象となっていないことから、環境アセスの対象とならない出力112.5MWをやや下回る規模の石炭火力の新設計画が急増している。この対応として、環境アセスの対象見直しなどを環境省の有識者検討会議で検討中であるとのニュースがあった。

時事ドットコム 11月20日 アセス期間短縮も=小規模火力で報告書案-環境省検討会

当然のことであり、むしろ環境影響評価法において112.5MW未満の火力発電所が環境アセスの対象外であることを知って驚いた。環境保全に努めるべきである。人々の暮らしや生活を破壊してまで産業活動が行われては本末転倒である。基本的にあらゆる開発行為は環境アセスの対象とすべきである。

日経は、11月18日に石炭火力輸出、融資制限で合意 OECDと報じた。OECDの11月18日発表はここにあり、”These new rules will substantially limit official export credit support for new coal-fired power plants, and mark a major contribution to international efforts to combat climate change.”との文章もあり、気候変動への取組は世界各国による合意事項であり、この実現こそ重要である。112.5MW未満の石炭火力などは許してはならない設備である。

出力112.5MWの石炭火力発電所が排出する1年間のCO2の量は約80万トンである。この数字は相当に大きいのである。温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度により公表されている企業毎のCO2排出量で80万トンを超えるのは、製鉄や石油化学関連がほとんどである。80万トンもの大量CO2排出者を野放しにすることは、日本が不法者天国になるように思う。

石炭火力事業はスケールメリットによりコスト削減が大きいことから従来は小規模石炭火力は不採算事業であった。そもそも、規模が小さいことから燃料消費も大きく、CO2もその分多く排出するのである。それが、何故新設計画の急増となっているかは、石炭価格が安くなったからである。(参考として次の石炭価格チャートを参照下さい。)

Australiancoalprice201511

2015年度は再生可能エネルギー固定料金買取制維持のために電気料金は1kWhあたり1.58円高くなっている。この結果、企業と個人が負担する追加費用は年間1兆3千億円と私は推定している。このような高い1兆円以上もの費用を負担する一方で大量の温室効果ガスを排出する石炭火力発電所を建設することは根本的に間違っており、断固許してはならないと考える。

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2015年11月21日 (土)

日本のGDP成長率は主要国では最低

OECDは2015年第3四半期のGDP実質成長率がOECD諸国内においては、第2四半期の0.6%から0.4%に下がったと11月19日に発表した。

OECD News Room OECD GDP growth slows to 0.4% in the third quarter of 2015

この発表の中に次のグラフがあるが、このグラフでは日本のみが2四半期に対してマイナス0.2%と経済状態がどうしようもない状態です。

Oecdgdp2015q3

見づらい場合は、リンク先のOECD News Roomを見て下さい。グラフ内の◇印は第2四半期の前四半期伸び率です。

もう少し前の時期から眺める必要もあるので、2013年第2四半期を1.0とした実質GDPの推移グラフを作成したのが次です。

Oecdgdp2015q3a

やはり、最低であります。政策を見直すべきではないでしょうか?法人税と個人所得税の増税を図り、人々が希望を持って生きていける国つくりを目指すことはどうでしょうか?最低賃金の引き上げが、ゾンビ企業の反対でできないのはおかしいと思います。ゾンビ企業がブラック企業として存続するのではなく、倒産すべき企業は倒産させ、生き残るべき企業は育成する。教育や研究活動にも税金を投入する。政府は減税ではなく、法人税と個人所得税の増税をして、豊かな社会作りを目指すべきと考えます。

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2015年11月20日 (金)

東芝粉飾におけるウエスチングハウス問題

7月22日にこのブログを書いた頃は、東芝のウエスチングハウス(WH)問題は、それほど大きく取り上げられてはいなかった。しかし、最近はWH問題が話題になっていることが多いようである。例えば、次の日経BPの記事である。

スクープ 東芝、室町社長にも送られた謀議メール 巨額減損問題、第三者委の調査は“出来レース”だった

7月22日の記事で書いたが、東芝は6,210億円でWH株式を購入したのである。(東芝発表 この後に20%追加取得の結果最終6,210億円と推定する。)6000億円以上の投資をして、その結果について株主にも債権者にも、まともな報告をしなかったのである。この日経BP記事は、減損額は合計すると13億2000万ドル(約1156億円)と書いているが、そんな少額で済まず、6000億円に近い可能性もあるように私は思う。

日経BPの記事タイトルにある「謀議メール」とは東芝の法務部長、会長、社長、CFO等経営幹部の間で第三者委員会にはWH問題を調査させないようにしよう(第三者委員会も実はグル)とのやりとりがあったとの記事である。第三者委員会なんて独立した存在ではありません。東芝が金を払って、東芝が依頼・指示をして結成された委員会ですから。弁護士や会計士は依頼人のために働く人たちです。本当の独立性を言うなら、寄附金のみで運営しているNPOがまだ信頼できると思う。(最も、NPOを隠れ蓑にして、実質上資金は・・・なんてこともあり得るので、そう簡単ではないが。)なお、第三者委員会報告書(要約版)には調査対象として「以下の1ないし4の会計処理の適切性、・・・」となっており、WH問題は含まれていない。初めからの出来レースです。

何故東芝はWH株の購入なんて、バカなことをしたのか?原発を成長産業と見込んだこと。WH株を買うのは、東芝以外には三菱重工、日立製作所以外になく、他の国内2社より優位に立ちたかった。そして究極の所は不滅のビジネスを目指したのだと思う。WH株は、英国原子燃料会社とWH UKから購入したのであり、ゼロに近ければ売れる可能性はある。東芝の目論見は原発メンテナンス・廃炉ビジネスだろうと想像するのです。電力会社が自らすることは困難である。日本で仮に原発が直ちに廃止になっても50年程度のビジネスは楽にあるし、100年立っても未だある。WH株を保有していれば、米国の原発メンテナンス・廃炉ビジネスも展開できる。

いやはや、原発とはとても恐ろしい魔物なのである。

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2015年11月18日 (水)

仏原発テロの可能性

パリでのテロは、今後どのようなことになるのか、鎮圧することは容易ではない。しかし、ISISのテロが広がっていけば、世界は恐怖に陥る可能性さえあると思う。再び、東洋経済ONLINEの記事ですが、次があった。

東洋経済ONLIN 11月18日 フランスは原発テロの悪夢にうなされている

フランス原発の中には全2階建てのエアバスA380が墜落しても耐えられるように設計されていると聞いたことがある。それでも、迫撃砲やロケット砲に耐えられるのだろうか?当然テロリストが攻撃を仕掛けたとする。その場合、緊急炉心停止(SCRAM)が可能であったとしても、その後の崩壊熱の冷却は大変であることを福島第一原発事故は教えてくれた。おそらくフランスの原発は巨大な冷却塔を使った冷却方式と思うが、冷却塔は迫撃砲やロケット砲で簡単に崩壊すると思う。しかも、迫撃砲やロケット砲の攻撃があったなら、原子炉建屋や圧力容器も損傷を受けている可能性がある。放射性物質飛散の危険性はあると思う。

ISISテロの恐ろしさは、自爆テロである。それ故に、ラッカやモスルを空爆あるいは地上軍で攻撃しても、生き延びたISISメンバーは自爆テロを繰り返す。自爆テロが目的化すると、自爆テロの実施者は仲間からは神様に近いとあがめられる。ISISテロの撲滅は容易ではなく、最終的には武力ではない平和の樹立と考えるが、相当先の話のような気がする。

さて、フランスの原発であるが、IEA統計データによれば、2014年の原子力発電の発電量は77.1%を占める415,579GWhであった。参考のためにIEA統計から作成した2014年の電源別発電量のグラフを掲げます。フランスって原発が多いのです。

Iea2014genef

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仏TGV事故とリニア新幹線

11月14日仏北東部ストラスブール近郊でTGVが試験走行中に脱線事故を起こし11人が死亡し、37人が負傷、うち12人が重体という事故があった。この事故に関する記事を東洋経済ONLINEが掲載していた。

東洋経済ONLINE 11月17日 仏高速鉄道「TGV」脱線事故はなぜ起きたのか

この日行われていた試験は、営業最高速度時速320kmの認可を得るために、その10%増しの時速352kmで運転するもので」とあり、「事故発生現場は最高速度時速160kmの区間となっており、試運転では同様に10%増しの時速176kmまで引き上げて試運転を行う予定だったが、ほぼ最高速度に近い時速350kmでカーブに差し掛かり、脱線転覆したという説が有力となっている。」とのことである。

仮にスピードの出し過ぎであったとして、何故そのようなことになってしまったのか?スピード超過に対する安全装置は働かなかったのか?等も問われなければならない。

でも、東洋経済ONLINEの記事で、一番心を動かされたのは、次の部分であった。

報道でよく耳にする「新幹線の安全神話」などというのは、勝手な妄想に過ぎない。その裏で、日本のJR各社が事故を起こさないよう、常に緊張感をもって日々運行を続けてきたからこそ、いまだ開業以来、鉄道会社側を起因とする死亡事故ゼロを続けていられるのだ。」

安全神話など存在しない。その陰で多くの人たちが安全を心がけていることからの成果である。ところで、リニア新幹線とは安全であろうか?新幹線で経験をし積み上げてきた安全についての資産は活かされない部分があるであろうし、全く新しいシステムである以上、どのような事故が発生しても不思議ではないはず。テロに対しても非常に弱いと考える。自爆テロがあれば、その編成全てに被害が及び大勢の犠牲者が出ると思う。多分、セキュリティーチェックを厳重にして対処することになると思うが、そのための所要時間増加で超高速スピードの時間短縮は相殺される部分が出ると思う。

なお、超高速鉄道というと産経が次のニュースを報じていた。

産経 2015年1月7日 「最高速度600キロ」目指すという「韓国版新幹線」の面妖…日本のリニアより速く、それでも在来線で走らせて安全性は大丈夫か

リニア新幹線技術なんて、レール方式では250km/h程度が限界と考えられていた時代の発想である。レール鉄道で500km/hが実現可能であるなら、リニア新幹線は直ちに廃棄すべきと考える。500km/h新幹線の良さは、新規建設部分で500km/h運転が可能となると同時に、速度制限は受けるであろうが、既存の新幹線にも乗り入れ可能とできる。

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2015年11月15日 (日)

情報開示に向かう原発交付金

次の日経ニュースです。

日経 11月15日 「原発交付金のルール開示」 行革相、行政レビュー成果強調

11月12日の日経ニュース(これ)では、「河野太郎行政改革相は「乱立している」と指摘し、資金の透明性を高めるよう経済産業省や文部科学省に求めた。」であった。従い、15日のニュースは開示が実質決定したと読めばよいと思った。

ところで、行政事業レビューに上った交付金や補助金とは何であろうか?

11月12日の秋の年次公開検証(ここ)の19:00~21:00「エネルギー・地球温暖化対策(Ⅱ)(エネルギーに関係する諸問題(Ⅱ))」に関する資料から作成したのが次表である。金額は平成28年度要求予算額である。

Japaneseenergysubsidy201511

原発関連以外も含まれているが総額1316億円である。電力供給において重要な役割を果たす電源を維持することに寄与している地方公共団体が応分の交付金・補助金を受け取ることは、正当であると考える。しかし、1316億円が妥当であるかは、判断がつかない。やはり、どの都道府県と市町村がいくら受領し何に支出したかの会計報告や予算案は、国民と電力消費者に開示されて当然と考える。さもなくば、批判はおろか、妥当性の判断もできない。

なお財源には、一般電気事業者が電気料金と共に徴収する1000kWhあたり375円の電源開発促進税が充当されると理解する。2014年度の一般電気事業者の電力販売量は823,005GWhであり、これから計算すると3086億円である。行政事業レビューで取り上げたのが1316億円なら、まだ未追求の支出が1700億円存在する。1700億円は、どうなっているのだろうか?

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2015年11月 8日 (日)

ユネスコ世界記憶遺産 南京大虐殺

ユネスコは世界記憶遺産(Memory of the World )への追加47件を発表した。ユネスコ発表は次の通りである。

09 October 2015 International Advisory Committee inscribes 47 new nominations on UNESCO Memory of the World Register

47件には日本政府が申請した次の2件が含まれている。

舞鶴港引揚資料(ユネスコWeb 舞鶴引揚記念館のホームページ

東寺に保存されている歴史資料集(ユネスコWebユネスコWeb)

また47件の中には、中国政府申請の1件が含まれており、これが南京大虐殺資料(Documennts of Nanjing Massacre:ユネスコWeb target=_blank Nomination Form)であり、日本国内で議論がある。

これに対し、日本政府は南京大虐殺はなかったとする研究者の論文をユネスコに提出したと毎日が報じている。

毎日 11月6日 世界記憶遺産:意見書 日本、「南京」否定派を引用 ユネスコ受け入れず

ユネスコ世界記憶遺産となった南京大虐殺資料は中国の資料ばかりであり、一方的と言える。しかし、南京大虐殺まで否定できるものではないと考える。

参考までに次の「NNNドキュメント '15 シリーズ戦後70年 南京事件 兵士たちの遺言」を見ると、とうてい否定できないと考える。

あるいは、次のNNNドキュメント08「兵士たちが記録した南京大虐殺」も同様で、恐ろしい悪魔の歴史と思う。誰が、悪く、誰が悪魔かは、単純ではない。作戦に参加させられた日本兵も被害者である。

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2015年11月 2日 (月)

旭化成杭問題

杭問題で旭化成は記者会見を行い、横浜市の傾斜マンションでデータを改ざん実行の担当者が携わった41件の杭打ち工事のうち、19件でデータを流用するなどの改ざんがあったことを認めた。

日経 11月2日 旭化成副社長「杭打ち19件で改ざん」 横浜の担当者分 

旭化成の発表はここにあり、県別、種類別の表がこちらにある。41件のうち19件なので46%に不正あり。これで驚く事なかれ。マンションについては13件中9件が不正ありで、なんと70%が不正実行率。正規な杭の建物は3分の1もない。

旭化成による杭工事実績3,040件についての調査結果は、11月13日発表と言うことである。これについてNHKは300件程度が不正と報道(これ)。日経報道では同様な報道もあるし、旭化成から出た数字ではないとの報道もある。もし、本日と同じ率で不正があるとすると、1500件の不正が予想されるが、真実はどうなるのだろうかと思う。

この不正(犯罪)が旭化成にとどまるのかと言えば、決してそうとは思えない。10月20日のブログにも書いたが、オーガーで穴を掘削し、現場でコンクリートを流し込む等する現場施工杭には全く同様の不正(犯罪)が行われている可能性がある。

何故、こんな不正(犯罪)が実行されるかと言えば、工期維持が品質維持より強く要請されている結果と考える。杭工事が遅れれば、全ての工事が影響を受ける。杭工事完了に強いプレッシャーがかかる。建築工事とは、様々な業種の工事屋(下請)が協力して施工する。元請けの力とは、起用する工事屋(下請)を如何にうまく捌くかである。工事屋(下請)は一つの現場から次の現場へと手待ちなく工事を実施できるかが重要であり、予定工事期間のずれは最悪である。また、工事費は工事期間が長くなれば確実に増加する。品質より工期が優先され、手抜き工事は当たり前。後でばれない部分は、手抜き・不正(犯罪)が横行する。だからこそ、。10月20日のブログでは、建築学会が改善策を検討し打ち出すべきと書いた。技術とはアカデミックな部分もあるが、人と社会が利用する物をつくる学問であり、品質維持についても技術者が研究し、品質維持に尽力すべきである。重要な部分は施工者と検査者は独立した別組織になっていなければならない。

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