小規模石炭火力の問題点
小規模火力発電所が環境影響評価(アセスメント)の対象となっていないことから、環境アセスの対象とならない出力112.5MWをやや下回る規模の石炭火力の新設計画が急増している。この対応として、環境アセスの対象見直しなどを環境省の有識者検討会議で検討中であるとのニュースがあった。
時事ドットコム 11月20日 アセス期間短縮も=小規模火力で報告書案-環境省検討会
当然のことであり、むしろ環境影響評価法において112.5MW未満の火力発電所が環境アセスの対象外であることを知って驚いた。環境保全に努めるべきである。人々の暮らしや生活を破壊してまで産業活動が行われては本末転倒である。基本的にあらゆる開発行為は環境アセスの対象とすべきである。
日経は、11月18日に石炭火力輸出、融資制限で合意 OECDと報じた。OECDの11月18日発表はここにあり、”These new rules will substantially limit official export credit support for new coal-fired power plants, and mark a major contribution to international efforts to combat climate change.”との文章もあり、気候変動への取組は世界各国による合意事項であり、この実現こそ重要である。112.5MW未満の石炭火力などは許してはならない設備である。
出力112.5MWの石炭火力発電所が排出する1年間のCO2の量は約80万トンである。この数字は相当に大きいのである。温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度により公表されている企業毎のCO2排出量で80万トンを超えるのは、製鉄や石油化学関連がほとんどである。80万トンもの大量CO2排出者を野放しにすることは、日本が不法者天国になるように思う。
石炭火力事業はスケールメリットによりコスト削減が大きいことから従来は小規模石炭火力は不採算事業であった。そもそも、規模が小さいことから燃料消費も大きく、CO2もその分多く排出するのである。それが、何故新設計画の急増となっているかは、石炭価格が安くなったからである。(参考として次の石炭価格チャートを参照下さい。)
2015年度は再生可能エネルギー固定料金買取制維持のために電気料金は1kWhあたり1.58円高くなっている。この結果、企業と個人が負担する追加費用は年間1兆3千億円と私は推定している。このような高い1兆円以上もの費用を負担する一方で大量の温室効果ガスを排出する石炭火力発電所を建設することは根本的に間違っており、断固許してはならないと考える。
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