再生可能エネルギー電力の販売が新電力は可能ですか
電力自由化により新電力が再生可能エネルギー電力を販売可能かどうかの疑問について、朝日新聞の記事は、可能であるように報道していた。
朝日 2月28日 再生エネ電力は選べない? 4月自由化、家庭向けわずか
「環境を重視する人たちの選択肢は当面限られそうだ。」と書かれており、これでは購入することが可能であり、日本では4社が再生可能エネルギー電力を販売しているように読める。
しかし、これは大嘘と考える故、デマが広がらないように、再生可能エネルギーが一部の人の利益ではなく、多くの人の利益になるようにと考え、正しいことを記載します。
1) 再生可能エネルギー発電事業者は一般電気事業者に販売する
ユーザーに直接販売することは現状では考えられない。何故なら、再生可能エネルギーの固定価格買取制度による価格が再生可能エネルギー発電事業者にとっては一番高く売れる金額だからです。10kW以上の太陽光発電であれば2015年度後半で27円+消費税等で販売できる。(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)
固定価格買取制度を利用しない販売も可能である。しかし、家庭用電気料金はこの2016年2月27日朝日新聞の記事では一番安い北陸電力が300kWhの使用で6,852円(消費税込み)である。単価にすると22.84円で、最も高い関西電力でも25.66円(税込み)である。
ビジネスとは、高く売ろうとするのが常識で、通常では無理をして安く売らない。
最も、この環境ビジネス オンラインの記事 2016年度のFIT買取価格、委員長案公表 10kW以上太陽光発電は24円(税抜)のように、太陽光も安くなりつつある。しかし、家庭用に販売するとなると送配電コストに相当する電力託送料も発生するのである。
2) 再生可能エネルギー発電単独での電力供給は困難である
太陽光発電設備を例にとると、正午前後に太陽エネルギーが地表に届く量が大きく、発電量も多い。朝夕は少なく、日没から日の出までは全く発電しない。昼でも雨や曇天の日は発電量が少なく、雲に太陽が隠れれば、出力が急に落ち込んだりする。夜間の家族団欒時間の電力は全く供給できない。
それでも、太陽光発電設備から家庭に電力供給をするなら、大規模バッテリーを保有して供給するか、他の発電設備との組み合わせで家庭が消費する量と同一量を常時供給する方法である。この場合、太陽光電力100%にはならないが、一般の電力事業者から購入する場合の固定価格買取制度に含まれている再生可能エネルギー発電の量よりは大きくなる可能性はある。電力自由化なので、再生可能エネルギー割合の予想値を提示し、実際割合はある変動幅とし、電力料金は○○円と言った契約は可能である。
風力発電も出力変動の激しい発電であり、太陽光以上に設備単独での供給は困難である。水力やバイオマスの様な発電量が安定しており、出力調整もある程度は可能な再生可能エネルギー発電もある。それでも、これら再生可能エネルギー発電からの電力がユーザーに直接供給されることが良いのかどうかは、総合的な観点も必要である。CO2対策が目的なら、CO2対策に有効なように設備が建設されることが望ましい。
3) 朝日新聞の嘘っぱち
冒頭の朝日新聞の記事は4社を実名で記載しており、Webで検索をしてみた。結果、やはり再生可能エネルギー発電電力を販売していなかった。その中で、みやまスマートエネルギーという会社があるが、固定価格買取制度の価格より1円高く購入すると言っている。こうなると、ビジネスモデルが成り立つとは思えない。振り込め詐欺の同類かとまで思ってしまう。
変なビジネスには気をつけた方が良いです。新電力の変なビジネスに高齢者の多くが引っかかったりしてと懸念する。例えば、以前から債務弁済が滞っていると噂のあった日本ロジテック(参考この経済産業省発表)の撤退なんてのもあります。(この日経ニュース 2月24日)電気の使用者にとっては、どの発電設備からの電力かは分からない。契約相手が、発電や供給をせずに契約不履行を起こしていても供給は継続されるのです。物理の原理で、どうしようもない部分もあります。ユーザーには不明ですから、恐ろしいです。
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