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2016年2月17日 (水)

笹子トンネル事故での会社役員には賠償責任を求めることは正しいか

笹子トンネル事故で、中日本高速道路と点検業務を担当していた子会社の役員(計4人)に対する損害賠償訴訟の判決において、横浜地裁は、個人としての賠償責任はないと請求を棄却したとのニュースがあった。

日経 2月17日 笹子トンネル事故、役員の賠償責任は否定 横浜地裁

訴訟を提起されたご遺族は、「民意からかけ離れた判決だ。個人の責任を明確に追及するため訴訟を続ける」と話されているとのこと。感情的には、そうであっても、それが正しいとは限らず、事故原因を究明し、再発を防ぐべきと考える。

中日本高速道路の組織の名称は中日本高速道路株式会社であり、全株式を政府が保有している。現在、名義人は財務大臣となっている。

会社の取締役は、会社が賠償責任を負うべき行為に対して、同様に賠償責任を負うべきであろうか?取締役が会社に損害を与えた場合は、会社に賠償責任を負う。東芝は、元取締役に対して損害賠償訴訟を行っている。株主代表総称も取締役より株主に対する賠償金支払訴訟でなく、裁判で勝っても、当該取締役は会社に賠償金を支払う。取締役が直接被害者に賠償金を支払うことについての論理は、難しいと考える。やはり、会社に損害賠償を求めるべきであり、当然十分な金額の賠償を受けるべきである。笹子トンネル事故での会社による4億4千万円余りの賠償額は十分であったかどうか、私には判断できないが。

笹子トンネル事故において法令違反は、あったのであろうか?法令に「・・・・について十分な点検を実施し・・・」と記載されていた場合、拡大解釈をすれば、相当その範囲は広がる。しかし、道路トンネルのメンテナンスを含め、規則をあいまいな状態にして管理することは良くない。その観点からすれば、道路トンネルのメンテナンスに関する規則を立案すべき国土交通省や土木学会あるいは大学や研究機関の方が高速道路会社の取締役より責任重大とも思える。

勿論、中日本高速道路の責任は重大であり、実は中日本高速道路以外の東日本や西日本にも言えるのであるが、点検をしていれば、問題点を早めに検知して、対策が講じられた可能性もある。ある人から聞いた話であるが「トンネル内の鉄製ハンドレールはすぐにぼろぼろになるのです。」車の排気ガス汚染により、トンネル内は腐食が激しいことは、関係者にとっては常識だったようである。

中日本高速道路とは、日本道路公団を分割し民営化して設立された株式会社の一つである。そもそも、何故分割民営化などする必要があったのかを検証する必要がある。不必要な高速道路を建設せずに政治から独立するためだとするなら、その検証が必要である。道路公団という組織のままの方が、一体であることの合理性を追求して、必要なメンテナンスの管理体制を組め、実施できたかも知れない。

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