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2016年3月22日 (火)

不良資産の相続放棄

日経に次の記事があった。

日経 3月22日 実家の相続放棄、急増 空き家問題に拍車も 

記事に「安易な相続放棄に歯止めをかけるため、対策に乗り出す自治体も出始めた。」とあるが、対策なんて可能だろうかと思う。

1番目には、相続放棄という人の権利の侵害は誰にもできないことである。相続人全員が相続放棄をすると国庫に帰属する。(民法959条)

2番目には、空き家対策特別措置法との関連で地方自治体が強制撤去でき、費用は所有者に請求かのうとなったことから、クローズアップされつつあるのだろうが、地方自治体が簡単に相続人情報を入手できるのだろうか、困難なことも多いと推測する。相続があっても、登記上の所有者を変更しないこともよくあるからである。

しかし、相続放棄の手続き開始にあたる家庭裁判所への申し立て件数が増加していることは、私は悪いことのみではないと考える。相続人が複数存在して、一部の人のみが相続放棄というケースもあると思うが、日経記事が指摘しているのは、相続人全員による相続放棄の場合である。なお、全員による相続放棄があった場合に選任される財産管理人は財産の管理義務があり、家屋を調査し、その地の地方自治体にも問い合わせると思うのだが。

また、相続放棄をしても相続財産の管理人が選任されるまでの間は、その財産の管理義務は相続人にある(民法940条)。従い、地方自治体の強制撤去費用も相続人もしくは管理人に地方自治体は請求可能なはずであろうが、被相続人の債務が大きく、財産以上である場合は、一般の相続債権者と同じ扱いとなり、財産換価後の分配になると考える。相続開始以前に強制撤去の対象となる家屋であれば、私は可能と思うのです。最も、相続以後に強制撤去の対象になったとしても、財産換価処分には撤去が前提となるので、問題はないと思う。

そうすると問題は、その人が親から相続した財産と一生かかって築いた財産を足しあわせた相続対象の資産総額よりも、その人が死亡時点で負っていた債務の方が大きかった場合に、限定されると考える。この場合については、税金負担はやむを得ないことと思う。社会の安全確保に必要な支出は税金で為さざるを得ず、支出をしない場合は、更に危険性が増すことも多いからである。

なお、マイナンバーを使って、不動産は厳密に管理すべきと考える。法人にも、法人番号があり、管理可能である。単に住宅のみならず、耕作放棄地や山林も管理する必要がある。手入れの行き届かない山林は土砂崩れや災害の原因にもなりかねない。

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