G7外相広島宣言 人間的 or 非人間的
「非」がつくのと、つかないので、意味は正反対のはずであるが、JBPress 2016年4月30日 広島宣言に「誤訳」を忍び込ませた外務省のように様々な批判があるようです。
そもそも、正式に採択された英文(”human suffering”となっている)と外務省の仮訳(「非人間的な苦難」と訳されている)を読み比べる必要がある。(文書の冒頭部分です。)
We emphasize the importance of our meeting in Hiroshima seventy one years after World War II, which unleashed unprecedented horror upon the world. The people of Hiroshima and Nagasaki experienced immense devastation and human suffering as a consequence of the atomic bombings and have rebuilt their cities so impressively.
我々は,世界にかつてない恐怖をもたらした第二次世界大戦から71年を経て,我々が広島で会合することの重要性を強調する。広島及び長崎の人々は,原子爆弾投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験し,そして自らの街をこれほどまでに目覚ましく復興させた。
英語をそのまま訳すと、人間として苦しんだとなると思う。訳文そのものについて、私は批判はしたくない。しかし、気になることは少しある。
1) 外務省は英語の本文もWebに分かりやすく表示をすべし
日本語の仮訳は外務省のこのWebからダウンロードできる。正式文書が英語であれば、正式文書も簡単に読めるようにリンクを張るべきである。私は、言語でEnglishを選択して、検索をして、日本語ページの英語版である外務省のこのWebにたどり着くことができた。
政府の広報や発表は正確であるべし。原文も、簡単にたどり着けるようにして発表すべきである。
2) 重要なことは核兵器のない世界の実現を目指すことである
広島宣言の最後から2番目のパラグラフを比較してみたい。
We are ommitted to the peaceful uses of nuclear energy and will continue to work with the IAEA to promote the highest standards of non-proliferation, nuclear safety and security.
我々は,原子力の平和的利用にコミットし,引き続きIAEAと協力し,最高水準の不拡散,原子力安全及び核セキュリティを推進していく。
私は、英文では、核不拡散、核安全・安心に関する最適なルールを作り上げていくと読んでしまうのである。ノーモア広島・長崎と唱えるだけではなく、どうすれば核兵器のない世界にしていけるかも考えなくてはいけないと思う。
一つにはプルトニウムができてしまう軽水炉原発から脱することかも知れないと思うものの、現実につくられてしまったプルトニウムをどう管理するのか、どっちみち、すごく頭の痛い問題だと思う。しかし、努力を続けなくてはならない。
3) 嘘は良くない外務省
この外務省の説明 NPDI外相会合広島宣言(骨子)を読んで、やはり嘘をつくべきではない外務省と思った。
核兵器の非人道性とか核兵器の非人道的影響とか書かれている。アホかである。世界の誰もが思っていないことを述べて何の役にも立たない。非人道的影響とは、人間以外の物に対する影響という酷い言い方である。
核兵器は人の道に反する悪い兵器であるとすることを出発点とした発想から出ていると了解する。しかし、この理論では、核兵器以外は良い兵器であるとの論が成立してしまう。何が良くて、何が悪いかの線引きをどこにするかを論理的に組み立てなくては世界を説得できない。
バカは外務省を去るべきであると思ってしまった。
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