消費税増税延期となったが、釈然としない
消費税法の未施行部分であるが、国会で改正する必要があり、現段階は首相が5月28日に自民党幹部に述べただけである。しかし、決定同然として、その影響等を考えるべき状況である。
日経 5月29日 消費増税「19年10月に」 首相、2年半延期の意向
私のブログでは4月3日に消費税増税の延期、ダブル選挙へと向かう予想として書いた。現下の日本経済の状況については5月27日のこのブログで書いたとおり、個人消費が減少しておりアベノミクスの失敗と言われても反論の余地はないと考える。トリクルダウンなんてごまかしは通用しない状態である。
リーマンショックに相当する世界経済の悪化と言っても、これも通用しない。4月3日のブログでG7の7カ国の四半期実質GDPの前年増加率の表を掲げた。この時は、2016年1-3月の数字が未発表であったが、現時点ではカナダを除き、OECDのWebからダウンロード可能なので、下記の表を作成した。
日本が最低である。他のG7諸国は、好調と言うべきか、順調あるいは堅実と言えばよいのかと思う。アベノミクスの失敗を認めないとすれば、世界経済を理由に消費税増税の延期を首相は述べることになると予想するが、事実を直視すると、上の表のように、悪い経済は日本である。
G7伊勢志摩首脳宣言はこのWebからダウンロード可能であり、1ページ目の世界経済の部分は次のようになっている。
日本語訳:
世界経済:世界の成長は,我々の喫緊の優先事項である。我々は,国別の状況を考慮しつつ,強固で,持続可能な,かつ,均衡ある成長軌道を速やかに達成するため,我々の経済政策による対応を協力して強化すること及びより強力な,かつ,均衡ある政策の組合せを用いることにコミットする。
英文:
World Economy: Global growth is our urgent priority. Taking into account country-specific circumstances, we commit to strengthening our economic policy responses in a cooperative manner and to employing a more forceful and balanced policy mix, in order to swiftly achieve a strong, sustainable and balanced growth pattern.
英文では”more forceful and balanced policy mix”と言っており、訳文では「強固で,均衡ある成長軌道」とかなっており、G7伊勢志摩首脳宣言の文章と消費税増税の延期は整合性があるように思えない。
重要なのは、足下の政策ではなく、長期的展望を描いた政策である。政府財政の見通しや社会政策の展望を含め長期的な方針を示すことなく、消費税増税の延期を政治家であれば、述べてはならないと考える。
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