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2016年6月30日 (木)

東京オリンピック招致に対する警告も含むのか

OECD関係のニュースとしては日経 6月30日 税逃れ、悪質な国・地域に制裁検討 OECD租税委員会というようなのが多いのですが、OECDは次のような発表も6月30日にOECDは行っている。

日本、国際贈賄防止の最優先化が不可欠 

(英語の文書はJapan must make fighting international bribery a priority

海外における賄賂支払(贈賄)に対する取組が弱すぎると言っている。

すぐに頭に浮かぶのが東京オリンピック招致委員会と電通が払ったオリンピック招致のために支払った巨額の賄賂である。

東京オリンピック関係者と電通は襟を正すべきでしょうが、どのような気持ちでこのOECDの声明を聞いているのでしょうね?オリンピック関係者は、皆がやっていることで大したことはないと思っているとしたら、OECDの指摘は的を得ていると言える。

確かに、オリンピックを開催する東京都の辞めた知事なんか出張費使い放題で、金銭感覚はすごかった。同じように賄賂を支払うのかな?

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2016年6月29日 (水)

名古屋市の子宮頸がんワクチン調査結果を分析するとワクチン接種に問題はなし

次のNHKの報道タイトルは悪魔の言葉と思います。

NHK 6月26日 子宮頸がんワクチン調査 名古屋市が結果を事実上撤回

名古屋市の次のWebが子宮頸がん予防接種調査についての調査結果報告のページです。

2016年6月22日 子宮頸がん予防接種調査の結果を報告します

名古屋市も簡単にはたどり着けないページに置いており、しかもpdf形式であり、データダウンロードができないようにとNHKみたいです。但し、NHKのように前回の調査結果を撤回とは言っていないので、誤解しないで下さい。

本当のところはどうなのか、pdfをエクセルに入れて分析してみると、子宮頸がん予防接種を受けた場合と受けない場合で差はありません。

2015年9月に名古屋市が実施したアンケート調査では30,793人から回答を得た。接種の有無が不明な人が514 人いるので、30,279人の回答が分析対象となります。このうち、ワクチン接種を受けた人は21,034人で受けなかった人は9,234人であり、69.5%がワクチン接種を受けた人の割合です。

アンケートでは24項目の質問を行い、そのような症状があるか、ないかを尋ねたのです。

私の分析結果は次です。

Nagoyacervcancerreport2jpg

接種を受けた人が21,034人で、受けなかった人が9,234人なので、受けた人と受けなかった人それぞれの中で、症状があると回答した人の割合を計算しました。表の中で差と書いてあるのは、接種を受けた人から受けなかった人のその症状があると答えた人の差ですあり、プラスは接種を受けた場合に、その症状が多いことを意味します。

プラスもありマイナスもあるのですが、このアンケート結果で子宮頸がんワクチンにリスクありと判定することは間違いと考えます。

2013年6月19日に子宮頸がんワクチンについてというブログを書き、その中で次のグラフを掲載しました。子宮頸がんワクチン接種も他の予防接種と同様にリスクがゼロではないですが、リスクよりも期待利益の方が大きいと考えます。若い頃からガンになる率が高いのが子宮頸ガンです。ワクチンを接種し、検診を受ける。それが大人の生き方であり、マスコミに惑わされずに事実を正確に把握し、理解することが重要です。

Cervical_cancer2013d

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2016年6月23日 (木)

困ったWindows10自動インストール

消費者庁までが、ついにWindows10の警告を出しました。

消費者庁 6月22日 Windows 10への無償アップグレードに関し、確認・留意が必要な事項について

Windows10は、Windows7やWindows8.1よりもセキュリティー対策が進んでおり、安全だと考えます。

しかし、PCの右下に勝手に表示され、「あなたのPCはWindows10にアップグレード可能です」なんて言われても、注意が必要です。

即ち、マイクロソフトのプログラムがそんなことを自動的にチェックしているのではないのです。自分が使っているPCがWindows10にアップグレード可能かどうかはユーザーの自己責任です。

どうすれば良いかというと、自分の使っているPCについて、PCメーカがWindows10対応可能であるかをPCメーカのWebで調べた上で、実施することです。対応を誤ると、PCが動かなくなり、工場出荷状態に戻すリカバリーをせざるを得なくなることもあります。(リカバリーを自分でするのも大変ですが、あるゆるものが失われ、気が狂いそうになります。)

参考に、NECであればこのWebが「モデル別のWindows 10 対応」を説明しており、2013年5月以前のPCについてはWindows10アップグレードをしない方が良いと考えます。

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2016年6月21日 (火)

福島第1原子力発電所炉心溶融について(その3)

6月20日のブログの追記として東京電力が発表した「MAAPコードによる福島第一原子力発電所の事象解析について」に記載がある炉心露出開始時間、炉心損傷開始時間を書きました。

炉心露出開始時間と炉心損傷開始時間を冷却系統が機能しいた時(1号機は津波による電源喪失まで、2号、3号機はHPCIやRCICが機能していた時まで)と炉心露出開始時間、炉心損傷開始時間を表にまとめると次のようになった。

Fukushimareactor20166

冷却ができなくなってから1号機は3時間あまりで炉心の損傷が始まり、2号機の場合は6時間足らず、3号機については約8時間で炉心損傷が始まった。

冷却ができなくなれば原発は暴走状態と考えます。何か手を打つことができなかったのか、調査して欲しい思います。事故調査とは、早ければよいのではなく、将来のための教訓を残し、事故からフィードバックすべきことを学ぶものと考えます。

上の表の発生熱については6月20日のブログに掲載したグラフであり、炉心露出開始時間、炉心損傷開始時間については2012年3月12日の東京電力は「MAAPコードによる福島第一原子力発電所の事象解析について」(これ)から、冷却系の停止時間については「原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書-東京電力株式会社福島原子力発電所の事故について-」(この経産省のWebからダウンロード可能)からです。参考として、2012年6月20日東京電力の福島原子力事故調査報告書の用語集でのHPCIとRCICに関する説明を記載しておきます。IAEAへの報告書には、2号機ではRCICが3号機はRCICとHPCIが断続的に機能していたように記載があります。

HPCI : High Pressure Coolant Injection System /高圧注水系
非常用炉心冷却系(ECCS)の内の一つで、配管等の破断が比較的小さく、原子炉圧力が急激には下がらないような事故時、蒸気タービン駆動の高圧ポンプで、原子炉に冷却水を注入することのできる装置。ポンプの流量(=能力)は原子炉隔離時冷却系(RCIC)に比べて約10倍と大きいが、原子炉停止時冷却系(SHC:1F1)又は残留熱除去系(RHR:約1800m3/h、福島第一2'--"'5号機の場合)に比べると小さい。福島第一1号機~5号機に設置されている。

RCIC : Reactor Core Isolation Cooling System /原子炉隔離時冷却系
通常運転中何らかの原因で主蒸気隔離弁(MSIV)の閉等により主復水器が使用できなくなった場合、原子炉の蒸気でタービン駆動ポンプを回して冷却水を原子炉に注水し、燃料の崩壊熱を除去し減圧する。また、給水系の故障時などに、非常用注水ポンプとして使用し、原子炉の水位を維持する。RCICポンプの流量は、HPCIの約1/10程度の約96m3/h (福島第一2~5号機の場合)で、さほど大きくない。

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2016年6月20日 (月)

福島第1原子力発電所炉心溶融について

6月18日に福島第1原子力発電所炉心溶融を書いたが、炉心溶融について読み解いた結果を書くこととする。責任の押し付け合いではなく、事実を事実として認識し、将来に役に立たせるべきと考える。

1) 東京電力及び経産省は3月12日に炉心溶融と発言していた

6月18日のブログにも書いたとおりであるが、3月12日の記者会見で東京電力小森常務は炉心溶融の可能性ありと発言していたし、経産省保安院の記者会見においても炉心溶融を認める発言があった。6月16日付の検証委員会報告書3ページ目(この東京電力プレスリリースからダウンロード可能)の文章中にその旨の記載がある。

2) 3月14日には東京電力は炉心状況をそれなりに把握していた

検証委員会報告書の記載を基に6月18日のブログに書いたが、3月14日炉心損傷割合25%と判定していた。炉心溶融の定義は不明確であるが、炉心損傷割合が5%を超えれば炉心溶融とすることが、東京電力の「アクシデントマネージメントの手引き」にはあったとのことである。

そもそも、現在においても、炉心を見ることはできない。検証委員会報告書にあるが、3月14日以降CAMSガンマ線線量率が測定できるようになったから炉心損傷率の推定が可能となった。ガンマ線は電磁波であり、放射性物質の核種を判断することができる。クリプトンやキセノンの放出率は燃料温度に依存して高くなる。このようなことから炉心状況をCAMSガンマ線線量率の測定により可能になった。

3) 実際の炉心溶融時期

東京電力は2013年3月に「福島第一原子力発電所事故の経過と教訓」との小冊子を出している(このWeb)。この中に1号機の事故の経過(ここ)、2号機の事故の経過(ここ)、3号機の事故の経過(ここ)のページがある。これらのページを見ると、燃料の露出・損傷が1号機では3月11日(20頃?)、2号機では3月14日(18時頃?)、3号機では3月13日(正午頃)に始まっている。燃料が露出すると冷却方法がなくなるのであり、一気に燃料のジルカロイ被覆管も溶融する温度となる。ジルカロイの融点はこのATOMICAの表のように温度2030K(1750℃)であるが、この表の2000K付近に溶解ジルカロイによるUO2の溶解とある。UO2とは原子炉燃料であり3000℃近い融点であるが、ジルカロイとの合金のような形になると2000℃以下で溶解する。即ち、炉心溶融となる。

1号機の炉心溶融は3月11日に生じていたのである。2号機は14日まで3号機は13日までであり、2、3号機が11日の炉心溶融を免れたのは、冷却が2号機は14日の13:25まで原子炉隔離冷却系(RCIC)により、3号機は13日の午前2時40分まで高圧注水系(HPCI)による冷却ができていたからである。しかし、それぞれバッテリーの電気を使い果たした所で運命がつきた。

4) 原子炉停止後の発生熱

原子炉とはウランの核分裂の熱を利用する。福島第一も地震発生で原子炉は停止し、その後核分裂は起こっていない。しかし、核分裂により生成される分裂結果である核分裂生成物(放射性物質)が生まれる。核分裂生成物はα崩壊やβ崩壊を起こし、熱を発生する。コントロールをすることができない核崩壊なのである。

東京電力2013年3月の「福島第一原子力発電所事故の経過と教訓」(このWebのpdf版をダウンロードすると8ページ目の右下に次のグラフがある。

Tepco

このグラフを書き直し、原子炉停止後の崩壊熱の累計も加えて24時間後までのグラフを作成した。

Fcenergy2016

24時間経過しても、それほど低くはならない。どれほどの熱かと言うと、1号機の熱出力は1380MW、2号機と3号機は2381MWであるので、約5時間後に1%程度となるが、その時で14MW、24MWの熱であり、1時間あたりA重油を1.3KLと2.2KL燃焼して得られる熱と同等である。

通常運転の場合の燃料棒の温度分布はこのATOMICAの図が参考資料であり、原子炉核燃料はジルカロイ被覆管の中にあり、ジルカロイ被覆管の外面で400℃程度である。核分裂生成物もジルカロイ被覆管の中で生成されるのであり、ジルカロイ被覆管の外面での冷却がなくなれば直ちに高温となる。冷却がなければ12時間ほどで炉心溶融が起こると私は考える。

福島第一の1号機は津波被害の発生直後直ちにせめて直流電源を自衛隊を使ってバッテリだけでも回復し、最悪はベントでしのぐ必要があったと考える。2号機と3号機はバッテリーが使用可能であった時間内に新規バッテリーを用意すべきであった。

<追記>

2012年3月12日に東京電力は「MAAPコードによる福島第一原子力発電所の事象解析について」(これ)を発表している。その中の解析結果として、1号機炉心露出開始11日18時10分、炉心損傷開始18時50分、2号機炉心露出開始14日17時00分、炉心損傷開始19時20分、3号機露出開始13日9時10分、炉心損傷開始13日10時40分との記載がある。

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2016年6月18日 (土)

大失敗のアベノミクス(やはりいびつ)

アベノミクスとは、近い将来には、大失敗の経済政策として批判されるように思う。国債発行残高の3分の1を中央銀行が買い占めして保有しているのは、どう考えてもいびつである。

日経 6月18日 国債保有、日銀が3分の1超す 買い取り限界論も

この日経の記事には日銀資金循環統計を基に作成した国債残高のグラフがあり、そのグラフを見るとよく分かる。安倍政権発足当時の2012年12月時点の日銀保有国債残高は100兆円を切っていた。それが本年3月末には364兆円と3.7倍になっている。中央銀行が国債を買い続けたなら、その国はいずれ破綻する。

阿部・黒田による暴走としか言いようがないと思える。物価2%上昇で良いことがあるのか?実は意味がない。意味がないバブル経済を目指して、国民を貧困に陥れるリスクを考えねばならない。アベノミクスとは単に日銀金利を下げただけで、他は何もしていない。「それじゃ駄目じゃん!」の見本みたいな政策である。日銀金利を下げただけでは、展望も何もないのである。

そんな展望のなさは、消費税増税延期も同じである。軽減税率を言い出して、消費税はおかしくなったのであるが、本来は消費税増税結果のしわ寄せを吸収し社会変革を促す予算支出を伴った政策も含めて考えるべき所を、金持ちほど優遇する軽減税率の導入に走った。だから延期する選択肢しかなかった。

1990年代初頭のバブル崩壊以後、日本において特筆すべき産業はほとんど生まれていないように思える。本来であれば液晶なんかそうであったのだろうか。しかし、液晶も技術の底は意外と浅く中国なんかも簡単に追いつける技術であったのだろうかと思う。

英国のEU離脱についての国民投票は23日なので1週間を切っている。嘗ての大英帝国であれば、絶対になかった議論である。強い英国であれば、世界で経済競争に負けるわけがない。今や、保護主義に入らないと不安に思う人が多くなっている。日本も、そのようになるリスクがあり、その場合、誰が貧しくなるのかをよく考えねばならない。利益を受け続けるのは、政治家だけで良いのでしょうか。

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福島第1原子力発電所炉心溶融

6月17日の日経社説は次でした。

なお謎が残る「炉心溶融」 

第三者検証委員会の報告書をダウンロードすることができる東京電力のプレスリリースは次の所です。

東京電力プレスリリース 2016年6月16日 第三者検証委員会からの「検証結果報告書」の受領について (当初、リンクが張れておらずご迷惑をお掛けしました。修正しました。)

1) 検証委員会報告書を読んで

検証委員会報告書(以下「報告書」という)を読んだ結果は、日経社説やその他の報道とは少し違った印象を私は受けました。

報告書19ページから25ページにかけて時刻、通報内容、通報の対象とした事象と区分した表が掲載されている。表の対象とした事象の部分には社内テレビ会議の内容も書かれている。通報内容の通報とは、首相官邸、経産省、保安院あての通報しか考えられないので、そう解釈する。

そうすると、3月14日1号機と思うが、4時42分には炉心損傷率25%と判断し、午前5時3分に政府に報告をしている。更に7:03には、1号機炉心損傷割合55%と推定。7:18 政府に1号機炉心損傷割合55%を通報。7:20 3号機炉心損傷割合30%と判定し、7:35その旨政府に報告。3月15日には政府に1号機炉心損傷割合70%、2号機33%と通報。

但し、それ以前から炉心溶融については認識していた。報告書28ページに3月12日東電の記者会見で小森常務は炉心熔融の可能性がある旨の回答をしていたとある。更に、報告書29ページには、3月12日の17時50分まで、保安院の記者会見の主たる説明者であり、炉心熔融を認めるかの発言をしていたA審議官が同日の18時以降の記者会見から説明者の役割から外れ・・・とある。

ところで、東京電力福島第1原子力発電所からのプレスリリースをチェックしたが、炉心損傷率の報告は見つけることができなかった。政府には、伝えても、国民には秘密にしたのかと思う。

炉心熔融との言葉が曖昧でというなら、炉心損傷率を国民に発表すべきであった。

2) 全ては予定通りであった

原発とは原子炉とは物理の法則が支配する。だからこそ、ある条件では安全に運転し、利用することができる。逆に津波が来て、ある部分が損傷し、全電源を喪失したなら、その結果は、物理の法則通りの現象が単純に現れる。

全電源喪失の時からシナリオは決まっていた。唯一、このシナリオを変えることができたのは、電源復活であった。何故、自衛隊を投入しなかったのか?自衛隊に電源復旧資材を輸送させなかったのか、残念でならない。

4月9日に書いた福島第一原発メルトダウンの原因で、Diamond Onlineの記事に中に烏賀陽弘道氏がTVカメラが入っていないからと3月11日の緊急災害対策本部会議をやり直したと書いていると紹介した。烏賀陽弘道氏のその本が、次です。

この福島第一原発メルトダウンまでの50年の第5章に事故予測シミュレーションが存在したことが書いてある。事故予測シミュレーションは、あって当然であり、このような全電源喪失のようなシビアアクシデントの時こそ役に立つ。

原子炉は、核分裂の熱を利用し、同時に放射性崩壊が生じているが、いずれも酸素を必要としない。福島第一原発のメルトダウンを起こした放射性崩壊はコントロール不可能な物理現象である。だから事故がどのように展開するかは、完全に予定通りであった。必要なことは、電源復旧につきたのである。

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2016年6月15日 (水)

利根川水系取水制限の現状 

利根川水系の8カ所のダムの貯水量が低下していることから、10%の取水制限を16日午前9時から実施することを決めたとのニュースがあった。

日経 6月14日 利根川水系で取水制限 16日から10%、関東地方整備局

8カ所のダムとは矢木沢、奈良俣、藤原、相俣、薗原、下久保、草木の各ダムと渡良瀬貯水池のことで、各ダム、貯水池の夏期満水貯水量は次の通りであり、現在の貯水量は国交省のこのWebにある。

Tone8damcapa

8ダム合計貯水能力が343,490千m3に対して6月14日0時現在171,650千m3なので50%しか水がない状態である。(国交省のWebにある有効貯水量461,630千m3とここに書いている343,490千m3の違いは、7月1日から洪水対策のために湖面を下げる必要があり、その湖面を下げた状態での貯水量8ダム合計が343,490千m3である。)

数字では、分かりづらく、ここに8ダム合計の本年及び過去の渇水年の貯水量の推移グラフがあり、参照下さい。(夏期満水貯水量についてもグラフの中に書いてある。)

このグラフの下に平成4年から平成27年の8ダム合計平均貯水量の表がある。これらの数値を使って、平均値の降水量・ダム流入量とダム放流量で推移した場合の6月15日以降の合計貯水量を計算すると次のグラフのようになった。6月14日を171,650千m3としている。

Tone8dam2016projection

ボトムは4千万m3程度の貯水量までなるかも知れないが、平均年並みの雨が降れば、持ちこたえられそうである。

次に最大の貯水量がある矢木沢ダムの2016年の貯水量をグラフにし、同時に2015年と2013年の貯水量も表示した。

Yagisawa20161513

矢木沢ダムにおいて2016年は5月中旬以降に貯水量が急激に減少しているのが分かる。6月15日以降の予想であるが、2015年の実績と2013年の実績で推移した場合を破線で書いた。2015年の降水量・ダム流入量とダム放流量での推移は、今がボトムとなるが、2013年の場合であると7月中旬すぎに水がなくなる。そして、いずれの場合においても、年末の貯水量は例年の半分と予想される。

さあ首都圏は水不足に陥るのか?厳しいかも知れないが、必ずしもそうではない。相模原市にある相模川の宮ヶ瀬ダムには138,367千m3、多摩川の小河内ダムには160,031千m3の貯水が13日、14日現在で確保できている。節水は必要であるが、危機とまではならないと考える。但し、農業用水は他の河川から水を引くことができず、場合によっては厳しいと思う。

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2016年6月13日 (月)

舛添要一氏による波乱政局

いよいよ波乱の幕開けとなってきたと思うのです。

日経 6月13日 舛添都知事、不信任案「少し猶予を」 給与すべて辞退

記事の中に「一部会派が不信任決議案を出す動きがあることに言及。可決されれば失職か議会の解散に伴う選挙が8~9月」との文章がある。

今週中にでも、不信任決議案が都議会に提出されると思う。そうなったら、各政党・会派とも不信任に反対できないように思う。即ち、それほど舛添政治資金流用疑惑について都民・国民はクロとの印象を持っているからである。

7月10日の参議院選まで1月を切った。どの党も、選挙民から批判を受けるような行為は避ける。舛添おろしの先鋒を切らざるを得ないのである。舛添おろしや舛添たたきで手をゆるめたなら参議院選での票をある程度失わざるを得ない状況と思う。

リオ・オリンピックと舛添知事なんて何の関係もありませんから、本日は報酬全額辞退を申し述べたが、過去の分の返納はさすがに言わなかった。しかし、舛添氏は執着すればするほど、今後失態を更にさらけ出す可能性もある。

一方、根本的な問題は、政党助成金(政党交付金)である。税金が私的な目的で使われても、ほとんど問題とはならないようであり、政党助成金の制度にこそ、問題がある。政党助成金は廃止すべきである。一気に廃止せずとも5年あるいは10年で順次廃止しても良い。又、政党助成金がなくなるに応じて議員歳費を増額しても良い。議員歳費であれば、家族のためであれ、自分の遊興のためであり、趣味で絵画や高価な中国服を購入しようと自由である。

6月6日に弁護士(桝添氏が自費で依頼したのであり、第三者ではない。)が桝添氏と共に会見を開いた、その時の発言が時事ドットコムのこのWebに掲載されている。その説明は「政党交付金の調査結果について。自民党支部に関し、支部から舛添氏本人に寄付された資金の使途を調査した結果、舛添氏の選挙運動費用に充てられており、適法適切だと判断した。」とか「新党改革支部に関してだが、支部からグローバルネットワーク研究会および舛添要一後援会に対する各寄付にかかる支出は政党助成法には違反しておらず」と言うような内容であり、議員が作る議員のための法律なのだから誰に有利となっているか、見かけ倒しのザル法であるかは火を見るよりも明らかという状態です。

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2016年6月12日 (日)

九州電力黒川第一発電所損壊

4月16日未明の熊本地震本震により南阿蘇村で大きな被害が発生し、阿蘇大橋が崩落した。阿蘇大橋からほぼ西に1.5km離れた地点に九州電力黒川第一発電所の水力発電所の貯水槽があり、この貯水槽付近からも土砂崩れが発生し、住民2人が土砂崩れに巻き込まれ死亡した。

自治ドットコム 5月7日 南阿蘇村の発電所損壊=熊本地震、集落方向に水

写真は、このはフィントンポストの記事がよく写っています。

Google Mapは、4月16日以降撮影した震災被害がわかる上空からの航空写真がある。次がそれです。

説明図としては次を参照下さい。

Kumamotoaso2016b

4月16日未明の熊本地震本震は、土砂崩れを引き起こし、阿蘇大橋を破壊したが、同時に他の場所でも土砂崩れを発生させた。

九州電力黒川第一発電所は、説明図に貯水槽と書いてある地点に2,500m3程度の容量の貯水槽(ヘッドタンク)があり、ここから説明図左下付近の黒川第一発電所に水圧鉄管を通して水を流し、黒川第一発電所にある水車発電機(2基で最大42,200kW)を駆動する。貯水槽の海抜は約460mで水車位置は約205mであり、この落差255mを利用する。水圧鉄管の長さは908mある。貯水槽には、説明図の右上の沈砂池・調整池と書いた144,300m3の池から水路と水路トンネルにより流れ込んでくる。説明図では水路トンネルをブルーの実線で書いたが、3000m余り計5本のがあるようで、実際の詳細経路は必ずしも説明図の通りではない。この沈砂池・調整池には更に上流約800mにある取水堰で取り入れた黒川の水が水路を通って流入するようにしている。発電所が完成したのは1914年(大正3年)3月であり、当時は最大出力6,000kWであった。

黒川第一発電所は最大出力時に1秒間に20.3m3の水を流すので、貯水槽の水量は満杯の場合、最大出力で2分間あまりの発電量を蓄えている。発電時は、常に沈砂池・調整池から貯水槽に水が流れ込む形です。

冒頭に掲げた自治ドットコムの記事は「水力発電所の耐震性などの基準は65年の通産省(現経済産業省)省令で定められているが、同発電所の貯水槽は適用対象外という。」と書いており、貯水槽が耐震性不十分であったために水漏れを起こし、その結果2人死亡となる土砂崩れが発生したことを示唆しているようにも取れる。結論は、九州電力による調査結果も待って出すべきと考える。ここに九州電力5月10日発表の「黒川第一発電所における調査の実施について」がある。

今後の課題としては、次のようなことがあると考える。

1) 土砂崩れの原因

写真を見ると崩壊は貯水槽の上から始まっており、土砂崩れが貯水槽を破壊した可能性もありうる。逆に貯水槽が地震で崩壊し、その結果として土砂崩れが発生した可能性もあるが、解明が必要である。

土砂崩れが貯水槽を破壊したのであれば、貯水槽の耐震設計や耐震工事の問題ではないと思うのである。

2) 貯水槽の水抜き

報道には約10,000m3の水が流出したとあり、貯水槽の容量(2,500-3,000m3)より多い。これは、水路トンネル内の水が貯水槽崩壊後も流れ続けたからと思う。多分、沈砂池・調整池から水路トンネルへ向かう水については4月14日の地震以降流れ込まないようにゲートを閉じていたと思う。

貯水槽の水を完全に抜いておくことも可能であった。3本見える水圧鉄管のうち1本は余水路であり、余水路を使えば、発電しなくても貯水槽の水を空にできる。例え、土砂崩れの原因が貯水槽からの水漏れでなかったとしても、土石流の被害は小さかっただろうと思う。

九州電力は、何故貯水槽を空にしてなかったかは、土砂崩れと貯水槽崩壊を予想していなかったのだろうと思う。

3) 土石流の予測

土石流の予測は、困難と思う。しかし、可能性があるかどうかの評価は可能である。黒川第一発電所貯水槽土石流も阿蘇大橋土石流と同じ山で発生したのである。阿蘇大橋土石流が予測が困難であれば、黒川第一発電所貯水槽土石流も予測は同じように困難であったと思える。

しかし、黒川第一発電所貯水槽は、限定された場所に設置されていたのであり、土石流対策はありえたのかも知れないと思う。貯水槽から山の方にセンサーを幾つか設置して動きを監視し、異常があれば貯水槽の水抜きをするというような対策の可能性も含めてである。

黒川第一発電所は、水力発電所として比較的規模が大きい発電所である。発電にCO2を発生させない水力という再生可能エネルギーの利用である。発電所があることにより被害を起こしたり大きくすることはあってはならない。黒川第一発電所については、調査結果を公開し、他の電力会社の同様な水力発電に関しても調査結果を反映し、必要なら対策が講じられるようにして欲しいと考える。

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2016年6月 9日 (木)

所得が300万円未満の新婚さんに最大18万円支給

政府はニッポン一億総活躍プランで掲げた結婚支援策として4月1日以降に結婚した新婚カップルで収入が300万円未満であれば、最大18万円を支援すると言う。但し、支援額の4分の1は市町村負担であり、市町村が窓口となるため、この制度を採用した市町村に住んでいる場合となる。

日経 6月7日 新婚さん支援 最大18万円支給 内閣府、住居費など 

日本の世帯収入は、どうなっているか、平成25年住宅・土地統計調査の速報集計第9表を2人以上の世帯数についてグラフ化すると次のようになった。

Householdincome2013

500万円以下は100万円刻みのグループとなっており、500万円以上の刻みとは幅が異なっている。500万円から700万円が一番大きいが幅が200万円なので一番多いのは300万円から400万円の世帯である。

2人以上の世帯で300万円以下の収入となっている世帯数は27.5%である。独身で300万円以下ならともかく、2人の収入を合計しても300万円に到達しないのは苦しいと思う。

しかし、支援方法が、これじゃバラマキ政策・ポピュリズムと思ってしまう。何か良い政策は考えられないものなのだろうか?政策提言をするNGOシンクタンクが育って、様々なアイデアを国民に提案するようになることを期待する。私も、ブログを通じて提案をしていきたい。最後に、同じようなグラフであるが、厚生労働省の平成26年 国民生活基礎調査の概況(ここ)から作成したグラフも掲げておきます。(所得階層の刻みが異なるが、結果はほぼ同じでした。)

Householdincome2014

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2016年6月 7日 (火)

消費税増税先送りへの対策

7月10日の参院選まで1月あまり。消費税増税延期もしくは8%据え置き、あるいは急進論としては消費税廃止なんてのが、これから大いに賑わすのではと思う。変な消費税の軽減税率がとりあえずは、なくなったので良いような気がするが、本質は悪い方に向かっているような気がします。

財政再建が遠のいたと言って間違いはない。しかし、安倍首相は2019年10月まで30月間の延期をすると発言した6月1日の記者会見(首相官邸Webのここにある。)では、「しかし、私は、財政再建の旗を降ろしません。我が国への国際的な信認を確保しなければならない。そして、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たす。安倍内閣のこうした立場は、揺るぎないものであります。」と述べている。

財政再建とは、日本政府の財政であるが、収入は税金である。新たな税を導入しない限り常識ではあり得ない。年金、医療、介護のいずれの分野でも、政府支出を減少させることは不可能である。消費税増税延期なら他の増税策なりが必要と思うが、きちんとした分析をすべきである。

2) 市場評価

市場評価の一つは7月10日の参院選かも知れないが、世の中には冷静・沈着な評価をする人がいる。それは、投資家である。この日経 6月7日 麻生財務相「財政再建、きちんと説明」 増税延期で  は、「麻生財務相が増税延期を表明してから初めての国際会議で、各国に理解を求めていく考えを示した。」と伝えている。

麻生財務相の発言が、市場や投資家にどう評価されるか。市場とは、口先ではなく、実質であり、本質が重要である。その関連では、格付け機関のレーティングが問題であり、格付け引き下げが近いうちに起こるように思う。日銀しか買わない日本国債となれば破綻ではないか。健全な市場が失われることのリスクを考えねばならない。しかし、市場とは冷たい者でもある。日本が破綻しようと助けてはくれない。

3) マイナス金利

マイナス金利は異常事態であると認識すべきである。出口戦略もなく継続するとどうなるか。金融機関の体力を消耗させ、金融制度の崩壊につながるリスクを考えるべきである。

マイナス金利による金利水準の低下は、年金資産の運用益の低下ともなる。140兆円の資金を運用しているGPIFの資金運用結果は、どうなのであろうか?GPIF法第26条では財務報告時期について「各事業年度の決算完結後遅滞なく」となっていることから、参議院選の後との噂を聞く。マイナス金利の影響を受けて、高利回りの運用は難しく、大幅な運用損となっている可能性もある。さて、どうなのであろうか。

企業年金の資金運用も同様である。予定通りの利回りで運用できないのが現在の市場である。そのしわ寄せは、どこに行くのだろうか。悪い政治家は、損失の先送りが得意である。将来は、これを取り返すような資金運用をするので大丈夫だと説明する。しかし、現実は厳しく、そのしわ寄せは、将来世代に転化されるとなる可能性が高いように思う。

4) アベノミクス

アベノミクスとは、所詮は目くらましの術だと思う。その意味では、民主党政権時代にあったポピュリズムと基本的には同じで、言葉によるごまかしの世界で、ごまかしが有効である間、何となく良いように思わせる。一億総活躍社会は、確かに目指すべき社会である。しかし、言葉よりも、そのための政策が重要である。税金を如何に投入して一億総活躍社会を実現するかを国民全体が考え、実行していく必要がある。標語だけだったら、あるときの変な首相が述べていた絆という言葉と変わらない。政治に文学が不要とは言わないが、文学以上に重要な分野が存在する。

やはり、こんなことを書いていると、小選挙区とか政権交代なんかより、自分が当選させたい人物に投票ができる大選挙区制がよいと信じる。皆が政治に参加する仕組みを作り上げていきたい。

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