利根川水系取水制限の現状
利根川水系の8カ所のダムの貯水量が低下していることから、10%の取水制限を16日午前9時から実施することを決めたとのニュースがあった。
日経 6月14日 利根川水系で取水制限 16日から10%、関東地方整備局
8カ所のダムとは矢木沢、奈良俣、藤原、相俣、薗原、下久保、草木の各ダムと渡良瀬貯水池のことで、各ダム、貯水池の夏期満水貯水量は次の通りであり、現在の貯水量は国交省のこのWebにある。
8ダム合計貯水能力が343,490千m3に対して6月14日0時現在171,650千m3なので50%しか水がない状態である。(国交省のWebにある有効貯水量461,630千m3とここに書いている343,490千m3の違いは、7月1日から洪水対策のために湖面を下げる必要があり、その湖面を下げた状態での貯水量8ダム合計が343,490千m3である。)
数字では、分かりづらく、ここに8ダム合計の本年及び過去の渇水年の貯水量の推移グラフがあり、参照下さい。(夏期満水貯水量についてもグラフの中に書いてある。)
このグラフの下に平成4年から平成27年の8ダム合計平均貯水量の表がある。これらの数値を使って、平均値の降水量・ダム流入量とダム放流量で推移した場合の6月15日以降の合計貯水量を計算すると次のグラフのようになった。6月14日を171,650千m3としている。
ボトムは4千万m3程度の貯水量までなるかも知れないが、平均年並みの雨が降れば、持ちこたえられそうである。
次に最大の貯水量がある矢木沢ダムの2016年の貯水量をグラフにし、同時に2015年と2013年の貯水量も表示した。
矢木沢ダムにおいて2016年は5月中旬以降に貯水量が急激に減少しているのが分かる。6月15日以降の予想であるが、2015年の実績と2013年の実績で推移した場合を破線で書いた。2015年の降水量・ダム流入量とダム放流量での推移は、今がボトムとなるが、2013年の場合であると7月中旬すぎに水がなくなる。そして、いずれの場合においても、年末の貯水量は例年の半分と予想される。
さあ首都圏は水不足に陥るのか?厳しいかも知れないが、必ずしもそうではない。相模原市にある相模川の宮ヶ瀬ダムには138,367千m3、多摩川の小河内ダムには160,031千m3の貯水が13日、14日現在で確保できている。節水は必要であるが、危機とまではならないと考える。但し、農業用水は他の河川から水を引くことができず、場合によっては厳しいと思う。
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