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2016年7月15日 (金)

オプジーボについて

7月13日の「NHKクローズアップ現代+」があなたはどう考えますか 新薬高騰が医療を壊す?としてオプジーボを取り上げていた。私も5月21日のブログ 医療保険(健康保険)でオプジーボのことを書いたことがある。補足したい部分があり、再度書きます。

1) NHK番組の不十分な点

NHK番組では、オプジーボの様な高額な医薬品が今後増加することが予想されると述べていた。間違ってはいないが、既に高額医薬品が保険適用薬として認可されることが増えているのである。(次の記事等を参考にして下さい。)

東洋経済ONLINE 2016年01月02日 C型肝炎の特効薬、バカ売れで浮上する問題

メディ・ウォッチ 2016年5月18日 高額医薬品、「本当に効果のある患者への使用に限定」することを検討する時期―中医協総会

毎日 2016年4月28日  高額医薬品 費用対効果検証、7薬品 「オプジーボ」など 厚労省公表

東洋経済ONLINE 2016年05月02日 超高額な「夢の新薬」は、国を滅ぼしかねない

オプジーボについて、どれだけ効果があるかについて、5月21日のブログでも引用したが2016年5月3日の産経の「1剤が国を滅ぼす」高額がん治療薬の衝撃 年齢制限求む医師に「政権がもたない」の5/7ページは、「 臨床試験では投与を受けた患者の約2割に有効とされたが、どの患者に効果があるかを事前に見極めることはできない。また、投与後の効果を早い段階で判断するのが難しい。」と述べている。

2) 國頭英夫医師

NHKクローズアップ現代+も國頭医師の発言を放送していた。國頭医師のインタビューを医学書院の次の記事が掲載しており、私は、問題を鋭く突いておられると考えるので、紹介します。

医学書院 第3165号 2016年3月7日 コストを語らずにきた代償  “絶望”的状況を迎え,われわれはどう振る舞うべきか 國頭 英夫氏(日本赤十字社医療センター化学療法科部長)に聞く

3) 日本の医療保険

日本は国民全員が何らかの医療保険(健康保険)に加入するという国民総被保険者制度を運用している。

まずは、被保険者数ですが次の通りです。データは、厚労省の第20回医療経済実態調査(保険者調査)からです。

20167medinsu1

次に支払っている保険料と政府、都道府県、市町村が負担しているお金が各保険事業者の収入となっており、次の通りです。

20167medinsu2

一人当たりの納付保険料には差があります。特に後期高齢者医療制度は負担が低くなっています。医療保険には13兆円以上の税金をつぎ込んで維持しているが、その半分以上は後期高齢者のためです。(後期高齢者制度には、他の保険から支援金が支払われており、実質はもっと大きくなる。)次は医療保険から保険給付として支払われる医療費です。

20167medinsu3

納付保険料の差より更に大きいのが、保険給付の差です。後期高齢者は平均すれば7万円弱の保険料を支払って、100万円近くの医療を受け、10万円を自己負担で支払って90万円は保険から支払われる制度です。

もし、高齢者がオプジーボでの治療を始めたら、どうなるのでしょうか?現状でも13兆円以上の税金です。政府財政の破綻や国が破綻するリスクはどうなるのでしょうか?最も、政府や国は破綻しない。その前に、医療保険制度や年金制度が破綻することにより、政府や国の破綻は免れる。誰が、貧乏くじを引くのかと言えば、将来の人たち、現在の子ども達でしょうか?

医療と年金の近い将来の破綻を予想する資料として、人口予測のグラフを掲げておきます。やがて後期高齢者は20%を超える。医療費は増加するが、負担する人は減少する。やはり、混合診療解禁なのでしょうか?但し、そうするにしても十分考えないといけません。例えば、後期高齢者でも医療費年間1千万円までは、現状の制度が適用され、1千万円以上は保険対象外とか。

Populationgraph20167

4) たばこ税

オプジーボもがんの治療薬です。喫煙は、さまざまながんの原因の中で、最大の原因であり、がんの死亡のうち、男性で40%、女性で5%は喫煙が原因だと考えられている。特に肺がんは喫煙との関連が強く、肺がんの死亡のうち、男性で70%、女性で20%は喫煙が原因だと考えられていると解説しているのが、この国立がん研究センターのWebです。

オプジーボを含め、肺ガン治療薬は広く喫煙者に負担を求めるべきとして、たばこ税を増税する方法があると思います。最後にがん研究センターのWebにある喫煙リスクの表を掲げておきます。

日本における喫煙とがん死亡についての相対リスク*と人口寄与危険割合**-3コホート併合解析研究(1983年~2003年)
がん種
相対リスク 人口寄与危険割合(%) 相対リスク 人口寄与危険割合(%)
全がん 2.0 39 1.6 5
口唇・口腔・咽頭 2.7 52 2.0 7
食道 3.4 61 1.9 12
1.5 25 1.2 3
肝・肝内胆管 1.8 37 1.7 5
膵臓 1.6 26 1.8 8
喉頭 5.5 73
4.8 69 3.9 20
子宮頸部 2.3 9
腎盂を除く腎臓 1.6 30 0.6 -1
尿路(膀胱・
腎盂・尿管)
5.4 72 1.9 3
骨髄性白血病 1.5 35 1.0 0
* 相対リスク:たばこを吸わない人を1として、たばこを吸う人のがんのリスクが何倍になるかを示す指標
** 人口寄与危険割合:がんの原因のうち喫煙がどのくらいの割合を占めるかを表す指標(%)
(注)人口寄与危険割合は、相対リスクが1の場合は0となり、相対リスクが1未満の場合は負の値となります。

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