GPIF5兆3千億円の損失で年金支給額を下げるべきか
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資金運用損失が5兆3千億円であるとのニュースがあった。
日経 7月29日 公的年金、15年度運用損5.3兆円 赤字幅、過去3番目の大きさ
1) 資金の運用主
5兆3千億円とは大変な金額である。一体誰の金かと気になるのであるが、厚生年金と国民年金である。
GPIF27年度業務概況書118ページに次の記述がある。
この−5 兆3,502 億円を、各勘定に以下のとおり按分しました。 厚生年金勘定に–5兆85億円 国民年金勘定に–3,417億円 |
合計が5兆3502億円の損失となる理由は資金運用損5兆3,097億円に運用手数料等405 億円が加わっているからです。
2) 厚生年金と国民年金へのインパクト
次の表が2014年度の厚生年金と国民年金の主要項目をピックアップした収支である。
5 兆3,502 億円の損失とは、厚生年金と国民年金へのインパクトは10%以上になることが分かる。GPIFの運用収益から納付されるべき納付金を考慮すれば、15%程度と言ってもよい位である。
GPIFの資金運用損を受けて、年金給付を引き下げないでいると、将来の年金給付額が更に下がる可能性はどうなのだろうか?それと関係者の責任追及は、どうなのだろうか?5兆円とは、消費税で2%に相当する。もし、税金で5兆円の穴を埋めるとすれば、消費税を臨時に2%引き上げることとなる。
3) GPIF5兆3千億円の損失で年金支給額を下げるべきか
将来の世代に損失を先送りしないという考え方に立つなら、やはり現在の年金受給者が年金額10%カットに応じるべきです。その代わりに、国民が年金資金の運用に積極的に関与すべきと考えます。
年金とは、将来の支給額が約束されているべきであり、約束されていることで年金という制度が成立するとの考え方もある。しかし、誰が約束できるのかと言えば、誰もできないはずである。国がなんて言った処で、国なんて何もできない。制度を作っても、制度の財政が破綻すれば、倒産して約束は守れない。
GPIFに関しては7月2日のこのブログで、決算報告の遅いことを批判した。制度のあり方を含め見直すべきと考える。なお、公的年金には、厚生年金と国民年金以外に公務員共済のような共済組合がある。現時点ではGPIFは共済組合の資金運用をしておらず、私も共済組合の財政状況を調べることはできていない。
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