三菱MRJは大丈夫なのか
三菱重工業が主体となって開発している70~90席クラスの小型ジェット旅客機MRJの量産初号機の引き渡し予定を、現在の2018年半ばから、2020年半ばに変更すると発表された。
このプレスリリースに別添としてあるこのMRJ事業の推進についてを読むと、「今後20年:機数で約2倍、年率4%の成長」とか明るい見通しが書いてあるが、大丈夫なのかと思う。それは、市場規模の事であって、MRJの販売見込みは異なるのではとの疑問を持つ。
MRJの製造事業を開始する時のプレスリリースはこれ(2008年3月28日)であった。今回は5度目の延期であり、この1月23日に日経記事は「開発費は数千億円規模に上っている」と書いている。
初飛行時のプレスリリースはこれであり、2015年11月11日であった。この時は「2017年第2四半期の量産初号機納入を目指す」と述べていたのであり、3年間も遅れる事となる。その原因について1月23日のプレスリリースは「部装備品の配置変更等と電気配線全体の最新安全性適合基準を満たす設計へ変更」と述べている。即ち、安全性が不十分であることによる改良と理解する。
旅客機は、極めて高い安全性を要求される。自分の基準ではない、世界の基準である。一方で、安全基準とは思想が入る技術基準である。世界の安全基準や安全基準を作り出すビジネスの世界にどれだけ三菱重工は精通していたのだろうか、しているのだろうかと疑問を抱く。客船の大赤字は、三菱重工が客船という船を知らなかったから生じたと理解する。同じような事が、旅客機についても言えると思うのである。旅客機ビジネスには、もっと厳しい可能性もある。競合する機体・機種よりも性能が良くて、価格が安くなければ売れないからである。200席のボーイング737で9500万ドル程度のようである。80席のMRJなら3800万ドル程度なのだろうかと思う。78席のボンバルディアCRJ700が2500万ドル程度との話もあり、MRJもこれくらいの価格でないと駄目かも知れない。
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