東芝の将来は極めて厳しい
東芝綱川社長は「債務超過を解消し全力で上場廃止を回避する」と述べておられる。
日経 3月30日 東芝「上場維持に全力」 総会、株主の不満噴出
しかし、東芝の将来は極めて厳しいと思う。半導体メモリー分社の結果は、当面の利益計上とキャッシュフロー手当にはなるが、将来の利益とキャッシュフローの源泉を失うこととなる。
思えば、東芝のWH問題をブログで書いたのは2015年11月20日でこのブログであった。当時の私の損失予想は、WH株式の購入推定価格6,210億円に近い6000億円としていた。やはり甘かった。現在の東芝の予想が1兆円を超えているなら、最終損失予想2兆円でもおかしくはないのかも知れない。何故ならWHのチャプター11の適用で、WHが無くなるわけでも、東芝が負担している契約や保証履行義務を含む債務が消滅する訳ではないのだから。
日本国内の原子力について言えば、現在この表の通り41,482MWの原発が存在する。今後稼働を再開する原発、停止を続ける原発また廃炉となる原発がある。表中でBWRと書いた原発の約半数を東芝が納入している。メンテナンスや改造・改良そして廃炉については、放射能の危険性があり特殊な技術が要求されることから、通常は供給メーカーの仕事となる。しかし、東芝の場合は、どうだろうか、ユーザーたる電力会社は東芝への発注に不安を抱くし、地元や国民も不安になる。BWRについては、GE日立ニュークリア・エナジーがPWRは三菱重工がとなるように思う。あるいは、東芝が国内の原子力部門をGE日立ニュークリア・エナジーに売却し、同時に重電部門も、どこかに売却する事になるのかも知れない。
この2016年12月29日のブログでは、東芝が取り組んでいる米国のフリーポートLNGプロジェクトにおいても巨額損失の可能性があることを書いた。LNG年間220万トンとは500億円-1000億円という規模である。ガス価格の変動は激しいので、幅が広いのをお許し下さい。しかし、この価格変動こそLNGリスクである。20年間価格変動リスクにさらされるとなると、どうなるか。素人には手を出せないビジネス。そんなビジネスに手を出してしまった東芝と思うのです。
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