原発ゼロについての一つの考察
民進党の定期党大会に関するニュースに接すると、原発問題はイデオロギー論争となっているように感じる。本当は、幅広い見地からの検討や議論が必要であり、科学的見地、技術的見地、経済的見地、社会的見地等からの研究・検討結果を基に、正しい判断を下すべきと考える。絶対的な安全はあり得ないのは事実である。しかし、それは原発のみならず全てにあてはまる。幸いなことに死傷者は出なかったが、アスクルの倉庫火災も何日も継続するような可能性は想定されていなかったと思う。
私は、原発に関して、幅広い科学的見地での議論を行い、リスクを負担し便益を享受する国民が決定に参加すべきと考える。原発ゼロを唱えれば、選挙に勝てると、政治家がポピュリズムに走る事は、世界的な流行かも知れないが、国民は自分の事を自分で考え、自分で判断すべきである。そのためには、関係する多くの情報や研究・検討結果が発表・公表されなければならないが、私のブログもたいした情報ではないが、少しでもお役にでも立つなら、喜ばしい限りである。
1) 原子炉の運転期間
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)の第43条の3の22に次の条項がある。
第43条の3の32 発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉の設置の工事について最初に第四十三条の三の十一第一項の検査に合格した日から起算して四十年とする。
2 前項の期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、一回に限り延長することができる。 3 前項の規定により延長する期間は、二十年を超えない期間であつて政令で定める期間を超えることができない。 4 --省略--- |
すなわち商業運転開始日より40年間が運転期間であり、1回限りとしてこの延長が認められる。
2015年あるいは2016年に運転を停止し、撤去の段階に入った原発が6つある。それらは、次の図表1の原発である。
2) 40年ルールで運転を停止したならば
新規原発を建設しないという前提で考えた場合は、次の図表2が今後の稼働可能な原発の設備容量合計となる。原発は安全性を第一に運転する必要があり、この図表1は最大であり、実際に運転中の原発は、補修や燃料交換を含め停止している期間があり、この数字通りとはならない。
図表2を作成するにあたり使用した各原発のデータは図表3の通りである。なお、運転開始日の古い順から並べている。(形式のPWRは加圧水型。BWRは沸騰水型。)
2030年になると1990年以前の原発が40年を経過するので、図表3では柏崎刈羽2号、3号が丁度40年となる。40年で延長が認められない場合は、2050年には原発はなくなる。
原子炉等規制法第43条の3の22の最長20年の延長をする場合には、多少様子が変わる事が図表2から分かる。
なお、現在建設中の原発がある。電源開発の大間1・2号機、中国電力の島根3号と東京電力の東通1号であり、これら4基の合計出力は5,524MWであり、これら建設中を含めると図表2のグラフは5,524MW分上方向にシフトされる。
原発の撤去、廃炉と言っても、図表1に記載したように30年-40年を要する作業である。図表3にある関西電力の3原発は40年を経過した。これから40年を超える原発が次々に出てくる。40年を単純に適用するのではなく、検査・調査・審査し判断すべきであるが、地元の人々や多くの国民も方針決定には参加すべきと考える。
| 固定リンク
コメント