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2017年4月30日 (日)

新聞記事で再生可能エネルギーへの提言はこの程度(朝日)

次の朝日の記事を読んで、根拠を明白にせずに単に羅列しているだけの記事と思ったのです。(有料記事で全文を読むには登録が必要)

朝日 4月30日 (電力を問う「改革」の行方:5)変わる電源構成 再エネ、送電網がネック

タイトルからすれば、日本の送電網の分析・検討を行い、現状の課題をあげ、その解決策の提言をしているのかと思う。しかし、記事には、そんな記述は全くない。これが新聞記事なのだと感心した。

有料記事部分の最期に次の記述があるだけである。

「いま大事なのは、送電網の充実などにより再エネを基幹電源に育てていくことだ。」

念仏を唱えれば、何でも実現すると考えるのは、現代社会では宗教の世界の事であり、我々の社会生活に持ち込んではならない。フェイクニュースと朝日新聞は同レベルと扱われますよと警告をしたい。

これも有料記事部分であるが、「日本でもようやく成長を始めた再エネだが水力をのぞくとまだ5%ほど。」

朝日の記者は調べることすらせずに、デタラメを書く。実際は、私の3月26日のブログの次の表の通り、7.6%~10.2%である。私は、資源エネルギー庁の統計データから作成したのが以下の表であり、これが正しい。

Electricitysupply20173c_2

瞬間的ではあるが、3月26日のブログで引用したWWFジャパンの発表の通り九州電力で78%が再生可能エネルギーによる発電の実績がある。但し、全発電量に対する割合が78%であったのではなく、揚水動力で消費した電力を除外している。しかし、揚水動力除外が不合理なわけではない。揚水発電とは大型蓄電池と同じである。必要量以上に発電された電気を蓄電することにより安定的な電力供給を確保される。

では、送電網の充実により再生可能エネルギー割合を増加させる事ができるかと言えば、答えはイエスである。しかし、どの程度とか、どの部分にどのような拡充が望まれるかは、技術的な検討および金銭的な検討をする必要がある。バカ新聞記者には無理である。無理でよい。その代わり、真実を謙虚に書いて欲しいのである。

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2017年4月27日 (木)

減損会計は正しい会計である

変なタイトルになっているが、日経の次の大機小機(ネットでの無料部分は少ないのですが)を読んで、こんなタイトルにしてしまった。

日経 4月26日 大機小機 減損会計の難しさ

いつも大機小機は、鋭い視点で書いていると思うのだが、この記事はピント外れと思ったからである。最も、一般の人や経営者の多くはこのような感覚でおられる人が多いかも知れない。

例えば、次の表現(記事の最期の有料部分)を例に挙げる。

減損は一種の時価会計だ。それも、赤字事業だけを対象とした時価会計である。黒字事業には時価会計は適用されない。会計の保守主義の原則にかなっているが、双方に時価会計が適用されれば、黒字事業を売却して穴埋めに充てる必要はなくなる。

減損と言っているのは、「東芝の決算」という言葉から、この大機小機が始まっている事から、固定資産の減損を指している。しかし、固定資産(有形固定資産のみならず無形固定資産や投資等も含む)の減損は、時価評価ではなく、将来キャッシュフローを評価し、簿価以下の将来キャッシュフローを生まないと判断されれば、期待収益額以上の簿価を維持する事はおかしく、減損を認識する。そもそも、固定資産で長期投資の金融資産以外は時価など存在しない。黒字事業だって、赤字事業だって、時価評価など誰もしない。但し、黒字事業も赤字事業も、全ての事業は将来キャッシュフローを常に予測し、予測結果により改善等を進める。誰もが行う基本中の基本である。

この表現に黒字事業の売却なんてことか書いてある。これも通常は禁じ手である。何故なら、ある事業を何故しているかと言えば、自社がやることが他社よりは利益を出せると確信しているからである。自分がやれば100の利益を生む。しかし、その利益は他社がやれば90とかそれ以下であると皆思っているはずである。東芝が半導体事業を何故売却するかと言えば、東芝にはもはや能力がないからである。能力が本当にあるなら、金融機関を説得したり、半導体部門のみを対象とする社債を発行できるように会社をリストラすれば良いのである。

敗退経営者がそこにいる。この大機小機の発想は、同じような敗退経営者であり、経営から引退せねばならない。

東芝はまもなく消え失せるかも知れない。しかし、この大機小機を読むと、東芝だけではなく、日本の企業の多くに日没が迫っているように思ってしまう。東京オリンピック後の日本大不況で多くの上場会社は消え失せるのでしょうか。

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2017年4月22日 (土)

自衛隊による原発安全対策

続けて原発ですが、朝日の法と経済のジャーナルに次の記事があった。

法と経済のジャーナル 3月30日 日米でこんなに違う原発事故の対応、福島の教訓

米テネシー州メンフィスにある陸軍の物流拠点に電力各社が共同で運営する緊急事態対応センター(National SAFER Response Center)の倉庫があり、24時間以内に全米のすべての原発に緊急時の機器を届けられる体制にしてあるとのこと。道路が使えず、ヘリコプターで輸送する場合にも備え、機器はすべて、ヘリの能力に合わせて4トン弱より軽くしてあり、つり上げが容易なように機器の上端部にフックが取り付けられている。

福島第一原発の事故被害を最小限にできた可能性は、事故直後に自衛隊を出動させ、直流電源だけでも復旧にあたることであったと思う。当時の菅直人政権は、自衛隊を全く使わなかった。電源車が原発に向かったものの、避難する車で通行は容易ではなく、役に立たなかった。チェルノブイリ事故では、直ちに軍が駆けつけた。自民党政権でも同じであった可能性はある。

原発事故においては、何があるか分からない。各原発に必要な機材があるから十分であるとせずに、非常事態には何があるか分からず、自衛隊が事故発生と共に直ちに出動し、緊急対応機器を事故現場に輸送できる体制を日本でも構築すべきと考える。原発のみならず、青森県の六ヶ所再処理工場他も視野に入れて、万一福島第一原発事故のような事態が発生しても国民を守る仕組みを構築すべきである。

机上の空論で、安全と判断されれば安全であるとか、運転絶対反対ではなく、安全性を国民が議論できるようにすべきである。

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2017年4月20日 (木)

原子力規制委員会の原発5基廃炉認可は予定取り

原子力規制委員会が4月19日に、4社の原子力発電所計5基の廃炉を認可したとのニュースがあったが、予定通りの発表である。

日経 4月19日 廃炉、次は解体技術確立 三菱重工など連携探る 

何故なら、私の3月14日のブログに、「2015年、2016年に運転を終了した原子力発電所」として、次の表を掲げていた。

Nuclearplant20173a

今回廃炉が認可されたのは、最下行の四国電力伊方1号以外の5基である。四国電力伊方1号は、運転終了が2016年5月であり、手続き上の時間により来年3月頃には原子力規制委員会により正式に廃炉が認可されるはずである。

廃炉と言っても、簡単ではない。廃棄物を捨てる場所がない。かといって、そのまま放置することも危険であり、できない。考え方によっては、バカな物を作ったのである。国土がやたらと広い国だったら、こんな苦労はないと思うのだが。

ところで、原発にミサイルを撃ち込まれたら、どうなるのだろうか?こんなこと今までは、杞憂よりも更に非現実的なことであった。しかし、トランプ政権のシリア巡航ミサイル攻撃があった後は、誰もが、米国による北朝鮮巡航ミサイル攻撃もあるという可能性を認める。何しろ、米国大統領が、あらゆる可能性があると言っているのだから。そして、北朝鮮による報復があり得る。韓国への侵攻。在日米軍基地へのミサイル攻撃。これに、日本の原発ミサイル攻撃が加わったらどうなるのだろうか?

北朝鮮は、そんなことはしないと考えるのは甘過ぎするのではと思う。何故なら、戦前・戦中の日本を考えればよい。特攻(自爆)を実施し、本土決戦をまじめに考えていた人が多く実在したのだから。北朝鮮が狂っているとするなら、戦前・戦中の日本人の状態になっても何らおかしくなく、日本の原発ミサイル攻撃なんて実行するバカがいる可能性がある。

ちなみに、これも3月14日のブログにある表だが、日本には未だこれだけの原発が存在する。

Nuclearplant20173c

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2017年4月 7日 (金)

東芝はやはり会社更生法?

東芝の事は、何度か取り上げたが、やはり会社更生法しか残された道はないのだろうかと思わせる記事です。

ニユースイッチ日刊工業新聞 4月6日 東芝、米LNG事業で損失リスク懸念。決算3回目の延期高まる

東芝のフリーポートLNGについては、私のこのブログ他でも触れた事がある。フリーポートLNGで東芝の1兆円の損失が決まっているわけではない。決まっている事は、米国天然ガス価格と日本を含め世界のLNG価格の価格変動リスクを東芝が負担している事である。もし、これが石油ガスメジャーなら何の心配もない。石油ガスに素人の東芝がリスクを負担している事が問題なのである。

石油ガスの世界はあまりにも恐ろしい世界である。冷酷・悲惨・・・・色々な形容詞が浮かんでくる。東芝が石油ガスの専門家を雇ってハンドリングをすれば、うまく行くかも知れないという考え方があるかも知れない。しかし、そんなことをすれば、完全に破滅である。その専門家の言う事を全て聞かねばならなくなり、最終的には利益を全てその専門家に持って行かれるばかりではなく、本体の利益をも浸食されるばかりか、本体が滅亡するリスクもある。

東芝が会社更生法を申請して管財人による再生を目指す事ができるかであるが、その前提はフリーポートLNG関係を、早くどこかに事業譲渡することである。お金を付けないと無理かも知れない。そうなると、更正法申請後は無理で、早急に現金付きの譲渡をしなければならない(これって、今でも銀行に反対されて無理でしょうか?)。

東芝には技術力はあったし、今もあり、すばらしい技術者が多くおられる。しかし、技術とは100%の世界ではない。90%で賭をして、成功して、事業を拡大していく面がある。そのような観点でWHを取得した。世の中、技術の世界のみで動いているわけではない。企業とは、技術は重要であるが、経営者は全てを適切に見渡し判断する能力が求められるのである。残念ながら、東芝には、そのような真の経営者は存在しなかった。フリーポートLNGも、そのような例である。東芝が再生するには、真の経営者が必要である。東芝の再生とは、企業再生のみならず企業としては消滅しても、有用な技術がどこかで存続し、世界の役に立つ事も含むのである。

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2017年4月 1日 (土)

認知症による自動車事故は無罪 or 有罪

2016年10月28日に横浜市で88歳の男が運転する軽トラックが集団登校中の小学校1年生(田代優君)を死亡させた事故があった。88歳の男は、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で送検されたが、横浜地裁は不起訴とすることとした。

朝日 3月31日 横浜の小1死亡事故、88歳男性を不起訴 認知症と診断

記事にあるが、父親は次のコメントを発表した。

希望に満ちあふれた人生のすべてを一瞬にして奪い去られ、その運転手の罪を問うことができないという判断は到底納得のできるものではありません。

事故があったのは10月28日午前8時頃。男は前日朝に自宅を軽トラックで出たまま途中で、どこにいるかも分からなくなり、体調も認識できない状態のまま、事故までの約24時間にわたる運転で疲労が蓄積されていたとみられると記事には、無責任男というべきか、キチガイに刃物状態になっていた男の様子が書かれている。精神鑑定の結果、アルツハイマー型認知症につき、無罪という結論。

今回の結論は、検察庁の結論であり、検察庁は有罪・無罪の結論は出せず、刑事事件として裁判所に公訴を提起しないとしたのであるが、検察以外に刑事事件の提起はできず、無罪の結論です。親として納得できないのは当然と思う。88歳の男も、この日突然に症状が出たのではなく、以前からその兆候はあったと思う。そうであれば、24時間もうろうとしたまま運転を続けるのではなく、どこかで誰かに助けを求める事はできたと思う。そのようなことをしなかった責任は重いと考える。

民事の賠償については、どうなったのだろうか。ホフマン方式による逸失利益金額に加え、多額の慰謝料が払われたのだろうか。自動車保険による保険金は払われたと思うがどうなのだろうか。認知症高齢者の横暴を許してはならない。

改正道路交通法が3月12日に施行され、認知症と診断されたドライバーの運転免許を取り消すための手続きが強化された。さて、その結果、免許証の更新が認められなかった高齢者が運転する車の事故に対して、自動車保険は払われるのだろうか?もし、払われるとすれば、何のための制度か分からない。一方、実質無免許運転をする認知症高齢者がいたとして、その高齢者が起こした事故に保険金が払われないのも、何のための保険制度かと思いたくなる。

共和駅構内事件以来認知超高齢者については責任がないのが当然とされ、監督義務者の責任について2016年3月1日の最高裁判決(参考:私のこのブログ)でも責任を問う事の難しさを示した。

こんなことをしていれば、認知症高齢者の隔離のような政策をとらざるを得なくなる。隔離政策はハンセン病に対しての措置を思い起こさせ、そのようなことではない、人として暖かく人間性豊かに過ごしていけるような配慮が必要である。では、どうするかと言えば、私は認知症の人を通常の人と同じように扱う事である。すなわち、刑法39条の心神喪失者や民法714条の責任無能力者には認知症は該当しないとするのである。認知症になれば、すべて分からなくなるのではない。周りの人たちのサポートを受けて、自動車運転であれば、どう対処するか個別に自らが決めていくのである。万一事故を起こした時は、一般の人と同じように刑事罰を受け、損害賠償をするのである。賠償金が払えなければ、自己破産をする。普通に社会のルールを適用するのが良いように思うのである。

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