幽霊は恐ろしい(不動産の話)
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日経 6月6日 登記50年以上変更ない土地、中小都市・中山間で26% 法務省
法務省の発表は、ここにあります。
50年以上登記の変更がない土地には、法人を調査の対象から除外し、自然人を対象としているので、登記上の所有者は大部分が既に死亡していると思われる土地である。所有者は幽霊となり、この世をさまよっているのである。
今回の調査は、公共事業実施予定地区,耕作放棄地対策を検討してる地区について、それらの地方自治体から聴取して調査した結果である。その対象となったのは、118,346の土地である。もしかしたら、実際には幽霊土地の割合がもっと多い可能性もある。何故なら、中⼩都市・中山間地域の山林では32.4%が50年以上登記の変更がなかった(90年以上は9.4%あり。)。公共事業が予定されていない山林は、やはり山深いと思うので、幽霊土地・山林は更に多いと思う。
幽霊が支配する世にしてはならない。生きている人間が支配せねばならない。子や孫には、価値のない土地・山林を相続しても、金をかけてまで、相続登記するインセンティブは働かない。実際、相続登記をするためには、死亡した被相続人の生まれてから死ぬまでの全ての(閉鎖済みも含め)戸籍謄本を集めなければならない。そのようにして被相続人全てを割り出し、その上で、財産分与の合意を実印捺印を得て作成しなければならない。もし、親が離婚・結婚を繰り返し、自分の知らない親の子供がいても、その人の実印を得るのである。もし、その人が死亡していたなら、代襲相続があるので、更にその子供を探す事となる。親ならまだしも、祖父母、相祖父母からの相続を調査するとなると、大変である。幸いなことに、相続を登記しなくても権利は消滅しない。特段誰からも何も言われない。日本とは良い国である。
でも、本当に良い国であろうか?山林の手入れが為されない故に、土砂災害等が発生したなら、人災なのだろう。都市近郊の空き家増加問題が出てきている。不在放置住居は、朽ちるのも早く、火災、防犯、衛生上も問題が大きい。
相続税法は、課税価格が基礎控除額を超える場合、相続の開始より10月以内に申告書を提出しなければならないとしている。相続登記についても、同じように、死亡から10月以内とするか2月余裕をプラスして1年以内に登記しなければならないとすべきと考える。違反した場合は、政府(国)に帰属するとするのである。もし、固定資産税収入が望める土地・家屋なら、地方自治体は政府と交渉できるようにすれば良いのである。いずれにせよ、一旦は、政府所有とした方が、合理的な解決が望めるはずと思う。
なお、マイナンバー制度が導入されたのである。マイナンバーを有効に使い、安価で合理的に相続手続きが可能な方策も導入すべきである。
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