ベネッセ情報流出に対する損害賠償最高裁判決は妥当と考える
10月23日にあった最高裁判決です。
朝日 10月23日 ベネッセ情報流出、高裁に審理差し戻し 損害賠償訴訟
大阪高等裁判所の判決文を読んでいないが、最高裁判決文には高裁判断は「本件漏えいによって、上告人が迷惑行為を受けているとか、財産的な損害を被ったなど、不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張、立証がされていないから、上告人(関西の男性)の請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。」であったとある。
ベネッセ事件では、子供の氏名、性別、生年月日、郵便番号、住所及び電話番号及び保護者の氏名等が外部に漏洩した。このことについてベネッセは500円分の金券を配って終わらせようとした。
損害賠償には損害を受けた金額を立証して、請求が成り立つ。不法行為があっても、損害額が立証できていない故、損害賠償の責任はないというのがベネッセの論理と理解するが、世の中、そんな論理でよいとすると問題が大きいと考える。最高裁はプライバシーの侵害があったと認めている。
サイバーセキュリティーの問題が大きくなってきている。ネットを通じてのプライバシーの侵害による被害が増大していくと思う。サイバーセキュリティーには、IT技術による対応のみならず法的なカバーがどうしても必要である。「情報流出だけだから、損害は発生していない。故に、損害賠償の責任はない。」というような論理では、これからのIT、ICT、ビッグデータ、AIの世界において人々は不幸になってしまう。
ベネッセ事件を考えよう。これからの我々の社会をよりよくするには、ベネッセ事件を中途半端な形で終わらせてはならない。
| 固定リンク
コメント