ずれてる朝日の社説 無電柱化
本日(11月9日)の朝日新聞の社説は、電力関係であるが、重要な点をはずして書いており、誤解を広める論説になっている。いや、論説ではなく、情緒表現の文学の文章である。
朝日新聞社説 11月9日 再エネの普及 送電線の「空き」活用を
無電柱化は景観面では美しい。無電柱化といった場合、電力線のみならず電話やケーブルTV、光ファイバー線等も考えねばならない。メンテナンスが無くなるわけではない。2016年10月12日に埼玉県新座市で東京電力の地下送電ケーブルに火災があり大停電が発生した。地下に直接埋設することもあるが、道路工事の重機が誤って埋設してある電線を切断ということもあり得る。
朝日の社説は、技術革新で地中化が促進され事故が減少するというようなノーテンキな発想である。費用にしても、一般配電事業者が負担するとすると、日本の電気料金がその分高くなる。税金から支出すれば、どの支出を減らして捻出するかとなる。市場メカニズムで合理的な整備がなされていく仕組みにはない。このようなインフラ設備拡充は、投資金額や投資から得られる便益と不利益・犠牲について公平は合理的・科学的研究を実施し、その研究が公表され、ステーキホルダーが納得して賛成できる案を作り上げた上で実施すべきである。過大・過剰な設備は、将来の子孫に負債を残すこととなる。
朝日の社説は、架空線の場合の災害現場でたれ下がった電線の感電事故や、火災のおそれを言うが、本当にそのような事故があったのかと問いたい。災害により、そのような事態発生の懸念があれば、配電事業者は安全のために通電を停止する。地下埋設であっても全く同じである。むしろ、地下埋設の方が、安全確認に手間を要することもあり得る。
2番目の朝日の社説の送電線の空きであるが、根拠は京都大学の研究グループによる分析となっている。どのような分析がされたのか、この論文を探そうとしたが私は発見できなかった。青森と秋田、岩手、山形4県の基幹送電線についてと朝日は言っており、基幹送電線となると東北電力のこの資料のデータに該当するはずであり、275kV送電線では新仙台火力A線を除き空き容量は小さい又はゼロである。送電線は実際の送電電力量が10%であっても安全と安定の確保を目的として空き容量が小さかったりゼロであったりすることもあり得る。
朝日の社説は再生可能エネルギーの利用拡大について、意図的に参入障壁を作り締め出そうとしているとの論調である。この論調を推し進めるなら、その論拠である京都大学の研究グループによる分析を公表すべきである。
大新聞の社説がヘイト・スピーチと同レベルであって良いのかと思った次第です。
| 固定リンク
コメント
男性感電死、東電「切れた電線触らないで」/相模原|カナロコ|神奈川
http://www.kanaloco.jp/article/33280
2011/09/22 - 男性が倒れていたのを見た近所の女性によると、切れて垂れ下がった電線はバスの進路をふさぐように路上でとぐろを巻いていたという。女性は「運転 ... また、低圧線であっても導線の周囲の被覆材に触れただけで感電することがあるという。
--------------------------------------
台風襲来等により電線が断線した場合のご協力のお願いについて【東京電力成田支社より】
http://www.town.kujukuri.chiba.jp/0000001233.html
台風襲来等により電線が断線した場合のご協力のお願いについて
東京電力成田支社より、台風襲来等により電線が断線した場合の対応について、次のとおり依頼がありましたのでお知らせします。
先日の台風26号襲来時に、電線が切れて垂れ下がり、交通の妨げとなった箇所で、感電事故には至らなかったものの、善意の方により「電気が流れている状態の電線」が片づけられていた事象が発生しました。
台風襲来時は、暴風によるトタン等の飛散物の接触や、樹木等の倒壊により電線が断線する恐れがあり、高圧電線の場合、6,600ボルトの高電圧で電気が流れており、電線に触れてしまうと、生命にかかわる重大な感電事故を引き起こす危険性があります。
切れた電線を発見した場合には、直ちに「東京電力千葉カスタマーセンター(第一)」へ連絡し、電線には絶対に触れることのないようにお願いします。
東京電力千葉カスタマーセンター(第一) 電話:0120-99-5552
http://www.tepco.co.jp/info/custom/center/chiba-j.html(外部サイト)
-----------------------------------------
屋外作業時の感電事故防止のために
https://www.tohoku-epco.co.jp/safe/
-----------------------------------------
消防ヒヤリハットデータベース事例回答シート
https://internal.fdma.go.jp/hiyarihatto/pdf/2016/3822/16J0026.pdf
-----------------------------------------
平成21年度の管内における感電事故について
http://www.safety-hokkaido.meti.go.jp/denki_hoan/h21fy_kanden/index.htm
(一番下)
-----------------------------------------
みんなのでんき
https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/knowledge/safety/prevention_03.pdf
-----------------------------------------
東京電力からの感電等による災害防止に関するお願いについて
感電等による災害防止の観点から、以下の点にご注意ください。
樹木倒壊等により、切れて垂れ下がっている電線には絶対に手を触れないでください。
電線に樹木や看板、アンテナなどが接触している場合も大変危険です。
発見された場合は、下記までご連絡いただきますようお願い申し上げます。
東京電力(株)群馬カスタマーセンター(外部リンク)
電話番号:0120-99-5222
1.公衆感電事故件数の推移
http://www.kyuden.co.jp/effort_trouble_p_transit.html
投稿: rumichan | 2017年11月15日 (水) 21時34分
rumichan さん
コメントと多くの情報をありがとうございます。
最後の九州電力の「公衆感電事故件数の推移」を見ると10年間で感電事故10件ですね。事故内容が、次のページにあります。http://www.kyuden.co.jp/effort_trouble_example.html
これからすると、台風で倒壊した電柱による感電では事故には至っていないようです。
倒壊した電柱の電線をわざわざ触れる必要はないと思います。地中化をしても同じで、破損した道路からはみ出た電線やあるいは水が共同溝に入り、電線部分や機器部分が水につかることもあり得ると思います。
私の主張は、感覚的な議論ではなく、科学的な事故分析による議論をすべきという考えです。
投稿: ある経営コンサルタント | 2017年11月16日 (木) 00時04分
無電柱化の推進
国土交通省中部地方整備局
http://www.cbr.mlit.go.jp/joho_box/muden/
1km当りの費用が5億円を超えるのは、都市部でガス管、水道管の移設を伴うような場合.
単純に電線だけの地中化の場合は8千万円で、電柱の2千万円の4倍.
-----------------------------------
旅行時は注意!死亡事故も多発! タイ・バンコクの危険すぎる「電線」事情
https://sirabee.com/2015/08/10/44823/
日本人でもこれを見ると、おそらく誰もが酷いと思うはず.
同様に、ヨーロッパ、中国等の外国人からみると、日本の現状は酷いと思われている.
お金がかかっても改善して行かなければならないという意識が、不足しているのです.
-----------------------------------
クマ感電死で電柱宙づり 「かみついたまま」で発見 : J-CASTニュース
https://www.j-cast.com/2010/11/18081240.html
投稿: rumichan | 2017年11月16日 (木) 22時48分
rumichan さん
再度のコメントをありがとうございます。
単純に電線だけの地中化の場合は8千万円で、電柱の2千万円の4倍となるのかは私も何とも言えない。しかし、配電費用が4倍になると相当電気料金が値上がりすると思うのですが。
タイの写真に写っている電線は、よく分かりませんが、多くは電話等の通信線だと思います。又、タイの場合、大雨で水没することがあり、地中線にすると返って危険性が大きくなる場合もあると思います。
クマ感電死の宙づり写真は100Vではなく6600Vの電線にかみついたのです。6600Vでは、感電死しますね。
投稿: ある経営コンサルタント | 2017年11月18日 (土) 00時34分