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2017年12月30日 (土)

菊地直子さんの無罪

菊地直子さんの無罪が確定した。

日経 12月27日 菊地被告の無罪確定へ オウム都庁爆弾事件、上告棄却

判決(上告棄却決定)文は、ここにあります。

菊地直子さんは、オウム真理教関係特別手配被疑者として懸賞金1000万円で写真付きで警察が全国指名手配となっていた。地下鉄サリン事件の被疑者としてである。

誰もが、この1995年の警察の指名手配から菊地直子さんは、サリン製造・輸送・地下鉄内散布の関連で重要な役割をしていた人物であると思っていた。2012年6月3日に逮捕。約2月後の8月6日に、東京都庁小包爆弾事件における殺人未遂罪と爆発物取締罰則違反の各幇助罪で起訴された。即ち、地下鉄サリン事件は、起訴の容疑とはなっていなかった。VX事件で再逮捕されたが、これでも起訴できず。

警察の見込みと実際がかけ離れたものであった。裁判員裁判であった東京地裁では、殺人未遂幇助の意思 は認められるが、爆発物取締罰則違反(爆発物製造・使用)幇助の意思は認められないとした。最高裁判決は、菊地直子さんが井上らによる爆発物製造・使用の可能性を認識したとは認められないとの東京地裁の判断と殺人未遂幇助の意思との関係が合理的に説明できないことを指摘している。菊地直子さんが関係したことで確実な事は、1995年4月19日頃から同月25日頃までの間、5回にわたり、山梨県所在の教団施設から東京都八王子市内のマンションまで東京都庁小包爆弾の原料を運搬した事である。依頼した井上嘉浩及び中川智正らは、秘密保持のため、何であるかを言わないのが当然と思う。

最高裁の上告棄却は、極めて当然のことである。オウム真理教事件とは、恐ろしい事件であると思う。オウム真理教による敵対者の殺害や無差別テロで、多くの人が亡くなった。あるいは受けた傷害の後遺症が続いていたり、心にも傷を負った人も多い。一方、考えれば、オウム信者側も同様に、苦しんでいる人が大勢いると思う。菊地直子さんもこのコメント(時事ドットコム)を出し、「自分の行為が何の落ち度も責任もない方に重篤な被害を与えてしまったことにつながってしまったことを、これからの人生において重く受け止めていくことは、控訴審判決の後に申し上げたとおり変わりはありません。  本当に申し訳ありませんでした。」としている。

この2015年11月29日のYAHOOニュースで篠田博之氏が東京高裁判決直後の菊地直子さんの手記を公開されておられる。一読に値すると思う。

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2017年12月25日 (月)

電気自動車のCO2排出量

DIAMOND onlineに新型リーフの実燃費(実電費)に関する記事があった。

DIAMOND online 12月24日 新型リーフ、実電費はカタログ値の7割だった【試乗記】

記事の5ページ目に「500km走行で平均電費は7km/kWh」との記事がある。日産のカタログ値は、このページにJC08は120wh/km、一充電走行距離は400kmとある。これからすると、8.33km/kWhと7km/kWhであれば、カタログ値の84%であり、カタログ値に近いと思うのである。

ハイブリッドで良いのではとの声もあり、プリウスと比較する。プリウスはカタログ値JC08モード37.2km/Lとある。プリウスの実燃費であるが、22km/L程度が妥当かと思う。即ち、25km/Lで走れたと聞いた事はほとんど無く、中には市街地走行がほとんどと思うが20km/L以下という人もいる。そこで、ハイブリッド車の実燃費を22km/L、電気自動車を7km/kWhとしてCO2排出量を比較する。

プリウスの22km/LのkmあたりのCO2排出量であるが、kmあたりの燃費は0.04545L/kmである故、0.04545LのガソリンのCO2排出量を求めればよい。ここに環境省・経済産業省H29.12.1公表温室効果ガス排出係数の表がある。ガソリン34.6GJ/kl、0.0183tC/GJとなっており、これから計算するとCO2排出量は81.53g-CO2/kmとなった。

電気自動車は0.143kWh/kmとなるので、この電気事業者別排出係数の一般電気事業者の数字518g/kWhを使うと74.07g-CO2/kmとなる。約10%プリウスより低い。

但し、沖縄電力のCO2排出量は705g-CO2/kWhとなっており、これを使うと電気自動車の排出量は100.8g-CO2/kmとなり、プリウスより23%以上多い。石炭火力の電力だと860g-CO2/kWh程度なので、123g-CO2/kmとなる。プリウスの1.5倍である。

今後、再生可能エネルギーによる発電が全発電量に対する割合増加が見込まれ、そうなると現在の電気自動車CO2排出量74.07g-CO2/kmより更に減少する。電気自動車は性能アップや運転アシスト機構の装備も内燃機駆動車よりも容易と思われ、今後の主力になるように思う。

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2017年12月22日 (金)

東京電力福島原発事故

東電原発裁判を読んだ。

2017年10月10日の福島地裁において国と東京電力に賠償金の支払いを命じる判決についての日経報道は次であった。

日経 2017年10月10日 原発事故で国に再び賠償命令 福島地裁、2900人対象

2002年7月の政府の地震調査研究推進本部が発表したM8.2規模の福島沖地震による津波を想定すれば福島第一原発での津波高さは15.7mと想定され、これに基づく対策をしていれば事故は防げたとする考え方が「東電原発裁判」では紹介されている。

原発は、一旦事故が起これば、その被害は甚大である。従い、通常の建物や設備では考慮しないような事態でも原発の場合は、対策を考えておくべきとするのは正しい。

しかし、津波対策をしていなかったことについての刑事罰や損害賠償の責任論で片付けられるほど簡単な問題ではないと考える。福島第一原発の津波は15.7mと想定されるとの報道はおろか、福島第一原発の敷地10mは津波に弱点ありとの報道にも接した記憶はない。国会や県議会で取り上げられただろうか。

考えるべきは、原発という設備の安全について日本国民全員が安易に捉えていたのではないかということである。勿論、深刻に考えていた人もいるはず。しかし、その警鐘は届かなかった。安全神話という大本営発表に、酔いしれていたのだろう。

「東電原発裁判」のもう一つの記述で興味深かったのが、2号機・3号機の炉心溶融や水素爆発は防げたのではないかという点である。1号機は、おそらく救いようがなかった。バッテリーにより非常冷却設備が稼働していた2号機・3号機は未だ時間的な余裕があった。

勿論、防げなかったかも知れない。しかし、このような方法なら、防げたはずであるという研究・検討はすべきである。自衛隊も派遣しないで政府は無策でいて、大規模な被害を福島一円に引き起こした。せめて、そのような研究・検討はして欲しい。原発稼働の最低限度の必要事項の一つと考える。

下の図が地震発生から水素爆発までの時間である。2号機は水素爆発をしていないとも言えるが、3月15日6:00にS/C付近において水素爆発と思われる衝撃音を確認と報告されており、下の図ではこれを水素爆発とした。

Fukushima201712a

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2017年12月20日 (水)

おそまつなJALの振り込め詐欺事件

簡単に引っかかるんだと、思う。バカそのもの。

日経 12月20日 日本航空、偽メールで3億8千万円詐欺被害

日経ニュースには「支払先の担当者と同一のメールアドレスから請求書が送られてきた。」とあり、意味が取れなかったが、次の朝日のニュースには「送信元のアドレスは画面表示上、担当者のものと同じだった」と書いてあり、表示をごまかしており、バカはそれに騙されたということのようである。

朝日 12月20日 JALが振り込め詐欺被害 「航空機リース料」信じる

電子メールの表示とは、電子メールのアプリでアカウント設定があるが、その設定の中の「表示」とか「名前」の事と思う。好きなように変更が可能であり、幼稚ななりすましは、この方法でできる。

もし、受け取った電子メールが変だなと思ったら、やはりプロパティを見る事である。プロパティの情報は、発信人が操作できない情報なので、何時もと変わっていたら、疑うべきです。

今回のJAL事件は、振込先(送金先銀行口座)の変更を連絡するE-Mailであったということで、疑って当然のE-Mailである。普通なら、相手に理由を問い合わせたりする。当然E-Mailのプロパティを見る。基本中の基本ができない日本航空です。

日本航空のようなデタラメな作業をすることはみなさん止めましょう。

とりあえずの情報で書いているので、間違っていたらゴメンナサイと言わねばならいが、日本航空さん飛行機の安全運行については、こんなデタラメは絶対しないで下さいね。

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2017年12月14日 (木)

ティラーソン国務長官の北朝鮮発言

ティラーソン米国務長官が12日に、前提条件なしで北朝鮮との対話についての可能性を言及したとのニュースがある。

日経 12月13日 対北朝鮮「最初の対話は前提条件なし」 米国務長官

もっとも、すぐその直後にあったニュースは次である。

日経 12月14日 米政府高官「今は対話の時ではない」 対北朝鮮、国務長官の発言否定

北朝鮮問題が、どうなるか、容易に片付く問題とは、思わない。しかし、仮に米朝間で戦闘が始まったなら、朝鮮半島は戦場となり、多くの死者が出るだろう。そうなった場合、日本が、この戦闘に巻き込まれる可能性は高い。平和憲法も専守防衛も集団的自衛権も自衛隊も、日本が米朝戦争に巻き込まれないことに対しての抑止・防止には役に立たない。日本の意向や意思で戦争が始まるのではないからである。日本政府は、前提なしの対話でも何でも良いから、米朝間で戦争防止について合意が成立するよう努力すべきと考える。

一方、米国にとっての北朝鮮脅威とは何であろうか?ICBMが米本土に届いたところで、命中精度は極めて悪く、被害規模はそれほどでもないだろうと思う。むしろ、そうなると北朝鮮消滅となるが、その際の米軍の北朝鮮報復攻撃の結果による北朝鮮の反撃が日本にも及び、日本の被害の方が、米国より大きいだろうと思う。

米国にとっての北朝鮮問題とは何であるのか。これは、米国だけの問題ではないが、核拡散リスクであり、破綻国家やテロリストに核兵器がミサイルと共に渡るリスクであると思う。経済制裁下で、北朝鮮が手っ取り早く金を手にする方法は、ブラックマーケットで核兵器を売る事である。これを防ぐには、対話しかない。

この12月12日のガーディアンの記事の次の部分を読んでそう思いました。

On Tuesday, the secretary of state made clear that full North Korean nuclear disarmament would be the ultimate goal of substantive negotiations. He argued that containment was not an option, as an impoverished North Korea would seek to earn money by selling its nuclear weapons on the black market.

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2017年12月 3日 (日)

性犯罪に関する刑法の解釈

強制わいせつ罪の解釈に関する最高裁判決が11月29日にあった。

日経 11月29日 強制わいせつ罪、成立に「性的意図」不要 最高裁が判例変更

判決文(裁判所Web)

刑法176条の強制わいせつ罪の条文とは、次です。

第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

なお、47年前の最高裁判例では、強制わいせつ罪の成立に性的意図を要するとし、性的意図がない場合には,強要罪等の成立とした。強要罪の条文は次です。

第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
 前二項の罪の未遂は、罰する。

強制わいせつ罪は最高10年の懲役で強要罪は3年です。

7月21日に痴漢犯罪の対策なんてブログを書いたのですが、その私からすれば、強制わいせつ罪の解釈は、性的意図があるとかないとかではなく、その犯行そのものの内容を調査して決定すべきと考えます。本年6月から施行された改正刑法の結果、強制わいせつと強要では最高刑の懲役期間に随分開きがあります。

今回の最高裁判決は15人全員出席の大法廷で、かつ全員一致の意見による判決であった。いずれにせよ、刑法176条では、わいせつな行為に関して、特に修飾語も条件も付けていない、良識による解釈がふさわしいと考える。

この最高裁判決は上告棄却であったのであり、児童ポルノ製造罪などと併せ、懲役3年6月の大阪高裁の判決が確定した。

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