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2018年1月31日 (水)

沖縄県の名護市長選のゆくえ

2月4日投開票の沖縄県名護市長選のゆくえは、どうなるのだろうかと思う。

一つは、1月26日のブログ(ここ)で書いた『それで何人死んだんだ』という国会ヤジの影響である。

名護市とは、辺野古がある市です。建設を開始している新基地があり、地元住民にとっては、『それで何人死んだんだ』なんて言われたら、バカらしくて、そんな議員がいる政党が応援している候補になんて投票するものかと思わせるだろう。

次のニュースは産経対沖縄地元メディアの対決なのですが、沖縄の人や名護市の有権者は、どう思っているのかなというところです。

産経 2017年12月9日 【沖縄2紙が報じないニュース】 危険顧みず日本人救出し意識不明の米海兵隊員 元米軍属判決の陰で勇敢な行動スルー

琉球新報 2018年1月30日 産経報道「米兵が救助」米軍が否定 昨年12月沖縄自動車道多重事故

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2018年1月29日 (月)

送電線利用率・空き容量の評価

次の朝日の記事は正しいのだろうかと思ったのである。

朝日 1月28日 基幹送電線、利用率2割 大手電力10社の平均

この朝日の記事は、東北電力では平均利用率19.4%と低いにも拘わらず、「空き容量ゼロ」送電線が多いと批判している。

正しいのであろうかと、電力広域的推進機関系統情報サービスのデータから、1月26日の東北電力500kV送電線電力潮流のデータをとりグラフを書いてみた。

Tohokupowerflow2018126

東北電力の500kV送電線の容量は9,400-9,700MWである。上のグラフは30分毎の電力潮流なので、平均電力は3,000ならば、6,000MWへと2倍の値になると思うが、常磐幹線以外は、ほとんど電力は流れていない。しかし、これで空きが大量にあると断定することには無理があると考える。点検、修理、保守、事故等のための電力の迂回路は必要であり、停電の発生を抑えるためには、どうしても安全余裕が必要である。事故が事故を呼ぶ事故の連鎖も送電系統には起こりうる。

そして、東北電力の「秋田支店管内の66kV以下の送電線の空容量(これ)」を見ると、66kV以下の送電線の空容量は全てゼロとなっている。

500kV送電線は余裕があるが、66kV以下の送電線は空きがないという事なのだろうかとは思うが。いずれにせよ、具体的な分析を見ないで議論をすると誤った結論に行き着くのであり、電力広域的推進機関が正しく機能していることを期待している。

一方、風力発電の開発に対して、徳島県鳴門市の取組は高く評価したい。読売の2017年7月17日の記事はここにあり、鳴門市の「陸上風力のゾーニング(適地評価)結果について」はここにある。

市の地域を自然環境・社会環境への負担度合に応じて、「原則開発不可とするべき場所(レッドゾーン)」、「極めて慎重な開発検討を要する場所(オレンジゾーン)」、「慎重な開発検討を要する場所(イエローゾーン)」およびゾーニングから外れた環境・社会負担が大きくない地域に分かれている。鳴門市のWebでは10項目にわたる評価書が全て公表されている。鳴門市は、このゾーニング評価を重要見解として位置付け、事業を計画する者に対しも、その評価内容を、尊重して欲しいとしている。無秩序な乱開発は、社会と環境に悪い結果をもたらす。広い視野を持った開発が望まれる。

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2018年1月26日 (金)

いくらなんでも不謹慎な国会ヤジ

衆院本会議で、沖縄県で続発する米軍機の落下物事故や不時着についての共産党の志位委員長の代表質問の際に飛んだそうです。『それで何人死んだんだ』というヤジです。

しんぶん赤旗 1月26日 副大臣「何人死んだ」 米軍事故 志位質問に暴言ヤジ

松本文明内閣府副大臣:元沖縄・北方担当副大臣(衆院東京7区)が自分の発言と認めたと報じられています。

不謹慎ですよね。私は、そう思います。品位を落とすと言うべきでしょうか。

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2018年1月24日 (水)

憲法改正を考える

安倍首相は、憲法改正に関して、22日の施政方針演説でも、憲法審査会において議論を深め前に進めていくことを期待するとの発言をしており、憲法改正に向けた議論が活発化する可能性があると思う。

憲法改正を考える場合、感情で考えてはならない。実質的な占領状態下で制定されたという理由ではなく、実質的な占領状態下であっても、当時の人たちが最善を尽くして制定した良い部分は守っていくべきであり、憲法の文章を理性で考え、一語一語を検討して考えることが重要である。

次の『ナチスの「手口」と緊急事態条項』を読んだが、参考となるべきことが多く書いてあると思った。お読みする事をお薦すめします。

この『ナチスの「手口」と緊急事態条項』を読んで、ナチスによるワイマール憲法の抜け穴の利用について学ぶことができました。ワイマール憲法は、1919年8月に制定、公布、発効した。ドイツが第1次世界大戦の休戦協定に調印したのは、その1年少し前の1918年11月であり、講和条約であるヴェルサイユ条約に調印したのは、1919年6月である。ドイツ帝国は崩壊し共和国になってはいたが、旧体制の権力者は影響力を持っていたし、1917年のロシア革命の結果は、ドイツでも当時勢力を増しつつあった共産主義者への対抗論があった。そのような状況下で制定されたのがワイマール憲法であった。

ワイマール憲法の訳文をNetで探してみると、英訳は、このページにありました。ヒットラーの権力把握に最初に使われた48条とは次の訳文になっています。

Article 48 If a state (8) does not fulfil the obligations laid upon it by the Reich constitution or the Reich laws, the Reich President may use armed force to cause it to oblige.

2 In case public safety is seriously threatened or disturbed, the Reich President may take the measures necessary to reestablish law and order, if necessary using armed force. In the pursuit of this aim he may suspend the civil rights described in articles 114, 115, 117, 118, 123, 124 and 154, partially or entirely.

3 The Reich President has to inform Reichstag immediately about all measures undertaken which are based on paragraphs 1 and 2 of this article. The measures have to be suspended immediately if Reichstag demands so.

4 If danger is imminent, the state government may, for their specific territory, implement steps as described in paragraph 2.

5 These steps have to be suspended if so demanded by the Reich President or the Reichstag. Further details are provided by Reich law.

この訳文で”state”とはドイツ国ではなく、国に属する州のことです。ドイツ国は”Reich”です。いずれにせよ、ドイツ大統領は、憲法により安全のためなら人権を制限できるし、場合によっては、議会を遠ざける道があり得た。

日本国憲法には緊急事態条項がない。そもそも大統領や首相に立法権と同等の権力を与える事は問題が大きすぎるからであるが、日本国憲法54条には、衆議院が解散された閉会中でも内閣は参議院の緊急集会を求めることができるとしている。59条1項により、法律案は、両議院で可決したとき法律になる。59条1項の但し書きに相当する「この憲法に特別の定のある場合を除いては」から、参議院の緊急集会における議決は法律と同一効力がある特別令を定めることが可能と私は解釈する。但し、54条3項により、臨時的措置であり、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がなければ、効力は失われる。行政は最大の権力である。憲法65条で「行政権は、内閣に属する。」としているのであり、緊急事態と雖も、立法権は国会に属する事を守るべきである。

『ナチスの「手口」と緊急事態条項』の「なぜドイツでは憲法改正を何度も行っているのか」の節には、日本国憲法は、規律密度が低く、憲法の条文の解釈や法律以下の立法を通じて問題を解決する余地が広いという記述がある。私も同じように思うのである。憲法の解釈も時代により変化して良い。時代に合わせて、憲法を読まれるのである。しかし、どのような時にも忘れてはならないのは、良心や憲法前文にある崇高な理想の追求であると考える。

そのようなことを考えて憲法改正は一語一語検討すべきである。又、現憲法を維持するという保守主義も重要であり、現憲法が守っている人権や理想が侵害されないようにせねばならない。

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2018年1月17日 (水)

誤報の許される範囲

NHKが「北朝鮮ミサイル発射の模様」という誤報をNET等で流してしまったのだが、このような誤報はどの程度許されるのかと思った。

日経 1月16日 NHKが「北朝鮮ミサイル発射の模様」と誤報

先ずは、あってはならない重大な誤報である。最も、北朝鮮がミサイルの発射実験をしばしばしており、全て海上への落下であったので、この誤報に接した人も、「また実験をしたのか」と思い、特別な危機感を持たなかった人もいると思う。

5分後の19:00に「速報は誤りでした」と流しているので、仕方のないNHKだなと思って、笑ってすます人もいると思う。

今回のことについては、次のようなことを考える。

1) NHKの信頼性低下

NHKの信頼性低下については、どうしようもないと思う。

2) 取り消しに要した5分は許容範囲?

私は5分は長すぎると思う。NHKの信頼性低下と関連するが、報道について、常に内部の監視者がチェックをする体制を採っているべきである。万一誤報を流したなら、それを正す。誤操作により流してしまったようだが、システム上どの端末から誰が操作したのかが、モニターできていなければならない。監視者は、直ちに端末操作者に問い合わせ、訂正すべきであった。この基本部分が構築されていないと考えてしまう。

Jアラートの端末なんて多くの人は持っていない。それどころか、端末が設置されている地方自治体の担当者だって、端末に表示されていないが、端末が故障でNHKの報道が正しいと判断してしまう人もいたのではと思う。

米ハワイでも、避難を呼び掛けるメッセージの誤発信が13日にあったが、現代においては信頼性とは、そもそも、このような程度に考えておくべきなのだろうか?

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2018年1月14日 (日)

日本のGDPを世界と比較する

日本のGDPを世界と比較をする。重要なのは、2020年東京オリンピックでのメダル獲得競争や国威発揚ではなく、豊かな生産物を獲得することである。IMFのデータベースにWorld Economic Outlook Databaseというのがあり、2017年10月版が最新であり2022年までの予測を含めデータがある。これを使って図表を書いたので、参考にして頂ければと思う。

1) 世界の中の日本のGDP

次の図は、2010年からの世界のGDPを示したグラフである。このGDPは各国の名目GDPを各年の為替レートで米ドル換算したGDPである。

Worldgdp20181a

世界全体のGDPは2017年において78.7兆米ドルであった。日本の2017年GDPは4.9米ドルなので、世界全体に占める割合は6.2%であった。次に、同じグラフを各国毎のGDPが占める割合で示したのが次である。

Worldgdp20181c

各国のGDPを世界全体に対するその割合で見ると一つの歴然たる事実が浮かび上がる。ブルーで示した中国のGDPの伸びが著しいのである。2017年の中国GDPの世界に占める割合は15.2%であった。2000年においては3.6%にすぎなかったのである。日本の2000年当時に世界に占める割合は14.4%であった。このようなGDPの統計比較を見ると、中国の隣国である日本は、この中国GDPの成長恩恵を受けて良いはずと思う。別の表現で言えば、中国と協力する事により日本の大きな経済成長が成し遂げられたのではないかとの期待である。

2) 一人当たりGDP

GDPとは物とサービスに加えた付加価値額である。付加価値額が公平に分配されている訳ではないが、一人当たりGDPの比較は重要な参考値である。次のグラフは上位主要国の一人当たりGDPであり、中国とインドについても表示した。

Worldgdp20181d

上記のグラフから分かるが、1995年の日本の一人当たりGDPは38,500米ドルでスイスの49,000米ドルに次いで2位であった。2000年にはスイスが38,000米ドルに落ち込んだ事もあり、日本は38,500米ドルと世界ナンバーワンとなったのである。ちなみにこの時の1・2・3位はほとんど同じでノルウェイが38,067米ドルであった。日本の輝かしい時代が1990年代から2000年代の初めにはあったのである。

上のグラフは線が錯綜して見難いので、比較対象国を絞って作成したのが次のグラフである。

Worldgdp20181e

上のグラフは、米国が直線的に成長を続けていることを示している。日本は1995年以降は平行線に近い。現時点での一人当たり高GDP(高所得)を実現しているスイス、ノルウェイ、スウェーデンは継続して成長を維持している。一方、未だ低い水準の一人当たりGDPであるが、高成長を記録しているのは中国であり、今後インドも同じ傾向が予想される。

このグラフを見ると、アベノミクスや2%ターゲットの金融緩和なんて機能していないように思える。何もしなくても、これくらいにはなったのでしょうと思えるからである。

オリンピックを2年後に控え、更にその先を目指した本当の成長戦略を日本人や日本企業が採らねばならないと思う。成長戦略は政府や首相にあるのではない。人と企業にあり、成長戦略は持たねばならないものである。それはAIやIoT、ビックデータのようなIT活用なのか、あるいは更にその先を目指した人に本当に優しい世界であるように思う。

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2018年1月 6日 (土)

年頭挨拶での日本公認会計士協会会長の指摘

日本公認会計士協会会長の年頭挨拶には、興味ある指摘が含まれていると思った。

日本公認会計士協会会長ご挨拶

1. ブロック・チェーンへの準備

「1.公認会計士監査の信頼回復と向上に向けて」の最後の部分で、次のように述べておられる。

今後の将来像としては、最近よくいわれる「ブロック・チェーン」によって、財務データのそのものの在り方が変わるのではないかと言われています。そのような変化を受けて、公認会計士が信頼性を付与する監査はどのようになっていくのかも考えておく必要があると思っています。

「ブロック・チェーン」が、会計とどう関係するか、会計にどのように利用されるか現状よく分からない部分が多いが、資産管理、金融、決済、IoT、サプライチェーン、保険、医療、カーシェアリング、個人売買等で利用される可能性が指摘されている。仮想通貨は、バブルが崩壊すると、マイナーな趣味の世界になるかも知れない。しかし、ブロック・チェーンの技術は消滅するわけではない。ブロック・チェーンは、中央管理型のITシステムではないことから、無停止であり、全員による情報共有がなされ、トレーサビリティーがあり、改竄不可能であり、低コストと言われている。金融の世界、会計の世界に大きな変化をもたらすと思う。一方、ブロックチェーンが信頼性を失った場合、あるいはブロックチェーンを利用したシステムに欠陥があった場合は、企業や社会が受けるダメージは大きい。会計専門家が適切に関わって欲しいと考える。

2. AIと会計士業務

「3.国際性、多様性を担える人材の確保と公認会計士の魅力向上」の中で、次のように述べておられる。

確かに、テクノロジーの進化により、私どもの業務も変わっていきますが、AIに取って代わられるのではなく、公認会計士は、AIの活用により、経営者との議論や、専門家としての判断業務に集中していくべきと思っています。

会計士のある部分の業務はAIに取って代わられると思う。AIは、自分でデータ分析を行い、判断をする。AI碁やAI将棋は打つ手をAIが考えて決めているのである。しかし、AIの碁や将棋は、その一手を何故選んだのかを説明はしてくれない。碁、将棋の世界なので勝ちと負けが重要であり、何故と問いかける事ではなく、そのAIに勝負で勝つAIを開発する事が全てと言える。一方、我々の社会は、勝ち負けの判断は難しい。一旦は、負ける事により、勝つ事もある。AIを正しく利用し、活用する事が重要である。当然、会計に限った事ではない。AIを利用・活用するためには、我々は多くの知識を身につけ、正しい判断ができるようにならなければならない。教育・研究が益々重要となる。

多くの会計事務所はコンサル業務も手がけている。その業務にはIT、ICT、IoT、AIの関連も含まれている。会計事務所はBig Fourと呼ばれる4大事務所が圧倒的な力を持っている。IT分野も多額の研究開発費を支出できる4大事務所が当面は勝ち続けるのだろうと思う。

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