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2018年8月14日 (火)

戦争に関する本

終戦の日となったこの日にちなんで、最近読んだ戦争に関する本について書いてみたいと思った。

1) 日本軍兵士

アジア・太平洋戦争について、兵士の目線で、兵士の立ち位置から戦場をとらえ、帝国陸海軍の特性をも見ている。兵士の目線で見ると、凄惨な体験があまりにも多い。無事に生き延びられた方々にとって思い出したくもない経験だったと思う。戦友会などでは出てこない兵士のことを書いている貴重な本と思う。

2) 戦争調査会 幻の政府文書を読み解く

1945年10月30日、幣原内閣は「敗戦の原因及び実相調査の件」を閣議決定し、戦争を検証するプロジェクトが動き出し、政府組織としての戦争調査会が設置された。しかし、米国・ソ連・中国・英国等との複雑な関係や1946年5月から始まった極東国際軍事裁判が進む中で、1946年9月に戦争調査会は廃止となった。

日本人自らが、敗戦の原因を調査し、公表する事の重要性である。幣原は第2回総会において、「今はいいけれども20年、30年後はわからない。再戦論が起きるおそれもある。その時に備えて、戦争調査会の資料は”非常に価値のある有益な参考書類”にしなければならない。」と述べられたとのこと。

全15巻となる戦争調査会の文書郡は、戦争調査会事務局書類 全15巻として復刻・刊行されている。

3) 蒙古襲来と神風 中世の対外戦争の真実

蒙古襲来である文永の役、弘安の役で神風が吹いて日本が勝利した。日本は神の国であるという嘘っぱちがまかり通っていた。弘安の役では、台風は吹いた。蒙古船は沈んだ。しかし、日本船も沈んだ。

ここからは、私の論であるが、真実、事実を正確に把握せず、都合良く考えて、都合の良い考えを押しつける。神風特攻隊の攻撃ほど悲惨な戦術はない。零戦に500kg爆弾を装着しても意味はない。零戦とは、旋回のような運動性能を重視してつくられた飛行機である。自重2,000kg程度。増槽タンクの代わりに、500kg爆弾を装着したと思うが、運動性能は悪くなり、急降下はできず、舵は鈍く、攻撃できるような性能にはなっていなかったはず。この現代ビジネスの記事のように成功率が悪いと言うより狂気のさたでしかなかったと思う。

狂気がまかり通る世の中にはしてはならないと考える。

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2018年8月12日 (日)

翁長雄志氏

翁長雄志氏は、8月8日に亡くなられた。翁長氏は、1985年に那覇市議に初当選し、1989年に再当選した後、1992年からは2期8年間沖縄県議となり、2000年に那覇市長に立候補し、当選。2014年の沖縄県知事選挙立候補のための辞任に至るまで那覇市長を14年間弱歴任された。県知事選において、辺野古移設の反対を唱え、その後知事に就任後は、辺野古の海の埋め立て工事の反対を貫いた。

那覇市議への初当選の1985年は、沖縄の本土復帰1972年から13年後であり、翁長氏は沖縄県知事選挙立候補表明まで、自民党に所属していた。翁長氏は、辺野古移設賛成論についても反対論についても、その理由や賛成・反対している人々の本音や裏の事情まで精通しておられたのだと思う。だからこそ、辺野古の埋め立て工事を阻止すべく知事として全力を尽くした。翁長氏は、この5月15日に浦添市の病院を退院し、膵臓ガンであることを公表されたが、実は、この時、自分の体の事について、自分で認識しておられたのだと思う。その上で、自分は政治家として残る人生を全うする事を誓っておられたのだと思う。

この琉球新報の記事「沖縄と沖縄人の誇りのために闘った政治家・翁長雄志氏 その生きざまを写真で振り返る」という記事の冒頭は次である。

沖縄戦から5年後の1950年、那覇市に生まれた。父助静(じょせい)さんは旧真和志市長を務め、兄助裕(すけひろ)さんは西銘順治知事時代に副知事を務めるなど政治家一家に育ち、復帰前から保革の激しい対立を見て育った。

記事からも、2010年知事選での仲井真弘多氏の普天間飛行場の「県外移設」という公約には翁長氏の働きかけがあったことが伺える。

ところで、辺野古埋め立てが必要かと言えば、私は全く不要だと考える。このICT(Information Communication Technology)の時代に時代遅れの小さい飛行場など必要性はない。オスプレイなら埋め立て無しで運用できるし、海兵隊は嘉手納を使えばよい。そんなことをとっくの昔に分かって、無意味な埋め立てをさせないと頑張られたのが翁長氏だと思う。

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2018年8月 9日 (木)

打ち出の小槌は存在しない

「打ち出の小槌は存在しない」というのは、経済の原理・原則であり、物理のエネルギー保存の法則みたいな基礎の基礎の原理だと思う。

ふるさと納税とは、経済の原則に反した制度というか、言葉でごまかす悪い政治家の産物です。

そもそも、20,000円の寄付をして18,000円が税で戻ってきて、6,000円の物品が返礼品として送られてくるのは、どう考えてもおかしい。

結局は、誰にしわ寄せが行っているかと言えば、税金であり、最終的な負担は国民である。

朝日新聞がこんな記事を掲載していたが、チコちゃんなら「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱りつけるんだろうなと思う。日本には、悪い政治家しかいないのか、頭の悪い国民しかいないのかなと思ってしまう。

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2018年8月 6日 (月)

ふるさと納税の国民負担額

直前のブログふるさと納税亡国論の続きです。東洋経済Onlineに次の記事がありました。

東洋経済Online 8月6日 1位は川崎市、ふるさと納税「実質流出」の実態

私のふるさと納税亡国論と同じような内容ですが、2ページ目に「ふるさと納税における実質住民税流出額」なる表がある。この表で実質住民税流出額を合計すると390億円弱となった。地方交付税不交付団体の数は、総務省のこの不交付団体の資料によれば、平成28年度は77団体であった。

東洋経済Onlineの表には20団体が記載されており、残るは、50団体強である。しかし、東洋経済Onlineの表は流出額の大きい方からの順序になっているので、残る50団体は流出額9.3億円以下である。最大を見積もっても、合計50億円以下である。

そこで、全自治体が負担したふるさと納税による流出額を390億円と50億円の合計440億円と仮定する。その上で、地方交付税による自治体への補填金額を以下の算式で推定する。

地方交付税による補填金額 = (ふるさと納税金額3653億円 - 地方交付税不交付団体の住民によるふるさと納税金額440億円) X 75% = 2410億円

驚いたことに、我々の税金が2410億円も無駄に使われた事になる。しかも、東洋経済Onlineの表は、横浜市、名古屋市、大阪市という地方交付税の補填がある団体も含まれており、更には50億円という仮定は最大額であり、実質は2410億円を上回る税金の無駄使いである。

そして、ふるさと納税を受け入れた自治体での費用621億円も加えると、ふるさと納税の無駄使いは3000億円を上回るのである。なお、この3000億円は、返礼品1406億円を含めていない数字です。

ふるさと納税なんて、即刻廃止して、全額被災地支援金にでも充当すればよいのにと思ってしまいます。

なお、この計算において、所得税の寄附金控除による税収減は計算に入れていません。所得税の寄附金控除は、寄付という慈善行為について、税制が応援することは正しいとの考え方に立ちました。

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ふるさと納税亡国論

やはり、これはふるさと納税亡国論だと思います。

Yahooニュース 8月4日 ふるさと納税で税収41億円減、世田谷・保坂区長「愚策中の愚策」「究極の垂れ流し」東京富裕論に猛反論

1) ふるさと納税の額

先ずは、事実を押さえねばと、総務省 ふるさと納税に関する現況調査結果(平成29年度実績)を見ました。

平成29年度の実績は、3653億円で前年度比28%増とのこと。件数は1730万件とあるので、平均すると1件あたり2万1千円となる。

2) ふるさと納税をした場合

2-1) ふるさと納税をする個人

所得税法で、地方公共団体(自治体)に対する寄付は寄附金控除の対象となり、2,000円を超えた金額が課税所得金額より控除となり、(ふるさと納税額-2,000円)X税率として計算した金額が所得税が少なくて済む。寄附金額が合計所得金額の40%までが限度。

住民税では、ふるさと納税額より2,000円を差引いて、更に所得税が少なくなる相当額を引いた分の全額が住民税より控除される。但し、所得割額の20%が限度。

整理すると、2,000円を超えた金額が所得税と住民税の合計で安くなる。その上、ふるさと納税をした自治体からは返礼品なる物が受け取れる。

所得割額とは、均等割額以外の住民税なので、ほとんどの人にとっては、住民税の額=所得割額と思って良いし、正確な金額は自分の住んでいる自治体あるいは勤務先から受領した住民税の内訳に書いてある。ほぼ、各種控除を引いた残額の所得金額のほぼ10%である。

2-2) ふるさと納税を受けた自治体

当然だが収入増となる。ほとんどの自治体が返礼品を送付している模様であるが、全自治体合計で1406億円なのでふるさと納税として受け入れた金額の38.4%になる。広報費用、発送費用、決済費用、事務経費の合計が621億円であり、総費用合計は2027億円となり、なんと、ふるさと納税総額の55.5%である。

「バカ言ってんじゃないよ」と思う。自分の支出したふるさと納税額が、その自治体の収入になっていると思ったら、半分以上は経費に使われる。(返礼品を出していない自治体も含めての平均で55.5%です。)

もう一つ考えなくてはいけないのが、地方交付税の扱いである。調べ切れていないが、ふるさと納税の多くは、この活用事例のような分野が多く、例えば道路整備や学校の整備なんて見られない。その理由は、地方交付税を受けられる分野にふるさと納税を使うと、地方交付税の減額となることを恐れているように思われる。本当に必要とする分野ではなく、口当たりの良い処方箋でごまかしているように思える。

実は、ふるさと納税を受けた自治体でふるさと納税が基準財政収入に参入された自治体はなく、地方交付税が減額された自治体は存在しないと聞く。

2-3) ふるさと納税をする人が住んでいる自治体

1)で「2,000円を超えた金額が所得税と住民税で安くなる。」と書いたわけで、20万円をふるさと納税して、その人の所得税率を20%とすると、4万円弱が所得税減額で16万円弱が住民税減額となる。

さて、都道府県や市町村は、この16万円が税収減になるかというと、実は16万円のうち75%すなわち12万円が地方交付税で補填される。

3) 頭が狂いそうになる地方交付税

政治家の地元利益誘導のツールが地方交付税でありますが、やはりふるさと納税でも使われています。

但し、この75%の地方交付税補填ですが、地方交付税不交付団体には補填摘要がなく、その結果が、冒頭の世田谷区長の嘆きとなっている。

4) ふるさと納税の廃止

こんなバカな制度は、廃止すべきです。廃止の方向に向かうべきです。どうすべきかと言うと、NPO法人を育成するのです。何故ならNPO法人で、ふるさと納税の使途として書いてある事は、NPO法人が実施するのが適切かも知れないと思うからです。そして、寄附金税制を改正する。今の寄附金税制では、自治体に対する寄付は、自分の住んでいる自治体しか認めないのが、ほとんどの自治体です。これは、自分の住んでいる市町村役場の条例を調べねばならず、めんどくさいですが。

初めから、国内の地方公共団体は寄附金控除や寄付金税額控除の対象とすればよく、所得税はそうなっているが、地方税はそうなっていないというバカな話です。

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2018年8月 2日 (木)

ダム決壊の可能性

7月25日のこのブログで野村ダムは、ダム決壊を防ぐために放流したのではないことを書いた。一方、7月23日にラオスでダムが決壊し、死亡者・行方不明者も発生し、多くの人々が被害にあうという事件があった。

日経 7月25日 ラオスのダム決壊、19人死亡 3千人以上が救援待ち

1) ダムは決壊するか

人間が作った物である以上は、壊れて不思議ではない。一方、野村ダムのようなコンクリートダムは、決壊の可能性はまずないと思って良い。では、決壊可能性があるダムはと言うと、フィルダムと称するロックフィルダムのようなダムで、ダム堰堤を越えて水が流れれば、水流がダム本体を壊し、ダム決壊が生じる。そのため、フィルダムの場合は、満水位をダム堤頂より下げてダム堰堤から越流しないように安全性を高める設計としている。

次の表は、利根川上流域に位置するロックフィルダムの奈良俣ダムとコンクリートダムの矢木沢ダムの比較である。奈良俣ダムは堤頂より8m低い位置を洪水満水位としており、これ以上高い水位では貯水ができず、水は洪水吐ゲートを乗りこえ越流する設計となっている。矢木沢ダムも余水吐水路がダムの横に位置する特殊な設計であるが、洪水満水位は堤頂より1.5m低いだけである。

ダム名奈良俣ダム矢木沢ダム
ダム形式 ロックフィルダム コンクリートアーチダム
ダム頂高(堤頂標高) 158m(896m) 131m(856m)
最高水位 150m(888m) 129.5m(854.5m)
最低水位   62m(800m)   71.5m(796.5m)
有効貯水容量 85,000,000m3 175,800,000m3
湛水面積    2.0km2    5.1km2
有効貯水容量 85,000,000m3 175,800,000m3
集水面積    95.4km2    167.4km2

更に例を出すと、鬼怒川上流の五十里ダム(コンクリート重力ダム)の場合は、ダム堤頂594mに対してそれより3m低い591mが洪水満水面である。黒部第四ダムの場合は、特別な洪水吐ゲートはなく、湖面が1,448mより高くなると水が自然越流する設計である。

なお、フィルダムでも農業用水用のため池で川の土手と同じような構造のアースダムがある。アースダムでも管理が行き届いていれば問題ないが、場合によっては崩れる可能性もあり、万一越流したら決壊する。なお、どのようなダムでも、管理者はダムの変形が生じていないか常時測量を行い、危険防止に努めている。

2) ラオスのダム事故

悲しい事件であるが、プロジェクトは410MWの Xe Pian-Xe Nam Noy水力発電プロジェクトであり、発電する電力の90%はタイへの売電目的であり10%はラオス電力公社へ販売する。韓国企業・タイ企業・ラオス企業が出資する民間水力発電事業である。総工費は約10.2億米ドルで、完成予定は2018年11月であった。(参考ここ他)建設されているダムはXe Pian(セピアン)ダムとXe Nam Noy(セナムノイ)ダムの2つであり、それぞれ有効貯水量は23百万m3と885百万m3である。Xe Pianダムの水をXe Nam Noyダムに流し込み、Xe Nam Noyダムが位置する反対側から14km水を引きこんで、732mの水圧鉄管で落として落差630mを得て発電するのである。なお、Xe Pianダムは高さ47m、Xe Nam Noyダムは75.5mで湛水面積は2.7km2と45.8km2である。Xe Nam Noyダムは、有効貯水容量で矢木沢ダムの約5倍であるが湛水面積では約9倍である。

そこで決壊したダムであるが、このReuterの記事は,高さ16m、長さ770mのサドルダムD(補助ダム)と報じている。環境評価影響報告書は、3-13ページの”3.3.6 Saddle Dams"にXe Nam Noyダムには、貯水地の西側に3つのアースダムによるサドルダムが必要であると記載されている。

Xe Nam Noyダムの補助アースダムが崩壊したと考えられる。又、このプロジェクトの位置は北緯15度、東経106.6度付近のカンボジア国境から50km程度北へ入った地点である。参考地図としてはこの地図があるが、相当複雑である。Xe Nam Noyの水は北に流れ、東に曲がってXe Kong Riverとなる。一方、崩壊したと考えられるアースダムの水は、西に流れるXe Pian Riverに流れ込んだ。本来の水でないXe Nam Noyの水が流れたのである。

アースダム崩壊の場合もその前兆があったと思われる。豪雨で手の打ちようがなかったとの話もある。アースダムを採用する事が適切であったのかも問われなければならない。そもそも、ダムの現場は高原である。400世帯以上の約2000人の移転が必要であった。ダムにより発電した電力の90%は外国に行く。電力輸出は良いが、それがラオスの人々の恩恵に繫がり、環境影響は最小である事が必要である。このような事故を起こす事は許されない。

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