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2018年10月15日 (月)

九州電力再生可能エネルギー出力制御についての朝日の記事の違和感は会社の体質?

記事のタイトルからして驚きました。(有料記事ですが、登録で1日1記事読める対象です。)

余る電力、再生エネ岐路 太陽光発電、九電が抑制 「主力」の原発を優先

1) 原発の優先

今更、何をと思うのです。原子力発電は核兵器と同じ核分裂を利用している。人類が手にする物の中で、最も危険な部類に属する。しかも、日本の原発は、出力変動運転をするようには設計されていない。

原発とは、大変なものです。論じるなら、使用済み核燃料管理も含め、きちんと論じて欲しい。なお、使用済み核燃料とは、現在稼働中の原発燃料のみならず、過去に運転していた原発の使用済み核燃料もあることを忘れてはならない。

2) 問題は再生可能エネルギーなのか太陽光発電なのか

朝日の論調は、「原発は動かすのに、再生エネを抑えるのは順序が逆だ」との論理になっている。問題は太陽光発電にあり、再生可能エネルギーにあるのではない。

太陽光発電は日中10時から15時頃に発電量が多くなるが、それ以外の時間帯はあまり発電せず、しかも朝夕を含め夜は発電しない。バッテリーがないと用途が制限される電源である。九州電力は、再生可能エネルギーの接続済み11,600MWのうち8,070MWが太陽光と発表している。

70%が太陽光なんて、異常だと思う。何故、そんな異常事態となっているかは、太陽光の高値固定価格買い取り制度の結果でしかあり得ないはず。再エネ賦課金により日本の電力は一律2.64円高くなっているが、これは他でもない太陽光発電事業者にすべて支払われる。2.64円なんて、安いと思うかも知れないが、10%以上とも言える。不安定な発電をする事業者に高値を払うのは制度としておかしい。太陽光発電事業者にはバッテリー設置を義務つける等して、売買可能な品質の電力にした場合に、一般料金とするのが世の常識と思うのだが。

3) 融通なら効率化と決めつけて良いのか

朝日の記事って、おバカの塊のような記者が書いていると思ってしまう。九州電力は10月14日の予想として需要7,360MWに対して、供給力が12,290MWになるので、揚水発電で2,260MWを揚水動力として使用し、1,960MWを下関方面へ送電するとしている。需要7,360MWに対する再生可能エネルギーによる発電が5,420MWなので、需要に対しては再生可能エネルギーが74%である。出力が不安定な再生可能エネルギーが74%にまでなると、どのようにして需給バランスを保つというか、周波数や電圧安定を確保するかの問題となる。

関門送電線の容量が不足しているか、余っているか、分析しないと何も言えないはず。送電線の容量を大きくすると、それだけ設備費を要するわけで、送電コストが高くなる。マスコミは、余っている送電線容量と報道することもある。実は、このあたり、分析せずに誰かの話をそのまま言っているだけだからたちが悪い。

本庶佑教授、会見で記者の幼稚な質問に一喝 (Togetter)と言うのがあった。今回の朝日の記事も余る電力なんて表現で、どこに電力が余っているのだと常識のある人なら思ってしまう書きぶりであった。

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