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2019年1月30日 (水)

最高裁判決vs朝日新聞vs読売新聞

最高裁は、1月23日に、性別変更の扱いを定めた現行法(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律)を合憲であると判断したのだが、朝日新聞の記事を読むとすっきりしなかった。判決文、朝日の記事、読売の記事を掲げます。みなさんどう思われるでしょうか?

最高裁判決文 平成31年1月23日第二小法廷決定

朝日 1月24日 性別変更に必要な手術「合憲だが不断の検討を」 最高裁

読売 1月25日 性別変更、手術規定「合憲」…最高裁が初判断 同一性障害特例法

現行法の定めは次のようになっています。

第3条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 二十歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

3条2項は医師の診断書の提出義務についてです。争われたのは3条4項の妊娠したり相手を妊娠させる生物的能力を失っていることを条件とする現行法は憲法違反かどうかでした。最高裁は、「現在の社会的状況等を総合的に較量すると、この規定は、現時点では、憲法に違反するものとはいえない。」としたのです。

性同一性障害者に対して生殖腺除去手術を受けることを強制してはならない。一方、戸籍上の性別とは異なる性で生活することは自由である。

鬼丸かおる、三浦守の両裁判官の補足意見を私は次のように要約するが、判決文を読んで頂くのが一番良い。

卵巣又は精巣の摘出は、身体への強度の侵襲であり、本来その者の自由な意思に委ねられるものであり、身体への侵襲を受けない自由として憲法により保障されるものと解され、本件規定は、この自由を制約する面があるというべきである。本件規定に関する問題を含め、性同一性障害者を取り巻く様々な問題について、更に広く理解が深まるとともに、一人ひとりの人格と個性の尊重という観点から各所において適切な対応がされることを望むものである。

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