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2019年2月25日 (月)

普天間問題は、解決に向かって、考えるべき

沖縄県民投票において、投票率52.48%で、埋め立て反対に72.2%の意思表示がされた。これを無視することは、県民の意向を軽るんじることになると考える。日経新聞は安倍首相の発言として「結果を真摯に受け止め、基地負担軽減に向けて全力で取り組んでいく」と伝えている。今後、どのようになるだろうか?

日経 2月25日 首相「移設先送りできず」 沖縄県民投票 知事は中止要請

1) 普天間から辺野古岬への日米移転合意 2016年5月1日

再編実施のための日米のロードマップ(United States-Japan Roadmap for Realignment Implementation)の仮日本語約はここ(英文はここ)にあり、「日本及び米国は、普天間飛行場代替施設を、辺野古岬とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字型に配置される2本の滑走路はそれぞれ1600メートルの長さを有し、2つの100メートルのオーバーランを有する。各滑走路の在る部分の施設の長さは、護岸を除いて1800メートルとなる。」と書かれている。

なお、新施設では米軍による戦闘機の運用がないことも書かれている。そして、「沖縄に残る米海兵隊の兵力は、司令部、陸上、航空、戦闘支援及び基地支援能力といった海兵空地任務部隊の要素から構成される。」と書かれている。日本文での意味が不明な部分あるが、この部分の英文は”The U.S. Marine Corps (USMC) forces remaining on Okinawa will consist of Marine Air-Ground Task Force elements, such as command, ground, aviation, and combat service support, as well as a base support capability.”となっており、辺野古への移転後は、海兵隊の司令部関係のみになる。大きな新基地の建設は不要である。

そして、2016年5月1日の日米移転合意の重要な部分にグアムへの移転がある。これについては、この2013年10月3日の議定書の中で「合計約9千人の第三海兵機動展開部隊の要員がその家族とともに沖縄から日本国外の場所に移転することが確認されたことを認識し」となっており、移転が完全終了したかは、定かではない面はあるが、基本的には終了したのだと思う。

2) 2005年10月29日の合意

日米同盟:未来のための変革と再編という2005年10月29日の合意がある。この中の柔軟な危機対応のための地域における米海兵隊の再編というパラグラフの中にこの文章がある。

このような要素に留意しつつ、双方は、キャンプ・シュワブの海岸線の区域とこれに近接する大浦湾の水域を結ぶL字型に普天間代替施設を設置する。

これが、辺野古新基地建設に関する最初の合意である。

3) 1996年12月2日の合意

日本文はここに、そして英文はここにある。日本文での文書名は「SACO最終報告」となっているが、SACOとは”Spcial Action Committee on Okinawa"であり、当時の池田外務大臣、久間防衛庁長官、ペリー国防長官、モンデール駐日大使が、この委員であり、報告と言っても、このメンバーでこのようなことを合意したという報告書である。

ここに普天間代替施設について、別紙部分であるが本紙とは不可分と記載されており、次のようなことが書かれている。

・ 普天間飛行場の運用及び活動は、最大限可能な限り、海上施設に移転する。

・ 海上施設は、沖縄本島の東海岸沖に建設するものとし、桟橋又はコーズウェイ(連絡路)により陸地と接続することが考えられる。

・ 次の3つの工法がいずれも技術的に実現可能とされた。
(a)  杭式桟橋方式(浮体工法):海底に固定した多数の鋼管により上部構造物を支持する方式。
(b)  箱(ポンツーン)方式:鋼製の箱形ユニットからなる上部構造物を防波堤内の静かな海域に設置する方式。
(c)  半潜水(セミサブ)方式:潜没状態にある下部構造物の浮力により上部構造物を波の影響を受けない高さに支持する方式。

4) 解決の可能性

関係者が意地を張らなければ、解決の可能性はあるのではと思う。3)の1996年12月2日の合意は、日米のトップが合意したのであり、米政府・米軍および日本政府にとって、この内容で問題ないはずである。問題があるとすれば、メンツだけ。それなら、捨てれば良い。

沖縄の人たちにとっても、基地は存続するが、埋め立ては必要ない。この妥協に乗れるかであるが、普天間移転のことを考えれば、そして、その海上施設が永続的なものではなく、やがて時期が来たならば、交渉の可能性を残せるなら、可能性があると思う。

これを機会に、必ずしも海上施設でなくても良い、解決に向かって、進んで欲しいと思うのである。

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