医師の働き方環境をOECD諸国と比較する
2018年7月6日に公布された働き方改革関連法が、4月1日から施行される。厚生労働省のリーフレットはここにある。
リーフレットの1番目には「時間外労働の上限は月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満・・・」と書いてある。
しかし、医師については、このリーフレットの内容は適用されない。というのは、働き方改革関連法で労働基準法が改正されたが、附則341条により、医業に従事する医師については2024年3月31日までの間は適用されないとされた。そして、2024年4月以後に適用される場合でも、「限度時間並びに労働者の健康及び福祉を勘案して厚生労働省令で定める時間」と医師以外だと単に「限度時間」となっている条文とは異なっている。
そのようなこともあり、厚生労働省において医師の働き方改革に関する検討会(その検討会のWebはここにある。)が持たれている。参考としては、朝日新聞社説2月24日やNikkei Style 2月11日の記事がある。
本日のブログでは、OECD統計データを使って、日本の医師の労働環境や医療がOECD諸国と比較して、どのような水準であるかを見てみる。
1) 医師数
医師数の各国比較です。世界第3位の308,000人である。なお、厚生労働省の統計では、病院での医師の従事者202,302人、診療所の従事者102,457人である。診療所従事者のうち、71,888人はオーナー開業医である。
2) 人口1000人あたりの医師数
人口あたりでの比較の方が妥当であるので、1000人あたりの医師数の比較とすると次のようになった。
日本の医師数は、必ずしも多くはない。
3) 病床あたりの医師数
病床あたりの医師数を比較すると、医師数が最も少ないのが日本となった。
日本の病床数が多すぎると言えるはず。病床数を比較すると、日本はダントツ1番である。166万床の中には、精神病床33万床を含んでいるが、一般病床のみでも病院で89万床、一般診療所で10万床なので、一般病床のみとしても米国の898千床より多い。
医師の場合も、時間外労働の上限は月45時間、年360時間を原則とすることで目指すのが本来の姿と考える。今日明日にそれが達成できるわけではないが、高齢化が進む中、展望を持って進むべきであると考える。
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コメント
よろしければ
江原朗。医師の働き方改革。北海道医報 2016号、31頁、平成31年3月1日
http://www.hokkaido.med.or.jp/cmsdesigner/dlfile.php?entr...
投稿: 江原朗 | 2019年3月 6日 (水) 13時23分
江原朗様
紹介をありがとうございます。
北海道医報(平成31年3月1日)の31頁のリンク先アドレスは、長すぎて、うまく入らなかったと理解します。もし、次のアドレスで違っている場合は、指摘ください。
http://www.hokkaido.med.or.jp/cmsdesigner/dlfile.php?entryname=medical_report&entryid=00023&fileid=00000190&/1206-22.pdf&disp=inline
投稿: ある経営コンサルタント | 2019年3月 6日 (水) 15時37分