年金のことをまじめに考える(その2)
年金について、続けて、少し追加で書きます。
1) 厚生年金の受給額予想
グラフで示すのが一番分かりやすいと思うので、グラフを作成しました。
青線が、受け取り年金額(年額)の予想です。厚生年金保険料は収入額の9.15%(会社負担との合計では18.3%)なので、収入が多い人ほど多くの保険料(掛金)を支払う。その分、受け取る年金も増える。青線は、右肩上がりの直線です。
しかし、現役時代の年収額と受け取り年金額を比較すると、黄色線のように年収3百万円であった人は約40%相当の年金額であるのに対し、9百万-1千万円の年収の人は26%程度となってしまう。
世帯ベースで考えることとし、妻が3号被保険者であった場合は、世帯ベースでは妻の基礎年金が加わるので、現役時代との受け取り年金額の比較は次のグラフのようになる。
年収5百万円であった場合、48%という結果になった。世帯年金額ベースでは、年収5百万円の場合は、約240万円である。共稼ぎ世帯の場合は、報酬比例部分が更に加わるわけで、国の制度としての年金としては、十分とは言えなくとも、この程度でも許容範囲かなとも思った。
2) 非正規労働者対策
直前のブログで厚生年金に加入できていない非正規労働者問題についても触れた。国民年金の保険料は月額16,410円なので、年額では196,920円である。年間収入が2百万円の場合、9.85%に相当するわけで、厚生年金の自己負担保険料9.15%より高い。にもかかわらず、受け取る年金額は基礎年金部分だけなので、仮に年収2百万円で厚生年金に加入している人の年金受給額102万円と比べると年間38万円以上少ないこととなる。同じ負担で、受給できる額に38万円の差がある。10年で380万円であり、20年間では760万円の差である。
もし、夫婦共に非正規労働者で、2人とも厚生年金に加入できていないとすれば、世帯で受給できる年金額は156万円であり、年収2百万円で妻パートの非正規労働の場合の年金額で180万円より24万円少ないのである。しかも、支払った保険料で比べると、非正規共稼ぎの40年間に支払った保険料は1575万円になるが、厚生年金に加入できている人の支払った保険料は787万円であるから、788万円多く保険料を支払ったにもかかわらずである。世に不公平はあるが、是正すべき不公平。是正に向けて取り組むべき不公平である。
3号被保険者になれるのは、夫婦の一方が働き厚生年金に加入できている場合であり、この結果は大きな社会的不公平を生み出していると考える。一方では、年間収入を130万円以下に抑え3号被保険者となるように意識的に働いておられる方もおられる。そのような方々を見捨てることは良くないが、結果的に低賃金労働や非正規労働の増加につながっている面はあると思う。
年金制度は、政治家が足の引っ張り合いをするためにあるのではない。働く人が、生涯にわたり公正な扱いを受け、納得のゆく生活をおくれるようにあるのである。
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