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2020年6月24日 (水)

新型コロナウイルス感染症対策

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議を廃止すると西村康稔経済財政・再生相が発表した。

日経 6月24日 新型コロナ専門家会議を廃止 経財相、新組織に衣替え

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議構成委員の方も、日本記者クラブにおいて記者会見を行い、専門家会議の活動を総括するとともに、今後の感染拡大のリスクに備えての専門家助言組織のあり方についての提言を行った。

日経 6月24日 危機感で「前のめり」に 専門家会議、情報発信に課題

なお、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議構成委員一同による提言とプレゼン資料は

ここ

ここ にある。

日本ではオーバーシュート(爆発的患者急増)は、ほぼ防げ、第1波は他国と比べ低い感染者数・死亡者数で終わろうとしている。このことについては、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の貢献も大きかったと考える。パンデミックとは、様々な社会的影響をもたらすのであり、医学的な見地のみでは対応が無理である。提言には、感染症指定医療機関等の研究実施体制や感染症疫学専門家の養成強化等を含め様々なことが盛り込まれている。専門家会議は廃止となるが、その活動が残した提言は真摯に受け止め、今後及び将来のパンデミック発生に生かすべきである。

2009年4月に新型インフルエンザ(A/H1N1)が海外で発生した。この時、日本での死亡率は低い水準に止まった。しかし、低い水準に止まったことに満足することなく、対策を評価し、今後の再流行や、将来到来すると懸念される新型ウイルス感染対策に役立てるべきと、この時のA/H1N1対策総括会議がまとめた2010年6月10日の報告書が

ここ にある。

報告書には、地方衛生研究所のPCRを含めた検査体制強化(3.サーベイランス 提言A3.)や、医療スタッフ等の確保、ハイリスク者を受入れる専門の医療機関の設備、陰圧病床等の施設整備などの院内感染対策等のために必要な財政支援(7.医療体制 提言A1)についても書かれている。これを読んでいると、政治は見事に国民を裏切ったと思わせる。2010年6月10日とは、菅直人氏が首相になった直後であった。

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PCR検査の精度

唾液による抗原検査の実施が、次のニュースのように期待される。

日経 6月19日 唾液での抗原検査、厚労省が認可

採取が容易な唾液を検体として使えるようになれば、より効率的に検査を行えるようになり、検体採取に伴う感染リスクも抑えられる。その通りである。

しかし、この記事にも「抗原検査は、PCR検査に比べて精度はやや劣る」とあり、どの程度なのか、気になるところである。

その前に、PCR検査の精度とは、どれくらいであったのかを知ることも重要である。国立感染症研究所の有馬氏他が米CUCの論文集に投稿された発表の図表がここ にある。武漢からチャーター便(1~3便)で帰国された566名の方について、帰国時PCR検査の結果とその後の14日以後の再PCT検査の結果ならびに症状の有無について整理されている図表である。この図表を私なりにアレンジしたのが次の図表である。

Pcr2020624

566人全員が帰国時にPCR検査を受けた。熱その他 症状があった人は63人で、症状が出ていなかった人は503人。症状があった人の中では2人が陽性。無かった人では5人が陽性であった。症状が出ていた人の中で陽性と判断されたのは約3%であり、無かった人では約1%だった。帰国から14日経過以後のPCR検査では、帰国時検査で陰性であった人からも陽性の判断となった人が全部で5人おられる。症状のあった人の中では2人。無かった人の中では合計3人。

PCR検査とは、この説明にあるように、遺伝子の検査に用いられる手法の1つで、DNA配列を増幅させることで判定する。コロナウイルスがいるかどうかを判定する重要な検査手法ではあるが、万能でない。しかし、PCR検査以上に精度が高い検査はない。1回のPCR検査の結果で陰性だからと言っても、実はウイルスに感染している可能性はある。陰性であっても、実はウイルスを保有しており、他人に感染を拡散させる恐れがあることと、他人から感染させられる可能性もある。大変ですね。

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2020年6月 8日 (月)

プロ野球、全選手をPCR検査なんてー

次の様なニュースがあった。

日刊スポーツ 6月8日 プロ野球、第2波以降に備え全選手らPCR検査へ

日本で、そんな簡単にPCR検査が可能なのだろうかと言う疑問を持った。確かに、日本でもPCR検査の検査実施数は増加している。しかし、この厚生労働省の都道府県別・PCR検査実施人数の累計 を見ると、6月5日は3,221人であった。この表で一番多い5月25日で全国で5,954人。東京都でも1日200人以上になっているのは6月1日だけ。日本で、現在必要なPCR検査の数はこなせているのだろうか?

もし、プロ野球選手がPCR検査を受けるために、一般の人でPCR検査を必要とする人の検査が抑制することになるのであれば、このプロ野球の全選手をPCR検査なんて間違いである。野球場のグラウンドでプレイするのに、ソーシャルディスタンスは問題にならない。ベンチについても、ベンチ外のスペースを利用すれば3密を避けれられる。観客は大勢が入れば、3密だが、選手の感染とは無関係である。

そのように思ったのだが、ここ に「タイへの渡航のための新型コロナPCR検査についてご説明します」とのあるクリニックのページがあった。PCR検査を含む健康証明書の発行ができるとのことである。全額自費であり、PCR検査は4万円。英文診断書・健康証明書の作成には、別途1万円の費用とある。このような自費による方法でプロ野球もPCR検査を実施するのであろうが、そんなに大勢にPCR検査を実施して、日本全体のCOVID-19感染拡大防止のために必要なPCR検査に影響を与えないのだろうか。今ひとつ分からない。

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