PCR検査の精度
唾液による抗原検査の実施が、次のニュースのように期待される。
採取が容易な唾液を検体として使えるようになれば、より効率的に検査を行えるようになり、検体採取に伴う感染リスクも抑えられる。その通りである。
しかし、この記事にも「抗原検査は、PCR検査に比べて精度はやや劣る」とあり、どの程度なのか、気になるところである。
その前に、PCR検査の精度とは、どれくらいであったのかを知ることも重要である。国立感染症研究所の有馬氏他が米CUCの論文集に投稿された発表の図表がここ にある。武漢からチャーター便(1~3便)で帰国された566名の方について、帰国時PCR検査の結果とその後の14日以後の再PCT検査の結果ならびに症状の有無について整理されている図表である。この図表を私なりにアレンジしたのが次の図表である。
566人全員が帰国時にPCR検査を受けた。熱その他 症状があった人は63人で、症状が出ていなかった人は503人。症状があった人の中では2人が陽性。無かった人では5人が陽性であった。症状が出ていた人の中で陽性と判断されたのは約3%であり、無かった人では約1%だった。帰国から14日経過以後のPCR検査では、帰国時検査で陰性であった人からも陽性の判断となった人が全部で5人おられる。症状のあった人の中では2人。無かった人の中では合計3人。
PCR検査とは、この説明にあるように、遺伝子の検査に用いられる手法の1つで、DNA配列を増幅させることで判定する。コロナウイルスがいるかどうかを判定する重要な検査手法ではあるが、万能でない。しかし、PCR検査以上に精度が高い検査はない。1回のPCR検査の結果で陰性だからと言っても、実はウイルスに感染している可能性はある。陰性であっても、実はウイルスを保有しており、他人に感染を拡散させる恐れがあることと、他人から感染させられる可能性もある。大変ですね。
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