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2020年10月 3日 (土)

福島原発事故避難者訴訟 国の責任

福島原発事故避難者訴訟で、国と東電に対し、原告3550人に計約10億1千万円を賠償するよう命じた仙台高裁判決が9月30日にあった。

日経 9月30日 二審も国と東電に賠償命令、原発事故訴訟で仙台高裁

原子力損害賠償法に「原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。」と書いてあるから、福島原発事故の責任は全て東電というのは、釈然としない。当時の政権にいた人たちが、これを盾に自分たちの無責任を主張し、無能力を証明していたと思う。

さて、国の責任といった場合は、誰であるか?私は、最終的には国民であると思っている。最後は税金であり、国民の負担である。原発事故の賠償責任と言った場合、2つの事がある。1つは、事故の直接的なことである。即ち、大事故が起こったにも拘わらず、自衛隊の派遣すら行わず、専門家による事故回復に向けての活動すら実施しなかった政府中枢にいた人たちの無能さがある。近年の水害により高層マンションで停電となり自家発も止まって困難に陥った人がおられる。原発の場合は、悲惨である。非常用電源を完全に喪失したなら、危険と隣り合わせである。無能な政府中枢の人たちは、それを放置した。しかし、そのような政権は選挙で成立したのである。選挙の仕組みや無責任な首相を生み出した責任は国民にあるとも言える。現状では、バカが首相になることもあり得るとして、色々のことを考えざるを得ないのだろうと思う。

もう一つは、原発政策である。日本は原発を電力供給源として選択した。その方法は、株式上場電力会社による原発の建設と運転である。更には、プルトニウムの再利用政策も推進した。ウランやプルトニウムの核分裂を原爆に利用せずに熱をうまく取り出す技術は、誰が責任を持てるのだろうかと思う。単純に核分裂を起こせば、原爆となる。コントロールすれば、熱利用が可能ということだが、コントロールに失敗すれば事故が起こる。極めて当然である。核分裂の利用についての研究まで中止せよとは言わない。しかし、核分裂の熱利用に関しては、常に監視を行い、必要な措置を採り続けなければならない。熱により蒸気を発生させ、タービンを回転し、それにより発電機を駆動し、その電気を利用するなら、監視と必要な措置は絶え間なく必要である。監視と必要な措置は誰が行うのかと言えば、電力会社のみにあらずと言うか、電力会社のみに任せては危険である。危険であるが故に、政府に限らず、民間も含め、監視をし、建設・運転・廃棄物処理・核燃料管理・核兵器転用リスク管理・テロ対策等広範囲にわたってルールを整備し、安全を確保しなければならない。

原発とは実に恐ろしい代物だと思う。「電力供給は原発に依存しない。」と言っても原発は存在するのであり、原発関連のリスクは100年以上永続するのである。

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コメント

津波が起きた時の危険性は、遥か以前に東電の社員が指摘していたのに、東電の吉田所長らの責任者達は、それを無視して何も対策を行いませんでした。

福島原発の危険性を知って問題を提起した当時の福島県知事は、東京地検特捜部がでっち上げた汚職事件で逮捕され、県知事辞職に追い込まれました。

自衛隊のヘリコプターによる放水は、おそ末の見本でした。
政府から放水の依頼を受けた東京消防庁は、荒川河川敷で、消防車2台と必要な長さのホースを全て繋いで放水試験を行い、その後福島へ出かけました。
東京消防庁は、操作方法を教えるので東電が放水作業を行って欲しいと頼みましたが、東電は拒否しました。同様に、自衛隊にも頼んだけれど拒否され、仕方なく東京消防庁が放水作業を行いました。
上手く行くのを見てから、東電、自衛隊も放水作業に加わったようです。同時に、その様子をテレビで見た三重県の建設業者が、コンクリート注入機の提供を申し出て、更には同じコンクリート注入機が、ドイツから世界最大のアントノホフの輸送機で送られて来ることになりました。

さて、ここまでは良いとして、東京消防庁の隊長の証言では、免震重要棟の存在を教えられていなかったそうです。
吉田所長は後の証言で『東京消防庁がやって来て、外でピチョピチョやっていた』と言っているので、彼は放水作業を知っていたのですが、免震重要棟の存在を東京消防庁には教えようとしなかったようです。

免震重要棟は新潟地震の時、原発から県庁へのホットラインの電話が、電話機のある部屋の扉が歪んで開かなくて使用できなかったことを受けて、新潟県知事が作らせたものです。
もし、免震重要棟がなかったならば、福島の事故対応は何も出来なかったのではないかと皆が言っている、重要な施設であり、東京消防庁の放水活動でも当然必要としたはずなのに、吉田所長は教えませんでした。
彼は、東電の人間には優しいかも知れないけれど、他所の人間には極めて冷たい、悪魔のような人でした。

投稿: rumichan | 2020年10月 4日 (日) 00時17分

新潟地震の時、刈羽柏崎原発から県庁への専用電話が部屋の扉が歪んで使えなかったことを受けて、新潟県知事が免震重要棟を作らせたことは先に書きました.
やはりこの時、原発で火災が発生したのですが、渋滞で消防車が原発へ行くことが出来ませんでした.これを受けて、新潟県知事は原発に消防車を配備するよう要望したので、福島第一にも消防車が配備されていました.
けれども電源車はありませんでした.福島第二にもありませんでした.結局、東北電力から一番最初に電源車が送られて来たのですが、このように、東京電力は自発的に自分達の考えで安全性を高める努力は何もしない会社で、経費をけちって、安全性をおろそかにしてきたのです.

菅首相が福島第一へ行くと言った時の、東電のテレビ会議でのやり取り。
吉田『防護服をそちらで用意して欲しい。こちらでは、そんなことをしている余裕はない』
本社『そんなことを言わずに、そちらで用意しろ』

1.なぜ東電は、連絡要員を政府に派遣しなかったのか.
2.東電本社が防護服を用意するのは、刈羽柏崎から取り寄せるだけなので容易なはず.時間がかかるなら政府にそう言えばよい.
3.福島第一の指揮者は吉田所長一人だけで、東電は応援を送らなかった.なぜ刈羽柏崎の所長を交代要員として福島第一へ送らなかったのか.もし3人、能力のある人間がいれば、24時間体制で一人が睡眠を取っていても、残りの二人で相談して事故対応が出来て、間違いが減ったはず.

東電OL殺人事件で分るように、東京電力は酷い会社である.テレビ会議の様子から分るのは、全てを吉田所長一人に押しつけている酷い会社で、助け合うという感覚は持ち合わせていないらしい.

投稿: rumichan | 2020年10月 5日 (月) 22時21分

証拠改ざん「郵便不正事件」から10年 村木厚子さんと有罪“係長”の不可解な関係
https://news.yahoo.co.jp/articles/34dabded2a474002a9e1905b0a2f2ada0d43d449

『厚労省の村木厚子局長(当時)を郵便不正事件で起訴した大阪地検特捜部が証拠を改ざんしていたことが、朝日新聞の大スクープで発覚して10年。』

特捜部とは、GHQが軍部の隠匿物資の密売を取り締まるために作った組織で、幹部がハーバードへ留学するなど、現在に至るまでCIAと密接な繋がりを持っている組織だそうです.

占領中に起きた、帝銀事件、松川事件は間違いなくGHQが絡んでいて、日本の警察組織が暗躍し、更には裁判官までGHQの顔色を伺った判決を下した事件でした.

「郵便不正事件」だけでなく、この頃著名人と言うか、世間に名前の知られた人の、満員電車の中での痴漢事件が相次ぎ、多くの人が失脚しましたが、ほとんどが警察が画策した事件で冤罪のはず.

福島県知事は冤罪の汚職事件で失脚しました.新潟県知事は『自分が変死したとしたら、決して自殺ではありません』と、公言していました.

投稿: rumichan | 2020年10月 5日 (月) 22時48分

松川事件
https://www.youtube.com/watch?v=yZtKEaPB81s&t=20s

これをご覧になれば、少しは物の見方、考え方が変わるのでは.....

投稿: rumichan | 2020年10月 8日 (木) 22時18分

国の責任が国民の責任なんて、阿呆なことを言われては困ります.
1.原発の導入を進めたのは、通産省の官僚だった中曽根康弘
2.原発の安全神話をまき散らしたのは、読売新聞オーナーの正力松太郎
  アメリカから資金援助を受けてテレビ局を開局し、安全神話をまき散らした

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ある人が、こんなことを書いていた.
「国会で共産党の原子力工学の専門家の吉井議員が、福一での電源喪失でメルトダウンの危険性を指摘して、アベがあり得ないと言ってました」

第一次安部内閣の時、安倍元総理は国会で全電源喪失はあり得ないと言ったらしい.
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津波リスクを無邪気に計算してJNESが.騒ぎすることは避ける
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2ae0d62ea91a8e8b6c20dbbc7442ccfc2279050

津波の計算求められ「40分抵抗」、逃げ切った東電…保安院も機能せず 原発事故「衝撃」の事実
https://dot.asahi.com/aera/2020100800026.html?page=1

政府が情報を隠蔽し真実を明かにしてこなかった以上、その責任は国にあって国民にはありません.
が、あえて言えば、真実を隠蔽する自民党を選んだ国民にあると言えます.

投稿: rumichan | 2020年10月11日 (日) 12時06分

「(真実を隠蔽する)自民党を選んだ国民にある。」との面は認識すべきだと思います。「真実を隠蔽する」とまで言えるのかは、議論があるところと思います。
国の責任と言っても、何も片付かないと私は考えます。因果関係は複雑であるが、様々なことを少しずつでも解明していかないと同じ過ちを犯していまう。まして、国の責任で賠償とか復旧とか言っても、税金を投入するだけ。負担するのは、巡り巡って国民となります。
もう一つ私が言いたいのは選挙制度です。国民の意思が反映される選挙制度にすべきです。前回2017年衆議院選挙で自民党は284議席(61%)を獲得した。しかし、得票率は50%を下回り40.5%です。ちなみに、小選挙区47.8%、比例区33.3%なのです。小選挙区では、候補者調整等で有権者が妥協して投票している面があるとすれば、比例区の33.3%が自民党の実際の支持率。勿論、最大得票の党なので、相応の議席数は獲得して当然。しかし、61%は行き過ぎと考えます。日本は、選挙制度改革に手を付けなければならない。

投稿: ある経営コンサルタント | 2020年10月11日 (日) 23時48分

国の責任というのは、例えば原子力安全委員会の責任であり、彼らの責任を問わなければ何も進歩はありません。
お金の問題を言うのならば、東京電力の責任追求も、所詮は国の援助で持っている会社であり、追求しても国民の負担になるのは同じことです。
(あなたはお金でしか物事を考えられないのですか)

小選挙区制は小沢一郎がやったことです。
確かに問題はあるのですが、けれども世界中の全ての国が日本と同じのようで、日本だけの問題ではありません。

国鉄の民営化は、国労を解体し、国労を選挙基盤とする社会党を潰すのが目的だったと、中曽根康弘は公言しています。
時期はちょうど兵隊の体験者が定年で国鉄を去り、組合活動が弱体化した頃でした。

中選挙区の頃でも、自民党は農村地帯に基盤をおいて、得票数、得票率に見合わない議席を得ていました。おそらくアメリカから米の自由化、農作物の自由化を迫られ、得票田である農村部の票を失うことになる自民党が考え出したのが、国鉄の民営化であり、小選挙区制の導入であったのだと思われます。
金権政治など汚い政策での政治を許し、広告媒体の電通を通してマスコミを操る行為を許している限り、政治はよくなりません。

日本の総理大臣は、アメリカべったりの、アメリカに従順な者は長期政権になり、アメリカに逆らうとすぐに転覆させられます。
最近では鳩山由紀夫がよい例で、『普天間の最低限県外移設』『IMFに代わるアジア通貨基金の設立』を提言したら、見事に叩き潰されました。ネットで見る限り、この人の評判の悪いこと、明かにアメリカ、あるいは自民党の情報操作に因るものだと思われます。

電通は、広告事業をほぼ独占していると言えるほど圧倒的な力を持っていて、広告主に不都合な事件はマスコミに圧力をかけてもみ消すのは毎度のことです。

日本の横田基地には、軍人だけでなくアメリカ人は自由にやってくることが出来て、基地の出入りも自由です。アメリカの政府関係者が横田基地から日本に入国し、霞ヶ関の政府官僚に圧力をかけて、アメリカの都合の良いように政治を行っているのは有名な話です。

例を上げると、最近、中国のカジノ業者が汚職で上げられましたが、カジノの事業はアメリカの業者が橋毛徹を使って日本に進出しようと企てた事業で、そこへ中国の業者が割り込もうとしたので見事に潰されました。

水道の民営化事業。宮城県がやろうとしていますが、海外で行われた事業は見事なほど全部失敗。例えばロンドンも民営化したのですが、多額の費用をかけて再度公営化しました。

橋毛徹は大阪の黒字の地下鉄を民営化しましたが、料金を値下げするという南海電鉄ではなく、外国資本に売ったのではなかったのか.....

投稿: rumichan | 2020年10月13日 (火) 01時00分

rumichanさん
様々なことを言っておられますが、何が根幹なのか、まずは何を改善すべきだと考えるのか重要だと思います。

例えば、原子力安全委員会の委員に責任を押しつけても、それが妥当かはよく考えねばなりません。原子力安全委員会は、政策が前提にあり、その結果の委員会です。原子力発電所の技術は原爆の技術だから日本として推進すべきか、試験的にでも取り入れるとしたら、誰がどのような仕組みで取り入れるべきか、なんて原子力委員会の範疇ではないでしょう。
原子炉のテロ対策は原子力委員会の責任ですか?もっと幅広い分野にまたがるし、国際社会の中で日本がどう生きるかの問題でもあると私は考えます。日本には原発という物が現に存在する。運転を中止しても、運転していないだけで、危険性は存続します。

よく考えることが重要と思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2020年10月14日 (水) 18時31分

>>原子炉のテロ対策は原子力委員会の責任ですか?

そうですよ.
電源喪失に備えて電源車を配備するのも、火災に備えて消防車を配備するのも、地震に備えて免震重要棟を作るのも、飛行機の墜落事故に備えて建物を頑丈にするのも、皆同じことです.

原発の危険性は運転しているときと、停止しているときでは大違い.
原発を停止して、使用済み(使用中)燃料集合体を分散管理すれば、現在の日本でもテロを含めて、安全性は格段に向上します.

で、これらはひとまず置いておくとして、

プルトニウム燃料(MOX燃料)の使用は、直ちに禁止すべきです.
福島第一の燃料集合体は、ほぼ十年を経過して乾式キャスクでも保存可能になっているはずです.が、MOX燃料は100年経っても十年経過したウラン燃料よりもはるかに発熱量が多く、危険な状態です.

もし大量にMOX燃料を使用した原発で福島と同じ事故が起きたら、今でも事故直後と同じ、どうしようもない状態が続いていると思われます.

出来ることはあるのですから、一つづつやって行かなければならないのですが、何一つやらないのはなぜなのか.
MOX燃料を使用するかどうかは、誰の責任なのですか.誰が使用を許可したのか、原子力委員会でしょ.

投稿: rumichan | 2020年10月14日 (水) 22時08分

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