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2020年11月24日 (火)

11月18日の参議院選挙最高裁判決を考える - 参議院選の選挙区はブロック制にすべし

11月18日に2019年7月の参議院選挙の議員定数配分規定が憲法に違反し無効であり、それに基づき施行された選挙区における選挙も無効であると主張して提起された2つの選挙無効訴訟に対して、最高裁大法廷は合憲と判断を示した。

最高裁の一つの判決(東京都選挙区及び神奈川県選挙区)の訴訟に関する判決はここ にあり、もう一つの東京都選挙区ほか40選挙区の訴訟に関する判決はここ にあります。また、日経新聞の報道記事は、ここ にあります。

3倍なんて、聞いても、よく分からない。自分は得をしているのか、損をしているのかも。そこで、単純明快に2019年7月の参議院選挙の選挙区毎の有権者数と選出議員数の表とグラフを作成しました。

Sanginsaikosai202011a

グラフにすると、こんなに一票の格差が大きいのかと驚いてしまう。選出議員あたりの有権者数が最も多い宮城県の1,952,977は少ない福井県651,379の3.00倍というわけです。単純平均は1,310,200票であり、鹿児島と徳島・高知の間。中位数は45選挙区なので、23位の茨城県1,224,913となる。

では、格差是正の為、宮城県の1回の選挙で選出する定数を2とすると、976,488となる。そして、福井県をどこかの県と合区するとなると、いくら何でも結構遠い佐賀県、山梨県、和歌山県等々との合区はなじまないと思う。かと言って、隣県の石川県と合区すると1,611,019となる。そして、石川県が福井県と合区となるなら、それより選出議員あたりの有権者数が 少ない山形県、宮崎県、富山県、秋田県、和歌山県、山梨県、佐賀県は、どうするのか、別の不公平を生みかねない。

最高裁は、「違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。」としたが、苦し紛れの面はあるように思う。この判決文は、61ページという長文であり、61ページ中で14ページ以降が3人の反対意見と2人の参考意見である。読むに値すると考える。

そこで、私の意見は、「参議院選挙が都道府県を選挙区としているのは、便宜的とまでは言えないにしろ、都道府県選挙区にこだわって、一票の格差を解決しないのは、怠慢である。都道府県をある程度ひとくくりにしてブロック制の選挙区とすべきである。」となる。

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上のグラフは、試しに作成したブロック制による参議院選挙区選挙の一票の格差である。1.13倍に収まった。東京都を除いた関東6県を1つのブロックにしたが、これで良いのか、又新潟県を中部としたが、これで良いか等様々あると思う。一例である。

やる気になれば、できるのである。

裁判所に違憲判決を期待するのは無理な部分がある。憲法47条に「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」とあり、法律とは憲法41条の「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」となっている。議員は、選ばれる方であり、選挙制度の改訂においては、自らが有利となるように動いてしまう。国民が自ら声を上げないと国民主権を実現する選挙制度は生まれない。

ネットの時代がやってきた。だから、ブログでも自分のWebでも、FacebookやTwitterでも、声を上げて、国民主権の実現を目指そうではないか。

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2020年11月18日 (水)

SpaceXって、すごいなあ

米企業SpaceXが開発・制作したロケットFalcom9が宇宙船Dragonを宇宙に打ち上げ、Dragonは日本時間17日午後1時すぎ、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。Dragonには、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんを含め宇宙飛行士4人が搭乗しており、ISSに入った。

日経 11月17日 野口さん搭乗「クルードラゴン」 宇宙ステーション到着

1)Falcom9とH-IIBの比較

SpaceXのFalcom9と三菱重工のH-IIBの比較表が次である。

  Falcom9 H-IIB
全高 70m 56m
総重量 549トン 531トン
推力  7,400KN 11,416KN
宇宙低衛星軌道(LEO) 打上能力 22.8トン 打上能力 16.5トン(注)
静止遷移軌道(GTO) 打上能力 8.3トン 打上能力 8.0トン

(注)H-IIBの宇宙低衛星軌道(LEO)は、ISSの軌道への打ち上げ能力である。

SpaceXのFalcom9と三菱重工のH-IIBに大きな能力差はないと言えるかも知れないが、Falcom9が打ち上げたのは有人宇宙船Dragonであり、本年5月21日にH-IIBが打ち上げた「こうのとり」は実験装置等を対象した無人の宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle:HTV)である。有人宇宙飛行船を打ち上げることができるロケットってすごいなと思う。

2)再利用(リサイクル)

Falcom9の1段目ロケットは、何度も使えるのである。 ここ にFalcom9のYouTubeがある。この動画の最後が、Falcom9の1段目ロケットが地表におりる所を映している。 いやはや、すごいものだと感心する。

3)Falcom9の燃料は灯油

Falcom9の説明には”Merlin engines use a rocket grade kerosene (RP-1) and liquid oxygen as rocket propellants in a gas-generator power cycle.”とあり、液体酸素は使うが、燃料は「ロケット品質の灯油」ということで灯油である。H-IIBのように水素なんて前近代的燃料は使わない。

4)5兆円のユニコーン企業

ユニコーンとは角(つの)が1本の一角獣のことであるが、超巨大未上場企業をユニコーン(企業)とも言う。この8月19日のCNNニュース は、 SpaceXを460億ドルのユニコーン企業と題している。非上場で5兆円の資金を獲得しているのである。人工衛星の市場は大きい。安く打ち上げられるなら、世界中から顧客をいくらでも呼び込める。巨額の収入が期待できる。

米国の起業って、すごいなと思う。

(注)SpaceXのFalcom9と三菱重工のH-IIBの比較表で。Falcom9の推力が間違っていたので、7,400KNに訂正しました。

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2020年11月15日 (日)

東京外かく環状道路地表陥没事件

直前の直前のブログ の続きです。

ある人から、国交省や東日本高速道路による説明会が最近あり、出席した住民による不満は大きかったと聞いた。 参考:東京新聞 11月6日 「逃げ口上ばかり」NEXCO東日本の説明に住民の不満続出、調布の道路陥没

1)損害賠償の権利

地下工事をしている直上の土地が陥没したわけで、工事をその原因と推定するのは、当然のことと考える。大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度地下法)においても、民法上の損害賠償の権利は否定されていない。しかし、この調布市の地表陥落事件において、事業主・東日本高速道路が加害者と認定されたとしても、故意や過失があったのかも、裁判では問題にされるのであろう。

単純な問題ではなさそうだが、被害者補償は社会的な義務と考える。

2)大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度地下法)

そもそもの発端は、大深度地下法にある。大深度地下法の内容を再検討することこそ、陥没原因究明と同時に重要であると考える。実は、大深度地下法20条には、「国土交通大臣又は都道府県知事が使用の認可に関する処分を行おうとする場合の手続については、前二条に規定するもののほか、土地収用法第二十二条から第二十五条までの規定を準用する。」とある。土地収用法23条には次の様にある。

事業の認定について利害関係を有する者から次条第二項の縦覧期間内に国土交通省令で定めるところにより公聴会を開催すべき旨の請求があつたときその他必要があると認めるときは、公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない。

次条第2項の縦覧期間とは、事業の種類及び起業地の公告の日から2週間であり、こんな短期間で良いのか、それ以前から情報は発せられており2週間で十分なのか検討が必要と考える。同時に浮かび上がる疑問は、調布市での公聴会は、どうであったのかである。この公告の主語は市町村長である。調布市は、東京外かく環状道の大深度トンネル工事について、何時どのような公告を実施し、公聴会は開催されたのか、その結果はどうなのか、議事録等は公開されているのか、このような点を重視したい。

大深度地下法は、大都市地域において、通常利用されない大深度地下を社会資本整備に使うことを目的として制定された。しかし、むやみに大深度地下利用を推進することには問題があると考える。調布トンネル工事の陥没は貴重な事例である。

3)浅い地下トンネル

片側3車線の高速道路で浅い地下トンネル(トンネルではなく上部が開いている溝状態の部分もある)の高速道路がある。常磐道の三郷と柏の間で、流山市と柏にまたがっている。地下トンネル全長3.6kmであり、うち飛び地があるが流山市部分2.3km、柏市部分1.3kmである。 ここ に流山市常磐自動車道環境委員会発行の30周年記念誌がある。その中に掲載されている委員の言葉には次の様なのがあり、浅い地下トンネルでも十分ではと思う。土地収用費も含めた工事費で比較すると、どうなのかは分かっていないが。

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住宅密集地が地下道構造(上が公園)になり、道路両側に20メートルの緩衝緑地帯がつけられた常磐道。24時間公害データ記録システム方式監視施設の設置(市内沿線4か所)。そのデータをチェックし改善要求をする「常磐道環境委員会」の設置。そして、それら全てを担保する流山市と日本道路公団(現在の東日本高速道路株式会社)との協定書。この「流山常磐道パック」こそ、その昔、13年間の苦しい公害反対の住民運動を闘った市民、それを支援した市議会と市行政が残した宝であり、環境優先都市をかかげる流山市と全流山市民の「永遠の宝」である。
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守る会の努力によりトンネル方式、上部を公園とする案に決定され、現在は青風公園として近隣自治会の合同防災訓練や当自治会祭り等、多用途に利用されております。常磐道がもたらした良い面だと思われます。
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道路開通後、交通量の増加による騒音の基準値オーバーに対して、月1回開催される委員会のチェックにより、これまで、数々の騒音低減のための追加工事が行われてきた。現在は、1日の交通量10万台弱(年平均)で、何とか基準内に抑え込んでいる。住宅密集地が地下道構造(上が公園)になり、道路両側に20メートルの緩衝緑地帯がつけられた常磐道。24時間公害データ記録システム方式監視施設の設置(市内沿線4か所)。そのデータをチェックし改善要求をする「常磐道環境委員会」の設置。そして、それら全てを担保する流山市と日本道路公団(現在の東日本高速道路株式会社)との協定書。この「流山常磐道パック」こそ、その昔、13年間の苦しい公害反対の住民運動を闘った市民、それを支援した市議会と市行政が残した宝であり、環境優先都市をかかげる流山市と全流山市民の「永遠の宝」である

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2020年11月 5日 (木)

東京外かく環状道路(関越~東名)は、どうなるの?

2020年10月18日に東京都調布市東つつじケ丘の住宅地で、東京外かく環状道路(関越~東名)のトンネル工事の直上の市道が陥没した。そこで、東日本高速道路が陥没箇所周辺の地盤調査を実施していたところ地中の空洞を確認したと11月4日に発表があった。

NHKニュースは、ここ にあります、また、 東日本高速道路 の発表はここ にあります。

NHKニュースの画像には道路トンネルの位置が表示されており、空洞はトンネル直上であります。


子どもの頃、砂山でトンネル掘って遊んで、崩れることは常であった。大深度地下トンネルが大丈夫というのは、神話に過ぎないのではと思う。本当に大丈夫であるという確信が得られるまでは、東京外かく環状道路のトンネルはもちろんのこと、中央リニア大深度地下トンネルを含め、全ての大深度地下トンネルの工事を中断すべきと考える。仮に10年以上かかっても、良いではないかと思う。それが無理なら、高架橋にすれば良いのである。

東京外かく環状道路(関越~東名)とは、どのような大深度地下トンネルであるのか。この大深度地下使用認可申請に向けた平成25年9月の説明会資料 が一番分かりやすいのではと思う。ルートの縦断面図が26、27、28ページにある。縦断面図のTPmゼロは海抜であり、地表面ではない。ちなみに、 東つつじケ丘 の陥没箇所は、地表面海抜35m、支持地盤上面が22-23m、トンネル上面がマイナス9-10mである。

大深度地下とは、 支持地盤上面から更に10m以上深い地下、あるいは地表面から40m以上深い地下で、この双方の条件を満たす場合と23ページに説明がある。現在どこを掘削中かは、1基は東名立坑をスタートしてここ 、2基で掘削中でありもう1基は ここ ということであります。

ところで、何故高架道路を地下道路にしてしまったのでしょうか?上の平成25年9月の説明会資料15ページには都市計画の変更と書いてあり、16ページに域分断や排出ガス、騒音、振動の影響を抑制そして事業期間を短縮なんて書いてあるが、本当なのでしょうか?工費は、どうなのか。排出ガスなんて、地下でも地上でも関係ない。こんな説明会資料で誤魔化されたくない。きちんとした報告書をWebで公開すべきである。

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