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2020年11月15日 (日)

東京外かく環状道路地表陥没事件

直前の直前のブログ の続きです。

ある人から、国交省や東日本高速道路による説明会が最近あり、出席した住民による不満は大きかったと聞いた。 参考:東京新聞 11月6日 「逃げ口上ばかり」NEXCO東日本の説明に住民の不満続出、調布の道路陥没

1)損害賠償の権利

地下工事をしている直上の土地が陥没したわけで、工事をその原因と推定するのは、当然のことと考える。大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度地下法)においても、民法上の損害賠償の権利は否定されていない。しかし、この調布市の地表陥落事件において、事業主・東日本高速道路が加害者と認定されたとしても、故意や過失があったのかも、裁判では問題にされるのであろう。

単純な問題ではなさそうだが、被害者補償は社会的な義務と考える。

2)大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度地下法)

そもそもの発端は、大深度地下法にある。大深度地下法の内容を再検討することこそ、陥没原因究明と同時に重要であると考える。実は、大深度地下法20条には、「国土交通大臣又は都道府県知事が使用の認可に関する処分を行おうとする場合の手続については、前二条に規定するもののほか、土地収用法第二十二条から第二十五条までの規定を準用する。」とある。土地収用法23条には次の様にある。

事業の認定について利害関係を有する者から次条第二項の縦覧期間内に国土交通省令で定めるところにより公聴会を開催すべき旨の請求があつたときその他必要があると認めるときは、公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない。

次条第2項の縦覧期間とは、事業の種類及び起業地の公告の日から2週間であり、こんな短期間で良いのか、それ以前から情報は発せられており2週間で十分なのか検討が必要と考える。同時に浮かび上がる疑問は、調布市での公聴会は、どうであったのかである。この公告の主語は市町村長である。調布市は、東京外かく環状道の大深度トンネル工事について、何時どのような公告を実施し、公聴会は開催されたのか、その結果はどうなのか、議事録等は公開されているのか、このような点を重視したい。

大深度地下法は、大都市地域において、通常利用されない大深度地下を社会資本整備に使うことを目的として制定された。しかし、むやみに大深度地下利用を推進することには問題があると考える。調布トンネル工事の陥没は貴重な事例である。

3)浅い地下トンネル

片側3車線の高速道路で浅い地下トンネル(トンネルではなく上部が開いている溝状態の部分もある)の高速道路がある。常磐道の三郷と柏の間で、流山市と柏にまたがっている。地下トンネル全長3.6kmであり、うち飛び地があるが流山市部分2.3km、柏市部分1.3kmである。 ここ に流山市常磐自動車道環境委員会発行の30周年記念誌がある。その中に掲載されている委員の言葉には次の様なのがあり、浅い地下トンネルでも十分ではと思う。土地収用費も含めた工事費で比較すると、どうなのかは分かっていないが。

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住宅密集地が地下道構造(上が公園)になり、道路両側に20メートルの緩衝緑地帯がつけられた常磐道。24時間公害データ記録システム方式監視施設の設置(市内沿線4か所)。そのデータをチェックし改善要求をする「常磐道環境委員会」の設置。そして、それら全てを担保する流山市と日本道路公団(現在の東日本高速道路株式会社)との協定書。この「流山常磐道パック」こそ、その昔、13年間の苦しい公害反対の住民運動を闘った市民、それを支援した市議会と市行政が残した宝であり、環境優先都市をかかげる流山市と全流山市民の「永遠の宝」である。
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守る会の努力によりトンネル方式、上部を公園とする案に決定され、現在は青風公園として近隣自治会の合同防災訓練や当自治会祭り等、多用途に利用されております。常磐道がもたらした良い面だと思われます。
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道路開通後、交通量の増加による騒音の基準値オーバーに対して、月1回開催される委員会のチェックにより、これまで、数々の騒音低減のための追加工事が行われてきた。現在は、1日の交通量10万台弱(年平均)で、何とか基準内に抑え込んでいる。住宅密集地が地下道構造(上が公園)になり、道路両側に20メートルの緩衝緑地帯がつけられた常磐道。24時間公害データ記録システム方式監視施設の設置(市内沿線4か所)。そのデータをチェックし改善要求をする「常磐道環境委員会」の設置。そして、それら全てを担保する流山市と日本道路公団(現在の東日本高速道路株式会社)との協定書。この「流山常磐道パック」こそ、その昔、13年間の苦しい公害反対の住民運動を闘った市民、それを支援した市議会と市行政が残した宝であり、環境優先都市をかかげる流山市と全流山市民の「永遠の宝」である

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