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2021年1月31日 (日)

印西市の老人ホームでの睡眠導入剤による殺人並びに殺人未遂事件

一審千葉地裁での裁判員裁判では殺人並びに殺人未遂罪で懲役24年であった。しかし、2019年12月の東京高裁での控訴審では差し戻しとなっていた。そして、1月29日の最高裁で千葉地裁の懲役24年が確定した。最高裁の判決文はここ にあります。

どのような事件であったか、最高裁の判決文から抜き出すと次の様になります。

2017年2月5日、老人ホーム事務室において、被告人波田野愛子は、同僚女性山岡恵子さんに対し、ブロチゾラムを含有する睡眠導入剤数錠をひそかに混入したコーヒーを飲ませた。山岡恵子さん は、午後3時頃になると、意識障害等を伴う急性薬物中毒の症状が生じ、普段とは違う口調で脈絡のない発言をするようになり、机に突っ伏して寝た。この様子を見ていた被告人は、山岡恵子さんに帰宅を促した。山岡恵子さん は、仮睡状態等に陥り、約100m走行した地点で車を脱輪させて鉄パイプの柵に衝突させた。被告人波田野愛子は、その現場に駆けつけ、上記鉄パイプの先端が車に突き刺さっているのを目撃した。山岡恵子さん は、本件物損事故の状況を説明できず、フェンスに背中をもたれて立ったまま寝ている様子であり、被告人波田野愛子が両頬を両手で叩いて声をかけても、黙ってぼう然と立ったままであった。山岡恵子さんは,ふらつきながら同事務室に戻り、机に突っ伏して眠り込んだ。被告人波田野愛子は、午後5時30分頃、車が走行可能である旨を告げて山岡恵子さんを起こし、運転して帰宅するよう老人ホームから送り出した。山岡恵子さんは、その後間もなく、急性薬物中毒に基づく仮睡状態等に陥り、約1.4㎞走行した地点で車を対向車線に進出させ、進行してきた普通貨物自動車に車を衝突させた。この事故により、山岡恵子さんは胸部下行大動脈完全離断等の傷害を負い、同日午後7時55分頃、搬送先の病院において死亡し、対向車線の車の人は全治約10日間を要する左胸部打撲の傷害を負った。

以上が第1事件であり、第2事件は2017年5月15日に発生した。この第2事件では別の同僚女性(当時69)について、その夫(当時71)が自動車で本件老人ホームに送迎していることを知っていた。被告人波田野愛子は5月15日午後1時頃から午後1時30分頃までの間に、老人ホーム事務室において、両人に対し睡眠導入剤数錠をひそかに混入したお茶を飲ませた。両人は、意識障害等を伴う急性薬物中毒の症状が生じ、午後2時頃以降夫は椅子に座ったまま眠り込み、その後両人とも体調が悪化して同事務室等で休んでいたが、被告人波田野愛子は、この様子を見ていた。被告人波田野愛子は午後5時30分頃、事務室で寝ていた両人に対し、帰宅時間である旨を告げて起こし、夫が自動車を運転してその妻である同僚女性と共に帰宅するよう仕向けた。夫は、車の運転を開始したが、妻である同僚女性と共に急性薬物中毒に基づく仮睡状態等に陥り、午後6時頃、約4.7㎞走行した地点において、車を対向車線に進出させ、対向進行してきた普通貨物自動車に車を衝突させた。この事故により、助手席の妻である同僚女性 は全治約1か月間を要する両側肋骨骨折の傷害を、夫は全治約10日間を要する全身打撲傷等の傷害を、対向車貨物自動車の運転手は加療約3週間を要する頸椎捻挫等の傷害をそれぞれ負った。

最高裁判決を読むと、睡眠導入剤等を飲ませて、車を運転させて帰宅させようとする行為が、殺人や殺人未遂であることは、常識的な基準と考える。東京高裁の判断である、被告人波田野愛子の行為により事故の相手方が死亡する危険性は低かったとする評価や、被告人波田野愛子には事故の相手方が死亡することを想起し難たかったという論理は私には奇妙に思える。

東京高裁の論理が否定されて良かったが、それが通れば、睡眠導入剤を飲ませて、どうなろうが、そこまでは思わなかった。想定外との答弁がまかり通ることになると思える。

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2021年1月30日 (土)

電力市場に政治は介入してはならない

1月12日のこのブログ に20倍の高値取引を書いたのですが、電力市場に、政治が介入するようなニュースがありましたので。

1月29日NHK「新電力」の料金高騰懸念で支援策 梶山経産相

新電力から電力供給を受けているユーザーで市場価格連動性となっている契約を結んでおられる方もいる。どの程度の数なのかは、企業秘密として公開されていない。しかし、そのようなユーザーでも、電気供給を受けられなくなることはない。何故なら、電線でユーザーにつないで電力供給を行っているのは、新電力ではなく、一般送配電事業者10社です。

電力消費が予想より増加すれば、増加分の火力発電の燃料を追加調達しなければならない。水力は、降雨量が発電量を決めるのであり、太陽光も日照と設備なので、需要への応答はできない。LNGを新たに調達と言っても、長期契約での取引が多いこと、輸送には専用のLNGタンカーが必要であること、そして貯蔵にはLNGタンクが必要である。しかし、それでもLNGの調達は必要であるので、スポット物を購入せざるを得ない。その結果が、次のニュースです。

1月25日 Gas to Power Journal : Japanese utilities buy expensive spot LNG as they need to restock

全文は読めないが、東北電力と九州電力は2月末頃渡しのLNGを百万BTUあたり35ドル-40ドルと言う高値で購入しているようであると報じている。長期契約で10ドルのLNGなのです。東北電力と九州電力の2社だけではないはず。LNGを高値でも購入して、供給義務を果たすことに尽力する企業を賞賛してよいと思います。

1月12日時点ではkWhあたり200円と言ったすごい電力取引所の価格だったのですが、今週になって下がり初め、1月29日は8円程度に落ち着いてきました。需要と供給、それと取引価格は冷静に考えるべきであり、政治が介入することは避けるべきです。

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2021年1月17日 (日)

やはり死刑は執行された

1月14日のブログここ で、「死刑執行を急ぐトランプ」とのタイトルで、リサ・モンゴメリー死刑囚の死刑執行を書きました。

1月14日のブログでは、 コーリー・ジョンソン死刑囚とダスティン・ジョン・ヒグス死刑囚の死刑が米国時間で1月16日迄に執行される可能性があることを書きました。

そして、コーリー・ジョンソン死刑囚とダスティン・ジョン・ヒグス死刑囚は、それぞれ米国時間1月14日と1月16日に死刑が執行された。参考記事として、次を掲げます。

Richmond Times-Dispatch Jan 15, 2021

The Baltimoer Sun Jan 16,2021

リサ・モンゴメリーが1月12日だったので、5日間で3人の死刑が執行された。1月20日のバイデン新大統領就任を直前の5日間の出来事でした。

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2021年1月14日 (木)

死刑執行を急ぐトランプ

本日(米国時間12日)リサ・モンゴメリー死刑囚がインディアナ州のテラホート刑務所で薬物注射により死刑が執行された。連邦政府の女性死刑執行は67年ぶり。また、連邦レベルでの死刑は、トランプ大統領の指示で再開される昨年まで17年間行われていなかった。

BBC Japan 1月13日 米連邦、67年ぶりに女性の死刑を執行 政権交代目前に

この12月11日のBBC Japanの記事 の下の方に近く執行が予定されている死刑囚の名前が記載されており、その中にリサ・モンゴメリー死刑囚も含まれている。このうちリサ・モンゴメリー死刑囚を含め、3人が既に死刑の執行が終了。残るは、コーリー・ジョンソン死刑囚とダスティン・ジョン・ヒグス死刑囚である。

両死刑囚とも新型コロナウィルスPCR検査の結果が陽性であるとの話があり、そのことにより今週に予定されている両死刑囚の死刑執行が実施されるか不透明な部分がある。一方、バイデン大統領の就任は20日である。バイデン氏は死刑廃止方針を掲げている。法案が簡単にまとまるとは限らないが、大統領は減刑をすることができる。トランプにとって、死刑を執行する最後のチャンスとなっているが、おぞましい話である。私なんかは、人間性がない非人間の見本みたいに思える。でも、この人と馬が合う日本人もいたが、あの人は、どうなのだろうと思ってしまう。

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2021年1月12日 (火)

20倍の高値取引

1年前と比べて20倍に高騰したと聞くと、そんな商品があるのかとなる。しかし、本当にある。電力です。この1月10日の日経記事 のように電力需給の逼迫していることが報道されている。電力は、不足すると、不安定現象が生じて事故が起こる。これを避けるには、どこかを供給停止して需給バランスを保ち安定を確保する。どこかの供給停止とは、その供給先が停電となることである。普通の商品よりややこしい物である。

供給が不足する事態となっているわけであり、当然価格は上がる。日本卸電力取引所なる取引所で卸電力の売買が実施されており、日本卸電力取引所の 2021年1月12日の価格は次表の通りであり、1年前の1月12日の価格の20倍である。

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13時や13時30分からの時間帯では1年前の30倍の価格である。もし、遊休自家発電設備があれば、運転し高値で電力を販売できるチャンスである。なければ、工場を臨時休業とし使用するはずであった電力に相当する分を電力会社にお返しする、即ち逆販売してがっぽり稼ぐチャンスである。電力自由化前は、このようなことは出来なかったが、今は自由である。ユーザーで日本卸電力取引所で取引できる企業は少ないが、電力会社は自由化電力会社を含めすべて取引可能である。ユーザーは、自分が契約している電力会社を通じてとなるが、交渉は可能である。

電力自由化により小売り電力事業に参加した企業は多い。そのような電力小売り企業で自社発電所をほとんど保有しておらず、日本卸電力取引所から調達した電力を販売している企業も多い。販売先開拓の際は、大手電力会社より安い価格ですとして販売先を開拓してきている。契約中でも、高ければ旧一般電力会社に戻る。さあ、現在どうしているのだろうか?20倍になった仕入れ価格で、どう事業を展開しているのだろうか?一過性のものと思う。電力供給事業なんて気楽な事業と思って、今まで楽して金儲けしていた連中はどうするのだろうか?なお、新電力から電気を購入する契約をしていても安定的な電力供給義務は送配電事業者(旧電力会社)にあり、ユーザーは心配することはない。しかし、新電力が供給すべきであった電力量は送配電事業者が把握することができる。自社供給できなかった電力については20倍になった価格を電力会社は支払わねばならない。

実際の受給状況と言っても、電力は貯蔵されないので、供給力と需要状況になるが、参考として中国電力のWeb上のでんき予報の2021年1月11日のグラフを参考に掲げる。

Chugoku20210111

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