柳原病院の医師準強制わいせつ行為事件最高裁判決
昨年10月19日のブログ で無罪判決が期待できると書きました。昨日、2月18日に無罪判決ではないが、高裁判決を破棄し高裁に差し戻すという最高裁による判決が出されました。NHKニュースは、次の通りです。
NHKニュース 2月18日 “手術後にわいせつ行為“有罪判決破棄 審理やり直しへ 最高裁
最高裁の判決文は、この裁判所のWebにあります。
1) 最高裁判決が述べていること
8ページ目には、当裁判所(最高裁)の判断として、次の様に書かれている。
原判決(高裁判決)の判断は,様々な専門家の証言に基づき,本件手術の内容,麻酔薬の種類及び使用量,Aからの疼痛の訴え及び鎮痛剤の投与の状況,Aの動静等を総合的に評価し,そのような可能性があり得るものとした第1審判決(東京地裁判決)の判断の不合理性を適切に指摘しているものとはいえない。(注:Aとは、被害を受けた言う女性)
次は警視庁科学捜査研究所(科捜研)の鑑定についてである。(第10ページ)
上記のとおりのリアルタイムPCRによるDNA定量検査の原理に照らすと,本件定量検査において,科捜研が,標準資料と濃度を測定しようとする試料である本件付着物からの抽出液とを同時に増幅して検量線を作成し,濃度を測定するのではなく,あらかじめ作成しておいた検量線を使用したことが,上記の指摘にもかかわらず検査結果の正確性の前提となるPCR増幅効率の均一性の確保の観点から問題がないといえるのか,このような検査方法が検査結果の信頼性にどの程度影響するのかという点についても,必ずしも判然としない。・・・・検察官及び弁護人から事実の取調べの請求があり,その中には本件定量検査に関するものも含まれていたにもかかわらず,原審はこれらを全て却下し,この点に関する職権による事実の取調べも行わなかったため,結局,上記疑問点が解消し尽くされておらず,本件定量検査の結果の信頼性にはなお不明確な部分が残っているといわざるを得ない。
2) 最高裁の判断
10-11ページ
被告人が公訴事実のとおりのわいせつ行為をしたと認められるとした原判決(高裁判決)には,審理不尽の違法があり,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するというべきである。
3) 科捜研の鑑定についての私の疑問
最高裁判決が述べているところによれば、被害を受けたと言う女性の左乳首付近を午後5時37分頃警察官が、蒸留水で湿らせたガーゼで拭き取った。このガーゼの半量を用いて、アミラーゼ鑑定とDNA型鑑定を実施した。ガーゼの半量から50µl(0.05cc)の抽出液を得た。この抽出液に準強制わいせつ行為に問われた医師のDNAがPCR検査で検出されたというのが、科捜研の鑑定である。
新型頃ウィルスの検査で厚生労働省は検査の注意点で、「容器のふたを開けて唾液を直接滴下します。液体成分が十分量(1~2mL程度)に達するまで・・」と述べているのです。
1~2mL とは50µl の200倍から400倍です。新型コロナPCR検査が必要もないのに大量の唾液を要求しているとは思わないのです。やはり、警察や科捜研という所が、信頼できないと私は思いました。警察や科捜研が信頼を望むなら、客観性のある報告書を残し、検査対象の試料は適切に保管し、他の機関や組織が同じ検査を再現できるようにすることです。ウソの事実を曲げた鑑定がまかり通ることは、とても恐ろしいことです。警察権は、合理的に適切に使われなくてはならない。信頼を失った警察は、世の中を闇に陥れる。
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