電力需給逼迫は本質を見極めるべき
東京電力管内(正確には東京電力パワーグリッド送配電網管内)の電力需給が逼迫しているとして、3月22日は政府が支障のない範囲での節電協力を呼びかけた。16日の地震で火力発電所の停止が続き季節外れの寒さが大きく関係しているが、中には原子力推進とか送電網整備とかを述べる人もおられるようだが、何がどうしたのか、正確な分析が重要だと考える。
1)3月22日の東京電力パワーグリッド電力供給データ
各送配電事業者は、でんき予報というのを公表しており、東京電力パワーグリッドの3月22日の電力供給カーブは次のチャートの通りである。3月23日の供給カーブ並びにそれぞれの日の太陽光発電実績も記載した。
需要・供給カーブは午前9時頃までは22日も23日も余り差はない。それ以後19・20時頃までは23日が低かった。一方、太陽光発電は23日では最大1270万kWを越える発電であったが、22日は雪・雨の日であったことから最大178kW程度に止まった。1日の違いで、電力需給の姿は大きな差があった。
2)電力取引所取引価格
一般社団法人 日本卸電力取引所(JEPX)が運営している卸電力市場の東京エリアプライスを見てみると次のチャートの通りである。
スポット取引は翌日渡しであり、23日に24日の価格が決定している。22日と23日の取引価格は午前7時から午後11時過ぎまで1kWあたり80円であった。前日に決定する必要があるが、工場設備の一部を停止してでも外部に売電できる電力は卸市場で電力を販売すれば良い電力ビジネスをすることができた日であった。需要が大きければ、価格は上昇する。当然であり、そのことが正常な供給をもたらすことになる。
3)この冬最大の需要であったのか
今年は1月6日が雪であり、需要が大きかったが、太陽光発電は少なく3月22日と同様な日であった。そこで、1月4日、5日、6日、7日と2月10日、そして今回の3月22日と23日の7日間の需要供給カーブを比較するグラフを書いてみた。
今回の3月22日の受給カーブは、5000万kWを越えた1月6日や2月10日より下の方に行くのである。でも、今回は供給力が少なくて需要逼迫。
4)運転停止中の発電所
運転停止には様々な要因があり、3月16日の地震の影響が全てとは言えないと考える。例えば、JERA広野5号機は3月18日(ここ )に復旧。福島ガス発電の福島県相馬郡新地町にある2基で1180MWのLNGを燃料とするGTCC火力発電所は16日の地震で運転を停止していたものの3月20日には再開(参考ここ )。定期点検での停止も他の発電所との計画とすりあわせて決定しているはずである。いずれにせよ、発電所の運転停止と需給の逼迫は関係性はあり、調査は必要と考える。
なお、地震による停止中の主な 発電所は、この資料が参考となる。
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