2023年1月は東京地方電力不足となるのか?
次のニュースがありました。
・NHKニュース 4月12日 来冬の電力需給見通し 東京電力管内の予備率はマイナスと予測
・日経 4月12日 冬の電力、逼迫のおそれ 東京など7地域の23年1~2月
このニュースについて、検討を加えてみました。なお、ニュースの情報ソースは次です。
・ 経済産業省 4月12日開催 第47回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会
・ 電力広域的運営推進機関 4月12日 第72回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 です。
1) 2023年1月、2月の東京地方電力需給見通し
上の表が2023年1月、2月、3月の電力需給見通しの表です。H1の意味は、10年に一度程度と予想される厳冬となった場合と言うことで、1月、2月の需要予測5,443万kWを、東京地方のみ供給力が2月は90万kW、3月は84万kW下回る(不足する)と予想している。供給力 5,353万kWと5,359万kWに対して、この不足分が1.7%と1.5%に相当する。需要予測5,443万kWに供給力を3%マージンを確保しておくとすると、3%相当の163.3万kWに追加して2月は90万kW、3月は84万kWを加えることとなるので、不足分は254万kWと247万kWになると計算される。
以上が、電力不足の計算であるが、10年に一度程度と予想される厳冬年の電力需要はということで、本冬で一番需要が大きかった1月6日16時が5,374万kWであった。このことからすると、10年に一度の厳冬予想5,443万kWは更に69万kW大きい。供給力として可能性があるのは、建設中のJERA姉ヶ崎火力(LNGコンバインドサイクル)である。1号機と2号機の運転開始は2023年2月と4月の予定であることから、早めに運転できれば、供給力の増加として期待できる。1号機と2号機とも各65万kW。
2) 2022年1月-3月の状態
電力は貯蔵されないため、需要に応じて、供給することとなる。この物理法則を持つ電力を実際にどのように供給されているかを東北の地震の影響と寒波が重なった3月22日、電力需要最大を記録した雪の1月6日、そして春のような暖かい日になり日照にも恵まれた3月28日の3日についての時間毎の需要と供給源をチャートにしたのが次である。
需要カーブが、それぞれ大きく異なる。そして3月28日は太陽光発電が多い。3月22日の太陽発電の最大は174万kWであったが、3月28日は1,381万kWの8倍近い。需要に対して太陽光発電が占める割合は、3月22日5%で3月28日は40%である。3月22日と3月28日を火力発電で比べると、3月22日は出力3,700万kWであったが3月28日は1,700万kWで運転している。46%も発電出力を低下させた。
3) 需給逼迫による停電回避に向けて
電力は貯蔵されないことから、停電回避には供給を増加させる必要がある、あるいは需要を減少させるという2つの方法がある。バッテリーは、蓄電時が需要であり、放電時が供給となる。停電回避は、政府の義務だなんて言っても解決にはならない。社会のルールとして、合理的に需給が均衡し、合理的なコスト負担と便益享受が計られることが理想である。
その意味で、社会主義国で行われていた国家の電力管理等は欠点が多い。電力自由化をしてきたのであり、その中での合理的な仕組み作りが重要である。この冬の電力逼迫状況で、自家発電設備をフル稼働させて売電収入を享受できた企業も多いのではと思う。それは、良いことである。自家発電設備は自社工場の電力供給のみならず、社会への電力供給に貢献できたのである。対価は、マーケットが決めた。
エネットにEnneSmart(エネスマート)(Webはここ )と言うのがある。エネットからの節電リクエストに応じてタイムリーに節電に協力すると電気料金の割引が受けられると言うのである。節電できなくても、デメリットはなしとの事である。興味ある仕組みである。
東京電力エナジーパートナーが、くらしTEPCO webサービスというインターネットで電気使用量を見ることができるWebサイトを運営している。このWebサイトで最近、データのCSVダウンロードができなくなっている。他の方法でも良いが、データダウンロードはできず、例えば30分ごとのデータはグラフ表示のみである。グラフのスケールは、その時の最大値を基準にするから、他の日にちとの比較は簡単ではない。
日本最大の電力小売り事業者である東京電力エナジーパートナーが、データのCSVダウンロードを中止するなんて、世の中に逆行するようなことをして、どうするかと強く抗議します。
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