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2022年6月21日 (火)

アベノミクスの失敗

最近の外国為替市場の動きからは、アベノミクスの失敗を痛感してしまう。アベノミクスとは、通貨供給を増加し、日銀の政策金利をマイナスにしてまで通貨供給量を増大し、日銀による市場からの国債その他金融資産の買入れを実施する。マーケットには、大量の円通貨があふれることとなった。日銀発表に書いてあることは依然として強気発言である。しかし、アベノミクス低金利政策とは、通貨としての魅力をなくすことであり、その結果として、日本経済を破滅に導く導火線の役割を果たすと思うのである。私の考えについて、以下述べてみたい。

1) 最近の米ドル・円為替相場

次が3月1日以降の米ドル為替のチャートである。あれよあれよという間に17%の円安(米ドル高)になってしまったのである。

Exchanger202206a

本来なら17%も為替が動けば、大騒ぎのはずが、随分平穏である。日銀は、政策金利の引き上げを発表し、外国為替レートを落ち着かせ、物価上昇から国民や日本経済を守姿勢を示して良いはずが、アベノミクス継続を発表する。

2) 1米ドル360円時代からのチャート

Exchanger202206b

1969年は1米ドルが360円の固定相場の時代であった。1987年に135円となった時があった。しかし、当時はバブル期。今とは違い、日本人・日本景気は活力と夢を持っていた。力があった時代である。今は、日銀の低金利でゾンビが生き延びており、ゾンビと共生している日本経済のような気もしてしまう。本来はゾンビなんかではない若者が非正規雇用の労働者となり社会を支える。奇妙な姿である。アベノミクスの前の2011年頃には80円を切る70円台であった時代があった。

3) ユーロや人民元との比較

米ドルと円の為替のみではなくユーロとも比較するのが適当であり、更には人民元とも比較するチャートを見る必要がある。そこで作成したのが次のチャートである。円、ユーロ、人民元が何ドルに相当するかを計算し、3年強以前の2020年6月1日の数値を1として比較をした。ドル相当を単位としているので、円高に振れれば1より大きく、円安になると1以下となる。

Exchanger202206c

チャートを見れば、円安が一目瞭然である。アベノミクスを続けていれば、日本は破滅に向かう気がするが、参議院選が終わらないと方向転換できないだろうなと思う。

4) 穀物相場

日本は世界の中の日本である。世界経済の中の日本経済である。アベノミクスを止めることは、国債の暴落を招き、国債を大量に保有する地銀等は大損失を計上し、金融不安につながる。しかし、一方で世界の中の日本を認識しないと日本全体の破滅となりかねない。次のチャートは2016年以降の米国小麦相場であるが、2021年以降の価格上昇は激しい。日本は、無関係とは行かない。アベノミクスをアホノミクスと呼んだ人がいたが、それはそれとして、今後の日本における経済政策は、どうあるべきかと言えば、アホノミクスではないとしても、非常に難しい課題だと思う。ゾンビ退治とある種の脱皮なのだろうか?

Chart

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