リビアのダム決壊の原因は? 日本でもおこるか?
リビアのデルナ(Derna)を大洪水が襲い、街が押し流され、壊滅的な被害をもたらした。様々なニュースを総合すると、死者は1万人以上で、2万人以上になるとの話もある。被害状況を伝えるニュースとしては、このBBCニュースが動画もあり、また線を動かして、被害前と後を見れる航空写真もあります。
1) リビアのデルナとダムの位置
デルナは、東西約1300kmのリビアの東部に位置し、デルナからエジプト国境までは直線距離約270kmです。 地図に、崩壊した2つのダムを表示したが、下流側の北の方へのダムはデルナ市街地から1400m程度で非常に近いところにあり、それから上流約12kmのところにもう一つのダムがある。
2) 2つのダム
上のGoogle Mapで衛星写真の方を拡大して見ると分かるが、2つともコンクリートダムではなく、フィルダムと呼ばれる土砂や岩石を盛り立てて建設した構造のダムである。日本では、河川堤防のほとんどがこの形式であり、河川からの取水箇所、ダムでは下流への放流箇所はコンクリート等を使い取水・放流等を可能とし又洪水等非常時の配慮もなされている。
Google Earthで3Dイメージを作成してみた。 (上がデルナ市街地に近いダム)
3) ダムの目的
崩壊原因はやがて究明されるであろうが、このダムの目的はなにであったかと言うと、おそらく洪水対策と水供給であったと私は思う。 次のグラフはトリポリの平均月間降水量を示しており、6、7,8月はほとんど雨がない。また年間降水量も330mmであり、サヘル地方の典型である。2023年9月に降った雨は3日間で100mmを超え、200mmを超えた所もあるかもしれない。 夏場は、水供給・水確保が重要であり、一方今回のような豪雨も発生する。 水供給と洪水対策のためのダムであったと考える。
4) ダム崩壊の原因
ダム崩壊の原因として、このGuardianの記事は、検察がダムメンテナンスの予算確保を含め、メンテナンスに問題がなかったか調査すると報じている。 これらのダムは1970年代にユーゴスラビアにより建設され、メンテナンス工事もトルコ業者に相当前に発注されていたとの話もある。どこまで真実か、確認できていないが、いずれにせよダムはメンテナンスが必要なのである。 日本の河川の土手も、管理者が亀裂や変形、沈下等がないか調査し、必要な場合は、改修工事を実施している。 あらゆる建築物はメンテナンスが必要であり、メンテナンスをすることにより、長期の利用が可能となる。
1300年以上の歴史がある香川県仲多度郡まんのう町にある満濃池は決壊と修築を繰り返しているが、現在も存続し農業用水供給を担っている。 但し、この満濃池も鎌倉や戦国の戦乱機には洪水決壊後の修復は実施されず放置されていたようである。
5) 復旧・復興の目途
リビアとは、どのような所かである。 ここに外務省海外安全ホームページのリビアがあり、次の様に書いてある。
【危険度】 ●全土:レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続) |
【ポイント】 ●リビアでは、民兵組織など武装グループによる武力衝突・テロ・誘拐事件が発生しており、全土に「レベル4:退避勧告」を発出しています。リビアへの渡航は、どのような目的であれ止めてください。また、既に滞在されている方は直ちに退避してください。 |
危険だから行くな! 行っている場合は、帰れ!である。 しかも、デルナを含む東部地域は、政府GNUの影響が及ばないLNAの影響が濃い地域である。在リビア日本大使館も、2014年7月21日で一時閉館し、現在はチュニジアの首都チュニスで業務をしている状態である。 カダフィ後の混乱の中、トルコ、カタール、イタリアは国連が関係したGNAを、そして対抗するLNAをエジプト、フランス、UAEが支援し、これにロシアが加わり、ワグネルも参加している。 この状態が現在どうなっているか、調べようとしても、調査しきれなかった。
赤十字・赤新月社は、頑張っておられるようだが、どうされているのか、赤十字・赤新月社だから支援可能なのかな。アフリカ最大の原油・ガスの埋蔵量を持つリビア。 だからこそ、利権が渦巻き、恐ろしい世界が口を開けて待っている。 確実なことは、平和が重要ということ。 戦乱(戦争のみならず内乱や暴動を含め)を無くすることこそ重要と考える。 その実現に向け努力することが重要と思う。
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