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2023年12月22日 (金)

ダイハツの認証申請不正行為とトヨタの関係

ダイハツは、自社Webトップページで現在は、次のように述べている。

当社の認証申請における不正行為により、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様に、多大なるご迷惑・ご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。

不正の内容は、調査報告書を読んでみると、恐ろしいと思った部分がある。例えば、「エアバッグタイマー着火(不正加工・調整類型)」では、試験対象の車が電子式のエアバッグ作動装置(ECU)であるにも関わらずECU設定が間に合わないとタイマー着火装置を使って試験を行い、試験成績書を作成し、認証試験を行った。(報告書44ページ)

「現在国内外で生産中の全てのダイハツ開発車種の出荷を一旦停止することを決定いたしました。」との12月20日発表になったが、これ以上の信頼失墜にならないようにするには、この発表なのだろうと思った。

ところで、トヨタはこの12月20日の発表に止まっており、冷めた対応に思える。 ダイハツはトヨタの完全子会社であり、ダイハツの不正の責任はトヨタにあると考えるがどうだろうか。 人事も投資も研究・設計・製作・検査・販売その他あらゆる企業活動はトヨタが支配しているのである。 ダイハツとは名ばかりで、何の決定権も持っていない。 下請けよりも、発言権はないのである。 謝罪すべきは、トヨタと考えるのだが。どうだろうか? 

2016年1月29日にはこんな発表をしているのである。

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2023年12月17日 (日)

年金減額を正しいと判断した裁判所に賛同する

12月15日に最高裁は年金減額を違憲として争っていた裁判に対して、上告を棄却した。

日経新聞の記事「国の年金減額「合憲」確定 最高裁判決、受給者ら敗訴」はここにあります。 また、最高裁の判決はここにあります。

次の図は、日本における年金保険料納付世代の20歳から64歳の世代と年金を受給する65歳以上の世代の人口をグラフにしたものです。

Pension202312a

19歳以下の人口は含んでいませんが、50年で40%減少して、60%になると予想されています。 データは、国立社会保障・人口問題研究所の出生中位(死亡中位)推計からです。 

現在の基礎年金の制度である20歳からの納付義務世代と65歳以上の受給権世代の人口対比をグラフ化したのですが、今現在の制度では確実に破綻すると予想されます。 2070年には納付世代と受給世代の人数が同数になるのです。 無理のない納付金額にしないと納付できません。 受給者は制度維持に協力すべきです。 破綻したなら、受給者は年金を受給できなくなるわけで、責任論では解決にはならない。

年金の制度に100年安心なんてあり得ないのである。 納付額は今よりあがるのでしょうね。 受給開始は遅くなり、金額も減少する。 そんなことが予想されるが、一度シミュレーションをして報告します。 最高裁は、政治家とは異なり、信頼できる人達であると思いました。 正しいか、間違っているか、それは表面のことのみではなく、深い部分も考慮して判断すべきであります。

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2023年12月 9日 (土)

企業版ふるさと納税の恐ろしい話

一つ前のブログで東京都によるふるさと納税見直し要請を書きましたが、同じようなふるさと納税の企業版があり、寄付額の90%相当額の税が安くなる制度。

 企業版ふるさと納税で4.3億円を人口8000人の福島県国見町に寄附をして、国見町は4.3億円で救急車12台を購入したという話、そして寄附をしたのも救急車を販売したのも、実は同じ企業(同じグループの会社)という話が東洋経済ONLINEにあり、このページで読むことができます。

東洋経済の記事には「官民連携という大義を隠れみのにした「過疎ビジネス」」とありますが、これが事実であるなら、集団的犯罪に近いようなもので、モラルも何もない暗黒やくざ商売だと思う。 やはり、あらゆるふるさと納税を即刻廃止すべきで、人と企業の良心に根ざした見返りを求めない純粋な寄附文化を構築していくべきと考えます。

悪人は、消えるべき。

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2023年12月 8日 (金)

東京都は、ふるさと納税見直しを要請

東京都、その特別区および市町村は連名で、総務大臣に対して、ふるさと納税制度の見直し要請を12月4日提出しました。

「ふるさと納税」制度の抜本的な見直しに関する共同要請

問題ありすぎの制度ですから、本来はずっと前に反対論が出て当然であったと考える。 反対論が少なく、賛成論が多かったのは、ふるさと納税の利用で潤っていた国民が多かったと言うのは、言いすぎであると思うが、いずれにせよよほど賢い国民でないと全体像が理解できない制度である。 この制度を導入したのは、相当腹黒のど悪人だと思う。

地方自治体に寄附をすると、30%相当の返礼品を受領できる。 一方、寄附支出は2,000円が支出者負担で、それ以上の額は所得税と地方税で戻ってくる。10,000円の寄附で3,000円の返礼品を受領でき、更に税金(所得税と住民税)が8,000円安くなる。 上限はあるものの、多額のふるさと納税をすると儲けになる。

どう考えても、経済原則に反するわけで、ふるさと納税なんて、美しい言葉で飾っているが、実態は悪徳・モラルハザード・ビジネスである。 収支は、どうなっているかと言うと、寄付者の住所地の市町村は寄付者に住民税で補填するのであるが、その75%分は地方交付税で国から補填される(参考この総務省の資料 )。 但し、地方交付税不交付団体には補填されない。 東京都には、不交付団体が多いのである。 従い、東京都は見直しを要請となるのであるが、所詮ゆがんだ制度であり廃止すべきと考える。 税金は必要な政策に対し、支出されるべきで、寄附をした人に(住民税還付の形で)支出されるなんて、税金を払いたくなくなる。

政府に払った税金が、国民が知らないうちに、地方交付税の制度により、都道府県・市町村に流れていきます。 地方交付税の制度を否定するのではありませんが、国民の目にとまりやすく公表すべきです。 例を言うと、消費税10%だと多くの人は思っている。 実は、日本政府が使えるのは5.5%であり、4.5%は都道府県・市町村の財源です。

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2023年12月 7日 (木)

難民について

11月5日のNHKスペシャルで「過去最多となった難民・避難民 世界はどう向き合うのか」という番組を放映していた。 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の難民統計ページがここにあり、2023年6月頃の世界における難民・避難民の数は1億1千万人と述べている(うち、国内での強制移住者62.5百万人、難民36.4百万人、難民申請者6.1百万人、その他国際的保護必要者5.3百万人)。 以下は、NHKの番組では余り触れられていないと感じたことである。

1) 難民とは

日本政府は、難民条約(Convention Relating to the Status of Refugees - Refugee Convention)の説明として、次の人達を難民として説明している。

  • (a)人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有すること
  • (b)国籍国の外にいる者であること
  • (c)その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること

2) 過去約50年の難民の発生数

NHKは難民が近年増加していると述べていた。 UNHCRの統計によれば毎年の難民発生人数は、次図の通りである。 (クリックで拡大・別ページ表示)

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2022年の難民発生数は、過去最大であり、うちウクライナからの難民が570万人とのことである。 なお、この数字には、ウクライナからロシアに避難している人々も含んでいる。 

3) 2022年の難民発生数

UNHCR統計によれば、2022年の難民発生数は10,166,908人である。 4カテゴリーに区分されており、難民(Refugee)4,177千人、難民同等者(People in refugee-like situation)2,457千人、難民申請者2,572千人、その他国際的保護必要者959千人となっている。

2022年における最大の難民流出国は、ウクライナで、その避難先国は次表の通りです。

ウクライナからの流出難民数(2022年 5,734,884人)
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
ロシア 0 1,209,915 100,833 0 1,310,748
ドイツ 820,143 180,332 705 0 1,001,180
ポーランド 956,760 0 1,542 0 958,302
チェコ 433,071 0 203 0 433,274
その他の国々 1,549,806 432,849 48,725 0 433,274
合計 3,759,780 1,823,096 152,008 0 5,734,884

2022年で次に難民流出が多いのが、ベネズエラであり、その避難先国は次表の通りです。

ベネズエラからの流出難民数(2022年) 1,223,672人
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
コロンビア 0 0 5,184 611,472 616,656
ペルー 0 0 894 178,375 179,269
ブラジル 0 0 34,073 135,046 169,119
米国 0 0 138,597 0 138,597
その他の国々 25 0 85,253 34,753 120,031
合計 25 0 264,001 959,646 1,223,672

2022年に3番目に難民流出が多かったのが、アフガニスタンであり、その避難先は次であります。

アフガニスタンからの流出難民数(2022年) 791,628人
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
イラン 0 403,293 0 0 403,293
パキスタン 0 178,107 28,450 0 206,557
ドイツ 963 0 36,358 0 37,321
オーストラリア 0 0 24,446 0 24,446
その他の国々 343 392 119,276 0 120,011
合計 1,306 581,792 208,530 0 791,628

UNHCRの統計による日本に関する2022年難民受入避難者の数を見てみると次の通りでした。

日本の難民受入数(2022年) 16,082人
非難元の国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
ミャンマー 0 9,527 298 0 9,825
ウクライナ 0 2,238 0 0 2,238
カンボジア 0 0 578 0 578
アフガニスタン 0 329 182 0 511
スリランカ 0 0 502 0 502
トルコ 0 0 445 0 445
シリア 0 216 30 0 246
パキスタン 0 0 238 0 238
その他の国々 0 0 1,499 0 1,499
合計 0 12,310 3,772 0 16,082

日本の数字について、出入国在留管理庁が2023年3月24日に発表した「令和4年における難民認定者数等について」というこの発表では、令和3年の難民認定者数は74(表8)で、人道的配慮で在留を認めた者の数が525となっています。 UNHCRの日本についての2021年の数字は難民、難民同等者、その他国際的保護必要者はゼロであり、難民申請者が2,413となっています。 UNHCRの数字と日本政府の数字に随分差があるが、難民申請があっても、他の在留許可が認められた場合、UNHCRは難民同等として扱い、出入国管理庁は滞在許可の種類でカウントしているからと思います。

4) 難民となっている人の数(難民人口)

難民となっている人口をUNDPの統計(Refugee Data Finder)より作成したのが次図である。

Refugeepopulationa

2023年で難民総数(総人口)は、ほぼ1億人である。 2022年の難民増加は1,574万人と20%増加した。 この増加の中でウクライナの難民数が30%以上である。 2023年の難民人口9,893万人の出身国は次図の通りである。

Refugeepopulationb

なお、UNHCRは世界の難民人口を2022年で1億840万人と発表している場合もある(例えば、Global Trendsという報告書)。 947万人の差がる。 この差は、国内避難難民をUNHCR統計の5,732万人とするか、IDMC統計の6,250万人とするかの差から生じている。 IDMC(Internal Displacement Monitoring Center)とはノルウェイの非政府・人権活動団体(NPO)である。

国内における避難民には災害による避難民も存在するが、災害要因避難民は除外し、戦争・内乱等が原因で実質的難民となっているが、国外脱出ができていない人々の数を、国内避難難民としており、UNHCRも支援対象としている。 

5) 難民の出身国と受入国

難民の多くは、隣国へ逃れている。 戦争・内乱により国境を越えて隣国に避難する。 或いは、居住地から強制的に移動することを余儀なくされ、国境を越えることもできず国内に止まっている実質的難民も多い。 難民の発生が多い国の難民の移住先は次表の通りである。(表のクリックで拡大)

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東南アジアで難民が一番多いのはミャンマーであり、世界では12番目。 そのミャンマーからの難民の移動先・滞在先は次表の通りである。 ミャンマーにしてもそうですが、シリア、ウクライナ、コロンビア、コンゴ民主共和国の難民の滞在国は外国ではなく、国内に避難している実質的難民が一番多い状態です。最も、アフガニスタンにしても33%は国外脱出できず国内に止まっている状態です。

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難民受け入れ先国の難民人口が多い4国について表にしたのが次表です。 申請者や国内避難民を除き難民となっている人口は3,051万人なので、4国合計の難民数1,083万人は全体の3分の1を越える35%になります。 最も多く受け入れている国はイランであり、その難民の99.7%は隣国アフガニスタンから。 次に多いのは、トルコであり、90%以上は隣国シリアから。 4国については、次表を参照ください。

Refugeepopulatione

難民の多くは、隣国・周辺国に避難する・せざるを得ないということが現れている。

6) パレスチナ難民

パレスチナ難民と言った場合、通常はUNHCRが支援している難民ではなく、UNRWAが支援している難民を指すことになり、難民条約(1951Convention Relating to the Status of Refugees)にもUNRWAが支援対象が条約適用の対象外とある。 UNRWA (United Nations Relief and Works Agency for Palestiine Refugees in the Near East : 国連パレスチナ難民救済事業機関)も国連機関であり、UNRWAが実施する難民支援対象は、1946年6月から1948年5月15日の間にパレスチナでの居住及び生活をしていたパレスチナ人(アラブ人)とその子孫である。

6-1) パレスチナ

パレスチナとは、中東のパレスチナ地域のことであるが、現在では狭義の意味として西岸地区(West Bank)とガザ地区(Gaza)のこととして使われていることが多くある。 第一次世界大戦終了まで、中東地域一帯ははオスマン帝国が支配していた。 大戦終了後の1920年サンレモ会議により、英国はパレスチナ・ヨルダンとイラクの、フランスはレバノンを含むシリアの国際連盟による委任統治をすることとなった。 その後、イラクは1932年に独立を成し遂げ、トランスヨルダンは1946年に、レバノンは1943年にフランスから、シリアは1946年に独立をした。

パレスチナに関しては、英国外務大臣バルフォアがユダヤ人のロスチャイルド卿に対して1917年11月2日に書いたバルフォア宣言(Wikipediaの写真はここ にある。)があり、"His Majesty's Government view with favour the establishment in Palestine of a national home for the Jewish people." と述べて、大英帝国の国王陛下はパレスチナにユダヤ人の地をつくることを支持・賛同していると宣言した。 ユダヤ民族が聖地パレスチナに国家を建設すると言う民族運動は英国の支持を得たのであり、その地パレスチナは英国が委任統治を行っている地域に含まれている。

ユダヤ人のパレスチナへの移住はバルフォア宣言以後増加していった。 次図はカナダのCJPME(Canadians for Justice and Peace in the Middle East)という民間団体の資料から作成したパレスチナにおける人口の推移である。

Palestinea

ユダヤ人はパレスチナの地主であるアラブ人から土地を購入し、購入した土地に移住したのであり、初期の頃はアラブ人もユダヤ人も仲良く隣人として生活をしていた。しかし、ユダヤ人口が増加していくと軋轢も増加していったし、場合によってはユダヤ人が購入した土地のアラブ地主の住まいはエジプトであり、パレスチナに住むアラブの小作人は突然ユダヤ人から追い出しを受けたケースも存在した。 遊牧民にとっての土地や国境に対する考え方とユダヤ人に違いはあるし、宗教・習慣の差は大きかった。

1947年11月29日国連は総会決議181号で、1948年10月1日より早い時期に、パレスチナにおいてアラブとユダヤの2つの国を作り、エルサレムを特別市とすること。 そして1948年8月1日より早い時期での英国委託統治の終了を決議した。 33国が賛成、反対は13国で棄権が10国であった。 反対を投じたのは、アフガニスタン、キューバ、エジプト、ギリシャ、インド、イラン、イラク、レバノン、パキスタン、サウジアラビア、シリア、トルコ、イエメンであった。 周辺国とモスレム国は反対した。 インドネシア、マレーシアは当時国連未加入であった。英国は棄権であった。 英国は委任統治の終了し、1948年5月14日迄に撤退することを決定した。

6-2) イスラエルの建国・第一次中東戦争

国連決議181号の前から、ユダヤ人シオニストの民間自衛組織やそれに対抗するアラブ側の民兵組織も生まれていた。 国連決議の後、衝突は更に激化し、内乱状態も発生した。

1948年5月14日英国撤退の同日、イスラエルは建国宣言を発表し、その翌日エジプト、トランスヨルダン、レバノン、シリアの軍隊・義勇軍はパレスチナに攻め込んだ。 戦争は当初の段階ではアラブ側有利であったが、イスラエルの反撃によりイスラエルの事実上の勝利となった。 停戦協定は国毎の締結となり、エジプトと1949年2月、レバノンと3月、トランスヨルダンと4月、そしてシリアとは7月になり協定が締結された。 停戦協定による停戦ラインにより、イスラエルは国連決議181号で示されていた地域より広い面積を得、エジプトはガザ地区を、トランスヨルダンはヨルダン川西岸地域を停戦ラインの内側に得た。 その後、1967年の第三次中東戦争(6日間戦争)で、イスラエルはガザ地区、ヨルダン川西岸地域、ゴラン高原を占領した。 1948年以後パレスチナに住んでいたアラブ人の中で難民となった人々は多く存在する。

6-3) パレスチナの現状(人口と面積)

1967年の第三次中東戦争によりイスラエルと狭義のパレスチナの現在の境界となったのであるが、この境界に住む現在の人口(データは2021年現在)を次表に示す。 (表クリックで拡大します。)

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イスラエルの地域は、西岸地域、ガザを合計した全面積の78%であり、人口割合では64%である。 なお、単純な比較では誤る可能性がある。 降水量の少ない砂漠地帯が多く、植林も関係するので、単純ではない。 しかし、人種割合ではイスラエル地域にアラブ人が200万人住んでいる。 3地域合計では、ユダヤ人とアラブ人の比率はは48%と49%であり、アラブ人がわずかに多い。 地域の外に出て難民となっている人を加えるとパレスチナのアラブ人人口は相当多いと言える。

イスラエル、西岸地域、ガザにおける1995年以降の人口推移を図にすると次の様になった。

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1995年を1として描くと次の様になった。

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ガザ地区の人口増加率が一番高いのである。

6-4) パレスチナ難民 (UNRWA登録難民)

UNRWAに難民の登録をしている人数はUNRWAが公表しており、その滞在地別の2022年における難民数は次表の通りである。

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シリア危機・内戦により、シリアでUNRWAに登録されているパレスチナ難民のうち約12万人は、レバノンとヨルダンに脱出していると考えられ、シリア国内に居住する難民も60%は、国内移動を余儀なくされた。

40%のパレスチナ難民は、ヨルダンに居住している。 但し、在ヨルダンのパレスチナ難民のうちヨルダン国籍を取得している人達も多い。 いつの日か先祖が居住したパレスチナの地に帰還することの希望は捨てておらず、UNRWAの難民支援は受けていなくても、難民登録は維持し、パレスチナ人として生きている人も多いのが、在ヨルダンのUNRWA難民である。 また、ヨルダン川西岸については、第三次中東戦争前の停戦ラインではヨルダン支配地域であったのである。 西岸地区に住んでいたパレスチナ難民はヨルダン国籍の取得がそれほど困難ではないと推測する。 なお、ヨルダンのみならず、この地域はアラビア語であり、アラビア地方というのがふさわしいように思う。

ヨルダン川西岸地域とガザの人口は、6-3に記載した表で1,476千人と871千人であった。 この人口を使用して上表の難民数における割合を計算すると西岸地域で17%、ガザでは70%となる。 

6-5) UNHCR対象のパレスチナ難民

UNHCRが支援しているパレスチナ難民は次表の通りです。

Unhcrpalestina

パレスチナ難民の場合は、UNRWAの難民が5,713千人なので、UNRWAが関与している難民がほとんどであります。 ガザに居住するUNRWA難民の人口がUNHCRが関与するパレスチナ難民の10倍以上です。

7) 難民支援について

NHKスペシャルは「過去最多となった難民・避難民 世界はどう向き合うのか」とのタイトルで放送していたが、考えなくてはならないのは、「世界は」ではなく、「私たちはどう向き合うのか」であると考える。

日本語名称は世界人権宣言である”The Universal Declaration of Human Rights”が難民について考える場合の最も参考になると考える。 14条1項の「すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。」や13条2項の「すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。」等の文章のみならず第1条の「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」等すごい文章が多くある。

世界には様々な紛争や戦乱と武力衝突が数多くあり、その結果が難民発生となっている。 日本の難民受入数は極めて少ない。 特定技能ビザでさえ、家族帯同が難しかったりするのだから、人手不足日本とは超保守的な国だと思う。 しかし、難民認定でなくとも同等な家族帯同就労可能なビザで支援しても良いわけで、多分難民に対する受入も拡大していくと期待する。

一方で、日本政府はUNHCRにもUNRWAにも応分の資金援助を行っており、難民受入が多い国に対しても必要な支援を実施していると理解する。 難民支援は、人道的見地のみならず、紛争や戦乱の防止、平和の樹立に効果的と考える。 武器に金を使うより、国際的な支援・協力が日本の国の安全や世界の平和に有効であることは多いと考える。

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