韓国非常戒厳の宣言、解除、大統領弾劾・訴追案の不成立、廃案
韓国では、12月3日夜に尹大統領が非常戒厳を宣言し、翌日午前4時半に会見して非常戒厳の解除を発表した。 この非常戒厳宣言が憲法違反だとして、野党6党が共同提出したのが大統領の弾劾訴追案であり、訴追案は195票の賛成で、必要な3分の2以上の200票に至らなかった。 終わったわけではないが、めまぐるしい動きであった。
1) 大統領と国会
韓国は大統領制の国であり、大統領は国家元首であり行政府の長である。 大統領は、憲法第77条により戒厳を宣言することができるとされている。 立法権は国会に属する。 本年4月10日に国会議員選挙があり、尹大統領の「国民の力・国民の未来」が獲得した議席は全300議席のうち108議席にとどまり、「共に民主党・共に民主連合」が全300議席の過半数を超える175議席を獲得した。
2) 今後の韓国政治
行政府と立法府で与野党逆転現象が4月から続いているわけだが、今後どう推移していくか、見ていきたいと思う。 日本に最も地理的に近い距離にある国であり、共に発展していくのが、望ましいことと考えるのである。
外国からの投資額がどれくらいあるかを示す指標として対内直接投資残高がある。 次の図は、アジア主要国の対内直接投資残高である。
アジアでは、中国への外国からの投資残高が3,569十億ドルで最も大きいのであるが、上図では中国は省略した。 上図で金額が大きいインドとシンガポールを除いた5カ国における外国からの投資残高を図にしたのが次である。
外国から日本への投資残高は、それほど変化していないが、韓国は順調に増加しており、2021年には日本より大きくなった。 2023年の数値はIMF統計になかったが、UNCTAD(国連貿易開発会議)の報告書によれば、2023年の日本への投資残高は2,468億米ドルであり上図の2022年とほとんど変化はない。 一方、韓国への投資残高は2,841億米ドルであり、日本の1.15倍である。
外国から投資がなされると言うことは、国が投資価値を持っており、政治的・経済的に信頼度もあると言うことにつながっている。 韓国が今回の一時的非常戒厳の事態が外国投資家からの信頼を失うことになるのか、克服して更に高い信頼を得るのか、今後を注目していきたいと思う。
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